YAMAHA SG2&SB2 弾いてこそ価値あるヴィンテージ、しかし純正状態が価値高いヴィンテージ編

 2017-05-18
今回はYAMAHA SG2、SB2の作業をお受けさせて頂きました。

ギターのSG2は昭和42年=1967年、ベースのSB2は昭和41年=1966年製です。
45年=70年製の自分より年上になります。
以前SG2を作業してブログにアップしましたがモズライトやこのヤマハSG、いわゆるテケテケ系の
作業依頼もここ数年は増えてますね。

お客様はプレイヤーなので当店お約束のパターン、演奏性重視で手を入れますが
今回は純正状態へ戻せるマージンも計算しながら作業します。

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まずは2本共にフレット交換。
ナット=0フレット仕様なのでフレット打ち、すり合わせ完了時、仮組みしてはナットとなる
0フレットの高さを調整。
削って低くして弦高チェック、低すぎたら少しだけ浮く様にフレットを打ち直す…
この繰り返しは結構大変です。

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0フレットの高さが決まれば仕上げ作業を行ってフレット周りは完成。
次に本来のナットの役割は無い金属製ナットの取り付けに入ります。

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以前にも書いてますが金属と木材では接着する上での相性が良くない。
接着剤は木材には染み込むが金属には染み込みません。
したがって時間経過と共に接着剤が痩せると金属製ナットは簡単に外れてしまいます。
ある日突然ポロリと外れるので本当にびっくりします。
ジャクソンヘッド等のナットを境に弦の角度が変わるギターはチューニングを緩める、
締めると突然ポロリも有りますね。

このナットの底面には成型時のピン跡の穴が空いているのでコレを利用します。

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元から空いている穴と逆側にも同じ位置に穴を空ける。
そして底面に対して垂直にビスを入れしっかり止まるまで締め込む。

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ビスの頭をグラインダーでカット。
これでナット底面側のピンが完成。

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ピンの当たる位置に受け穴を空けます。
って簡単に書いてますがこのナット取り付け部の木部底面と指板壁面は垂直が出ていなかったので
割と大変な作業でした…

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ピンを差し込むだけでナットは外れにくくなりましたので接着剤は少量の使用ですが
十分強度と耐久性は出ているかと思います。
これにてネック側の作業は完了。

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次は2台のボディーへ取り掛かります。
今回は純正ピックガードを保存、ヴィンテージパール柄で新規にピックガードを製作します。

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まずは御開帳。
画像では分かり難いですがザグリ内には銀色の導電塗料と思われしき物が塗られています。
66~67年で既に導電塗料を導入しているヤマハは凄いですな。

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ヴィンテージのお約束ですがピックガードの縮みによりビスが斜めになってしまっています。

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ビスを抜いていくと一目瞭然。

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当然ビス穴も楕円に変形しています。

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外したピックガードは電気系を取り除いて速攻で板に固定。
これはビスの支えが無くなったピックガードは縮みが加速するので現状以上の縮み、変形を
防ぐ為です。
短い時間でも放置すると元に戻す=再度ボディーへ取り付ける事が困難になってしまいます。
60年代のジャガー、ジャズマスターの電気系を作業する時なんかは毎回時間との戦いです…
ですのでこの純正ピックガードが必要な作業の時は面倒ですが毎回外す⇔固定の繰り返し。
完成後はこのままお客様へお渡しします。そして環境変化の少ない冷暗所保管をお願いします。
これがヴィンテージのピックガードの正しい保存、保管方法になります。

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次に斜めになり変形してしまった全ビス穴を埋め木。

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埋め木の接着剤乾燥待ちの間に導電塗料を塗る。

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3ミリ厚のアクリル透明板で新規のピックガードの元型を作成。
外形とポット穴、ピックアップホールは既に削りだしていますがピックガード固定ビスの穴は
ボディーの埋め木+空け直しした穴位置に合わせて加工。

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元型のビス穴を空けてから仮組み。
ビスが斜めになっていないか等を確認。
フェンダーと同じくフロントプリセット回路の横はザグリと超ギリギリの距離感…

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SG2は内部にもホコリやサビ、切れた弦のボールエンドが入り込んでいたので
トレモロ部も分解メンテナンス。
表面のプレートを外すには少しコツが必要。
以前SG2を作業した時にはこの知恵の輪構造にだいぶ時間を取られた(笑)

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トレモロ下にも昭和42年のスタンプが有る。

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ピックアップも分解してメンテナンス。
ポールピースのサビを出来るだけ除去する。

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問題はピックアップ取り付け部。
ピックアップ取り付け用のビスはサビは少ないものの少し曲がっているので交換する。
ボディー側に受けとなる鬼目ナットが埋め込まれているがビスのピッチが旧JIS規格なので
現行のISO規格のビスと合わない。
3ミリ径のビス、M3同士なのだが旧JIS規格はピッチが0.6ミリ、現行ISO規格は0.5ミリだ。

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なので現行0.5ミリピッチに合わせて鬼目ナットにタップを入れる。
ジャパンヴィンテージを作業する際にはビスの規格、ピッチに注意が必要である。

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本チャンのピックガードを製作して組み込み。
SG2のフロントプリセット回路は使い勝手を優先して除去。
とりあえず組み込みが終わった状態。
ここから本当の勝負が始まる。如何にこの2本を「鳴らす」のか。
自問自答の続く長いセッティング作業に取り掛かる。

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SG2は独特の形状の純正アームが欠品していた。
お客様はアームは使わない予定との事でしたがとりあえずストラトの汎用アームが差し込める
様には工夫しておいた。

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試行錯誤の末に2本共に完成!

ネック角度を見直したりブリッジ周りのアソビを無くしたり弦高を色々試したりと結構時間を
掛けましたがちゃんと結果が出てくれました。
モズライトをはじめこの類のギター、ベースはあまり「鳴る」事がありませんが少し強く弾くと
「ブワン!」みたいな感じで芯があり音の輪郭がはっきり出ています。
ベースのSB2も一つ一つの音が奇麗に分離されている感じ。サスティーンも伸びたと思う。

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兄弟?親子?みたいな2本だがオリジナルのピックガード、電気系はお客様へ保管を
お願いしているのでビス穴の位置加工は必要かもしれないがフレットを除き元の状態へ
戻す事も可能である。
弾けるヴィンテージ、弾いてこそ良さが出るヴィンテージ。
しかしながら純正スペックが一番価値が高いとされるヴィンテージ、
その共存点がこの形なのかもしれない。


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うっかりぶつけちゃったシリーズ。ネックグリップの打コン修復編

 2017-03-09
久々に打コン修復編です。

ギターやベースをうっかりぶつけちゃう事って多いですよね?
ボディーなら精神的ダメージが大きいですがネックグリップは物理的ダメージも伴います。
小さい打コンでもポジションチェンジ時なんか手触りが気になりますよね。
今回は比較的ガッツリ逝ってしまった打コンを修復します。

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潰れた木のささくれが出ちゃってます。
この画像でお分かり頂けるかと思いますがツヤ消し塗装のネックグリップです。

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まずは傷口の汚れ、脂分を除去します。

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ささくれになった部分は修復出来ないので意を決して削り落します。
同時に千枚通しや針先を使って打コン内部に入り込んだ汚れも取り除きます。
すなわち今回の様な打コンの修復は事故から早めの施工の方が手間が掛かりません。

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研磨=下準備完了!

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樹脂充填開始!

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数日に渡り充填⇒硬化⇒研磨の繰り返し。

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打コンの凹みが気にならない程度まで充填出来た段階で研磨の範囲を少し広げて
他の部分と打コン部の段差を無くします。

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完成。
光の当たり具合で打コンによる段差が解消されているのがお分かり頂けますでしょうか?
ツヤ消し塗装面なので研磨し過ぎると傷口周辺だけツヤが出てしまう。
なので今回は研磨の寸止め具合が難しかったです…

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今回は塗装のタッチアップと同じく樹脂を充填する方法で修復させて頂きました。
樹脂も時間が経つと目痩せして少し段差が出来てしまうかと思います。
しかしながら仮に傷口に合う木片を削りだして貼り付けても木の収縮率は大きいので
今回ぐらいの打コンサイズまででしたら経年変化を考えれば樹脂充填が無難だと思います。

まずはうっかり事故を起こさないのが一番ですけどね。

ギタースタンドに立て掛けているから「安心」ではないですよ。
スタジオでの休憩時にアンプに立て掛けるなんてのは事故ウエルカムですね。

皆様ご注意を!
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GIBSON SG 怪奇現象的な電機系トラブルの原因を暴く編

 2017-03-01
今回はとあるギブソンSGである。

去年ピックアップ交換を作業させて頂いたのだが今回はトグルスイッチの接触不良との事。

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近年モノのSGなので電機系は基板化されている。
この基板が曲者でコネクター類の接触不良も多い。
去年ピックアップを交換した際にはピックアップ入力部はコネクターを使わずに直接ハンダ付けしている。

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最近この基板化アッセンブリーの付いたギブソンの電機系トラブルが増えている。
最初は「音が出なくなりました」的な問い合わせを頂くのだが来店時にチェックしたら
正常に音が出るのである…
お客さんは「いや、昨日の晩は本当に音が出なかったんです…」と困惑される。

今回はトグルスイッチの症状改善がご依頼だがそんな怪奇現象的な電機系トラブルを
事前に防ぐ対策も施させて頂く。

まずは忌まわしい基板を丸ごと取っ払う。
ボディーザグリ底面は段差だらけのガッタガタである。

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つーか基板化以前にこのポット穴は何だ?
穴位置の不具合で基板一体化のポットシャフトが入らなかったのは容易に想像出来るが
穴の拡大にリーマーを使うとはねぇ…
500歩譲ってリーマーの使用を認めてもこの雑な仕上げはアカンやろ。

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コレが取り外した基板なのだが…

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下の画像を見ればジャック方向へ曲がっているのが分かるだろう。
この基板の曲がりこそが怪奇現象の原因である。
基板はポット、ジャックの六角ナットを締めつける事でボディーに固定されるが
上記画像の通りザグリ底面は平面ではない。
したがって基板には色んな角度での圧力が掛かる。
それにより基板は曲がり、時として配線パターンの剥がれやポット、ジャック類のハンダ箇所の
ハンダ浮きが発生する。
しかしながら完全に信号ラインが断裂する訳ではなく僅かな圧力の変化で正常⇔音出ずの
変化が起きる。
これを防ぐには基板除去、通常配線化が確実な方法になる。

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まずは先ほどのポット穴、同様に不細工なジャック穴を修正する。
フロントボリューム、トーンのワッシャーは固着しているので無理には外さない。
塗装が完全に乾ききるまでに締め付けられたワッシャーは塗装と一体化している事があり、
無理に外すと周囲の塗装まで剥がれる危険性があるので。

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ポット、ジャック穴共にパーツ取り付けに問題の無いサイズまで穴を拡大して修正完了。

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ザグリ内に導電塗料塗布、バックパネル裏にはアルミテープを貼る。
パネルの一部黒い部分はアルミテープの継ぎ貼り部の導通を確保するべく導電塗料を塗っている。
ザグリ側のビス穴一か所、パネルとの接触部一か所にも導電塗料を塗ってパネルとコントロール内の
導通を確保。
画像は無いが当然ピックアップホールにも塗布。各ザグリは有線で結線。

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配線完了!
ポット類はカスタムCTSベースのスムーズポットを使用。
コンデンサーは予算の都合、コンデンサーへの拘りが無いとの事だったので基板からコンデンサー
を外して再利用。

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ちなみに主目的のトグルスイッチは「ミニトグルスイッチ」へ変更。


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純正と同じスイッチクラフト社のトグルスイッチとは違い接点部がケーシングされている。
今時接点が剥き出しのスイッチを使い続けているのはギター業界ぐらいである。
接点が剥き出しであれば品質に問題の無いスイッチクラフトと言えど接点部金属の酸化による
接触不良は避けられない。
トグルスイッチのトラブルの再発防止にはルックスを許せるのであればミニトグルへの交換を
お勧めします。

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電機系を基板化する事でギブソンは生産効率が上がるのだろう。
でもその反動をトラブルとして被るのはユーザーなのだが…







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ビンテージのフレット交換に忙殺されてみた編

 2017-03-01
久し振りの更新になります。

1月中旬以降、あまりの忙しさとパソコンのトラブルによりブログ&FBより遠ざかっておりました。

まずは70年、シングルストリングガイドのストラトです。
オーナー様はコレクターではなくバリバリのプレイヤーなのでぺったんこのフレットを交換、
電装系もPU以外入れ替えます。

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まぁラウンド指板のお約束と言っても過言ではないのですが
ローフレット側は特に問題ナシ…

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ハイフレット側は指板の厚みが超薄い!

