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もはや多用しているのは楽器業界だけか?エレアコユーザー必見9V角型乾電池、006Pのお話編

 2018-06-20
今回は9V角型電池について書いてみます。
と、言うのもこの9V電池に関するリペアのお問い合わせも結構多いので。

この006P型と呼ばれる9V電池。
最近は電気屋さんやホームセンターの電池売り場でもかなり肩身の狭い存在になっていますね。
このブログを読んで頂いている皆様にはお馴染みの電池でしょうが楽器関係以外にこの電池って使います?
出番無いですよねぇ~そりゃ売り場でも探すの苦労するよねぇ~~普通の人には必要無いもんねぇ~~~

楽器屋では画像真ん中のプロセルはよく見掛けますね。
洋モノ機材でデフォで入っている事の多いプロセルのマンガン仕様、デュラセルは
店頭販売はほとんど見掛けない。通販サイトには有るらしい?が。
デュラセルの006Pは見た事無いが単3単4はコストコで山ほど売られているから向こうでは
相当幅を効かせている電池メーカーなのでしょう。

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で、この006Pでどんなお問い合わせが来るかと言うと圧倒的に多いのが
主にエレアコユーザーからの
電池ボックスに入らない。入れたら抜けなくなった。
です。
下の画像を見てもらえれば分かりますがブツにより微妙に大きさが異なります。

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実測での高さ(端子除く)と厚みは以下の通り。

富士通アルカリ 高さ45.7ミリ、厚み16.3ミリ
プロセル 高さ43.9ミリ 厚み16.5ミリ
デュラセル 高さ43.6ミリ 厚み16.8ミリ

数値上では富士通とプロセル&デュラセルで大きくとも1ミリ程度の差なので
あまり問題が無い様に感じますが電池ボックスに入れるとなれば話は変わる。

まずは国産メーカーのエレアコの電池ボックスでテスト。
当たり前だが富士通は問題無く入る。

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富士通より高さが短く少しだけデブなプロセルも問題無く入る。

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次に問題の洋モノ。
テイラーのES-2プリアンプ純正電池ボックスでテスト。
デフォルトで入っているのはデュラセル。
したがってほぼ同サイズのプロセルも問題無く入る。

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が、

富士通は全く無理。
力技で押し込めば入るかもしれないがおそらく電池ボックスが割れる。
もしくはギター本体側へ入らないだろう。

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ちなみに上記テストは一応名前の通った電池で分かり易くサイズの違いを表現してみたが
結論から言えば洋モノには洋モノの電池、国産は割と何でもOKって事である。

ちなみに電池ボックス挿入トラブルの問い合わせで多いのが

某100円ショップのオリジナルブランド。
楽器屋で100円ぐらいで売られていた電池。
エネループ等の充電式。

である。
それらは今回の3個よりも明らかにサイズが大きめなので電池ボックスに入れる際には要注意だ。
電池ボックスに入れ難かったりギター本体側へ入り難い場合は絶対に無理に押し込まない様に
買う前によく電池を眺めて欲しい。角が丸めで全体的に膨らみぎみなら要注意。

ギターメーカーによって対応は異なるだろうが基本的にエレアコの電池ボックス単体や
純正プリアンプ一式は販売設定が無い。
また中古で買った古いモデルで製造終了より時間が経っていればメーカーへの修理依頼でも
電池ボックスの入手は不可能だろう。
なので電池ボックスの破損が取り返しのつかない結果になるかもしれない。
また中古購入の際はアンプから音の出る状態で電池ボックスを軽く押してみて電源の接触不良が
無いかもチェックした方が良い。

皆さんの中には「こんな事当たり前でしょ。何で今更書くわけ?」と思われる方もいるかもしれない。
でも人間、魔が差す時があるんですよ…
「お?もうちょい押したら入るんじゃね?」
そんな魔が差したお客様よりリペア依頼の連絡が入るんです…


と、まぁ書いてはみたものの電池ボックスではなくバッテリースナップに繋ぐだけで
電池収納スペースに余裕がある場合はアルカリ・マンガンの違いには注意が必要だが
特にサイズに神経質になる必要は無い。
エフェクター等の電池交換が頻繁な用途は電池よりもバッテリースナップの質に気を使って欲しい。

ここまでの電池ボックス挿入時注意喚起的な内容だとウチのブログっぽくないので
もうちょい深入りしてみる(笑)

実は006Pには構造上2種類存在する。

形式上は積層型電池、構成電池と呼ばれる006Pだが
とりあえずデュラセルを分解してみる。

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単4サイズの電池が6本直列になる様に配置されている。
1.5V×6=9Vである。1.5Vが6本で構成されている構成電池と言う事になる。
ラジコンや電話子機等の充電式バッテリーなんかと同じ類になる。
富士通も分解してみたが同様の構成電池だった。机の中に転がってたパナ製も構成だった。

今回は手持ちの006Pには無かったが1.5Vのボタン電池が6個縦に積まれた
積層型もある。
片っ端から手持ちの006Pをめくってみたがボタン6個は無かったのが無念。
画像を載せて違いを説明したかった…

結局両者はあまり厳密に区分けされていない様でざっくりと言えば積層、構成どちらの
呼び方も正しいかもしれない。

↓ の6LR61が電池内部の構成を表している。

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単4サイズ6本とボタン電池6個縦積み。
どちらが性能に優れているのか等は個人的にあまり気にしていない。

が、コストコで売られている単3単4のデュラセルは安くて飛びついた事が有ったが
液漏れが酷かったのでデュラセルは全く信用していない(笑)
それが始まりなのかもしれないが頻繁に電池交換しないギター関連プリアンプ類、
リモコン類にはなるべく国産ブランドの電池を入れる様にしている。

ついでにもうちょい脱線してみよう。
もし液漏れしてしまった場合、まずはあの宇宙人の血液の如く緑~青~白の物体を
素手で触れずに綿棒や歯ブラシを駆使して取り除く。作業中目に入らない様にも注意が必要。
液漏れ現場から電池接点が外せる場合は何らかの容器に「お酢」を少量溜めて15分ほど浸け置き
すれば完全に取れる。
ただし接点のメッキも剥がれ落ちるので事後はグリスを薄く塗布する等の腐食対策が必要。


話を戻して006Pで言えば個人的にはプロセル一択だ。
長年仕事で多用しているがトラブルが一度も無い。
アルカリだけあって電圧も安定しているし。
難点は…値段だ。
デザインは現行のバンブルビーみたいなのより昔の地味な黒赤白の方が好きだ。


今回はネタ切れバレバレの長文にお付き合い有難う御座いました。
最後に一番お伝えしたい事。それは
電池廃棄時の絶縁だ。
地域、自治体によって廃棄乾電池の扱いは異なるだろうが当店では普通ゴミに
指定されている。(事業所なので業者に収集依頼している)
どんな廃棄区別かは皆さんにお任せするが+-の端子は必ず絶縁して下さい。
マスキングテープだろうがガムテープだろうがセロテープだろうが何でも良い。
捨てた後、金属体に端子が触れてショートすれば発熱、最悪は爆発、火災の原因に
成りえるので。
単1~単5、リチウムイオン等のいわゆる筒型電池は頭とお尻の両方を!


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今年の梅雨は雨は降るけどそんなに湿度と気温が上がりませんね。
過ごし易いですね~今のところは。
雨は梅雨だけに我慢するが地震はもうイヤですわ。

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ERANAN Kurt James モデルをレストアする Dr Mastermindって知ってる?知らんよなぁ…編

 2018-06-02
Dr.Mastermind
Kurt James
ERANAN カートジェイムスモデル


これらのキーワードで「あ~懐かしい~」と思われる方はアラフォーで若かりし頃には毎月YGを買って
広告欄までしっかり目を通していた事だろう。またはマニアックなシュラプネストとお見受けする。
90年代前期頃、イシバシ楽器がオリジナルブランドとして展開していたERANAN。
とは言えカートジェイムスモデルぐらいしか記憶に無いのだが。
個人的に印象が強く残っているのはバナナヘッドのモデルだった。

おおよそ実機を作業する事は無いと思っていたカートジェイムスをお預かりさせて頂きました!
バナナヘッドのモデルではなく最初期モデル。確か本人のアルバムジャケットのデザインだったかな?
絵画調のペイント(フィルム)トップである。
お預かり時はほとんどパーツが付いていない状況。
今回はレストア意識を強くもって作業します!

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まずはぺったんっこに減ったフレットを交換。
ネックグリップは1弦側が薄めの左右非対称グリップ。そして1弦側のみ浅めのスキャロップ。
残念ながらこれらがオリジナルスペックかは不明だがグリップ面の塗装具合を見る限りでは
オリジナルの可能性が強い。
左右非対称グリップは90年頃に市場へ拡がったMUSICMAN EVHでメジャーになったので
もしこれがオリジナルスペックなのなら先見の明があったと言えるだろう。

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指板の汚れも研磨して少し落とした。

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フレット周りの作業と平行してボディー側も進める。
電気系はCTSポットに国産VLXレバースイッチ。
何故CRLレバースイッチを使わないかと言うとオリジナルの国産サイズのレバースイッチノブが
残っているのでそのノブにサイズを合わせる為。

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欠品していたコントロール裏パネルはアクリルで削り出して治具を作成。

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黒のツヤ消し1Pで製作。
って文章で書くと短いけど削り出しの治具を作るのがかな~り大変。

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コントロール系を一通り組み終わったところで今度はPU。
今回マウントするのはコレ↓だ!!
レストアの概念からは離れるがシュラプネル概念では正論なPUだ。
コレに黒のPUカバーを付けるのは若干気が引けるが仕方ない(笑)
HS-3やYJMの様な2層構造シングルコイルサイズハムではなくシンプルなシングルコイル。
が、
直流抵抗値はリアが約20kΩ、フロントが約15kΩとディマジオFS-1を彷彿とさせる。
FS-1の様に限界ギリギリぱっつんぱっつんまでコイルは巻かれてはいない。
肝心のサウンドはトリロジー~を名乗るには少し高域がキレイに出過ぎている気はするが
シュレッド系には扱い易い太さである。
ただし言うまでもなくハイパワー=ハイノイズではある。
音作りのセンス、演奏しない時のボリューム操作にテクニックが求められる。

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お次はブリッジだ。
元のフロイドは使える状態では無い。
サドルが最前まで出っ張っているのが気になる…

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お客様お持込みのフロイドローズに分厚いブラス製サスティーンブロックを装着して
組み込む。

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フレット周りの作業も完了して仮組み。

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オクターブピッチを取るとサドルがかな~り前方へ張り出す。
どうやらブリッジ位置が適正ではない様だ。
元ブリッジのサドル位置はある意味正しかったのだ。
ブリッジ本体が2~3ミリ前方=ネック側へ来ればキレイニ収まるのいだが…

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が、1弦側のブリッジ後ろ端には既にザグリが顔を覗かせている。
これからブリッジが前方へ2~3ミリ移動すれば完全にザグリ丸見えになってしまう。
なのでレストア重視の今回はブリッジ位置には手を付けない。
サドルが出っ張るもオクターブが合うなら実使用には問題無いので。

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今回はサラッと短めに書いてはみましたがPUが導電塗料の塗られた狭いザグリに干渉して
短絡(アースに接触)のため音の出ない時が有ったり最後の最後で1弦ペグボタン(ペグのツマミ)
が真っ二つにパカッと割れて普通の接着剤では中々くっつかなかったりと工賃には反映されていない
いつも通りの苦労と難儀が有った事をここに記しておきます(笑)

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マスターマインドは疲れる(笑)ので久々にRoommel 聴きながら作業してました(笑)
Rommel も結構疲れるから最終的にはこれまた久し振りのXはVビジョンを聴いて
更に疲れたと言う(笑)
と、まぁマニアックな締めですがもうエェ歳のおっちゃんになってもうたなぁ…
若い頃はDOOM聴きながら寝れたのに。

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アコギのブリッジアース加工 Taylor ES-2搭載機種編

 2018-05-19
久し振りにアコギのブリッジアースについて書いてみようかと。

歪ませて弾く事の多いエレキと違ってPUやプリアンプ搭載のアコギでも
製造段階でブリッジアースが施されている物は少ない。
「歪ませないからノイズはあまり気にならないでしょ?」な考え方が未だに一般的なのか?
確かにグランドシフト、フェイズシフト等で軽減される事もあるのだが…
根本的な解決にはブリッジアースを施すしかない。