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お尻から見れば如何に薄いか伝わりますかね?

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これだけ指板が薄いと指板修正もかなり慎重に、必要最小限、問題個所をピンスポットで
削るだけ。
そして激面倒なのですがフレットのタング=指板へ打ち込む部分を1本1本グラインダーで
削ります。
普段のストラトのフレット交換の数倍時間が掛かります…

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フレット周りの作業完了時。
何とか違和感無く仕上げる事が出来ました!

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この70年と同時進行で69スペックのカスタムショップもフレット交換。
現代のカスタムショップと言えどラウンド指板の薄さは同様…
んなトコまで忠実にコピーすんなよ…って言いたかったりする(笑)

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お次は70年代のレスポールカスタムのレフティー。
フレット交換歴があるみたいだが完全に摩耗してしまっている。
こちらのオーナー様も完全なプレイヤー!
なのでフレット交換を作業させて頂きます。

レスポールカスタムと言えば当たり前の話、エボニー指板。

とりあえずはフレットを抜くが…
と、書くと短いが元フレットが接着されていた(怒)ので
抜く→指板チップ出まくる→接着→その繰り返し→地獄。
で、フレットを抜くだけで笑っちゃうぐらいの時間を費やす。

そして画像をよく見れば分かると思うが指板中央部にクラックが入ってしまっている。
症状としては軽度ではあるがエボニー指板特有の「指板割れ」である。

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まずは針を使って傷口内部に詰まった汚れを取り除く。
これはかなり老眼泣かせな作業である…

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傷口周辺をマスキング。
そしてエポキシ樹脂を流し込む。
ドライヤーは熱を加える事で樹脂の粘度を下げる為に使用する。

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樹脂硬化後、指板修正を行う。
傷口は埋まったがそもそも傷口のラインを境に6弦側、1弦側で木の質が異なっている事が分かる。
したがって保管方法云々で起きた指板割れではなく起こるべくして起きた指板割れなのかもしれない。

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フレット打ち、セットアップ完了!

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指板割れ跡もこれなら分かり難いだろう。

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この他にも4本フレット交換…
気がつけばもぅ3月。
ようやくフレット交換祭りから解放されました。

ヴィンテージギター、ベースは言うまでもなく修理や改造を施す事で市場価値は下がってしまいます。
しかしながら「楽器」である以上弾かなければヴィンテージとして本当の価値を味わう事は出来ません。
高価な骨董品として捉えるか楽器として捉えるかは自由ですが。

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師走はIBANEZ祭り!RBM2&JEM-90HAM 結構苦労したぜシリーズ(笑)編

 2016-12-14
あっと言う間に今年もあと2週間ですね…
現在年末進行でバッタバタで御座います。

やや忙しくなってきた12月初旬。
難易度の高い?アイバニーズが2本いらっしゃいました。

まずは分解時画像で申し訳ないがレブビーチモデルRBM2。
KRAMERを使いフラッシーなタッピングでデビューを飾ったレブがアイバニーズとエンドースした
ウインガー後期に使ってましたね。
ウインガー以降、ソロアルバムや白蛇、ドッケンではSuhrなのでメーカー生産時期も短く
本数も少ないと思われるレアなレブモデルですな。
パッシブPUに交換されてるしピックガードが無い…
今回はこのRBM2を本来在るべき姿に戻します。

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まぁ覚悟はしていたのだがメーカーには既にピックガードが残っていなかった。
そりゃ生産も少なければ生産終了からかなりの時間が経ってますからね…

なので

ピックガード作ります…

とりあえずはネットで画像を探しまくる!

ファーストのジャケット柄のWRB3なんて持ってる人居るんすかね?

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この海外版広告ではRBM10なる廉価版も載っているが日本国内でも販売されてたんかな?
なんて色々昔を思い出しながらもピックガード周りが鮮明に分かる画像を探すが…無い。。。

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ネックジョイント部にはRBM-2のスタンプ。
廉価版RBM10では無い証明だ。

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限られた画像を拡大して見比べながらボディーに貼ったマスキングシートに下書きする。
Demo Anthologyを聴きながら何度も何度も書き直す…
下書きが終わる頃はMasqueradeを聴いていた。何で歌うかねぇ?なんて思いながら。

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仕上がった下書きを元にアクリル板で元型を削り出す。
下書きで悩み過ぎて頭が疲れたので気分転換に導電塗料塗布、PU交換作業を先に行った。

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今回ネック側はフレットのすり合わせ程度だがテンションバーの取付けビス穴が緩くなっていたのと
位置も微妙に歪んでいたのが気に入らなかったので埋め木。

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ピックガードをアクリルゴールドミラーで削り出して完成!
おぉ…文章で書くと何て短い時間で済むのだろうか(笑)
実際はめちゃめちゃ時間掛かって苦労したんですけどね。

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さて、お次はJEM-90HAMである。(画像は完成時)
最近も別件のブログで過去記事のリンクを貼ったがヤフーで「スタッド倒れ」で検索すると
当店のブログがド頭に出て来たのにはビックリした。(自分のPCだけかな?)
このJEM、お客様が某有名大型チェーン店で中古購入された直後にお預かりしました。
正直驚きました。
電気系はPUを除き全てガリ、接触不良で全く使い物にならない。
ネックは反りまくり。指板も汚れフレットも曇っている…
到底「中古保証」を謳っているショップが販売したとは思えなかった。
JEM-90HAMは滅多に見る事の無いギターだ。購入されたお客様は探すに探したのだろう…
作業前に検品結果をお伝えした時のお客様の残念そうな声のトーンが忘れられない。

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まずは全分解。
危惧していたロープロエッジのスタッドだが…

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過激に倒れてはいないものの6弦側はアンカーが抜けたのかコッテコテに瞬間接着剤で固められている。
ひょっとしてコレは一種のアンカー抜けリペアのつもりなのか??

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拡大。
さて、どうやってこのアンカーを抜いていきますかね…

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彫刻刀や突きノミを使って慎重にコリコリコリコリコリ瞬間接着剤の層を削る…

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アンカーの頭が見えたところで国産テールピース用のスタッドを入れてアンカーを抜く。
もちろん当て木の板の下にはラバーシート置いてますよ。

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やっと抜けた!
抜くのは一瞬。接着剤削るの1時間(笑)

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ここからはいつも通り。
アルミプレートの厚み分だけザグリを掘ります。

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アクリル板で冶具を作って仮組み。

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2ミリ厚のアルミプレートを削り出してスタッドアンカー部修理完成!!

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外したピックガードなのだが裏面はかなりサビ、カビに侵されている。
そりゃポット、スイッチもダメになるわな…って感じ。
つーか中古販売の前に全部交換しとけよ!!(怒)

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スペック表でPUはエボリューションのはずなのだがDPナンバーの刻印が無い。
JEMはサスティナーがらみで作業する事が多いのだが大半は刻印が入っていたと記憶しているが。

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まずはピックガードを研磨。
数種類のコンパウンドでサビとカビを除去して仕上げはシミクロームを使う。
シミクロームは本来アクリル用のコンパウンドらしいがアクリル用ならではの目の細かさ、
研磨した表面に保護膜を形成してくれるので金属相手にも仕上げによく使う。

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ポット、スイッチ交換。配線やり直し。
これでピックガード側も完成。
当然ボディー側のダイレクトマウントジャックも新品へ交換済み。

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で、ロープロエッジ載せてピックガード付けてこの日はおしまい!って思いながら帰り支度をしつつ眺める…
ロープロエッジ前面とピックガードのツラが合ってないのが気に入らない。
6弦側と1弦側で隙間の幅が違う。(1弦側の方が狭い)
1弦スタッドが倒れているならまだしもスタッド周りはバッチリ仕上げた。
原因はメーカー製造時のピックガード取付け工程だしお客様からは指摘を受けていない箇所。
でもその日の夜はこのズレが頭の中から消える事は無かった…

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翌日。
やっぱりここまでやってズレが有るのは納得できないのでピックガードの位置修正だ!
まずは全てのビス穴を埋め木。
ピックガードの位置を修正して新規にビス穴を開け直す。
埋め木の接着剤が硬化するまでの時間を使って導電塗料を塗り直す。
想定外の作業が追加になったので時間と段取りの帳尻を合わせようと工夫したつもり(笑)

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よしよし。
これで満足だ!

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フレットも摩耗、ネックにも若干クセがあったのでキッチリ指板修正。

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フレット打ち完了!

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ネックジョイントビスもサビが酷かったので交換。
一般的なメーカーはネックジョイントビスの太さは4ミリである。
強度を優先するメーカーや何故か大陸製の一部は5ミリ。
そしてアイバニーズは4.5ミリなのだ!
アイバニーズの代名詞、薄めのネックに強度が無いとは言わないが(今回は)
ネックジョイントの強度、密着度は鳴り、サスティーンに繋がるのでアイバニーズで
ネックジョイントビスを交換する際はネック側のビス穴を拡大して5ミリのビスを入れている。
先のRBM2も同じ。
実はこの作業工賃をお客様へ請求する事は無い。
だが徹底的に作業するシリーズの場合は個人的に拘りたい部分なのだ。

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完成。
ようやくアイバニーズの連鎖から解き放たれる(笑)
とは言えこの後は鬼の様な本数のフレット交換が待ち受けていたのであった…

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以前自分も中古販売に携わっていたがその時は「保証書」を付けていた。
その保証書は「きっちりメンテナンスしております。万が一何か御座いましたら…」な在り来たりな意味合いで
お客様へ安心を提供し、ある意味商品のコンディションへの自信の表れでもあった。
今回のJEMを販売した大型店はHPに詳細に、かつ立派な文言で保証規定を掲載している。
が、その意味合いは「あ、何かクレーム有ったら言ってねぇ~」ぐらいなのだろうか?
画像載せたり書きはしなかったが付属のトレモロアームも間違っていた。
(ロープロ以降のトレモロ用でロープロのアーム差し込み口には入らないサイズ)
つまりアームをブリッジに挿す程度のチェックさえも行っていないって事だ。
今は大なり小なり中古ギター、ベースを取り扱っているショップが星の数ほど有る。
中古保証を謳っているのはもはや当たり前。
しかし本当に商品に対して保証が出来るショップは少ないのではないだろうか。
商品に問題があればリペア業者に丸投げ。リペアが無理なら返金。
それで金銭的には着地するのだろうが
「長年探し続けてきた憧れの1本を購入出来た」その想いまでは保証されないのである。
皆さんも中古購入の際は良いコンディションの商品を選ぶのに全神経を使うのではなく
良いショップを選ぶ事もお忘れなく。
中古購入時は商品もショップも「石橋を叩いて渡る」べきである。


年内は28日(水)までの営業です。
フレット交換など大掛かりな作業は難しいですが年内完成希望のリペアをお考えの方は一刻も早く(笑)
お問い合わせ、ご連絡お願い致します。

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GUILD BLADE RUNNNER Mcauley Schenker GroupはMSGの黒歴史なのか?編

 2016-11-19
皆さんはMitch Perry(ミッチ ペリー)というギタリストをご存じだろうか?
少しマニアックなHR/HM好きオヤジ世代なら知っているはずなのだが…

80年代はあのビリーシーン率いるTALASに在籍していたタッピングの名手である。
後にリタフォードバンドやファスタープッシーキャット(笑)にも在籍するのだが
一番露出が多かったのはMcAuley-Schenker Group期だろう。
近年ならドッケンにレブビーチが加入したりメガデスにキコが入った時と同じ様な違和感だったが(笑)

当店のお客様でMSG=シェンカー信者の方達に言わせればマッコーリーシェンカーグループ前期は
長きMSGの歴史において黒歴史だそうな…モロ売れ線狙いのキャッチーな曲が多かったとは思う。
当時MTVでPVがよく流れてたのを覚えている。

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マッコーリーシェンカーグループは曲云々よりもミッチペリーが弾いていたスゲェ形のギターと
ロビンマッコーリーの髪型がかなり印象的だった。(近所に同じ髪型のオバチャンが居た)

YG誌のミッチペリー機材紹介ではメインと思われる青を始めサブを含めた2~3本が載っていた記憶がある。
ボディー下部の穴に腕を入れてギターごと「ぐりんぐりん」回していたライブ映像も見た記憶がある…
それがGUILD BLADE RUNNNERだ!