今回はES-2搭載のテイラーで作業を行いました。

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エンドピンジャックやプラグを素手で触れるとそれまで出ていた「ぶぃ~~」や
「じぃ~~」な感じのノイズが嘘みたいに止まりますが
コレをエレキと同じく弦ミュートの状態でピタッと無くします。

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従来ES-1の頃のテイラーはオプションパーツでブリッジアース用プレートの設定がありましたが
ES-2になってからは無くなりました。
「何で??」って思ってはいましたがその謎が明らかに…

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ES-2はコンタクトタイプであったES-1と違い、ブリッジサドル横、弦穴手前に
3本の支柱が貫通する形で取り付けられています。
これが3分割出力調整機能を持ったES-2の大きな特徴でもあります。

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支柱が弦穴に近いので従来型のアースプレートが使えない。
なので弦穴から前面までの距離の短いプレートが必要になります。
その為に新たな金型等の製造工程を見直す労力、コストとブリッジアースに関わるノイズの
クレーム数が合わなかったのかもしれません。
でも実際にノイズは気になるし施工依頼も多いのですが…
(↓ の画像はES-1用の試作品です)

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さて。まずは作業する個体のブレイシングに干渉しない様に元型となる治具をアクリルで
切削。
弦穴の位置ズレは致命的なのでかなり慎重な寸法出し、切削作業が必要です。
特に今回は支柱と弦穴の距離感に精度が求められます。

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元型に合わせて0.5ミリ厚のアルミを削り出し。
以前今回の依頼主とは別のお客様から何故アルミプレートを使うのか?と聞かれましたが
ES-1期の純正オプションはブラス(真鍮)製で厚みは1.5ミリほど。
おそらくはアース線が簡単にハンダ付け出来る事でブラスにしたのだと推測するが
ブラスは柔らかいので厚みがないと加工し難い。
なので1.5ミリ程の厚みにしたのだろうが取り付け用の両面テープの厚みや
取り付け部の木部の荒れを考えれば弦のボールエンドが2ミリ弱深く入る事になる。
それによる弦テンションの変化は僅かだろうが無いとは言えない。
なのでアース線の取り付けには一手間掛るが薄くとも切削加工が行える硬さのアルミを
使う。
ちなみにこのアルミと同じ0.5ミリ厚のブラスは柔らか過ぎて加工中に変形してしまうほど
柔らかい。
ステンレスは逆に硬過ぎて加工し難い。

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アルミはハンダが付かないのでアース線はプレートの端に線材とほぼ同じサイズの穴を開けて
線材に十分にハンダを染み込ませて結線する。
画像では分かり難いですが結線部は収縮チューブでしっかり覆っています。

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取り付け治具を使い、薄いながらも強力な両面テープを貼ってプレートを固定。

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次はジャック部アースへの結線。
まずはバッテリーボックス一体型のジャック部を外す。

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アース経路の端子に結線。
注意すべきはバッテリーのマイナス経路に繋がない様に。

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プラグイン時に確実にアースが取れているかテスターで導通確認。

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ボディー内で遊んでいるアース線をクリップで固定。

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ネック等の調整、ES-2の出力調整を行ってようやく完成!

テイラー純正採用、メーカー推奨弦はエリクサーなのだが御存知の通りエリクサーは
コーティング弦である。
なので弦表面に導通があるのは1&2弦のプレーン弦のみである。
したがって弦ミュート時に巻弦だけに触れているとブリッジアースは落ちない。
これはエレキにエリクサーを張った時も同じである。
エリクサー愛用者は弦ミュート時に少し注意して下さい。

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今回加工時に使ったアクリルの元型。
苦労して作ったのだがアルミ切削時にはご覧の通り弦穴部が削れてしまうので
再利用出来ない。(精度が落ちるから)
まぁ毎回その個体に合わせた元型を作るので手間は覚悟の上なのですが。

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PU、プリアンプ付きのアコギをお使いでノイズが気になる方はご相談下さい。
部屋弾きの音量ではあまり気にならないかもしれませんがスタジオやライブの環境&音量、
周りに強い電磁波を発生する物=蛍光灯、パソコン、大型家電、エレベーター等のモーター、
高圧電線がある場合はおそらくノイズが気になるかと思います。

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クルーソンタイプペグのペグボタン交換編

 2018-05-04
今回はペグボタンの交換依頼です。

スロッテッドヘッドのアコギのペグボタンが1個破損して無くなっている状況。
スロッテッドヘッドはペグボタンがヘッド背面に位置するので倒したりすると
第一にペグボタンに力が加わります。
まぁペグボタンが破損してネック折れまで至らなかったのが不幸中の幸いでしょうか。
とは言えこんな装飾の入ったメーカー特注と思われしペグはバラ1個どころか
ペグのみの小売設定は無い。
タイトルではクルーソン~と書いてますがクルーソンタイプについても後述しますので
最後までお付き合い願います。

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とりあえず使えそう?なオールパーツのクルーソンタイプ汎用ペグボタンを
取り寄せてみた。

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外したペグはベースプレート内側に何弦用かをマジックで記入。
フレット交換等の際のペグ取り外し時はボタンにマスキングテープを貼って記入するが
今回はそのボタンを外すので。
マジックで書いても取り付け時にはアセトンで拭き取ってしまうので問題は無い。

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クルーソンタイプペグのプラスチック製ペグボタンの交換と言えば元のボタンを破壊(割る)
して取り外すのが一般的?なのかもしれないが一応工賃を頂いて作業している身なので(笑)
破壊せずに外してみよう。
以前ドライヤーやヒートガンで熱を加えて外す話を聞いた事はあるがペグ内部には樹脂製
ワッシャー等の熱に弱いパーツも使われている事が多いのでお勧めしない。
(と言うかその方法で外れるか試した事は無い。)

まずは下の様にどこにでも有る様な工具を用意する。
木の柄が付いているのはアコギのブリッジピン抜き用の工具。

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ペグシャフト根元にスパナをきっちり当てる。
ロブスタースパナは当てる箇所によって厚みを調整出来るので便利。

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ボタンとの隙間にピン抜き(厚みが合って抜き上げる事が出来る物なら何でも良い)を
入れてボタンの角度を変えながら垂直に少しづつ力を加えていく。

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無理に力を加えずに少しづつ抜き上げるのがコツである。

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ちなみにこの方法は下の画像の様にペグシャフトの根元にせり出しが有り、力を加えても
ギアに影響が及ばないタイプのペグには推奨出来るが
せり出しの無いクルーソンタイプ等はギア破損の可能性がある事を予め忠告しておきます。

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ちなみに一般的なクルーソンタイプ、しかもボタンが金属製で破壊出来ない場合は
ギア破損の可能性がありますがギアボックスカバーとベースプレートの段差を埋める
ゴムシート等を用意して

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同じ手法で作業すれば抜けます。
ただし何度も言いますがギア破損や垂直に力を加えなければシャフト自体が曲がる可能性が
御座います。
コレを見てご自分で作業されて何らかのトラブルが発生しても当店は一切の責任を負いません。
レスポール等のチューリップペグはボタンを再利用する予定が無いなら破壊した方が無難でしょうね。

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と、まぁ皆さんが知りたいであろう普通のクルーソンのサンプルを作業してはみましたが
実はその間、めっちゃ悩んでおりました。
ボタン交換準備は整ったものの元ボタンとオールパーツクルーソン用の穴径が全く違う…
右が純正、左がオールパーツ。
オールパーツの方が穴径が小さい。
空転防止に単なる円柱形状ではなく左右に平面部が有るから単純にボール盤で穴を
拡大すれば済むわけでもなく…

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ボール盤で拡大するにしてもモナカ構造=左右貼り合わせのプラスチック製。
穴拡大の際に熱が加わり過ぎると簡単に真っ二つに割れる=剥がれるかもしれない。

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ではシャフトをグラインダーで薄く削るか?
曲面は勿論、平面部を左右均等に削らなければ簡単に軸がズレてしまう…
そんなん手持ち切削では無理やって。

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悩んだ。めっちゃ悩んだ。タバコをかなりの本数吸いながら色々考えた。
結局ボール盤で穴拡大をチョイス。
グラインダー切削作戦はどう考えてもリスクが大き過ぎるので。

まずは万力にノブを水平垂直に固定する。
これが恐ろしく大変な作業だった。
円形で上下で厚みも違う小さな丸い物体を水平に固定しなければならない。
スコヤ=直角を確認する工具を駆使し、作業場の外で明るい空に向けながら微妙な角度調整
を繰り返す。
長時間、何度何度も空に万力を向けている自分を見て通りがかりのおじさんが
「何か変わったモンが空飛んでますか?」と聞いてきたぐらいだ(笑)
小さな万力(ヤンキーバイス)とて軽い物ではない。終わった頃には腕がプルプルした(笑)

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ペグシャフトの最大横幅は3.75ミリ、深さは7.5ミリ。
なので3.6ミリのビットでボール盤の回転数を下げて=遅くして
ゆっくりプラスチックを溶かしながら拡大していく感じで作業。
キレイな穴を開けるのではなくワザとバリが出て少し窮屈な穴を開けるイメージ。
これを6個分。恐ろしく時間が掛った。
何とか1つも割らずに作業完了。
続いて同じぐらい冷や汗をかきながらペグ本体に圧入作業。
これも水平出しをきっちりやってゆっくり時間を掛けながら作業。
工賃に見合わない膨大な時間が過ぎ去ってゆく(泣)
流した冷や汗で少しでもダイエットになればまだしもなのだが(笑)

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無事に取り付け完了しました。
大きな軸ブレもなく弦テンションに負けて空回りする事もなく実用出来る状態になりました。

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くどいですがご自分で作業される場合は全て自己責任でお願いします。





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PEAVEY WOLFGANG 金属パーツのサビ・クモリ取り編

 2018-04-14
さて、前回の近年モノM.MAN AXISに続いてはPEAVEY WOLFGANGである。

今回もフレット交換、電装系の入れ替え等、徹底的に作業するのだが
このWOLFGANG、ペグ・トレモロの金属パーツのメッキに劣化が見られる。
フレット周りの作業は前回を含め今までも何度かブログアップしているので
今回はEVH系以外でも作業依頼の多い金属パーツのクモリ・サビ取りについて書いてみる。
先にお断りしておくがメッキの下、地金まで浸食している茶色いサビは手の施し様が無い。

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ペグとトレモロを作業しましたがトレモロを題材に進めていきます。
下の画像の様にブツブツとメッキ表面に凹凸が出来ています。
見た目はもちろん、手触りも悪いので何とかしたいところ。
しかし6弦サドルの一部の様にメッキが剥がれ落ちてしまっている箇所は
何とも出来ません。地金が露出しているのに茶サビが発生していないのは
ラッキーです。

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使用上手で触れる機会の多いファインチューナー。
こちらもブツブツ状になっていますが黒染めのメッキなのであまり攻める事が出来ません。
黒染めは少し研磨するだけでも剥がれて地金が出てしまうので。
軽くコンパウンドで研磨する程度になります。

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まずは全分解。

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軽い腐食程度なら手作業で研磨しますが今回はブリッジパーツの全て、ペグ6個なので
小型のホイルブラシをボール盤に付けて研磨します。
使用するホイルブラシは金属仕上げ用途の物。出来るだけ目の細かい物を選びます。
フエルトのホイルブラシもありますが耐久性が低いのと6弦サドルの様にメッキの剥がれが
あると引っ掛ってダメージを広げる可能性があるので自分はほとんど使いません。

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ボール盤はギアゴムを掛け変えて回転数を落とします。

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ベースプレートの研磨開始!
力を加えずに軽く当てる程度で気長に研磨します。
強く押しつけるとブラシが食いついて研磨物がフッ飛んでしまうので要注意。
とは言っても大型のボール盤を所有している方は少ないと思いますが…

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ファインチューナー部はブラシを当てる事が出来ないので手作業です。
コンパウンドと「赤ちゃん用綿棒」を使います。
この「赤ちゃん用綿棒」、今回の用途以外にも細かい所のクリーニングに重宝するのでオススメです!
綿棒よりも大きめの物が入る箇所はフレット周りにも多用する「銀磨きクロス」がオススメ。

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研磨後、ファインチューナー基部に入り込んだコンパウンドはパーツクリーナー等で
洗い流します。

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仕上げに銀磨きクロスで磨き上げてベースプレートの作業終了。

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次はサドルです。
研磨対象が小さいのでベースプレートより慎重になります。

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オクターブビスの入る窪みやブロックの入るスリット内は再び赤ちゃん綿棒の出番。

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トレモロ研磨作業終了。
さ、ペグに取り掛かるか。(画像はありません)

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フレットも打ち終わり劣化していた電気系入れ替えて組み込み完了!
画像では分かりませんがお客様ご希望でザグリ内には導電塗料を塗りました。

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ファインチューナーの頭もツルツルとはいきませんが不快なザラザラが少なくなりました。

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ビフォー・アフターで並べたら分かりやすいかな?