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長くギターリペアに携わっているので大抵のギターは見たり触ったりしてきたが
BLADE RUNNNERは日本へ入ってきていた本数も少ない為かライファー(ライフファースト=初見)である。
今回はそんな貴重なギターを徹底的に作業させて頂いた。

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ベンツマーク形状のポジションマークは埋め込み時の樹脂が一部欠損している。
まぁ指板修正+フレット交換も作業するので埋めちゃうかね。

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BLADE RUNNERの純正PUはEMG。
しかしながらジャクソンPU(J95)へ交換されている。
しかもザグリの拡大とエスカッションのビス穴はかなり雑な作業が施されていた。

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元々EMG仕様なのでケーラーブリッジを外してもブリッジアースを結線した形跡が無い。
確かUSAメイドのHAMMERもEMG搭載モデルはアース取って無かったな。
EMG社はローノイズ売りなので「ブリッジアースは不要」と今でも取説には書いているが
やはり少ないながらもノイズは出るのでブリッジアースは必要である。

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さて、作業をご依頼頂いたお客様はオリジナルスペック、即ちEMG仕様へ戻して欲しいとの事
でEMG81をお持込み下さったのだが大きな問題がある。
ジャクソンPUはPU本体、そして専用エスカッションが一般的な物より大きいのである。
左がジャクソン、右が一般的なエスカッション。
EMG81は当然一般的なサイズだ。

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普通のエスカッションをボディーに載せてみる。
やはりジャクソンのビス穴と日焼け跡がハミ出てしまう…
今回は仕上がりのルックスにも拘る方向性なのでこれはNG。

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ならばエスカッションはジャクソンのままでEMG81付けるとどうなるか?
ガスガスに隙間が空く…これもダサイ。
PUザグリ内に導電塗料塗ってもこの隙間は目立つだろう。

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よし!じゃぁジャクソンのPUカバー剥がしてEMGに被せちゃうか?
みたいな荒業も考えたが…縦は入っても横が入らなかった…

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そして辿り着いた解決方法はジャクソンエスカッション+汎用エスカッション合体である。
幸いPU取付けビスのピッチは同じだったので削り込んで内側に入れた。
固定は両面テープなので万が一の際はジャクソンPUへ戻す事も可能である。
EMGを付ければビスとスプリングが2枚のエスカッションを貫くので固定は両面テープでも
全く問題は無い。

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これなら違和感はあるが隙間が目立つ事はないだろう。

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なんてエスカッションの解決方法を思い付くまでの間、
ガッツリ指板修正+フレット打ちしてました。
指板は少し波打っていたので指板修正はいつも以上に時間を掛けてじっくり作業。

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フレット打ち終了!
と、書くのは一瞬だが今回のエボニー指板も硬い硬い。。。苦労しましたわ。。。

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ネック周りが一段落したのでボディー側を着工。
PUザグリに導電塗料を塗りブリッジアースも配線。
雑に空けられたジャクソンPUのエスカッションビス穴は埋め木してから位置出しをし直して
新たなビス穴を開ける。

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コントロール周りの配線完了。
ポットはEMG純正の16φ小型ポットではなくCTSのフルサイズ(24Φ)の25kAを
スムーズポット化して取付け。
バッテリーは大型クリップを採用。クリップ自体はザグリ壁面にベルクロテープで固定。
これなら電池交換も手こずらない。

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元々のコントロールパネルはペラペラで薄くプラ板?みたいなのが極小サイズのビスで
止められていた。
今後は電池交換等でパネルを開ける機会も増えるのでここは手を打っておきたいかと。
このまま極小サイズのビスで何度も開け閉めすると木部のビス穴もすぐに拡がってしまうだろうし。

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ところが2枚上の画像、ミニスイッチ横のパネル固定ビス穴を見てほしい。
ビス穴と壁面に全く余裕が無い。
したがってビスのサイズを太くすればビス穴が壁面と貫通してしまう。
止む無しでビスの長さを稼ぐ事にする。
画像右側が一般的によく使うパネル固定用のビス、左側が今回使う本来エスカッション固定用のビス。
ビス穴を深く空け直し穴径も少しだけ拡大してエスカッションビスでパネルを止めて電気系の作業は
完了…

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と、思ってたのだが帰宅する時に車を運転しながら何かあのペラペラのパネルが気に入らない…
ここまで作業して最後にペラペラのパネルを付けるのが気に入らない…
なので結局は翌日少し早めに出勤してツヤ消し黒1Pの素材を削り出してパネル製作。
これで気が済んだ(笑) こんな工賃外の作業をするから商売人として自分はダメなんだと思う(笑)

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でも出来栄えは満足だ(笑)

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ここまで来たらより一層他の部分も気になってくる…
まぁこんな形状のギターなので尖った部分やボディーの角はダメージを負いがちである。
上の画像の様にコントロールパネル横は既に何かしらのタッチアップが施されていた。

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なので目立つ大きなダメージ箇所にタッチアップを施す。
本来この手の発色が明るい塗装はカラーを吹く前に「捨て白」と呼ばれる発色を明るくする為の
白や明るめのグレー等の下地着色を行う。(画像の傷口に見える白っぽい塗装の事)
タッチアップでは捨て白を塗ってからカラー着色は難しいのでカラーをいきなり塗るのだが
ヘッドの先端は褪色が進み、ボディー側はそうでもない…
なので都合2色のカラーを調合した。

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やっと完成!!

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ポジションマーク横の樹脂欠けも良い感じに補修出来ている。

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このBLADE RUNNNERはボディーに大きなカットが有る為に重量バランスが悪く、
ストラップで吊るとヘッド落ちするとの事だったのでネック側のストラップピンの位置を変更。
元穴は埋め木して上記と同じくタッチアップで着色。

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移設先はネックジョイント部。
お客様へ引き渡し時にストラップを掛けてもらってチェックしたがヘッド落ちは改善出来ました!

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毎回ケーラーのロックナットには手を焼くのですが…
元のナットからロックナットへの弦の進入角がキツ過ぎる。。。
ロックナットへ弦を通すのも一苦労である。

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しかも今回はヘッド形状、ペグ位置の問題から普通に弦を張るとロックナット側面に弦が
当たり過ぎる。
現に1弦はセットアップ時にロックナット側面部で切れた。
なので6弦以外を逆巻きにしてロックナット側面への接触を緩和してみた。
この方が弦交換時のチューニンもラクになるだろう。

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EMGとエスカッションの隙間もこれならあまり気にならないかと。

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コントロールは1VOL、1TONE+ダイレクトスイッチ。
ミニスイッチはお預かり時何も配線されていないダミーだったのでお客様と相談して
ボリューム&トーンをバイパス出来るダイレクトスイッチにしました。

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いやぁ~色々苦労したぞぉ~BLADE RUNNNER!

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久々にミッチペリーが見てみたくなったので動画を検索。
クレーン上でPVを撮影していたキレイなオネーチャンがシェンカーのブン投げたFVに当たって落下!
そして爆発するというメチャクチャな内容のPVをどうぞ(笑)
MSGの黒歴史らしいがアメリカンロックとしては悪くないと思うぞ。
個人的にはマッコーリーがスコーピオンズ初期の曲歌っても違和感無いかも…と思う。




今や昔の面影が残っていないぐらいにお歳を召されたミッチペリー。
レスポール使ってるんすね。
しかしながらタッピングは相変わらず超絶!




サムネイルで出てきて気になったのがコレ。
ほほぉ~ジェフスコットソートですか!
しかし何でクレイジートレイン?
ミッチペリーがワザとなのかは分からないがGソロの入口が「エェッ?そっから??」ってな感じ…
でもジェフスコットソートのボーカルが意外にオジーしてるので貼っておく(笑)


ミッチペリーってもっと評価されても良いギタリストだと思うんだけどな。
同系ギタリストでの成功者はレブビーチかな。
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FloydRose トレモロのスタッド倒れ修理 もぅ倒れたくても倒れられないスタッドアンカー編 Ver.2!!

 2016-11-08
いやぁ~もぅ11月ですか。
早いねぇ1年って。
何かひたすらフレット交換してるうちに1年が経ってしまっているような気がする…
今年は作業に時間の掛かるリペアが多かったものの作業方法を悩む程の
重症患者はあまり無かったかな?
このままフレット打ちまくっているうちに今年も終わるのか?(現在も秋のフレット交換祭り真っ只中!)
…なんて早くも1年を振り返ろうとしていたある日、
神様は見ていたのでしょうな。そんな油断していた?オレを…
突然難題は訪れたのでした…



さて、今回は現代ソロイストの代名詞とも言えるギター、トムアンダーソンのドロップトップです。
皆さんご存知の通り決して安くはないギターです。
(画像は完成時)

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お預かり時↓
リペア内容は「スタッド倒れ」。
数年前に「Ibanez Low-Pro-Edge トレモロのスタッド倒れ修理編」をブログアップしてから
ワンオフでアルミプレートを削り出すので安くはないリペアですが同様のリペアを沢山作業させて頂きました。
今回も上記ブログをご覧頂いてのご来店だったのですが…

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早速分解してみる。
1弦側のアンカー部が完全に逝ってしまっております。

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なななな何と!
アンカー前面の木部が貫通して取れてしまっています!!
このトムアンダーソン、メイプルトップのバスウッドバックですが1弦アンカー周辺のバスウッドが
他の部分に比べて極端に柔らかい=強度が無かったのでしょう。
長年ギターリペアに携わってますがトンネル状に木部が貫通したスタッド倒れは初見です。
まぁ当然トップのメイプルも割れてますが。
2003年製なのでまだ木材の枯渇云々が騒ぎになる前ですね。
たまたまバスウッド運が悪かったとしか言い様が無いかも…

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ピッチシフトキャビティーの深さが丁度トップのメイプル貼り合せの深さだったのか
スタッドが倒れてネック側へズレたフロイド本体がメイプルを押し出して完全に剥がれてしまっています。
これは困った…

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何故なら従来のアルミプレートを使ったリペアだとプレート自体は当然ビス止めしますが
それでも仮にネック側へ倒れようとしてもリアPUとの間のボディーが支えてくれてプレート&スタッドの
前傾を完全に抑えていましたので。
今回はプレート前面に一切壁が無い状況なのです…
仮に完全に剥がれているメイプルを横から接着剤流して無理に接着しても強度的には全く役に立たない
でしょう。

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途方に暮れながらとりあえず6弦側のアンカーを抜く。
6弦側はバスウッドがしっかりしているのかウソみたいにしっかり埋め込まれていて
抜くのがかなり大変でした。

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グラグラしているメイプルはもはや邪魔なだけなので「ペリッ」とカットして
まずは1弦側のアンカー穴の補修に入ります。
白い付着物はお客様がDIYで何とかすべく流し込んだパテの跡。
※この様な事態になれば誰しもが焦るのは分かりますがパテや接着剤を使う前にご相談下さい。
パテや接着剤を使ってしまうと木目が埋まるので本来使うべき接着剤等が染み込まなくなります。
したがって強度を保証出来るリペアが難しくなりますので。

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楕円になってしまったアンカー穴を僅かに大き目のサイズのビットで拡大=成形してから埋め木。

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問題はこの前面だ…

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思い切って埋め木し易い形状にルーターで成形してから用意したのはトラ杢の入った
硬いメイプルの端材。

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適当な大きさのブロックにカットしてからまたもやパズル作業である。
ちまちま手作業で削りながら傷口に合う様に成形していくのである。
文章で書くのは一瞬だがかなりの時間が掛かる作業なのだ。
今年は例年になくパズル作業が多かった…
それにしてもアンカー前面の成形時にこのバスウッドの柔らかさに改めて驚いた。
ルーターで掘ってからノミで細部修正するのだが刃物がサックサック入る。
普段は苦労する直角出しも一撃で済んだ。
やはりこの1弦アンカー周辺のバスウッドは強度は全く期待出来ない。
なので今回は従来のアルミプレートを使ったリペア方法を進化させます!