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金属パーツや弦のサビや劣化は汗の質により個人差がありますが
基本的には弾き終わったらギタークロス等で手の触れた部分全てを拭き上げる事が
重要です。
これは金属パーツ類だけでなく塗装面も同じです。
今回の様に手触りの悪い凹凸が出ている程度なら研磨で改善できますが
メッキが浮きあがって地金に茶サビが出ている場合は作業出来ません。パーツ交換になります。
つまり、普段、弾き終わってからの一手間で金属パーツを含めギターに掛るコストは変わります。
弦やビス類ならまだしも皆さんご存知の通りトレモロユニットは決して安いパーツではないですからね…

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それにしてもWOLFGANGは久し振りに作業したな。
普段は圧倒的にEVH、AXISが多いので新鮮でした。
と同時に改めてM.MANからPEAVEYへの変遷箇所が見えて中々楽しい作業でした。

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MUSICMAN 近年モノAXISはフレット端が「なで肩」で弦落ちしてしまうのだが…編

 2018-03-31
久々にEVHネタです。

商売柄出来たてホヤホヤの新品に触れる機会は少ないのですが今回は去年の夏に新品購入された
2016年製のAXISです。
当ブログを見てEVH中古やAXISを購入されるお客様も多く、(M.MANや中古屋から何も貰ってませんが…)
改めて自分のブログに責任を持たねばと認識した次第であります。

普段は中古購入された物や弾き込まれた物をメンテナンスした内容ですが今回は一味違います。

ご依頼頂いたお客様によれば当店ブログ過去記事を見て弾き易いと思い、期待して買ったものの
何故か弾き難いとの事。


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早速各部チェック。
ネック順反りを調整しても弦高が高い…1弦12Fで2.0ミリ、6弦で2.3ミリある。
そりゃ弾き難いわ。

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しかも生産時にフレット端をガッツリ斜めに削られているので簡単に弦落ちする。
1弦をチョーキングorビブラートして帰ってきたらチュルッっと弦落ちしてしまう。
同様に6弦は親指をオーバーグリップした際に弦がズレ易い。
よく知る頃のEVH&AXISはここまで「なで肩」ではなく他のギターと比べれば
「いかり肩」ぎみで、ポジションチェンジ時の指当たりを考慮して1本1本フレットエッジを
丸く削って面取り加工が施されている。自分もいつもそんな感じに仕上げているのだが。
おそらくすり合わせで相当削ったのかフレットの頭も平たくなっている。
これも弦高が高くなる原因。

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ミュージックマンに限らず様々なメーカーで時代の流れに伴い製造工程の合理化?や
製造工場の変更は見られるが大体同時にクオリティーが下がる事も多い。
今回はそんな観点でもこの2016年製AXISを見てみようと思う。

デフォルトで装備されているDチューナーがブラックになっている。(これについては後述)


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またアームの仕様が差し込むと奥でロックされるタイプ。
これはEVHのサスティーンブロックから六角ビスを回して脱着するタイプより格段に便利だ!
ちなみに本記事内でのEVHとは現行のEVHギターズではなくM.MANのEVHをあらわす。

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画像では分かりにくいがボディーのエッジが面取りされて角が少し丸くなっている。
エルボーカットの有るギターには敵わないが従来型の角ばったエッジよりは大分マシ。
従来型は長時間座って弾くと腕に直線のボディーエッジ跡が残ったがコレなら
少しは改善されるだろう。
ストラップ付けて立って弾くにはあまり違いは無いかもしれないが。

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さて、分解に取り掛かる。
ネックジョイントのビスは従来と同じく鬼硬い(笑)
必要以上と思える程のビスの硬さ。しかも5点止め。
ネックジョイントの密着度に重きを置くメーカーの思想は変わらず。
ビスを緩めた瞬間に何故かホッと安心した(笑)

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ブリッジを外す。
サスティーンブロックとアームホルダーは一体型。
サスティーンブロックの小さなイモネジでアームバーの回転トルク調整可能。
グイッっとアームダウンする必要はあるが回転トルクを微調整出来るのは有難いかもしれない。
GOTOHのGE-1996T系のトレモロではあるが1996Tの様に気付けばイモネジ紛失!みたいな
事もこれなら心配無いだろう。

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ペグを外す。
ペグ固定ビスは相変わらずのユニクロメッキ。
おそらくペグメーカーからの支給品なのだろうがこれは毎回気に入らないのでステンレス製
のビスへ交換している。
何でかって?ユニクロメッキはすぐに白く腐食してしまうから。

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今は熊さんが居るんですね。
前はカリフォルニア何ちゃらって大きく書いてあるだけでしたが。

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以前はブラス製だったロックナット下のスペーサーはステンレス製に変更されている。
6弦側に0.1ミリ厚が2枚。

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ペグ関係の穴々がきっちり面取りされている。
ここはG社やF社も見習うべきだ。

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ヘッド表面ペグ穴、テンションバービス穴も同じく。

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さて、フレットを削っての「なで肩」である以上、現状ではどうしようもない。
なのでフレット打ち換えます。
ボディーのピックスクラッチもほぼ無く全体的に使用感が非常に少ないギターなのに
指板は指が当たった跡で汚れている。
弾き方の個人差もあるがフレットが低い証拠でもある。
まずはフレット際に軽く刃物を入れて塗膜を分離。
ほとんど木地に近いぐらいに塗装の薄いネックなのでF社のメイプル指板に比べれば
めっちゃラク。

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抜き終わり。西日が差してきた。
近年老眼で夕方以降暗くなると細かい作業がツラくなってきたので今日はここまでかな。

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翌日朝からフレット打ち⇒すり合わせ。
肝心のフレットエッジ面取りを行う。
すり合わせ後に施工する工場、工房もあるが自分はすり合わせ工程の途中で施工する。
それなら面取りのヤスリ傷も研磨で消せるので。
分かり難いがヤスリ横が面取り済み。ヤスリ右上以降が未加工。

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フレット周り完成!

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このエッジ処理なら1弦、6弦の乗りしろも十分だろう。

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ステンレスのビスでペグ固定。

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とりあえず弦が張れる所まで組み上げた。
ここからが重要で長い作業なんだな…(笑)

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1弦端。

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6弦端。
これなら簡単に弦落ちはしないだろう。

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まずはロックナットの高さ調整。
数パターン試して6弦側は0.3ミリ、1弦側は0.2ミリのスペーサーに決定。
組んで弾いて分解…組んで弾いて分解…そりゃ弦も金属疲労でペグ根元で切れるわな(笑)
既に皆さまお気づきかもしれないがロックナットの固定方式が従来のネック裏から太いボルトから
表面からのビス止めに変更されている。これは強度的には明らかに改善策だと思う。

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ロックナットより手間なのがブリッジ。
今回は3&4弦下に0.2ミのスペーサーで着地。
2&5弦=0.2ミリ、3&4弦=0.3ミリのセッティングとかなり悩んだ。
毎度の事ではあるのだがここまで大掛かりな作業の時はどんなギターでも
一通りセッティングが決まったら一晩置いて翌日に再チェックする。
作業を繰り返しているうちに何がベストだったのか分からなくなってしまうから(笑)
翌日だとリセットされた感覚でチェック出来るので。

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作業前にも前日のセッティング時にもフロントPUのニュアンスが弱い=低域の広がりが薄く感じた
ので高さを上げる。
ボディーにしっかりPUが固定されているのもこの類のギターの特徴なのでウレタンやスプリングを
入れるのではなく0.5ミリの金属ワッシャーをスペーサーとして数枚挟んで嵩上げする。
3枚挿入1.5ミリUPにした。4枚=2.0ミリだとリアPUとの出力差が少し気になったので。
PUも少しスペック変更されている?のかもしれないが従来型に比べ高域が強くなっている様に
感じる。今の流行りに味付けを変えたのかもしれない。
したがってリアは十分に高域が出ているので高さを上げる事は不要。したがってフロントの
嵩上げ上限値も自ずと決まる。

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よ~~~やく完成!!
最終組み上げた感じは「あ~コレコレ!」なよく知るEVH、AXISのプレイアビリティーになりました。
弦高は1弦12Fで1.2ミリ、6弦12Fで1.6ミリになりました。十分弾き易い設定かと。

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いや、Dチューナーなんですけどね。
最終調整で触ったのですが従来型よりも動きがスムーズになってると思うんですよ。
D⇒Eの差し込み、Eのファインチューニング共に以前はゴリゴリ感が気になって分解+
グリスアップして組んでましたが今回の黒いDチューナーはそこがスムーズなんですね。
製造元変わったのかな?
最近Dチューナーの取り付け依頼が減ったので現行新品市販パーツがどうなのかは
分かりませんが。

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お客様への引き渡し時、「弾き易くなってる!」のお言葉を頂き一安心です。

結論から言えば近年のAXISは従来型とは細かい所で変わっていますが
なで肩フレット以外は問題ナシだと思います。
見てはいませんがこれ以降、2017~2018年モデルでなで肩が改善されてたらエェなぁ…



さぁお次はPEAVEY WOLFGANGだ…
コレもやるよぉ~徹底的にやるよぉ~

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ヴィンテージのエスクワイヤー リアPUのストリングフォニック・ハウリングを何とかする編

 2018-03-05
さて今回もちょっとマニアックなリペアだ。

お預かりしたのはネックデイトから63年製と思われしエスクワイヤー。
ただしオーナー様によればリアPUは66年製のリワインド品との事。
そのリアPUのストリングフォニックが酷いとの事。
歪ませてチェックするとハウリングも酷い。
PUはしっかり固定されていたのでPUのグラつきが原因ではない。

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まずは弦を外してブリッジプレートをチェックしてみる。
テレキャスター3WAYブリッジの場合、サドル後ろ4本の固定ビスを締め付け過ぎると
ブリッジのネック側が完全に浮き上がってしまい(多少なら問題無い)、
浮いたブリッジプレートが弦振動に共振してハウリングの原因になる事が多い。
今回は指で押さえつけてもハウリングの音階が変わるだけだったので根本的な原因は
リアPU本体と思われる。

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早速ブリッジを外す。
ん?
3本のPU固定ビスのうちネック側のビスがPU底面の銅板に入っていない。
と言うか銅板を押し下げている。
ちなみにPU固定はゴムチューブではなくスプリングでしっかり止められていたので
グラつきは無いが逆にブリッジの振動がダイレクトにPUへ伝わり過ぎて共振を助長させて
いる可能性はある。

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PUを外す。
下側2本は問題無いのだが上は何かが銅板のネジ穴を塞いでいる。
通常ヴィンテージやヴィンテージライクなフェンダーのPUはコイルを巻いてから
ラッカーで染み込ませる。ロウ浸けと同じ目的でコイルの遊びを埋めて定着させる意味合い
ではあるが時としてそのラッカーが経年変化で収縮し、その縮みによりコイルが断線して
しまう事もある。
が、単純にそのラッカーが垂れてビス穴を塞いだとしてもこんなに強固な埋め具合にはならない…

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カッターの刃でこそいでみる。
結構硬い。
何かの接着剤の様である。
何故この穴だけを塞いでいるかは不明。

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穴の塞ぎは何とかなったのだが、
銅板とPUの間に隙間がある。
ストリングフォニックとハウリングはほぼコレが原因であろう。

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後ろ側には隙間が無い。
要は前側のボトムボビンプレートが反りあがっているのである。

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そもそもPUのボビンプレートは経年変化で反る。
トッププレートのみならずボトムプレートも反る。
しかし銅板は反らない。
ここで悩む…
本来銅板はボトムプレートに密着すべきではあるが反っているボトムプレートを無理に
平面である銅板に密着させるとボビンプレートの更なる変形により再断線してしまう可能性がある。
なので銅板とボトムプレートをガッツリ固定する事はやめた。
ではどうこの隙間を埋めて銅板・PU本体の共振=ストリングフォニック&ハウリングを
止めるのか。
ロウで埋めてしまう事に決定!
まずは銅板のビス穴とPU本体のビス穴がズレない様にビスを入れてからロウ浸け。

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いつもより少し低温でロウ=パラフィンに粘度を持たせて含浸して隙間を埋めた。
しかしまぁトッププレートの反り具合が凄い。
ヴィンテージでは当たり前のレベルではあるが。
元々リワインドへ至った断線の原因はこの反りかもしれない。

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ブリッジへはゴムチューブを介してマウントする。
本来自分はこのゴムチューブを使う事が嫌いだ。
ゴムチューブは劣化すると硬化して反発力を失うので。
なので耐久性が低いと分かりながら使いたくはないが今回はブリッジの振動を
なるべくPUへ伝えたくない。
なので敢えてスプリングではなくゴムチューブを使用。

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組み込み。
ビスがしっかりと銅板へ入っている。

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リアPUを配線してまずは音出しチェック。
結構な激歪みでもハウリングは起きなかった。

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弦を張ってチェック。
問題無し。
おおよそこのギターが奏でる事はないであろうデスメタル一歩手前ぐらいの歪みでも
大丈夫だった。

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テレキャスター系の主にリアPUのストリングフォニック&ハウリングには様々な原因が
あります。
ヴィンテージに限らず近年モノでもお悩みの方はご相談下さい。
ただし歪ませ過ぎたらPUやブリッジに問題無くとも当たり前にハウりますよ。
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70年代前半のJAZZ BASS なまら硬いペグを何とかする編

 2018-02-23
今回は久々にマニアックで地味、でも作業は結構大変なリペア事例をご紹介。

70年代前半のジャズベなのだが…

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ペグが鬼硬い。
普通に手で回すのが激困難なぐらい硬い。ワインダー使って回すなんて夢物語なぐらいだ。

既に終盤を迎えた冬季五輪だがカーリングの女子代表、LS北見のスキップ、藤澤五月の
虜になった中年オヤジは羽生くんそっちのけでカーリングを観続け、ルールが分かったところで
男子も観る。女子は繊細さな試合運びがスリリングだが男子のパワーやスピード感にハマリ
男子の試合も観まくる。軽井沢のお兄さん達が予選敗退しインタビューで北京へ向けての
挑戦を問われるとチーム再編もさることながらスポンサー探しに触れていたのを聞いて
マイナーアマチュアスポーツの厳しさ、華やかな女子には無い苦労を垣間見た気がして
涙だ出そうになった…ありがとう。SC軽井沢クラブ。4年後期待しています!
とは言えエロ中年オヤジの本命はLS北見、藤澤五月だ。
なので今回は「なまら硬いペグ」と表現させて頂く。

話が逸れた。逸れまくった。
ジャズベに限らずだがギアむき出しのペグなのでビンテージである以上劣化していて当然
である。
今回はこのなまら硬いペグを普通に回せる様にメンテナンスする。

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ヘッド表面から打ち込まれるブッシュも片側が浮いている。
ブッシュが斜めになるとペグシャフトとも斜めに接触するので不要な摩擦が発生する。
画像は無いがペグを外してまず最初にはブッシュを打ち込み直した。

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当然ブッシュと接触する部分は擦れる故に摩耗してメッキがピカピカな状態。

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シャフトのギアを見てほしい。
ちょうど真ん中のギアだけが光っている=⇑と同じく摩耗しているのが分かる。
よ~く見れば摩耗してギアが平たくなってしまっている。
そりゃ硬くもなるよね。そだねー。

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ペグによっては硬い状態で無理に回し続けた為かメインプレートが曲がってしまっている。
分解してからプレスして矯正するが完全に真っ直ぐにまでは直せない。

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ギアの分解に入る。
メインシャフトが固着して抜け難い場合は当て木をしてプラハンマーで軽く叩いて抜き出す。

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まずはベースプレート側のシャフトギアから手を入れる。

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この部分はシャフトを覆っているカバーと分離出来ないのでこの状態でグリスを入れるしかない。

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ペグ表面側から注油すると不要なグリスがギア面に付いてムラや部分的なツヤになり
ビンテージ特有の質感が変わるので裏側から注油する。
画像のマイナスドライバーの先端の位置よりリチウム系グリスを流し込む。
使用するのはシャブシャブではないが流し込み易く、かつ内部に残りやすい少しだけ
粘度のある物。

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上下共にグリスアップしたらバイスに固定してワインダーで回す。
グリスを馴染ませ不要なグリスを滲み出させる為。
片方向100回、合計200回グリグリ回す。×4個。
結構疲れる…
滲み出したグリスは綿棒で拭き取る。

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お次はメインギアだ。
粘度の高いテフロン系グリスを筆で薄塗りしていく。
グリスは厚塗りしても効果が増すわけではないので注意が必要。
厚塗りすると色んな所にグリスが付いてベタベタヌルヌル祭りにもなるしね。

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ギア溝だけではなくメインプレート側、ペグシャフトの当たる箇所にも塗る。
分解すれば分かるがこの部分にも相当負荷が掛るので真っ黒な鉄粉が溜まっていたり
今回はとくに硬いペグで偏摩耗も見られた。(円が崩れていた。)

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もちろんその部分に直接当たるシャフト基部にも塗る。

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組み上げてまたもやバイスでグリグリ回す。
この時点でワインダーで回せるだけで作業の効果を実感する。

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いよいよネックに組み込むがもちろんブッシュと接する部分にもグリスを塗る。
ギアに使用したテフロングリスを薄塗り。
ブッシュ内側に塗るとペグ挿入時にシャフト上部(弦を巻く所)にグリスが付いてしまうので
必ずシャフト側に塗る。

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組み込み完了!

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弦を張る。
摩耗したギアに当たる時だけ少し硬くなるがワインダーで回せる!!
もちろん新品のペグの様にとは言えないが実用に問題の無いレベルの回転トルクに
仕上げる事が出来た。

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一晩置いて翌日ネック調整。

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一見何も変わった様には見えないが実用面では大きく結果の出せたリペアでした。

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大昔?にムスタングだっけな?
Fキー系ペグの分解メンテナンスについて書いた事があるが今回と同様のリペアは
クラシックギターやウクレレ等でも受け付けております。
言うまでもなく対応可能なのはギア剥き出しのペグに限りますが
なまら硬いペグにお悩みの方は今宵準決勝を戦うLS北見を応援してからご相談下さい。

五輪終わっても地上波とまでは言わないがBSなんかでカーリングの大会とか放送してくれんかな?
藤澤五月を出せとは言わない。男子でも女子でも国際大会でも国内大会でも何でもいい。
知能、技術に加え僅か1投でそれまでの試合運びが逆転するスリリングなところが気に入った。


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Paul Reed Smith ウイング式ロックペグの劣化編

 2018-02-15
今回は近年目にする機会は減ったものの未だ愛用者も多いPRSのウイングペグについて書いてみます。

PRS初期より導入されている通称ウイングペグ。
機能的にはしっかり弦をロック出来るが弦交換にちょっとコツが必要だったりする。
現在主流のギアボックスに締め込みダイヤルのあるロック式ペグに比べれば
時代遅れ感は否めない。

今回はサンタナのチューニングの狂いでお預かりしました。

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PRSのチューニングの狂いの原因の一つにナットの溝の問題がある。
デフォルトでは樹脂製ナットなのだがナット溝が弦を深く抱え込みすぎるので
滑りの良い化学素材ではあるものの弦の滑りがあまり良くない。
なのでナットを一度外し、上部の不要な部分を削って巻弦の頭が少し出るぐらいまで
溝を浅くする=弦とナットの接触を必要最小限にする。
画像は上部カットのうえで溝整形(弦ゲージに合わせた=ゲージより僅かに広い溝へ加工)作業中。
このナットの問題を解決したうえでのチューニングの狂いが今回のテーマである。

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自分としてもウイングペグの作業をお受けするのが久し振りだったのでド忘れしていたが
摩耗・劣化したウイングペグは強烈なチューニングの狂いをもたらすのである。
今回は6弦、3弦のみアーミング時に1音ほどチューニングが上がった。
通常有り得ない狂い具合である。ナットは加工済みなのに…

で、ペグを疑う。

ギターを平置きにしてウイング部を左手指で挟みながら

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または親指で少し強めにウイング部を押しながら右手でアーミングする。

すると問題のある弦でウイング部と言うかペグ自体がアーミングに同期してウニュウニュ動くのである!

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つまりはペグのメインギアとウイングを含めたシャフトの間に摩耗等による劣化でアソビが生じ、
アームダウン=弦テンションが緩んだ時に締め上げ方向へ動き、アーム(弦テンション)復帰時に
元の位置へ戻らない為にチューニングが上がってしまっていた。

ウイングペグは他のロック式ペグとは違い、正しく弦を張ると
(チューニングの合った状態でウイング6個がハの字になる)
すなわちチューニングが合った状態では常に同じ範囲のギアに負担が掛る。
したがって長年使用しているうちに特定の箇所だけギアが摩耗してしまうのだ。
現在ならしっかり焼きの入った鋼材で耐久性の高いギアを作るだろうが当時なら仕方なかったのかもしれない。

残念ながらこうなるとペグを交換するしか方法は無い。
まずはツマミを外し、ウイングを抜く。
ウイング下にはCリングがある。
いずれ売却の際等ペグを再利用するつもりならCリングを傷めない様に外す事が重要。

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今回はPHASE2=第二世代のエボニーチップの純正ペグへ交換。
(輸入代理店にコレしか同色の在庫が無かった。)
ちなみにPRS純正パーツはお値段がひょぇぇ~~です…

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上にも書いたがPRSはナットの溝が深いが為に弦をしっかり伸ばしてもアーミングすると
チューニングは狂い易いかもしれない。
大体の方は「こんなもんかな~」と思いながら使っているかもしれないがウイングペグの場合は
劣化にも注意が必要である。
今回のお客様はカスタム24も使用されているので比較する事でチューニングの狂いが
気になったとの事。まぁ尋常ではない狂い具合ではあったのだけども。

ちなみにペグ交換後は弦が完全には伸びきっていない状態でカスタム24と同じレベル、
普通のアーミングで弦により±10セント以内、激しくアーミングして20セント以内の狂いに落ち着いた。


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さて、報道されている通り、関東の某リペアショップがとんでもない事をやらかしてくれました。
ここ数日、常連さんや業界内の知り合いから「あの人知ってるんですか?」←知らねーよ。
「何考えてんでしょうね?」←こっちが聞きたいわ(怒)

同じ業界で仕事をする身として非常に腹立たしく、悲しく思います。
被害に遭われた方々には楽器が手元に戻る事を自分も願います。











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ヴィンテージのCTSポットを再生する編

 2017-11-25
かなり前にヴィンテージのポットのメンテナンスについて書いて以降、割と定期的に
ポットのメンテナンスはご依頼頂いておりますが今回は再生メンテナンスを中心に
ポットやコンデンサー(キャパシター)についても少し書いてみようかと。

ご依頼頂いたのはヴィンテージのレスポールカスタム。
他のショップでメンテナンスを依頼した際に勝手にポット類を交換されてしまったとの事…
ヴィンテージの扱い、理解に慣れていないショップなら仕方無いのかもしれないが
作業前にお客様確認は必要だと思うぞ?普通。

なのでオリジナルのポットを再生してりユニットします。

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普段自分も近年モノのギター・ベースなら
ポット、ジャック、スイッチ類も摩耗による劣化があるので消耗品とお考え下さい。
な説明はする。
電気的にも劣化した物より新しい物の方が当然通電性は良い。
音質で言えば高域の通過特性が変わる。

ただしコレは近年モノや仮にヴィンテージであっても道具として弾きまくる楽器の場合だ。

ヴィンテージは少し解釈が異なる。
何十年もの歳を重ねてきた楽器なら電気系も出来るだけ同じだけ歳を重ねたオリジナル(純正)で
音を出したいと思うオーナーの考え方は正しいだろう。

さて、まずはアース線を外しアース端子もポットキャップから外す。
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この時点でポットの両端の端子の抵抗値を計測。
このポットは0.630kΩ=630kΩ。
500kのポットでこの計測値はCTSならよくある誤差範囲…ま、アメリカなので(笑)
ちなみにカスタムCTSならこの誤差はグッと少なくなる。

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4個全て抵抗値は問題無かったので内部のカーボン抵抗はまだ使えそうだ。
なので分解に入る。
まずはローレット=ノブを取り付けるギザギザの直下にはまっているCリングを外す。
金属疲労、劣化で折れてしまう事もあるので作業は慎重且つ優しくそぉ~~っと。
ちなみにこのCリング、カスタムCTSには無い。
このCリングが後述するカーボン抵抗やセンタープレートに端子を押し付ける力を
強くしているのだ。
近年モノでもギブソン純正CTS等このCリングが付いているポットはトラブルが出るのが
早い気がするのは気のせいなのだろうか…

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Cリングは組み込み時に再利用するので外した際に変形したら優しく修正しておく。

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フル分解完了!