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そろそろ目が疲れて(そろそろ老眼ヤヴァイか?)
腰が痛くなってきた頃にきっちり収まる埋め木が完成。

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そして接着。
パテの染み込んだ木部は完全に削って無くしたのでバッチリ接着出来ました。

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埋め木の接着剤が完全に硬化してから一気にルーターで成形。
接着剤が硬化するまでの時間に今後の作業段取りを煮詰め、ルーター用の冶具を製作していました。

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アンカー穴、アンカー前面の埋め木も良い感じで密着しています。

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中央部にあった生産時の冶具穴も少しでも強度を上げたい思いから埋め木しました。
ルーター加工部の角は丸くなるので刃物でスクエア形状に成形。

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さて、今回は従来のアルミプレートではなく「コの字型」アルミチャンネルを使います!
計画に合うサイズの素材が中々見付からず、建築資材屋さんに相談したら
オーダーは可能だが超大量&超高額なら受注出来るとの事(笑)
仕方ないのでネットで一番希望に近いサイズの物を取り寄せた。
肉厚の薄い物や小さいサイズの物は近所のホームセンターにいくらでも有るのにねぇ…

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埋め木はしっかり出来ていますが元々のバスウッドの強度が信用出来ない。
コの字型のアルミ部材で覆う事によってブリッジの負荷の掛かる箇所全体の強度UPが狙いです。
万が一アンカーが埋め木したメイプルをネック側へ押し出そうとしてもこれなら心配無用!

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 厚さ2ミリのコの字型アルミの強度はバツグンです!
ひょっとしたら象が踏んでも大丈夫?とも思える程の硬さです。
この硬さが安心出来る強度をもたらし、この先地獄とも思える手加工の難しさをもたらすのです…

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ルーターでカットしたボディー幅に合わせるのも一苦労…
深さに合わせて削り出すのはもっと大変…
何せ各部の直角を崩さずにコンマ何ミリでサイズを合わせていくので。
ほぼ丸一日、朝から晩までちまちまアルミを手作業で削っておりました。。。
その日帰宅したら靴下の中にまでアルミの粉が入り込んでた(笑)

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さて、アルミの成形が一段落したら今度はアンカー穴の位置出し用の冶具を作ります。
アルミは透明では無いのでアンカー位置が見えないからね。
アクリルプレートで製作。

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1弦側のアンカー穴も空け直して、

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「実際のアルミはこうなりますよ~」な冶具が完成!

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仮止めしてみる。

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で、冶具に合わせてアルミを加工。

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合体!!
ちなみに合体前にルーティングで木部が剥き出しになった箇所はタッチアップで着色、
PUザグリは導電塗料を塗り直しておきました。
木部剥き出しだと湿度や乾燥の影響が考えられるのとなるべく良い仕上がりにしたかったので。
まぁ組み込んだらほとんど見えない&気にならない場所なんですけどね。

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アンカーの埋め込みもバッチリ!
厚みが2ミリのアルミなのでアンカーはアルミと面一でも倒れ対策としては十分でしょうが
保険の意味合いでアンカー上面が0.5ミリ突き出す様にしています。
これでしっかりアルミにアンカーの荷重が掛かります。
要は元のトップ面からアルミ厚2ミリ+保険0.5ミリ=2.5ミリ掘り下げたって事です。
それだけ冒頭のトンネル状に抜けた木部が尾を引いたって事です(笑)

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ブリッジ側はこんな感じ。
当たり前ですがブリッジ側、リアPU側共にクリアランスは計算しています。

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ボディー裏側、トレモロスプリングキャビティーからはこんな感じ。
サスティーンブロック側の壁面からアルミは1ミリ飛び出しますが上面までは余白があります。

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なのでアームをフルアップ時にもサスティーンブロックとアルミは接触しません。
要はアームアップの幅は作業前と同じです。
もちろんネック側のアルミもリアPUには干渉しません。

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リアPU側から。
ここまで出来た時には達成感と共にどっと疲れが出てきました…

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組み込み終了!
当たり前っちゃぁ当たり前なのですが激しくアーミングしても全く問題ありません。

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真上から見ればアルミが見えるのは仕方ないですな。

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いやぁ~苦労しました。そして久し振りに頭使いました(笑)
最初にお預かりしてからしばらくは他の仕事中も飯食ってる時も風呂入ってる時も車の運転中でさえ
今回どう作業するのかばかり考えてました。
考え抜いた末に見た目よりもサウンドよりも強度を最優先するならこの作業しかないかなと。
結果的には良い着地点へ到達出来たかと思います。
今後Ver.3を発案しなければならない様なリペアが来ない事を切に願います…

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トムアンダーソンってやっぱりカッチョイィですな!

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さ、フレット交換祭りに戻ろ…


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すっかり秋ですね…秋は「パズル」な作業?割れ・欠け修正修理編

 2016-10-12
台風以降は涼しくなり湿度も下がって絶好のフレット交換シーズンに突入しましたね。ってウチだけ?

で、早速フレット交換です!

70年代のジャズベースです!!

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…1フレットのブロックポジが欠けてます…
こりゃ何とかせなアカンでしょ。
お客様には「何かで適当に埋めといて~」的に言われましたがその「何か」が難しい。
う~む…どう傷口を修正して何で埋めるのか…
悩んでいても仕方ないのでとりあえずはナット外してフレットを抜いてしまおう!

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で、フレット抜いてから工具でちょっとコジッてみたらですね、
ブロックポジが浮いてきてくれたのですよ!
コレでかなり作業の方向性が見えました!!

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慎重に全体を浮かせて取り外し完了!

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画像では分かり難いのですが欠けている=割れている箇所の周辺も劣化が進み、
爪で軽くコリコリやるだけで粉状になってボロボロ崩れてくる…

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こんな時は劣化した部分を大胆に削ってしまいます。
劣化した部分は強度も無いのでその上に何かしらの物を貼ってもすぐにダメになるので。

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新品のパーロイドのポジションマーク素材は色合いがキレイ過ぎて合わないので
何か無いかな?と色々あてがったところ少し黄みがかったピックガード素材が比較的合う。
そして柄が合いそうな場所を選ぶ。

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お互いの断面を整形してから接着。

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ポジションマークとピックガード素材では厚みが違う=ピックガードの方が薄いので
裏面に1ミリのアクリル板を貼ってから裏面全体を研磨して厚みを整える。

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貼り足した部分は微妙に色が違うのは仕方ないが中々の出来栄えではないでしょうか。

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元の場所に埋め直してから指板修正ついでに指板Rに表面を合わせます。

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フレット打ち完了!
以前同じ様な症状をパテ埋めで修理されたギターを見た事があるがこっちの方が圧倒的に
違和感は無いですよ。めっちゃ手間と時間掛かるけど…

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と、一息ついていたら今度はギターの指板角を当ててしまったお客様がご来店…
ローズ指板の繊維も圧縮されて潰れているので相当な衝撃だっただろう…

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繊維(導管)が潰れた箇所は接着剤が導管に染み込まないので接着強度が落ちる。
なので導管の潰れた箇所はカットしてしまう。
色んな刃物を使い分けながら丁寧に作業する。

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傷口の底面、側面を整えるにはどうしてもヤスリをかけなければならない。
だが小さくて目の粗いヤスリは中々無い。
なのでこんな時は平面出しをした牛骨ナットにヤスリを貼り付ける。
画像はレスポール用だが細かい箇所には薄く小さく加工したストラト用も使う。

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傷口が整ったところで次は埋め木の製作に取り掛かる。
手持ちの指板材から比較的色合いや木目の風合いが似た物を探して適当な大きさに切り出す。

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傷口の大きさ、形状に合う様に加工していくのだが大まかな所まではサンダー(回転するヤスリ)で
削ってしまうがサンダーを強く当てると埋め木が焦げてしまい黒くなるので途中からは完全手作業…
チマチマチマチマ削る削る削る…
サイズが小さくなるにつれ力を入れ過ぎると割れてしまうので恐ろしいまでの時間を掛けて丁寧に削る…

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言うまでも無く一番大変なのは傷口の形状にピッタリ合わせる作業だ…
表面はこんな感じでOKかな。
少し大き目のサイズでなければ接着時に圧力を掛ける事は出来ない。

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もちろん底面も合わせる。
3次元で形状を整えるのはかなり大変である…

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さて接着に入る。
普段なら木工用、又はゼリー状瞬間接着剤を使うところだが瞬間接着剤は導管に染み込むと
濡れ色=黒くなってしまう。
なので今回はタイトボンドⅢだ!
接着強度に定評がある従来のタイトボンドよりも速乾性が上がり耐候性にも優れるので
今回の様なケースにはバッチリである。
何よりも接着強度は十分なのに導管に深く染み渡るわけでなないので濡れ色の心配が無い。

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接着完了!
接着した直後、埋め木を少しも動かさない様に必死で指で押さえているとこんな時に限って
ちょっとマイナーな運送屋がお荷物のお届けに来る…
かろうじて受領印を押すも「普段どちらの運送会社をお使いですかぁ?」とか
「運賃表もらえればウチもお値段勉強しますよぉ~」とか営業掛けてくる…
見て分からんか?ワシは今キミのお話しを聞ける状況ではないのだよ…
今後何があろうとも○○運輸にお世話になる事はないだろう。

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接着箇所が十分に乾燥したところでまずは刃物で余分な箇所を削り落とす。
最終的には指板表面と共にペーパー(紙ヤスリ)で研磨するのだが出来るだけ指板表面を
削りたくないのでギリギリまで刃物で粘る。

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ペーパー掛けて整形研磨完了。

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指板側面は塗装が施されているのでタッチアップで仕上げて完成。

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一応完成。
でもまだここからが勝負なのだ…

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当たり前だが指板とは別の木を貼っているので微妙に質感が異なる。
埋め木で貼り付けた木は細かい木目なので違和感がある…
なので数種類の針を使って木目=導管を彫る!

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色合いの違いは仕方ないですが導管が繋がると違和感が薄れたと思いません?
思わない?ひょっとしてワシの単なる自己満足?(笑)

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完成!!

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折しも季節の変わり目、2本続けてパズルの様な細かい作業してたら腰が痛くなってきました。
寒くなるこれから。腰痛持ちとしては怖い季節の始まりです…



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YAMAHA SGの最高峰!高中ブルー(みたいな)SG-3000 CUSTOM を徹底的に作業する編

 2016-10-07
80年代のヤマハSGは狂信的なコレクターを含め愛用されているお客様が多く、
比較的作業する機会の多いギターです。

今回作業させて頂いたSG-3000 CUSTOMは狂信的なコレクターが見たらブッ飛ぶぐらい良いコンディションです。
打コン程度はあるが目立つ大きなダメージは無し。

高中ブルー?みたいには見えるのですが当時の資料にデフォルトでこのカラーは無かった様なのだが…


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ロッドカバーにもしっかり「CUSTOM」の文字が有る。

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さて、まずは全体チェックなのですがやはりフレットは減っていますね…
元よりワイドローなフレットなので減り易い、減りが目立ちやすいタイプです。
お客様はコレクターではなくプレイヤーなのでフレット交換決定。

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次に電気系。
コイルタップを司るスイッチポットも機能はしていますが各部に接触不良、ガリが見られます。
全交換決定。

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全分解の手始めにピックアップを外してみる。
裏面には昭和61年のデート有り。
1986年製ですね。
ピックアップ外部で各コイルを結線、タップ出力する今では見ない構造。
しっかりロウ浸けされているのでカバー付きですがハウリング(発振)対策はバッチリですな。

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まずはフレット交換。(画像は打ち終わった直後の図)
このSG、何が良いコンディションかってロッド調整1発でネックが真っ直ぐになる!
問題となる様なクセが無かったので指板修正は非常にスムーズに終わりました!
が、
近年では仏壇でしか使ってなさそうなぐらいの鬼硬いエボニー指板…
フレットのタングに抜け防止加工を施して打ち込むとチップが出まくる…
その度に打ったフレット抜いてチップ修正⇒指板研磨⇒再度フレット打ちの繰り返し…
気付けばネックにクセのあるSG以上に時間が掛かってしまいました(疲)

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すり合わせまで終わった時には
「もうこれでチップ出まくり地獄から解放された!」な嬉しさがこみ上げましたわ(笑)

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さて、フレット周りが終わったので電気系へ取り掛かります。

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まずはポット類をCTS化、ジャックをスイッチクラフトにするので穴を拡大加工。
加工後は塗装の切り口を面取り。

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ポット穴、ジャック穴の拡大は面倒ではないが密かに苦労するのが独特な形状の
ポインターワッシャー。
これの穴もCTSに合う様に拡大しなければならない…
真鍮製でグニャグニャするのでリーマーを使って慎重にポットシャフト穴を拡大する。

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導電塗料も塗り終わった所で当時のヤマハの「凄さ」を垣間見てみよう。
コントロール内にピョロッと出ているアース線。(針金)

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不必要と思えるぐらいに長いビスに軽くからげられている。

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実はこのビス穴は貫通している。

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何処と貫通しているかと言えば1弦側のテールピース穴、アンカーである。
つまり先ほどの長いビスはボディー裏側からテールピースアンカーにネジ込まれているのだ!
したがってあのビスには確実にブリッジアースが通電している。
ギブソンさんみたいにコントロール内からアース針金を軽く引っ張っただけで「スポッ」と抜けてしまう様な
事は有り得ない。
ブリッジアースの確実性で言えばこのヤマハ方式を越えるアイデアには出会った事が無い。

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でも針金を軽くからげただけでは不安なので丁度良いサイズの座金ワッシャーに太めの
耐熱電子ワイヤーをハンダ付け。

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しっかり座金ワッシャーを締め込んでこの上なく確実なブリッジアースが完成!

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トグルスイッチザグリ⇒ピックアップザグリ⇒コントロールまでをアースラグ使って有線で
アーシング。

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ピックアップ裏面へ繋がれていた純正ケーブルも被膜を剥けばサビが見られ、
今では見る事の無い銅線ケーブルだったので高域特性のロスを防ぐべく新規のケーブルへ交換。

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エスカッションはブラス=真鍮製だったので経年劣化による変色は研磨すれば取れる。
しかしブリッジ&テールピースの劣化具合に質感を合わせるべくピッカピカにはしない。

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電気系作業完了!!
トーン用コンデンサーは薄型のオレンジドロップ。

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おっとまだノブのCTS化が終わって無かった。
ポットシャフト穴を新調に拡大。

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予めトグルスイッチの端子は導電塗料に触れない様に曲げてはいるがトグルスイッチが
緩んだ時に接触するとマズイな…と風呂(温泉)に浸かりながら思ったので
端子周辺の壁面に絶縁テープを貼った。
ヤマハは他社に比べてトグルスイッチザグリの径が小さいので毎回気を遣う…

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お客様が入手された同年代の美品ペグを付けて完成!!
ナットは純正のプラスチック製は論外なので牛骨削り出しです。

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分解時より気付いていたのだが…
このSG、ピックガード取付けのビス穴を埋めた跡がカラー下にある…

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ボディーサイドのバインディングにも。
って事は元はピックガード有りをリフィニッシュされているのは確実。
ただし経年変化による褪色で色ムラの出易い色合いをムラなく均一に塗られている。
しかも画像は無いがヘッド裏のシリアル№の打刻も消えていない…
ひょっとするとリフィニッシュしたのはヤマハのファクトリー(工場)なのか??
なんて妄想したりもする。

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リフ云々はさて置き、
硬いエボニー指板の貼られたギターの特徴である速い音の立ち上がり、
鋭い倍音の乗った高域が出る良いギターに仕上がりました!!
好みによってはモダンなピックアップへ交換すれば幅広い音楽ジャンルに対応出来るでしょう。
個人的にはアフリカンマホなんざ貼ったヒスコレLP買うぐらいなら間違いなくこのSGを選びます。
最終調整時、結構な音量で弾いていると何故にヤマハSGには狂信的な信者が居るのかが分かった気がします。
ま、このSGは滅多に見ない「アタリ」な1本なんですけどね。

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交換品が無い為に毎度泣かされる「ヤマハ独自規格」のパーツ類ですが
このサドルに付けられた共振防止の意味合いのイモネジ。
これもヤマハの「凄さ」を感じるアイデアだと思います。

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完成後、引き取り時に1ピッキングしただけで笑顔になられたお客様を見て徹底的に作業した
甲斐があったなと自分も満足出来ました。

でももうあんなに硬いエボニーと闘うのはイヤやなぁ…


後はこのSGを操る若きお客様がややこしい高中ファンのオヤジに絡まれない事を祈る(笑)





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YAMAHA FG-401W 今なお人気のFG、徹底的に作業して本来の「鳴り」を取り戻す編

 2016-10-01
今回はFG-401Wを作業させて頂きました。

中古市場では今も人気のFG。
お手軽価格で購入出来るヴィンテージアコースティックの代表格ですね。
経年変化により合板と言えど乾燥した木材の奏でる豪快なサウンドの虜になってしまうプレイヤーも
少なくはないでしょう。
しかしながらコンディションの良い物は少なくなってきていますね。
ネックが波打っていたりロッドが効かなかったりボディー(ブリッジ部)に異常な程の膨らみが
ある物は購入を控えた方が良いでしょう。
もちろん長い年月、前オーナーの使用状況によってはそれなりのメンテナンスを行わなければ
ヴィンテージ本来の「鳴り」は出せません。

今回のFG-401Wはラージガード&アジャスタブルサドルと珍しい仕様のモデル。
フレットの摩耗が激しく、ビビリも目立ちます。
しかしながらロッドを含めたネックコンディションは今まで作業してきたFGの中ではかなり良好な類でした。
フレット交換を初め問題箇所全てに手を入れていきたいと思います。

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ピックガードは縮みや割れも無くボディー側も大きな問題は無いのだが…

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ナットとネック側面バインディングとの間に隙間がある。
これはバインディングが縮んでしまったが為の症状。
FGに限らずヴィンテージギターにはよく見られる症状です。

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そこまで縮みが有って他の部分が無傷な訳はない…
所々クラッキング=ひび割れが起きてます。

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最も大きなクラッキングは最終フレット付近。
バンディングの縮み、クラッキングの完全な修理となればやはりバインディングの貼り直しに
なるのですが貼り直し+塗装となればコストも相当な物になってしまいます。
なので今回は現状のバインディングを補修する方向で作業を進めます。

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まずはフレットを抜いて指板修正。

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指板修正の途中段階で剥がれてしまっているバインディングを接着補修する。

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次にバインディングの素材を用意して、

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溶剤で溶かしてから硬化と定着の為の塗料の一種と混ぜ合わせてゲル状にする。

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それをクラックに隙間に埋める。

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ナット部分の縮んだ箇所には隙間に詰まったゴミや古い接着剤を除去してから
厚みを調整してから少し大き目にカットしたバインディングを接着。

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ナット側より余分な部分を慎重にカット。

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経年変化による黄ばみに合わせたカラーを作ってタッチアップで着色。

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先ほど溶かしたバインディングを充填した箇所も着色。

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バインディングの処理が終わったところでフレット溝周辺の補修、徹底的に指板修正してから
フレット打ち完了!

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新規のナットを無漂白牛骨で製作して完成。

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元のバインディングと継ぎ足したバインディングの側面をきっちり研磨すれば両者の境目は
消せたのだが元のバインディングを研磨すると「味」であるムラのある黄ばみも削り落としてしまう…
なので今回は元バインディングを一切研磨せずに仕上げてみた。

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ハイフレット付近の重点箇所周辺はさすがに研磨が必要だったので黄ばみがある程度
無くなってしまったのだが筆塗りのタッチアップで再現してみた。

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ブリッジ周りも少し手を加えて完成!
図太いFG独特の「鳴り」が復活しました!
お預かり時よりは明らかに音量が大きくなった。
そして高域、低域の出方がハッキリしたと思います。

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実は今回FG-251Bも同時進行でお預かりしていました。
こちらはネックにクセが有ったので指板修正を徹底的に行い、ブリッジサドルの底面にも問題が
あったので修正作業を含めて見えない箇所にも結構手を入れさせて頂きました。

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251Bのボディーエンド。
合板とは言え側板にも贅沢なブックマッチを施すのは良い木材の枯渇した現代では無理でしょう…
いや、無理とは言わないが相当高額なギターになるでしょうね。
それを普通にレギュラーラインでやってしまっている古きヤマハは凄いね。

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いよいよ10月になりましたが今年の秋には苦労させられます…
台風は仕方ないが停滞した秋雨前線のおかげで湿度は上がりっぱなしの9月でした。
そんな中で指板修正作業は大変でした…短い時間で作業してはエアコンの効いた部屋で
ケースに乾燥剤を入れて保管。その繰り返し。。
10月は秋晴れのカラッとした天気が続いてくれないかな…

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汗ダクのオッサン夏休みの自由研究?フロイドローズ系ブリッジ、安価なアームアップロック機構編

 2016-08-04
いやぁ~暑い。
朝晩は涼しいけど昼間、エアコン無しの木工作業場&塗装ブースは地獄である。

そんな中、マスキングテープに欠品が出たので出勤前にホームセンターに立ち寄る。
「ここエアコン効いてて涼しいわぁ~~」とゆっくりマスキングテープ売り場に向かう途中、
ふと金物コーナーで足が止まる。

何かが閃いて衝動買いしたのがコチラ ↓ (衝動買いって言う程の値段ではないのだが…)

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コレをココにあ~~したら

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フロイドがこうなるんでない?的な発想。

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最近は珍しくもないだろうからブログやFBにはアップしないが未だに取付け依頼、
相談の多いトレモルノ。
ちなみに取付け後のセッティングで希望が一番多いのは
アームアップ方向のみロック。(アームダウンは可能)
何故か?その答えは「どうしてトレモルノを付けたいと思ったのか」に有る。
・アップ方向に動くと弦交換が面倒。(トレモルノを付けてもロック状態での弦交換は危険)
・弦切れ時にチューニングの狂いを減らす為にアームアップ方向への動きを止めたい。
・Dチューナーを使う(付ける)のでアップ方向への動きを止めたい。
・そもそもフロイドはルックス重視でアームアップまでは使わない。
等々である。

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しかしトレモルノは高額。更に工賃を含めれば結構な出費になってしまう。

なので今回はコレ ↓ を使って
アームアップ方向への動きを止める機構を試してみる。
古くからアームアップロックには木片を挟み込む方法がメジャーだが
狙うはトレモルノ同様にワンタッチでロック⇔解除が出来るシステムだ。

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まずはコイツをどう使うかだ。
本来精度はさほど必要の無い物なので本体とシャフト間のガタつきは酷いし
シャフトの先端部は平面になっていない…
ちょっと金額の高い物ならマシなのだろうか?