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メインシャフト基部の端子。
これはセンタープレート=ポットの真ん中の足に繋がるプレートに当たる部分。

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こちらは右端、左端に繋がるカーボン抵抗と接触する部分。
共に摩耗で端子の先端が平たくなっている。
端子の接触部を細目のヤスリで研磨して新鮮な金属を表面に出す。
同時に反発力を失ったプレート自体もそっと軽く僅かに引き起こす。


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古くなって固着したグリスや汚れを柔らかめの歯ブラシでクリーニング。
絶対に歯ブラシで端子は擦らない様に!

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今度はカーボン抵抗をクリーニング。(画像はクリーニング後)
上記Cリングで必要圧力以上にメインシャフト基部の端子が押し付けられていた場合は
カーボン抵抗に2本の深い轍が出来ている事がある。
あまりに轍が深い場合はカーボンが断裂してしまうのか冒頭のテスター計測で正常値が出ない。
その場合は残念ながら再生不可能となる。

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さて、今度はポットキャップだ。
キャップ単体になればハンダの熱負荷が多少掛かってもポット本体へダメージが入る事は無い。
ハンダ吸い取り線でガッツリお掃除!

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こんもり盛られたハンダを除去するとポットデートが現れた。
1376902。1969年の第2週製。

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500kの抵抗値刻印も確認出来る様になった。

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4個全てクリーニング、組み込み完了!
この時点で元ギターと仮結線してポットとしての基本的な機能をチェックする。
さすがに新品ポットの様なスムーズな音量・トーン可変は無理だとしても0⇔10は機能してれば
最低ラインはクリアとする。
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本体へ組み込み完了!
個人的にはバンブルビーよりスプラグの方がルックスは好きだ(笑)

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ちなみに当店ではヴィンテージの配線周りを作業する際に使用するハンダの種類をお客様に
選んで頂いています。
鉛フリーはんだはハンダ付けした箇所にツヤ・照りが出ないので見た目に違和感が少なくなります。
ツヤッツヤのテッカテカ、通電性優先をご希望の場合はケスター&アルミットを使用します。

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最後になってしまったがポットやトーンのコンデンサー(キャパシター)について少し。

劣化具合はひとまず置いておいて上記テスター計測で分かる通りCTSポットの抵抗値は
結構?かなり?いい加減だったりする(笑)
250kなのに320kだったり500Kなのに430kだったり…
上にも下にもかなり誤差がある。
これで良いのかCTS?とは何十年も思ってはきたが
それを遥かに上回る長き時間を活躍してきたCTSだ(笑)
良しとせざるを得ないのか…
ただし耐久性は素晴らしい。

通常シングルコイル類は250KΩ、ハムバッキングは500kΩ、
ギブソンオリジナルCTSは300kΩである。
しかしながらボリューム10=フルボリューム時はこの抵抗値は関係なくなる。
ポット入力端子と出力端子がほぼ直結状態になるからだ。
したがってシングルコイルに500kを付けてもフルボリューム時は250kと違いはほぼ無い。

違いが出るのはポットを絞った時だ。
乱暴な言い方をすれば常時フルボリューム!トーンなんざ使わねぇ!なんて場合は
ポットなんて250k~500k~25k…何でもいいのである。

よく質問されるのはSSHのギターの場合。
フロント&センターはシングルコイル、リアがハムの場合のマスターボリューム抵抗値である。
これはギターメーカーによって解釈は変わるが自分は500kを付ける。
何故なら一番使用頻度が高いのはリアだから。
ちなみにフェンダージャパンのSSHには250kが付いている事が多い。これが間違っているわけでもない。
「だってシングルコイルの方が数多く付いてるじゃん」な考え方もあるだろう。
仮にではあるが常にフロントのシングルコイルでハイフレットでソロばかり弾かれるなら250kでも
構わない。そんなギタリストがフロントのボリュームを微妙に調整するとは思わないが(笑)
もしSSHで微妙なボリュームコントロールを多様するなら理想は250k&500kの2ボリュームだろう。
トーンもシングルとハムで個別化すべきだろう…
使い難いだろうけど。

そもそもヴィンテージテイストなハムバッキングPUは少しパワーのあるシングルコイルと変わらないぐらい
抵抗値の低い物も多い昨今。
シングルコイルだから。ハムだから。ではなくPUの抵抗値によって250kor500kを使い分けるべき
なのかもしれない。

今度はトーンのコンデンサー(キャパシター)のお話だ。
現在様々なコンデンサーが色々なメーカーから販売されている。
ヴィンテージを模した物からモダンなルックスの物まで実に幅広い。
メーカーの謳い文句も実に上手い。
これまたよく質問されるのが
「コンデンサー変えたら良い音になりますか?」である。
何をもって「良い音」なのかは分からないが
その時こちらの返しは「トーンはよく使いますか?」である。

上記ボリュームポットのお話と同じでトーンポット、コンデンサー、
共に絞った時にしか効果・違いは出ない。
微弱な信号はコンデンサーへ流れるので完全に全否定はしないのだが
基本的にトーンは使わない人はコンデンサーを高価な物へ交換しても無意味である。



今回のポット分解メンテナンス作業ですがポットキャップに「へそ」のある
スタックポールと呼ばれるタイプのCTSでは作業出来ません。
ご注意下さい。



さて11月もあと少しだ。今年もあと1カ月ちょいか…
歳食うと早いもんだな1年って(笑)



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【近年モノのGIBSONヒストリックLPオーナー様へ注意喚起です。】

 2017-11-09
トグルスイッチの裏蓋が刻印の入った金属製の物がデフォルトで付いていますがこの金属が塗装と固着します。
固定ビス3本を外しても簡単にプレートが外れません。
ここ数カ月で同様の症状を3本確認しました。

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毎回工夫を凝らして慎重に取り外し、今のところはボディー裏面、目で見える箇所の塗装までダメージが及ぶ事はありませんでしたがこれ以上固着が進むと危険だと思われます。
新品購入時はプラスチック製プレートが付属しているはずなので普段使いで刻印プレートにこだわりが無ければプラスチック製への交換をお勧めします。

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このプラスチックプレートも従来とは違う材質なので若干不安ではありますが…
ビス3本を外して金属プレートが外れない場合は無理にこじったりしないで下さい。


またエイジング処理されたビス類ですが表面上は軽いエイジングに見えても内部では酷い茶サビが発生している場合が御座います。
画像はPUマウントスクリューですがこのままサビが進行するとPU高さ調整時にビスが折れてもおかしくはありません。

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軽くPUマウントスクリューを回してスムーズに回らなければ内部の確認、ビスの交換をお勧めします。
同様の症状はパネル類を止めている木ネジにも見られます。
該当モデルのオーナー様は上記トグルスイッチバックプレート、ビス類の状況をご確認下さい。


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Killer KG-EXPLODER PRISON/Burner ダンカン取り付け。思わぬトラップが潜んでいた…編

 2017-11-01
今回は現行キラー、KG-EXPLODER PRISONのピックアップ交換、全体セットアップをご依頼頂きました!

交換するPUはフロントがSH-2 JAZZ、リアがTB-14 カスタム5。
現行高崎晃仕様でしょうか?

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EXPLODERシリーズでも高級版のPRISON。
しかも焼き入れ仕様!

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木部加工~塗装は海外生産、組み込みは国内との事。
価格帯からしても現代版スタリオンと言った位置付けになるのだろうか。
驚くべきはこの個体の軽さ。
ボディーはライトウェイトアッシュらしいが重量は3キロちょうど!
持った瞬間に思わず「軽っ!」と言ってしまったほどだ。

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ブリッジ周辺、トレモロピッチシフトキャビティーはかなり深めに掘られており
フロイドも結構沈み込んでいる。
それでいて弦高は高めなのでネックジョイントに少し手を入れて=ネック角を付けて
弾き易い弦高、沈み込み過ぎないトレモロの位置にセッティングしようと思う。

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コントロール内。
西日が差す時間帯に画像を撮っているので少し見づらいのはご勘弁を。
ハンダ付け周りは流石に国産だけあってキレイに仕上げられていた。
1VOL仕様だがスイッチポットでコイルタップが可能。
ラウド演るのにタップが要るのかは…最近の新作聴いてないから知らない。

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外した純正PU。
裏面に特に表記は無いがダイナバイト系らしい。
この時はこの後ハマるトラップに気付いていなかった…

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ネックジョイントは通常の4点止めに加え、

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フロントPU下にもビスが1本。
プライム譲りのディープジョイントデザインですね。
フロント・リア共にPUのエスカッションは落とし込み加工が施されている。

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ネックを外す。
フロント下のディープジョイント部分はかなり薄い。

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止められていたビスもかなり短い。
正直この薄さ、固定方法の簡素化からサウンド、サスティーンへの恩恵は少ないと思うが
元々4本のジョイントビス周辺のジョイント面積は広くはないので強度的には意味があるのかもしれない。

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ここまで特に何の警戒感も抱かずに作業を進めてきて
「さ、PU付けよ」とフロントを入れた瞬間に戦慄く(笑)
アジャスタブルポールピースの先がザグリ底面に当たって浮き上がるのである。
理由はエスカッションの落とし込み、ディープジョイント部を含めたザグリ深度の浅さ。

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「マジでっ??」と大きめの独り言を発してからまずはタバコを一服。

頭を「どうするのか?」の改善策検討モードに切り替えてから
まずは外した純正PUを確認する。
右がダンカン、左が純正。
明らかに突き出したアジャスタブルポールピースの長さが違う。


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純正PUアジャスタブルポールピースをよぉ~~く見れば
先端がグラインダーでカットされて面取りされた形跡が分かる。
あ~~もっと早く気付いていれば…

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しょうがない。

削るか。。

ボビンに貼ったマスキングはアジャスタブルポールピース抜き取り&締め込み時、
滑ったマイナスドライバーが当たってボビン表面にキズが入らない様にする為。

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加工完了!
問題発生がフロントだけでリアはそのまま取り付け出来たのがせめてもの救い(笑)

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配線完了!

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画像は無いがネックジョイントにも一工夫を加えて組み込み完了!
フロイドも極端に沈み込まずに低めの弦高にセットアップ出来ました!!

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サウンドも音作りによってはサンダー~シャドウズ期の少しくぐもった感じ、且つ太めの
バッキングサウンドが出る。
クリーントーン、少し高域上げでフロント&リアミックス、そしてタップにすれば
シャドウズオブウォーのイントロタッピングの音も出る。

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お預かり時より何となくボディーが細身?に感じ、プライム~スタリオンよりは
スタンダードに近いシェイプなのか??
なんて思っていたが純正ハードケースにきっちり収まるって事は従来と同じシェイプなんですかね。

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いやぁ~~今回は見事にトラップにハマってしまいました。
今までプライムではPU交換する人居なかったしスタリオンやパイレーツは何の問題も無く交換
出来ていたので完全に油断しておりました。
今後初物を作業する時は気をつけようかと…教訓とすべき為に今回のブログを記す(笑)






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Valley Arts CUSTOM PRO 高温多湿地域防サビ対策仕様に組み上げる編

 2017-08-26
残暑お見舞い申し上げます。

久々の更新になります。

今回はバレーアーツのカスタムプロを作業させて頂きました。
画像撮影時に撮影サイズの設定をミスったので所々お見苦しい画像が御座いますがご容赦下さい。

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まずはお預かり時状態。
お客様によれば長い期間使っていなかったので色んな所が劣化しているとの事。

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確かにビス類をはじめ金属パーツのサビ、劣化は激しい。
フレットも激減りである。

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フロイドローズもかなりキテる…

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ラッカー塗装は汚れ&カビ?の付着と塗装自体の変質で少しベタつきが発生。

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今回のお客様は普段東南アジア某国にて生活されているとの事。
一時帰国に合わせて6月にお預かり、盆明けながら猛暑真っ只中な8月後半にお引き渡し。
東南アジアなので日本より高温多湿で日本の夏なんて足元にも及ばないと思っていましたが
聞けば湿度は日本の夏の方が高いらしい。
ただしエアコンの設置文化の違いか屋内でエアコンを使用していても結露が激しいとの事。
故に上のフロイド画像を見てもらえれば分かるが今後はサビに対する対策も必要である。
打ち合わせの結果、メッキ表面の耐久性、防サビ対策として金属パーツ類は
ゴールド⇒クロームへ変更して載せ換える事に決定。

まずはフレット打ち直し。
ネックには問題となる様なクセや波打ちはあまり見られない。
素姓の良いワーモス製ネックだ。

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ボディーの塗装面は手でチマチマ磨いてどうにかなるレベルでは無かったのでバフ掛け。

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蘇った光沢!!
質の良いブックマッチのメイプルだ。

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ザグリ内に塗られた導電塗料はラッカー塗装に対してウレタン用だったので所々
クラッキングが見られた。
ある程度シンナーで剥がしてからラッカー塗装用を塗り直す。
それでも下地塗装にまで変質が起きているので今後もクラッキングは起きるかもしれない。
しかしクラッキングが起きたままで導通が遮断されているまま組むよりは塗り直した方が
良いと判断。


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すり合わせも行ってネック周り完成。

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しっかり作られている頃のワーモス製ネックだが使われているメイプルが素晴らしい!
派手な木目に目が行きがちだがペグ、ナット類の金属パーツが付いていない状態にも関わらず
ずっしりとした重量感!
これこそ近年よく見る木目だけが派手でスカスカな柔らかいメイプルではなく材質その物が硬く、
本来ネックに適したハードなメイプルである。

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さて、ネック周りが仕上がりボディーも下ごしらえが出来たので組み込みに入る。

ブリッジはシャーラー製を使う。
近年のシャーラーにしろフロイドにしろ(まぁ製造元は同じだが)テンションバーと
スプリングハンガーの付属ビスがユニクロメッキ(クロメート)なのが気に入らない。
耐食性に問題は無いにしろ青っぽい色合いが安っぽいと思う。
なのでこれらの付属ビスは使わない(笑)

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実はネック周りやボディーの作業時にずっとこのフロイドを見易い場所に置いていた。
お客様とは単にクロームパーツへの交換で話はしていたがせっかく新品パーツを
載せるのにまたすぐにサビるのは如何なものかと…
メッキ表面は汗の質により黒ずむだけで済む場合もあれば今回の様に完全に下地金属まで
浸透して茶サビが出る場合もある。言うまでも無くこの茶サビが一番ヤバい。
湿度は日本の夏よりマシだとしても屋内エアコンの結露、汗の質…
今回は「高温多湿地域防サビ対策仕様」で組み上げる事にする!

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まずストリングインサートブロックはKTS社のTi、チタンブロックへ交換。

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ストリングロッキングスクリューはステンレス製へ。

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小さいながらペグのギアボックス固定ビスもGOTOH純正ではなくステンレス製。

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ロックナットのキャップスクリューもステンレス製へ変更。

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ネックジョイントスクリューも同じく。

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個別に画像を撮っていないがピックガード固定ビス、リアPU固定ビス、レバースイッチビス、
バックパネル固定ビス、ストラップピン固定ビスetc…
メーカー在庫切れしていたシングルコイル用inchビス以外のありとあらゆるビスはステンレスへ変更した。
これが今後自分が頻繁にメンテナンス出来ないであろうギターへ送る耐久性である。
追加したパーツ類で今回も赤字ギリギリになってしまいましたとさ(笑)

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ここで皆さんへ注意喚起です。

ヤフオク、e-bayで見掛ける事の多い激安(日本円で1~2万円程度、又はそれ以下)で売られている
「ワーモス製ネックです!」なる物は全てニセモノです。
ワーモスっぽい焼印、スタンプは入っているものの現物は大陸製の全く使い物にならない
安モノです。
ポチる前に良く考えてみましょう。
ワーモス製のしっかりしたネックがそんな値段で販売されると思いますか?
絶対に購入しないで下さい!

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YAMAHA MG-1R を徹底的に手を入れた。コンパクトなギターは何故人気があるのか?編

 2017-07-25
暑中お見舞い申し上げます。

いやぁ~暑いですね…
久々のブログ更新になります。

例年梅雨時期以降は比較的作業数が落ち着くのですが今年はどういう訳なのか
フレット交換の嵐です。ご依頼頂いた皆様、有難う御座います。
したがってリペアが混雑しており、お急ぎ納期希望の作業をお断りしてしまいましたお客様、
申し訳ありませんでした。
8月に入れば少しは落ち着く予定ですが既に数本フレット交換依頼を頂いておりますので
フレット交換等、比較的大掛かりなリペア、改造をお考えの方は早めにご相談お願いします。
クイックリペア等は随時受け付け可能です。

※尚、多数お問い合わせを頂いておりますサスティナーの取り付けに関してですが
サスティナーキットが現在メーカー在庫切れ、納期未定との事ですので一時的に取り付け作業を
中止しております。
安定供給が見込まれる様になりましたら作業受付再開の旨、当ブログ、当店Facebookページにて
ご案内差し上げます。
既にサスティナーがインストールされたギターのモデファイは平常通り受け付けております。

さて、少し前の事ですがヤマハのMG-1Rを徹底的に作業するシリーズでお受けさせて
頂きました。
ヤマハのMGと言えばTAK松本のネオンやゼブラ、パッパラー河合(古いか?)の3シングルモデル等が
思い浮かびますがこのMG-1Rはシリーズ最高峰モデルになります。
生産本数も少なく、中古市場でもあまり出て来ないレア機種ですが今回お預かりした物は
かなりの美品!でした。(画像は完成時)

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まぁ「徹底的に作業するシリーズ」は何度もご紹介しているので今回はあっさりと(笑)

最高峰モデルに相応しく、ザグリ内には導電塗料が塗られていましたがテスターで計測したら
賞味期限切れで導通が無かったので塗りなおして各ザグリを有線で結線。

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最終的にはポットのアース⇒ジャックのアースへと繋がります。

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電気系も総入れ替え。ボリュームポットはカスタムCTS⇒スムーズポット化済み。
リアはトーンのスイッチポットによりコイルタップ可能。(オリジナルスペック同様)

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もちろんフレットも交換。
こんな上質なエボニー指板は久し振りでした!
特徴的な26フレットは断面の処理に拘ってみた。
元の状態はギタークロス等が切り口にブチブチ引っ掛かるのが気になったので。


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と、まぁいつも通り気になる所は全て手を入れさせて頂きました。

このMG-1Rを組み上げて調整している時に感じたのは
「やっぱ小振りなギターってラクに弾けるなぁ~」でした。

近年は新製品をあまり見掛けませんがいつの時代もコンパクトなモデルは有りましたね。
このヤマハMG、アイバニーズのSシリーズ(コンパクトなだけではなく激薄でもありますが)、
マニアックなところではアリアプロⅡのAQ=アクアノートシリーズ。(当店常連様に3名愛用者居ます)

そんな過去のモデルではなく現行でも人気を誇る「コンパクトなギター」は存在します。
あまりコンパクトなイメージは強く無いかもしれませんが抱えて弾けば分かるのが…
ミュージックマンEVH、AXIS系、そしてシルエット。
人気の理由はあのネックグリップシェイプにもあるとは思うのですがEVH、AXISをお持ち頂くお客様全てが
エディーファンではないんですよ。普通にオジーやメタリカ、はたまたEジョンソン弾いてる方もいますし。
で、何でそのギターを弾いているのか?を聞くんですね。
すると大体の回答が「弾いててラクだから。」「小さくて抱えるのがラクだから。」なんです。
特に座って弾けば分かりますが太ももの入り具合、自然に手を置いた時のピッキング位置、
元々の設計が良く出来ているんですね。
では何故コンパクトなギターは人気があるのか?
欧米人に比べて日本人は小柄だからか?
ではエディー以外にミュージックマンで浮かぶギタリストは誰ですか?
ジョンペトルーシ、ルカサー等等。
決して小柄ではないですよね?特にジョンペトはデカイ=長身だと思います。
結局人間工学とまで言わなくとも自然に弾き易いギターはプロにも好まれるんでしょうね。
皆さんも機会があればミュージックマン上記モデル、ヤマハMG等コンパクトなギターを持ってみて下さい。
きっと欲しくなりますから(笑)
個人的には90年代末~2005、6年までのシルエットでフロイド付きが欲しいなぁ~

普段からEVH、AXIS系のリペアが多い当店ですが…
えぇ。今もEVHフレット交換祭り絶賛開催中で御座います(笑)
今回は偶然にもトランスゴールドが3本集結!(驚) 全て別のオーナー様です。

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暑い毎日ですが皆様お体に気をつけて下さい。
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夏こそ侮るなかれ弦楽器のコンディション管理。弦は緩めよ! アコギのブリッジ剥がれ修理編

 2017-06-17
ほんまに梅雨入りしたんですか?って感じの天気が続いていますね。

さて、今回は梅雨~夏場の楽器コンディション管理についてアコギの
ブリッジ剥がれを直しながら少し書いてみます。

まずは下の画像を見てもらいたい。
完全に剥がれてしまったアコギのブリッジである。
6弦側のブリッジピンが抜けてきているのも分かるだろう。
実はブリッジが剥がれただけではなく、弦に引っ張られて6弦側中心にネック側へ
ブリッジがズレてしまった為にブリッジとボディー(トップ板)の弦通し穴の位置関係が
合わずにピンが抜けてきている=しっかり奥まで入らないのである。

※ちなみにアコギのブリッジが剥がれたからと言ってDIYで何かしらの接着剤を流し込むのは
厳禁です。特にアロンアルファ等を流し込まれると本格的な修理が出来なくなります。

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当店へネック周りのメンテナンスでご来店頂いた方にはお話し、お願いしていますが
なるべく弾く時以外は弦を完全に緩める事をお勧めしています。
大抵のエレキギター、ベースなら弦のテンションによりネックが順反りますが
アコギの場合はネックのみなら画像の様にブリッジ剥がれ、トップ落ちの原因にもなります。

さて、今回はブリッジ位置がズレてしまっているのでブリッジを一度剥がしてから
接着作業を行います。
使うのはごく一般的なアイロン。

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じっくり時間を掛けてブリッジ剥がし完了。
この後、ブリッジ底面、ボディートップブリッジ接着面を徹底的に平面出しします。

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平面出しが終わればボルト&ナットを使って位置出しをしたうえでガッツリ接着します。
接着時の画像は撮り忘れ…

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十分に日数を掛けて接着剤を硬化させて接着完了!
今回接着剤は樹脂系接着剤を使用。

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6弦側ブリッジ前面。
ブリッジの少し前に線状のキズがあるのがお分かり頂けるかと。
お持ち込み時、ここまでブリッジはズレていました。
最大箇所で2ミリ弱。そりゃブリッジピンも奥まで入るわけがない。

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ブリッジ後面。
きっちり平面出ししたので隙間無く接着出来ました。

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弦を張ってある程度の時間弦テンションを掛けてブリッジに問題が無いか確認してから
お客様へお渡し。

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で、表題のお話。

ネックの反り、今回の様なブリッジ剥がれ。
主な原因は弦のテンションの掛かり過ぎ=チューニングしっぱなしではあるのだが
どんな弦楽器でもチューニングした状態ではネック&ブリッジに数Kgの負荷が掛かっています。
そりゃ製造時にきっちりシーズニングしてようがネックにトラスロッドが入っていようが反って当たり前。

皆さんネックの反り等のコンディション変化が気になるのは大体冬場ですよね?

そりゃ冬場は乾燥が進みネックをはじめ木が縮んで色んなトラブルが出易いのは
簡単に分かりますね。
何しろ乾燥する事で人体にも影響、症状が出る為か環境の変化に気付き易いわけですよ。

しかし今の季節、春以降~夏場はどうですか?
暑いのは仕方ないですがあまり楽器のコンディション変化について考えてませんよね?
(事実ネック周りのコンディションチェックの依頼も冬前~春先が圧倒的に多いです。)

実はココに落とし穴があります。

冬場は湿度が30%程度、もしくはそれ以下に下がり、暖房を使う事で更に乾燥が進む。
しかしながら乾燥が続く状況に変化はあまり起きない。

では夏場はどうなのか?

昼間仕事や通学で無人となった楽器を置いている環境は湿度が80~90%と極端に上がり
蒸し風呂状態になる。
帰宅後から就寝前、もしくは翌朝までは冷房を入れる。
エアコン入れると爽やかになりますよね?
そりゃ温度も当然ですが不快の原因だった湿度が40~20%程度までドンッと下がりますから。
弱冷にしても60%ぐらいかな?