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先端部を慎重に研磨して平面にする。

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本体プレートを万力で締めて少しでもガタを無くす。
締め過ぎるとシャフトが稼働しなくなるので微妙に力加減。
故に思ったほどにはガタは減らなかったのだが…やっぱりもうちょっと高い物買うべきだったかな?

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0.5ミリ厚のゴムシートをポンチを使ってΦ5に抜く。

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先ほどの平面出しをしたシャフト先端部へ接着。
なぜゴムシートを貼ったかは後述。

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フロイドをボディーと平行になる様に調整した後に中央のトレモロスプリングを横へ移動。
底面に空いている穴はこれまでの数々の実験跡(笑) 問題の出そうな箇所はこの後で埋め木した。

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取付け時には付属していたビスでは細すぎて強度が不安。
ピックガードマウントビスを使う。

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まずは手前側をビス止め。そして奥側のビス穴の位置出し。
ビス穴はキャビティー底面に対して垂直に空けなければならないので大型ボール盤は必須!ハンドドリル厳禁。

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お手頃価格でアームアップロック機構が完成!!
まずはフリーフローティング状態。

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カチャコンとやればアームアップ方向の動きをロック!!
シャフト先端に貼ったゴムのおかげでアームダウンからの復帰時にも「コン…」な音は無し。

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試しにアームアップロック状態で弦を全て外しても問題ありませんでした。
トレモルノでアップロックか全ロックで弦を全て外すと全ての荷重がトレモルノへ掛かり、
アルミ製のトレモルノだとシャフトが曲がってしまったり全体の変形の危険性があります。
コレだと変形や破損の可能性はほぼゼロ。しかもパーツ代が安い!
とは言えアームアップ方向への動きは完全にロック出来ましたがトレモルノほど精度、操作性はありません。
フリーフローティング時にはギターを揺さぶるとシャフトが少しカチャカチャ音を立てます…
アンプからはカチャカチャ音が聞こえなかったので良しとはしますけど。

ちなみにDIY派で自分でもやってみよう!と思われたそこの貴方、
取付け位置出しの作業はものすごく大変です。
シャフトが少しでもサスティーンブロックを押し過ぎるとチューニングは下がります。
慎重な位置出し作業が必要です。
「とりあえずアームアップが止まればエェねん!」な方はある程度適当でもOK!

ただし下記のギターには簡単には取付け出来ません。
・キャビティー底面に角度の付いたギター。(Killer等)
・キャビティー底面の木工・塗装処理が荒いギター。(EVH等メキシコ製が酷い。アイバニーズのインドネシア製もヤバい)

以上、8月に夏休みは無いけれど自由研究してみた汗ダクのトーンガレージでした。
皆さん良い夏休みを!
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意外と時間と手間が掛かり睡魔に襲われる作業シリーズ! 指板染色&エスカッション割れ補修編

 2016-07-26
今回は作業内容からすれば「ん?結構簡単に出来るんじゃね?」と思われつつも実際は時間と手間の掛かる
作業のご紹介。


お預かりしたのはFERNANDES TEJ-DELUXE 2S のほぼ新品。
やはりフェルのTEJは未だに人気があるらしく、現在は品薄状態との事です。
ヒムロックラストライブの影響もあるのでしょうか??

TE1



ご依頼内容は指板の色…このムラを何とか出来ないか?という内容。
確かに指板のローズのムラが気になりますね。
布袋氏使用のZodiac TCの指板は真っ黒のエボニーなので出来るだけ黒に近くしたいのはよく分かる。
なので今回は指板を染めます。
指板染色は今までブログでは紹介しておりませんでしたが、フレット交換時、指板修正作業時にのみ
お客様の希望があれば作業しておりました。

TE2


まずは指板を脱脂。
無水エタノール、シリコンオフ、ワックスリムーバー等で油分を取り除きます。
油分が残っていると染料を弾いてしまうので染めた後にムラが出来てしまいます。
今回はほぼ新品なので染み込んでいる油分も少な目で助かりました。

TE3


次にバインディング等の染色しない部分をマスキング。
マスキングテープはフレット端の段差に対応出来る様に多少伸びる素材の曲線用を使います。

TE4


フレット端は出来るだけ隙間無く…
かなり細かい作業なので集中すればするほど睡魔に襲われます…
そしてとんでもなく時間の掛かる作業です。

TE5


バインディング側面は普通のマスキングテープで大丈夫。

TE6


次にポジションマークをマスキング。
ポジションマークの直径が6.5ミリなのでΦ6.5のポンチでマスキングテープをカットします。

TE7


マスキング完了!
これから染色に入ります。
マスキングでかなりの時間と労力を要しました。。。

TE8


染色時は手袋をはめて塗装ブースで作業するので画像はありません。
染料はポジションマーク、バインディングに影響の少ない染料を使います。

染色後、きっちりマスキングしていたつもりでもフレット際の隙間より染料がバインディングへ流れてしまう。
なので刃物で流れ出た染料を丁寧に削り落とします。
これまた時間と集中力を要する作業で御座います…マスキング作業ほどではありませんが結構大変です…

TE9


次はフレットに残った染料を落とすべくフレットすり合わせ同様に指板をマスキング。
ある程度の染料はシンナーで拭き取ってから全てのフレットを研磨します。
TE10



やっと仕上がりました!

TE11


漆黒のエボニーと同質感とまではいきませんが作業前のムラは跡形もありません。

TE12


指板が黒くなれば黒のギターはキリッと締まった印象になりますね。

TE13


指板の染色ですが下記のギターは作業をお受け出来ませんのでご注意を。

・PRS、Ibanez、Taylorのアコギ等ウッドバインディングの入っている物。
⇒ウッドバインディングに染み込んだ染料は除去できません。

・Ibanezのツリーオブインレイ等ポジションマークの形状が複雑な物。
⇒ツリーオブインレイのマスキング作業なんて考えただけで…眠くなります…

・かなり年季の入った指板。
⇒指板の導管に深く入り込んだ油分は完全に除去する事が難しいので。

まぁ出来るだけフレットの無い状態、フレット交換時に作業させてもらえれば助かります。




さて、お次はエスカッション割れの修復です。
お預かりしたのは国産のアーチドトップ、2ハムのギターです。
ご依頼頂いた作業はフルメンテナンスなのですが…

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画像では分かり難いですがリアのエスカッションのブリッジ側、中心部が割れています。
レスポールをはじめアーチドトップのギターに薄いエスカッションが付いている場合には
経年劣化でよく見られる症状ですな。
エスカ2



「そんなんリアだけエスカッション交換したら良いのでは?」
なんて思いますがこのアイボリー色の素材、気付かないうちに日焼けしているのです。
すなわちリアだけ新品のエスカッションにするとフロントとの色合いが合わないのです。

エスカ3


よく見るエスカッションはネック側が薄く、ブリッジ側が厚めで前後で厚みが異なりますが
このエスカッションは前後厚みが均一、このタイプを市販してたのはESPだけだったかな?
エスカ4



割れの補修に取り掛かります。
エスカ5



まず割れている箇所を止めるのはゼリー状の瞬間接着剤。
ゼリー状だと硬化が少し遅いので接着後に僅かながら接着箇所の位置修正をする事が可能です。
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ここが重要!
ゼリー状瞬間接着剤はほんの少しの量しか使いません。
この接着でエスカッションの割れを補修するのではなく割れた箇所の「仮止め」程度の接着です。
画像の爪楊枝の先端に付いた量でも少し多いぐらいです。
エスカ7



仮止め完了!

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次に厚みが1ミリのアクリル板を切りだします。
刃物で切りだす際はアクリル板に何度も何度も繰り返し刃を入れる感じでカットします。
1ミリ厚のアクリルとは言えど簡単に切り出せる素材ではありません。
これをお読みになった方がご自分で作業される場合はケガには注意して下さい。
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割れた箇所を跨いで補強する様に接着します。
接着剤は先の仮止めと同じくゼリー状瞬間接着剤ですが仮止め時よりは少しだけ多めに。
接着剤がはみ出さない様に適量を塗りましょう。
接着後は画像のエスカッション内側=ピックアップが入る側の余剰アクリル板を削ります。
エスカ11



余剰分を削るには小さな立方体にサンドペーパーの#240~#320を貼り付けて削ります。
こんな時はレスポール用の牛骨ナットの部材が便利!

エスカ12


エスカッション本体を削らない様に丁寧に時間を掛けて余剰アクリルを削ります。
これまた時間と神経を費やす作業で御座います…

エスカ13



完成!
割れた箇所を繋ぐ様にアクリル板がバックボーンになっているので普通に接着しただけの補修とは
強度が違います。

エスカ14



今回はいつものブログよりは地味なネタでしたがいかがでしょうか?

エスカッションの割れ補修は接着剤をべっちゃり大盛りで塗ったものの同じ場所で割れてしまっている
物をよく見掛けるので書いてみました。(待てよ…前にもこのネタで書いた事がある様な気がするな…)

ここ最近朝晩は過ごしやすい気温で助かりますがやはり日中は暑いですね。
皆様体調を崩されない様にご注意を。
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近年GIBSON LPレギュラーライン品の電気系基板化のトラブルとCTSロングシャフトポットの弱点編

 2016-07-04
久々のブログ更新になります。

5月の連休前後よりフレット交換、塗装関係、フルメンテナンス、サスティナー取り付け&モデファイ等で忙殺されておりました…
ようやく腰を据えて難易度の高い作業に取り掛かろうとしたら梅雨入り。猛烈な湿度で強制的に作業ペースがダウン…
そんなこんなでブログより遠ざかっておりました。申し訳ありません。
連日の雨空も落ち着き「そろそろ梅雨明け?」なんて思っていた今日の強い日差し。
強烈な日差しは工房の室温を上げ放題、本日工房4階、塗装ブースの温度計は36℃をマークしました…
夕方になり広がる雲。案の定上がり出す湿度…
現在トーンガレージの事務所以外は鼻毛にカビが生えそうなぐらいリッチな湿度に包まれております。
したがってエアコンの効いた事務所より一歩も外へ出る気がしません…
お預かり中のリペア品は快適な事務所内で保管しておりますのでご安心を。

さて、今回は近年モノ、ギブソンのレギュラーラインのレスポールのお話しです。


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2010年頃から生産時のコントロール内配線作業の合理化?の為かポット類をはじめ
全ての配線が基板化されています。
見た目にはカッチョイィ?かもしれませんが実はこの基板化が色んな問題を引き起こしてまして…
今回はこの基板を取っ払って普通にロングシャフトのポットを使って組み上げます。

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この基板…
フロント&リアのピックアップケーブルのコネクター接触不良、ブリッジアースのコネクター接触不良…
ポットの可変不良、ピックアップがコイルタップ状態…言い出せばきりがないぐらい様々な症状がある。
指で軽く引っ張れば簡単に抜ける貧弱なコネクターはひとまず置いておいて
ポット類はギブソン刻印入り=廉価バージョンとは言えCTS製。
カスタムCTSよりは品質は劣るものの可変不具合なんて簡単には起きないはず。
原因は基板です。と、言うか基板の固定方法と言うべきか。

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基板裏面。
当たり前と言えばそれまでですがわざわざ基板化するほど複雑な配線ではない。