すなわち夏場は24時間の間に蒸し風呂状況と冬場の乾燥が交互に訪れるわけです。

湿度の影響を受けやすい木材は忙しい事この上無いでしょう。
何せ24時間内で水分を吸い放題から脱水症状になる事を繰り返すのですから。

上記の影響によりネックの反りは勿論ですが
アコギのブリッジ剥がれも弦テンション以外の原因として
ブリッジ材質とボディー(トップ板)材質の膨張、収縮による接着面の剥離があります。
元々ブリッジ(エボニーやローズ)とトップ板(主にスプルース等)では木材自体の硬さ、
収縮率がかなり異なります。
場合によっては常に弦テンションを抜き湿度管理を徹底してもブリッジ剥がれは起きるかも
しれません。
近年は木材の質、製造段階の接着剤の量や質も疑わしかったりもします。

楽器の保管に適した環境は
気温20~25℃、湿度40%程度と言われてはいますが
残念ながら四季のある日本でその環境を年間通して維持する事は出来ません。

24時間365日、冷暖房を入れて楽器保管に適した環境を維持しろとは言いません。
せめて冬場は加湿器を使い、夏場はケース内に湿度調整剤、乾燥剤を入れるぐらいでしょうか。
環境面でおすすめなのは。

でもですね、出来れば年中弾かない時は弦を緩めて下さい。
弦がベロンべロンになるぐらいまで完全に。
アコギだろうがエレキだろうがベースだろうが関係ありません。
上の方にも書きましたが普段ネック周りの作業を行わせて頂いた方にはだいたい
弦を緩める事をお願いしております。
まぁヴィンテージ等で逆反り傾向が強い楽器は別ですが。

日本に四季、梅雨や夏がある以上、湿度の問題は何とも出来ませんが
弦テンションによる様々な影響を防ぐのはあなた次第です。










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YAMAHA SG2&SB2 弾いてこそ価値あるヴィンテージ、しかし純正状態が価値高いヴィンテージ編

 2017-05-18
今回はYAMAHA SG2、SB2の作業をお受けさせて頂きました。

ギターのSG2は昭和42年=1967年、ベースのSB2は昭和41年=1966年製です。
45年=70年製の自分より年上になります。
以前SG2を作業してブログにアップしましたがモズライトやこのヤマハSG、いわゆるテケテケ系の
作業依頼もここ数年は増えてますね。

お客様はプレイヤーなので当店お約束のパターン、演奏性重視で手を入れますが
今回は純正状態へ戻せるマージンも計算しながら作業します。

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まずは2本共にフレット交換。
ナット=0フレット仕様なのでフレット打ち、すり合わせ完了時、仮組みしてはナットとなる
0フレットの高さを調整。
削って低くして弦高チェック、低すぎたら少しだけ浮く様にフレットを打ち直す…
この繰り返しは結構大変です。

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0フレットの高さが決まれば仕上げ作業を行ってフレット周りは完成。
次に本来のナットの役割は無い金属製ナットの取り付けに入ります。

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以前にも書いてますが金属と木材では接着する上での相性が良くない。
接着剤は木材には染み込むが金属には染み込みません。
したがって時間経過と共に接着剤が痩せると金属製ナットは簡単に外れてしまいます。
ある日突然ポロリと外れるので本当にびっくりします。
ジャクソンヘッド等のナットを境に弦の角度が変わるギターはチューニングを緩める、
締めると突然ポロリも有りますね。

このナットの底面には成型時のピン跡の穴が空いているのでコレを利用します。

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元から空いている穴と逆側にも同じ位置に穴を空ける。
そして底面に対して垂直にビスを入れしっかり止まるまで締め込む。

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ビスの頭をグラインダーでカット。
これでナット底面側のピンが完成。

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ピンの当たる位置に受け穴を空けます。
って簡単に書いてますがこのナット取り付け部の木部底面と指板壁面は垂直が出ていなかったので
割と大変な作業でした…

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ピンを差し込むだけでナットは外れにくくなりましたので接着剤は少量の使用ですが
十分強度と耐久性は出ているかと思います。
これにてネック側の作業は完了。

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次は2台のボディーへ取り掛かります。
今回は純正ピックガードを保存、ヴィンテージパール柄で新規にピックガードを製作します。

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まずは御開帳。
画像では分かり難いですがザグリ内には銀色の導電塗料と思われしき物が塗られています。
66~67年で既に導電塗料を導入しているヤマハは凄いですな。

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ヴィンテージのお約束ですがピックガードの縮みによりビスが斜めになってしまっています。

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ビスを抜いていくと一目瞭然。

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当然ビス穴も楕円に変形しています。

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外したピックガードは電気系を取り除いて速攻で板に固定。
これはビスの支えが無くなったピックガードは縮みが加速するので現状以上の縮み、変形を
防ぐ為です。
短い時間でも放置すると元に戻す=再度ボディーへ取り付ける事が困難になってしまいます。
60年代のジャガー、ジャズマスターの電気系を作業する時なんかは毎回時間との戦いです…
ですのでこの純正ピックガードが必要な作業の時は面倒ですが毎回外す⇔固定の繰り返し。
完成後はこのままお客様へお渡しします。そして環境変化の少ない冷暗所保管をお願いします。
これがヴィンテージのピックガードの正しい保存、保管方法になります。

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次に斜めになり変形してしまった全ビス穴を埋め木。

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埋め木の接着剤乾燥待ちの間に導電塗料を塗る。

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3ミリ厚のアクリル透明板で新規のピックガードの元型を作成。
外形とポット穴、ピックアップホールは既に削りだしていますがピックガード固定ビスの穴は
ボディーの埋め木+空け直しした穴位置に合わせて加工。

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元型のビス穴を空けてから仮組み。
ビスが斜めになっていないか等を確認。
フェンダーと同じくフロントプリセット回路の横はザグリと超ギリギリの距離感…

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SG2は内部にもホコリやサビ、切れた弦のボールエンドが入り込んでいたので
トレモロ部も分解メンテナンス。
表面のプレートを外すには少しコツが必要。
以前SG2を作業した時にはこの知恵の輪構造にだいぶ時間を取られた(笑)

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トレモロ下にも昭和42年のスタンプが有る。

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ピックアップも分解してメンテナンス。
ポールピースのサビを出来るだけ除去する。

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問題はピックアップ取り付け部。
ピックアップ取り付け用のビスはサビは少ないものの少し曲がっているので交換する。
ボディー側に受けとなる鬼目ナットが埋め込まれているがビスのピッチが旧JIS規格なので
現行のISO規格のビスと合わない。
3ミリ径のビス、M3同士なのだが旧JIS規格はピッチが0.6ミリ、現行ISO規格は0.5ミリだ。

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なので現行0.5ミリピッチに合わせて鬼目ナットにタップを入れる。
ジャパンヴィンテージを作業する際にはビスの規格、ピッチに注意が必要である。

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本チャンのピックガードを製作して組み込み。
SG2のフロントプリセット回路は使い勝手を優先して除去。
とりあえず組み込みが終わった状態。
ここから本当の勝負が始まる。如何にこの2本を「鳴らす」のか。
自問自答の続く長いセッティング作業に取り掛かる。

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SG2は独特の形状の純正アームが欠品していた。
お客様はアームは使わない予定との事でしたがとりあえずストラトの汎用アームが差し込める
様には工夫しておいた。

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試行錯誤の末に2本共に完成!

ネック角度を見直したりブリッジ周りのアソビを無くしたり弦高を色々試したりと結構時間を
掛けましたがちゃんと結果が出てくれました。
モズライトをはじめこの類のギター、ベースはあまり「鳴る」事がありませんが少し強く弾くと
「ブワン!」みたいな感じで芯があり音の輪郭がはっきり出ています。
ベースのSB2も一つ一つの音が奇麗に分離されている感じ。サスティーンも伸びたと思う。

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兄弟?親子?みたいな2本だがオリジナルのピックガード、電気系はお客様へ保管を
お願いしているのでビス穴の位置加工は必要かもしれないがフレットを除き元の状態へ
戻す事も可能である。
弾けるヴィンテージ、弾いてこそ良さが出るヴィンテージ。
しかしながら純正スペックが一番価値が高いとされるヴィンテージ、
その共存点がこの形なのかもしれない。


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うっかりぶつけちゃったシリーズ。ネックグリップの打コン修復編

 2017-03-09
久々に打コン修復編です。

ギターやベースをうっかりぶつけちゃう事って多いですよね?
ボディーなら精神的ダメージが大きいですがネックグリップは物理的ダメージも伴います。
小さい打コンでもポジションチェンジ時なんか手触りが気になりますよね。
今回は比較的ガッツリ逝ってしまった打コンを修復します。

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潰れた木のささくれが出ちゃってます。
この画像でお分かり頂けるかと思いますがツヤ消し塗装のネックグリップです。

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まずは傷口の汚れ、脂分を除去します。

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ささくれになった部分は修復出来ないので意を決して削り落します。
同時に千枚通しや針先を使って打コン内部に入り込んだ汚れも取り除きます。
すなわち今回の様な打コンの修復は事故から早めの施工の方が手間が掛かりません。

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研磨=下準備完了!

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樹脂充填開始!

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数日に渡り充填⇒硬化⇒研磨の繰り返し。

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打コンの凹みが気にならない程度まで充填出来た段階で研磨の範囲を少し広げて
他の部分と打コン部の段差を無くします。

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完成。
光の当たり具合で打コンによる段差が解消されているのがお分かり頂けますでしょうか?
ツヤ消し塗装面なので研磨し過ぎると傷口周辺だけツヤが出てしまう。
なので今回は研磨の寸止め具合が難しかったです…

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今回は塗装のタッチアップと同じく樹脂を充填する方法で修復させて頂きました。
樹脂も時間が経つと目痩せして少し段差が出来てしまうかと思います。
しかしながら仮に傷口に合う木片を削りだして貼り付けても木の収縮率は大きいので
今回ぐらいの打コンサイズまででしたら経年変化を考えれば樹脂充填が無難だと思います。

まずはうっかり事故を起こさないのが一番ですけどね。

ギタースタンドに立て掛けているから「安心」ではないですよ。
スタジオでの休憩時にアンプに立て掛けるなんてのは事故ウエルカムですね。

皆様ご注意を!
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GIBSON SG 怪奇現象的な電機系トラブルの原因を暴く編

 2017-03-01
今回はとあるギブソンSGである。

去年ピックアップ交換を作業させて頂いたのだが今回はトグルスイッチの接触不良との事。

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近年モノのSGなので電機系は基板化されている。
この基板が曲者でコネクター類の接触不良も多い。
去年ピックアップを交換した際にはピックアップ入力部はコネクターを使わずに直接ハンダ付けしている。

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最近この基板化アッセンブリーの付いたギブソンの電機系トラブルが増えている。
最初は「音が出なくなりました」的な問い合わせを頂くのだが来店時にチェックしたら
正常に音が出るのである…
お客さんは「いや、昨日の晩は本当に音が出なかったんです…」と困惑される。

今回はトグルスイッチの症状改善がご依頼だがそんな怪奇現象的な電機系トラブルを
事前に防ぐ対策も施させて頂く。

まずは忌まわしい基板を丸ごと取っ払う。
ボディーザグリ底面は段差だらけのガッタガタである。

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つーか基板化以前にこのポット穴は何だ?
穴位置の不具合で基板一体化のポットシャフトが入らなかったのは容易に想像出来るが
穴の拡大にリーマーを使うとはねぇ…
500歩譲ってリーマーの使用を認めてもこの雑な仕上げはアカンやろ。

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コレが取り外した基板なのだが…

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下の画像を見ればジャック方向へ曲がっているのが分かるだろう。
この基板の曲がりこそが怪奇現象の原因である。
基板はポット、ジャックの六角ナットを締めつける事でボディーに固定されるが
上記画像の通りザグリ底面は平面ではない。
したがって基板には色んな角度での圧力が掛かる。
それにより基板は曲がり、時として配線パターンの剥がれやポット、ジャック類のハンダ箇所の
ハンダ浮きが発生する。
しかしながら完全に信号ラインが断裂する訳ではなく僅かな圧力の変化で正常⇔音出ずの
変化が起きる。
これを防ぐには基板除去、通常配線化が確実な方法になる。

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まずは先ほどのポット穴、同様に不細工なジャック穴を修正する。
フロントボリューム、トーンのワッシャーは固着しているので無理には外さない。
塗装が完全に乾ききるまでに締め付けられたワッシャーは塗装と一体化している事があり、
無理に外すと周囲の塗装まで剥がれる危険性があるので。

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ポット、ジャック穴共にパーツ取り付けに問題の無いサイズまで穴を拡大して修正完了。

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ザグリ内に導電塗料塗布、バックパネル裏にはアルミテープを貼る。
パネルの一部黒い部分はアルミテープの継ぎ貼り部の導通を確保するべく導電塗料を塗っている。
ザグリ側のビス穴一か所、パネルとの接触部一か所にも導電塗料を塗ってパネルとコントロール内の
導通を確保。
画像は無いが当然ピックアップホールにも塗布。各ザグリは有線で結線。

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配線完了!
ポット類はカスタムCTSベースのスムーズポットを使用。
コンデンサーは予算の都合、コンデンサーへの拘りが無いとの事だったので基板からコンデンサー
を外して再利用。

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ちなみに主目的のトグルスイッチは「ミニトグルスイッチ」へ変更。


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純正と同じスイッチクラフト社のトグルスイッチとは違い接点部がケーシングされている。
今時接点が剥き出しのスイッチを使い続けているのはギター業界ぐらいである。
接点が剥き出しであれば品質に問題の無いスイッチクラフトと言えど接点部金属の酸化による
接触不良は避けられない。
トグルスイッチのトラブルの再発防止にはルックスを許せるのであればミニトグルへの交換を
お勧めします。

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電機系を基板化する事でギブソンは生産効率が上がるのだろう。
でもその反動をトラブルとして被るのはユーザーなのだが…







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ビンテージのフレット交換に忙殺されてみた編

 2017-03-01
久し振りの更新になります。

1月中旬以降、あまりの忙しさとパソコンのトラブルによりブログ&FBより遠ざかっておりました。

まずは70年、シングルストリングガイドのストラトです。
オーナー様はコレクターではなくバリバリのプレイヤーなのでぺったんこのフレットを交換、
電装系もPU以外入れ替えます。

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まぁラウンド指板のお約束と言っても過言ではないのですが
ローフレット側は特に問題ナシ…

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ハイフレット側は指板の厚みが超薄い!