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ただこの基板は見ての通りロングシャフトのポットでのみボディーへ固定される。
そう。レスポールはアーチドトップ。
各ポットのボディー取付け部の高さ、角度が異なるので取付け六角ナットの締め込みトルクは
4個のポット全てに平面均等に掛かるわけではない。
分かり易く言えば各ポットが基板上で「たわみ」への力を引き起こしている。
それにより基板全体の「反り・ねじれ」やポット取付け部のハンダ浮き、基板パターンの浮き、剥がれが発生する。
それこそがこの基板化によるトラブルの原因と言っても過言ではないだろう…あくまで持論ですけどね。
ちなみに基板化していないヒストリック、ピックガードマウントのフライングV等は全くこんな事は起きない。

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ちなみに下の画像は2013年製のSG。
ピックアップ交換の為ピックアップ線材先端の軟弱なコネクターは再利用せずにポットへ直接ハンダ付け。
SGはフラットトップなのでレスポールの様に基板へ不均一な圧力が掛かる事は無いので
上記の様なトラブルはほとんど出ない。レスポールでもフラットトップならたぶん大丈夫だろう。
故に基板化を全否定する様には書いてきたけれどフラットトップのギターでは特に問題無いかもしれない。
コネクター多用による音質劣化を除いてはね…

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さて、作業へ戻る。
まずは交換するロングシャフトポット(カスタムCTSのロングシャフト)とオレンジドロップコンデンサー、
各ポット間を繋ぐアース線を組み上げる。

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本体へ取り付けてからピックアップ、トグルスイッチ、ジャック、ブリッジアースへの配線を作業。
フロント&リア共に純正ピックアップなので同じ配線で組み上げると何故かミックスポジションでフェイズアウトに
なるというギブソントラップにハマってしまったもののこれにて一件落着…
で、終わりたいところなのだが。。。

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今回はロングシャフトのポットに付いても書いてみる。
左がロングシャフト、右がノーマルシャフト。共にカスタムCTS。

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シャフトの基部でポットの背面=キャップの足をかしめて組み上げられているのは同じ。

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しかしロングシャフトはシャフト部が別パーツ。

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ノーマルシャフトは基部と一体型。

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これは最近のCTSのお約束でもあるのだがキャップ足の「かしめ」が弱い。
下の画像の様に足と基部に隙間がある場合は要注意。
何が要注意=問題なのかは後述。

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今回タイミング良くロングシャフトのスムーズポット化のご依頼を頂いたので分解する。
基部のプレートとシャフトネジ切り部は「はとめ」状に接合されている⇒強く力を加えるとグラグラする場合もある…

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問題は基部プレートの厚み。
右側のノーマルシャフトのプレートと比べて明らかに薄いのがお分かり頂けるかと。

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でもロング、ノーマル共にポットの背面=キャップの寸法は足の長さを含めて同じである。
すなわち組み上げ時にノーマルシャフトと同じ工程、同じ力で圧着してもロングシャフトの場合は
基部プレートが薄いのでしっかり圧着出来ていない物が有る。
当店でスムーズポット制作時はボール盤を使って垂直方向にしっかりと圧着しますが…

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やはりロングシャフトの圧着面の密着度には不安が有るので4本の足と基部プレート、

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シャフト部と基部プレート前面、

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シャフト部と基部プレート後面に少しだけ接着剤を流し込みます。
本音を言えばハンダでガッツリ止めたいですが基部プレートはハンダが乗らない素材なので。
ヤニ無しハンダ+フラックスってな手もありますがフラックスが流れてしまって抵抗の付いたカーボンプレートへ
影響するのも嫌だし何よりもカーボンプレート直近に高い熱を与えてポット心臓部への影響、耐久性劣化が嫌。

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実はロングシャフトを使用するリペアではスムーズポット化の有無を問わずに上記の一手間を掛けてます。

基板無し、ロングシャフトの付いたレスポールでノブを0か10まで回し切ってからも僅かな「ぐにゅっ」みたいなアソビがある
場合はキャップの「かしめ」が開いているのかもしれません。
確実なチェック方法はコントロールプレートを開けてポットの背面=キャップ部を左右(ポット回転方向)に動かしてみて下さい。
カクカク動く場合は確実に「かしめ」が開いています。

もちろんノーマルシャフトでも「かしめ」が開いている時は圧着し直してますよ~


あ~~梅雨が明けると灼熱の季節到来か……

今年もガバガバ水飲んで頑張ります!

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90年代中頃のオービルLPを徹底的に作業させて頂きました編

 2016-06-04
今回は90年代中頃のオービルLPを作業させて頂きました。

バイギブを筆頭に国産期のオービルは評価、人気共に高い。
(下の画像は完成時です)

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さて、このレスポール。
まず第一の問題点はポジションマークの浮き、剥がれである。
四隅の浮いた箇所を工具でほじくると簡単に取れてしまった。



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浮き、剥がれの原因はポジションマーク素材の経年変化による縮み。
外したポジションマークが曲がっているのがお分かり頂けるでしょうか。


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フレットを抜いてから浮いているポジションマーク、3~17Fまでを全て外す。
ポジションマーク浮きのリペアでフレットを抜かずに作業するショップもある様だが
ポジションマークと指板に段差のない完璧な仕上がりを目指すなら指板通しての研磨が必要。


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可能な箇所は裏ワザを使ってポジションマークの反り、変形を修正。
外形も整えて接着。
指板全体を研磨してポジションマークの埋め直しは完了!


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そしてネックのクセを取り除くべく指板修正の後にフレット打ち。
フレットは定番、JESCAR#55090。

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ポジションマーク、フレット共に良い仕上がりに出来ました!
画像では見えませんが指板の角の部分もポジションチェンジ時に引っ掛かりが無い様に細工。

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さて、ボディー側へ取り掛かる。

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一回り小さいサイズの16φポットはCTSへ交換予定。
コントロール内には導電塗料が塗られているものの効果は期待出来ないほどの適当な塗り方だ。

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トグルスイッチも交換予定。
こちらのザグリの導電塗料もダメだねぇ…

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でもパネル裏面には導通のあるシートが貼られ、生産時、ノイズ対策はヤル気満々なんだよな…

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ちなみにジャックプレートは密かにヒスコレのそれと形状が似ている。
当時そんな事は意識してなかっただろうけど。

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まずはポット穴をCTSが入るサイズへ拡大。
穴の切り口は塗装が剥がれない様に面取りする。


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そしてコントロール内、トグルスイッチザグリ内に導電塗料を塗り直し完了。

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ちなみに導電塗料は全てのザグリに塗り、その全てが導通がある状態で初めて効果が発揮される。

なので生産時より塗られていなかったピックアップザグリにも塗る。

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そしてピックアップザグリをはじめ全てのザグリ間をアースラグを使って有線で繋ぐ。

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CTSポット、オレンジドロップ、スイッチクラフトジャックを使用して配線完了!
純正のハンダの熱ですぐに溶けてしまう安物ケーブルも全て交換!

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ピックアップはフロントがダンカンのJAZZ、リアはJB。
ブランドロゴはお客様のご希望で研磨にて消しました。

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ブリッジ、テールピース、ペグ。全ての金属パーツをGOTOH製へ交換。
テールピースは鳴りの向上を狙ってアルミテールピースを採用。

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仕上がりが近付くにつれて明らかに音の輪郭がはっきりして本来の鳴りが出て来ているのを
感じてましたが最終的には狙った通りの鳴り、弾き心地、音色にまとめる事が出来たと思います。

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ここまでの作業ですと当然ですがパーツ代金、工賃共に高額になります。
でもここまで徹底的にやるからには工賃に反映出来ない箇所にもコダワリと魂込めさせてもらいました。






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こう言っちゃ失礼だが意外にしっかり作られているDuesenberg Starplayer事変

 2016-05-30
久々のブログ更新になります。

5月連休以降リペアが混雑しておりご来店予約、クイックリペアをお断りさせて頂いたお客様には改めてお詫び申し上げます。
現在は落ち着きつつありますのでお問い合わせお待ちしております。


さて、今回は当店では珍しい?Duesenbergの作業です。
デューセンバーグと言えば林檎姫でお馴染みではありますが何処かグレッチっぽいニュアンスを現代風にアレンジした
新たなるビザール系ギターの代表格になりますでしょうか。

ご依頼頂いたリペア内容はフルメンテナンス+クモった金属パーツの研磨だったのですが…

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少し弦をズラせてみれば弦下のフレットがかなり減っている。

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コードを多用する5F以下は減りが顕著。

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そりゃフレットのすり合わせを行えば見た目には気にならなくなるかもしれないが
今後本気で弾けばすぐにフレット残量限界点に達するだろう。

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なのでフレット交換を作業させて頂く事になりました。
幸いネックに問題となる様なクセは無く、トラスロッドの機能も正常でした。
でもまずは指板修正をキッチリと施します。
ちょいちょい崩れる春の天気(急な湿度の上昇)との戦いでした…

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指板が安定してからフレット周りは滞りなく進行。
次はナットの製作です。
純正はしょぼいプラスチック一体型だったので無漂白牛骨で製作。

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ビブラートユニットのい付いたギターなので弦溝は弦滑りを重視して少し浅め。

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フレット&ナットが一段落したところで今度は金属パーツの研磨です。

このDuesenberg Starplayer のピックアップ、3点固定式?ですな。

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ピックアップ下側のビスはピックアップ下部の小さなパーツを保持。

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すなわちエスカッション上面や弦に対してピックアップの角度を適正に調整可能!
コレは良いアイデアだと思います。

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ブリッジのスタッドは六角レンチで抜き取り&取付け可能。
最近のギブソンレギュラーラインも六角レンチでスタッド調整出来る様になってますね。
(ブリッジ自体の高さ調整がレンチで出来るわけではないのでご注意を)

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独特の形状である金属製レバースイッチノブは六角レンチで固定。
素早いレバースイッチ操作や勢いよくスイッチングするとフッ飛んで行方不明になりがちな
スイッチノブもこれなら安心出来ますな。

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画像を撮り忘れましたがビグスビータイプのビブラートユニットは弦を張る際にピンへボールエンドを
引っ掛けるのではなくプレートに穴が空いていて弦を通す構造。
本家ビグスビーよりも遥かに弦交換がラクです!