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お尻から見れば如何に薄いか伝わりますかね?

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これだけ指板が薄いと指板修正もかなり慎重に、必要最小限、問題個所をピンスポットで
削るだけ。
そして激面倒なのですがフレットのタング=指板へ打ち込む部分を1本1本グラインダーで
削ります。
普段のストラトのフレット交換の数倍時間が掛かります…

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フレット周りの作業完了時。
何とか違和感無く仕上げる事が出来ました!

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この70年と同時進行で69スペックのカスタムショップもフレット交換。
現代のカスタムショップと言えどラウンド指板の薄さは同様…
んなトコまで忠実にコピーすんなよ…って言いたかったりする(笑)

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お次は70年代のレスポールカスタムのレフティー。
フレット交換歴があるみたいだが完全に摩耗してしまっている。
こちらのオーナー様も完全なプレイヤー!
なのでフレット交換を作業させて頂きます。

レスポールカスタムと言えば当たり前の話、エボニー指板。

とりあえずはフレットを抜くが…
と、書くと短いが元フレットが接着されていた(怒)ので
抜く→指板チップ出まくる→接着→その繰り返し→地獄。
で、フレットを抜くだけで笑っちゃうぐらいの時間を費やす。

そして画像をよく見れば分かると思うが指板中央部にクラックが入ってしまっている。
症状としては軽度ではあるがエボニー指板特有の「指板割れ」である。

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まずは針を使って傷口内部に詰まった汚れを取り除く。
これはかなり老眼泣かせな作業である…

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傷口周辺をマスキング。
そしてエポキシ樹脂を流し込む。
ドライヤーは熱を加える事で樹脂の粘度を下げる為に使用する。

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樹脂硬化後、指板修正を行う。
傷口は埋まったがそもそも傷口のラインを境に6弦側、1弦側で木の質が異なっている事が分かる。
したがって保管方法云々で起きた指板割れではなく起こるべくして起きた指板割れなのかもしれない。

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フレット打ち、セットアップ完了!

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指板割れ跡もこれなら分かり難いだろう。

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この他にも4本フレット交換…
気がつけばもぅ3月。
ようやくフレット交換祭りから解放されました。

ヴィンテージギター、ベースは言うまでもなく修理や改造を施す事で市場価値は下がってしまいます。
しかしながら「楽器」である以上弾かなければヴィンテージとして本当の価値を味わう事は出来ません。
高価な骨董品として捉えるか楽器として捉えるかは自由ですが。

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師走はIBANEZ祭り!RBM2&JEM-90HAM 結構苦労したぜシリーズ(笑)編

 2016-12-14
あっと言う間に今年もあと2週間ですね…
現在年末進行でバッタバタで御座います。

やや忙しくなってきた12月初旬。
難易度の高い?アイバニーズが2本いらっしゃいました。

まずは分解時画像で申し訳ないがレブビーチモデルRBM2。
KRAMERを使いフラッシーなタッピングでデビューを飾ったレブがアイバニーズとエンドースした
ウインガー後期に使ってましたね。
ウインガー以降、ソロアルバムや白蛇、ドッケンではSuhrなのでメーカー生産時期も短く
本数も少ないと思われるレアなレブモデルですな。
パッシブPUに交換されてるしピックガードが無い…
今回はこのRBM2を本来在るべき姿に戻します。

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まぁ覚悟はしていたのだがメーカーには既にピックガードが残っていなかった。
そりゃ生産も少なければ生産終了からかなりの時間が経ってますからね…

なので

ピックガード作ります…

とりあえずはネットで画像を探しまくる!

ファーストのジャケット柄のWRB3なんて持ってる人居るんすかね?

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この海外版広告ではRBM10なる廉価版も載っているが日本国内でも販売されてたんかな?
なんて色々昔を思い出しながらもピックガード周りが鮮明に分かる画像を探すが…無い。。。

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ネックジョイント部にはRBM-2のスタンプ。
廉価版RBM10では無い証明だ。

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限られた画像を拡大して見比べながらボディーに貼ったマスキングシートに下書きする。
Demo Anthologyを聴きながら何度も何度も書き直す…
下書きが終わる頃はMasqueradeを聴いていた。何で歌うかねぇ?なんて思いながら。

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仕上がった下書きを元にアクリル板で元型を削り出す。
下書きで悩み過ぎて頭が疲れたので気分転換に導電塗料塗布、PU交換作業を先に行った。

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今回ネック側はフレットのすり合わせ程度だがテンションバーの取付けビス穴が緩くなっていたのと
位置も微妙に歪んでいたのが気に入らなかったので埋め木。

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ピックガードをアクリルゴールドミラーで削り出して完成!
おぉ…文章で書くと何て短い時間で済むのだろうか(笑)
実際はめちゃめちゃ時間掛かって苦労したんですけどね。

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さて、お次はJEM-90HAMである。(画像は完成時)
最近も別件のブログで過去記事のリンクを貼ったがヤフーで「スタッド倒れ」で検索すると
当店のブログがド頭に出て来たのにはビックリした。(自分のPCだけかな?)
このJEM、お客様が某有名大型チェーン店で中古購入された直後にお預かりしました。
正直驚きました。
電気系はPUを除き全てガリ、接触不良で全く使い物にならない。
ネックは反りまくり。指板も汚れフレットも曇っている…
到底「中古保証」を謳っているショップが販売したとは思えなかった。
JEM-90HAMは滅多に見る事の無いギターだ。購入されたお客様は探すに探したのだろう…
作業前に検品結果をお伝えした時のお客様の残念そうな声のトーンが忘れられない。

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まずは全分解。
危惧していたロープロエッジのスタッドだが…

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過激に倒れてはいないものの6弦側はアンカーが抜けたのかコッテコテに瞬間接着剤で固められている。
ひょっとしてコレは一種のアンカー抜けリペアのつもりなのか??

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拡大。
さて、どうやってこのアンカーを抜いていきますかね…

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彫刻刀や突きノミを使って慎重にコリコリコリコリコリ瞬間接着剤の層を削る…

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アンカーの頭が見えたところで国産テールピース用のスタッドを入れてアンカーを抜く。
もちろん当て木の板の下にはラバーシート置いてますよ。

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やっと抜けた!
抜くのは一瞬。接着剤削るの1時間(笑)

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ここからはいつも通り。
アルミプレートの厚み分だけザグリを掘ります。

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アクリル板で冶具を作って仮組み。

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2ミリ厚のアルミプレートを削り出してスタッドアンカー部修理完成!!

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外したピックガードなのだが裏面はかなりサビ、カビに侵されている。
そりゃポット、スイッチもダメになるわな…って感じ。
つーか中古販売の前に全部交換しとけよ!!(怒)

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スペック表でPUはエボリューションのはずなのだがDPナンバーの刻印が無い。
JEMはサスティナーがらみで作業する事が多いのだが大半は刻印が入っていたと記憶しているが。

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まずはピックガードを研磨。
数種類のコンパウンドでサビとカビを除去して仕上げはシミクロームを使う。
シミクロームは本来アクリル用のコンパウンドらしいがアクリル用ならではの目の細かさ、
研磨した表面に保護膜を形成してくれるので金属相手にも仕上げによく使う。

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ポット、スイッチ交換。配線やり直し。
これでピックガード側も完成。
当然ボディー側のダイレクトマウントジャックも新品へ交換済み。

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で、ロープロエッジ載せてピックガード付けてこの日はおしまい!って思いながら帰り支度をしつつ眺める…
ロープロエッジ前面とピックガードのツラが合ってないのが気に入らない。
6弦側と1弦側で隙間の幅が違う。(1弦側の方が狭い)
1弦スタッドが倒れているならまだしもスタッド周りはバッチリ仕上げた。
原因はメーカー製造時のピックガード取付け工程だしお客様からは指摘を受けていない箇所。
でもその日の夜はこのズレが頭の中から消える事は無かった…

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翌日。
やっぱりここまでやってズレが有るのは納得できないのでピックガードの位置修正だ!
まずは全てのビス穴を埋め木。
ピックガードの位置を修正して新規にビス穴を開け直す。
埋め木の接着剤が硬化するまでの時間を使って導電塗料を塗り直す。
想定外の作業が追加になったので時間と段取りの帳尻を合わせようと工夫したつもり(笑)

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よしよし。
これで満足だ!

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フレットも摩耗、ネックにも若干クセがあったのでキッチリ指板修正。

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フレット打ち完了!

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ネックジョイントビスもサビが酷かったので交換。
一般的なメーカーはネックジョイントビスの太さは4ミリである。
強度を優先するメーカーや何故か大陸製の一部は5ミリ。
そしてアイバニーズは4.5ミリなのだ!
アイバニーズの代名詞、薄めのネックに強度が無いとは言わないが(今回は)
ネックジョイントの強度、密着度は鳴り、サスティーンに繋がるのでアイバニーズで
ネックジョイントビスを交換する際はネック側のビス穴を拡大して5ミリのビスを入れている。
先のRBM2も同じ。
実はこの作業工賃をお客様へ請求する事は無い。
だが徹底的に作業するシリーズの場合は個人的に拘りたい部分なのだ。

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完成。
ようやくアイバニーズの連鎖から解き放たれる(笑)
とは言えこの後は鬼の様な本数のフレット交換が待ち受けていたのであった…

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以前自分も中古販売に携わっていたがその時は「保証書」を付けていた。
その保証書は「きっちりメンテナンスしております。万が一何か御座いましたら…」な在り来たりな意味合いで
お客様へ安心を提供し、ある意味商品のコンディションへの自信の表れでもあった。
今回のJEMを販売した大型店はHPに詳細に、かつ立派な文言で保証規定を掲載している。
が、その意味合いは「あ、何かクレーム有ったら言ってねぇ~」ぐらいなのだろうか?
画像載せたり書きはしなかったが付属のトレモロアームも間違っていた。
(ロープロ以降のトレモロ用でロープロのアーム差し込み口には入らないサイズ)
つまりアームをブリッジに挿す程度のチェックさえも行っていないって事だ。
今は大なり小なり中古ギター、ベースを取り扱っているショップが星の数ほど有る。
中古保証を謳っているのはもはや当たり前。
しかし本当に商品に対して保証が出来るショップは少ないのではないだろうか。
商品に問題があればリペア業者に丸投げ。リペアが無理なら返金。
それで金銭的には着地するのだろうが
「長年探し続けてきた憧れの1本を購入出来た」その想いまでは保証されないのである。
皆さんも中古購入の際は良いコンディションの商品を選ぶのに全神経を使うのではなく
良いショップを選ぶ事もお忘れなく。
中古購入時は商品もショップも「石橋を叩いて渡る」べきである。


年内は28日(水)までの営業です。
フレット交換など大掛かりな作業は難しいですが年内完成希望のリペアをお考えの方は一刻も早く(笑)
お問い合わせ、ご連絡お願い致します。

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