この手のブランドのギターはだいたい大陸製で全てのパーツが安価で適当な物がくっ付けられてますが
このデューセンバーグは違った。ナットがプラスチックなのは残念ではあるが電装系もポットこそ国産でしたがスイッチはCRL製。
しっかりとした拘りと作り込みが施されたギターでした。
オーナー様にはこれからもガンガン弾き込んでもらいたいですね。

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ネックポケットの嵩上げスペーサー製作、本来はフロイド付けたエンジニアが手を打つべきだと思う…編

 2016-04-01
今回はフロイドが後付けされブースターも内蔵されているプレイヤー好みにモデファイされた
アッシュボディーのストラトです。

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ピッチシフトキャビティーが無いのでフロイドローズはほぼボディーのベタ付け。

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本来ストラトにフロイドを付けるとブリッジの厚み(高さ)がシンクロとは異なるのでその分かなり
弦高が高くなる。
ブリッジの高さの分ボディー側、ネックポケットも嵩上げしなくてはならないのだが…
今回は3ボルトジョイントのストラトだった為かマイクロティルトを鬼上げしてネック角度を
強烈に付けて弦高を無理矢理下げていました。

もちろんネックエンドとボディーには隙間が空きまくり…
デタッチャブル構造ではネックとボディーの密着度が重要なのですが。
3ボルト故にもしネックとボディーの精度が悪ければネックは左右にグラグラ動くでしょう…

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試しにマイクロティルトを全解除=完全に緩めてみた。
すると弦高は1弦12Fで2.8ミリ、6弦12Fで3.2ミリ…
「これはアコギですか?」ってなぐらいに高い。いゃ高過ぎる。

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なので今回は適正弦高へ調整する為のネックポケットの嵩上げ、
ジョイント部強度UPを狙うべく3ボルトを4ボルト化します!
まずは3ボルト&マイクロティルトの穴を埋め木。

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ちょうど黒のレスポールカスタムのネック折れ修理を作業していて塗料は作り置きが有ったので
サンディングシーラーに黒のカラーを混ぜて埋め木周辺に塗り、乾燥後に樹脂でタッチアップ。
いずれ目痩せはするだろうが埋め木丸見えよりは見た目にマシではないかと。
この作業はお客様指示ではなく単なるワシのこだわり(笑)

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4ボルトの位置出しをして穴を開ける。

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これにて4ボルト化は完了。

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次はネックポケット嵩上げの為のスペーサー製作に入る。
スペーサーの素材はアルミを選択。
同業者ならメイプルやボディー材と同じアッシュの板材を使うかとは思う。
お客様から木材指定の時は自分もそうする。
ただしネックジョイント部の締め込み圧力は相当である。
ネックエンドにシムを入れられているギターのジョイントを外してみれば分かるのだが
どんなシム素材でも(メーカーは紙切れ入れてるけどね)ボディー材へめり込んでいる。またはシムの厚紙が潰れている。
すなわちある程度時間が経過するとシムの役割を果たせていない。
勿論組み上げた時はめり込んだり潰れていないのでシムとして役立っているのだが時間が経つと結局圧着力に負けてしまう…

同様の理由で木材で数ミリの厚さの嵩上げスペーサーを作ってもスペーサー自体が圧力で潰れて薄くなるか
亀裂が入ったり割れてしまう可能性がある。それほどに薄い木材には強度が期待出来ない。
確かにボディーやネックと同じく木材で作った方が弦振動を伝え易いイメージはある。
しかしそのスペーサーに不具合があればセッティングは勿論、肝心の弦振動が逃げてしまう事も考えなくてはならない。

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事前に別素材で1ミリ、1.5ミリ、2.0ミリのスペーサーを作って仮組み⇒弦高計測。
結果厚みは2.0ミリに決定。
ネックジョイントの形状に合わせて切削して完成。

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組み上げた状態。
ネックとボディーに隙間は無い。


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当店ではEVH系でお馴染みのフロイド底面のダンパープレートを抜いたが
弦高は1弦12Fで1.3ミリ、6弦12Fで1.8ミリとフロイド付きソロイスト並みに仕上がった。

別にアルミで切削してスペーサーを作れとは言わないが本来ストラトへのフロイドローズの後付け加工は
ネックの高さまでも手を打ってしかるべきだとは思う。
もしこのストラトが最初から4ボルトでマイクロティルトが無ければフロイド付けたエンジニアは
どんなシムを挟んでネック角度を付けたのだろうか…
って言うかネックとボディーの間に強烈な隙間空いたままお客さんに納品する時ってどう説明するんだろ…
「構造上仕方ないです」なのかな? …そりゃねぇ~よ!

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お値段1本7000円(税抜)!! Ibanez Ultralite Tremolo Arm 編

 2016-04-01
お客様からご注文頂いたIbanez ウルトラライトトレモロアーム!
お値段何と7000円!消費税入れりゃ7560円!!
ちなみに私はシャーラーやフロイド純正のアームでも十分高額だと感じる庶民である。

現行のVAIモデルには付属しているみたいですな。
メーカーHPでは悟り兄も絶賛してるし。


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アイバの代表的なトレモロユニットには対応している様だ。



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手持ちのLo-Pro Edge用のアームと並べてみる。
カーボンパイプの根元に従来のアームを差し込んでいる構造。

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太さ比較。
明らかにウルトラさんの方が太い。

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さて、如何ほどにウルトラライトなのか?
重量を測ってみた。
まずはノーマル=ロープロ用が42g。

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ウルトラさんは半分以下の19g!
持ち比べると数値で比較する以上にウルトラさんは軽い!!

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まるでメイプルの杢目のごとく表情が豊か。
硬度もお値段も相当なのでたぶんドライカーボンかな?
手触りがスベスベなのでクリケットなんかはやり易いかも。

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超軽い以外のメリットは何か?
それはカーボンなのでサビない!!
ただでさえ経年劣化でサビが発生し易いアイバの金属パーツ。アームも無論同じ。
現行のロープロ系トレモロはメッキの耐久性も少し改善した様に感じるがロープロ初期モデルなんざ
サドル周りにサビが出まくっている物も多い。(プレイヤーの汗の質にもよりますが)
アームバーを常時付けているアイバニスト、ヴァイ並みにブゥインブゥイン回しながらアーミングする
ギタリストにはオススメですな。


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そしてアームバーが超軽いとどうなるか。

いつもはアームを使った後に万有引力の法則に従ってぷら~~んと下へ降りてくれるのに
ウルトラさんは軽いから
「もっとオレを使ってくれ!」と言わんばかりにアーミングポジションを動きません。







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ヴィンテージワウのポットクリーニング VOX編

 2016-02-23
今回はギターではなくワウペダルです。

ご依頼頂いたのはVOXのヴィンテージ品。
踏み込み時のガリ、ワウとしての効果が奥の方でしか効かない、したがって内部ポットのクリーニングです。

普段ヴィンテージギターのポット類のクリーニングも承っておりますが実はワウペダル、ボリュームペダルも作業可能。


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ワウはペダルを踏んでナンボ、ギターのボリュームやトーンに比べポットが酷使されます。
更にヴィンテージとなれば経年変化による劣化も加わるので本来はポット交換をお勧めしたいところではありますが
ポットを交換するとヴィンテージならではのサウンドが変化する。
なのでポットを交換せずにクリーニングとメンテナンスで何とかならないか?って事です。
ギター、ベースだけでなくヴィンテージはオリジナルコンディションがサウンドの肝ですから。



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まずはポットへの配線を外す。

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ポットを取り外した状態。
シャフトに付いているギアは樹脂製のためヴィンテージだと硬化している事が多く、無理にギアを外そうとすると
割れてしまいます。
したがって今回はギアを外さないままで作業します。

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ポットはICAR製の100kΩ。

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背面キャップを慎重に外す。
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黒いカーボンプレートに2本の筋状のキズが見えますでしょうか?
これがポットの可変時に回転する上部の白いパーツの内側に付いた爪が擦れた跡、
要は摩耗痕=ガリ等の原因です。
カーボンプレートと爪をクリーニング、そしてシリコン系潤滑剤でメンテナンスして再組み上げ。

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お預かり時よりジャックの接触不良、ガリも気になっていたがジャックのプラグとの接触部もかなり劣化している。
ジャックもポット同様交換するわけにはいかないので劣化した箇所を研磨して接点を復活させる。
まずはインプット部から着手!

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作業後。
プラグの先端部が当たる箇所がキレイになったのが分かりますでしょうか?
ちなみにジャックの筒内部=アース部も同様にクリーニング済み。

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当然アウトプット側も同じ様に劣化しているのでこちらも研磨!

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研磨完了。


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組み上げて動作チェック。

ポットのガリはかなり解消出来たが踏込み奥の方でしかワウ効果が効かない可変域の狭さは
残念ながら解消出来ませんでした。
ポットのカーボンプレート周辺のクリーニング&メンテナンスでガリはある程度改善出来ますが
カーボンプレートその物の劣化は手の打ちようがありません。
ビンテージギターでボリュームを10から絞っていくと8~7の辺りでガクッと出力が落ち、
以降6~ゼロまで変化無し…
トーンも然り、なんて症状も今回のワウと同じくカーボンプレートの劣化が原因です。
ジャックのガリ、接触不良は改善出来ました。

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ヴィンテージポッ、ジャックトのクリーニング、メンテナンスは実際に作業してみなければ
どの程度症状を改善出来るか分からないのでお見積りは難しいのですがガリや接触不良でお悩みの方はご相談下さい。
CRLのレバースイッチ、スイッチクラフトのトグルスイッチも作業可能です。

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Paul Reed Smith にトレモルノ(TREMOL-NO)取付け編

 2016-01-09

本年マトモなブログ更新1発目はPRSです!

今回はこの杢目もイカツイPRSにトレモルノを取付けです。

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PRSのトレモロユニットは本体シリーズが違えどトレモロ付きモデルは大体は同じユニットが使われています。
(SEシリーズなんかはよくわかんない。フロイド付きもあるしね。)

PRSはきっちり調整が出来ている状態でトレモロユニットは「フローティング」状態になります。
アーミングを一切使わないにしてもトレモロはアームダウン、アップ方向に動いてしまいます。
つまりロック式ペグを搭載してはいるがアームを使わないギタリストには
チョーキング&ビブラート時、トレモロの動きによるチューニングの狂いが気になりがち。

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なので今回はトレモロの動きを制御すべくトレモルノ(TREMOL-NO)を取付けます。

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通常フロイドローズに取付ける場合は「Pinタイプ」のトレモルノを使用しますが
PRSはサスティーンブロック(イナシャーブロック)に厚みがあるので
「ラージクランプ」タイプを使用します。

※「ラージクランプ」タイプは輸入代理店のALLPARTS JAPANも常時在庫はしておりません。
在庫切れの場合は数ヶ月納期が掛かるらしいのでご注意を。
2015年12月初旬の時点では残り数セットとの事でした。PRSユーザーでトレモルノをお考えの方はお急ぎ下さい。

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まずはネック、ブリッジのフローティング位置等をきっちりとセットアップ。

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トレモルノ取付け完了!
Pinタイプのトレモルノの取付けに関してはコチラを参照して下さい。

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ココがラージクランプ部です。
Pinタイプの様にトレモロスプリングの差し込み穴を利用するのではなくサスティーンブロックを丸ごと
挟み込みます。

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最近トレモルノに関するご質問が多いので以前も書きましたが使用方法をご説明します。

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<①②③全てゆるめた状態>
トレモルノ取付け前と同じくトレモロユニットはアームダウン&アップ方向に動きます。

<①を締め付け②③を緩めた状態>
アームアップ方向への動きをロック、アームダウン方向へのみ可動。

<①②③全てを締め付けた状態>
トレモロユニット完全固定。
この状態でアームを無理に動かすとトレモルノは破損します。

またトレモロスプリング=スプリングハンガーを強く締め付ける必要のあるヘビーゲージ弦ユーザーは
弦交換時にフルロック状態、及び①締め付け②③緩めですとスプリングの負荷が掛かり過ぎて
トレモルノ本体の破損の可能性があるので面倒ですが①②③全てを緩めた状態での弦交換をお勧めします。

またトレモルノ本体はアルミ製ですのでツマミの締め付け過ぎにも注意が必要です。
通常はツマミがメインシャフトに当たってから軽く締め付けるだけで十分機能します。

①②③全てを締め付けた状態でのトレモロ完全固定によりPRSのチョーキング&ビブラートによる
チューニングの狂いは制止出来ますが(ちゃんと弦を伸ばしてればね)
レスポール等のTOMブリッジと同じくチョーキングしようがエグいビブラートをしようがトレモロはダウン方向へ動きません。
つまりトレモロユニットが自由に動く状態に比べ、弦テンションが硬くなります。

弦テンションの変化により演奏性に違和感がある場合は①②③全てを締め付ける前に
①を締め付け、②③を緩め、アームダウン方向へのみ可動する状態での使用が良いのかもしれません。


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ビグスビー付き335にシャーラーセキュリティーロックを付ける…には一工夫必要編

 2015-12-22
まずは年内納期希望のリペアをお断りしてしまった皆様、本当に申し訳ありません。
今年の12月は思いのほか時間の掛かる作業依頼が多く今もトーンガレージの2015年は終われるのか微妙です…

さて、今回は335です。

ビグスビー付きのシブいブラック!

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コレにシャーラーのロックピンを付ける依頼なのですが…

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皆様ご存じの通りシャーラーセキュリティーロックはエンドピンの切り欠きにストラップ側パーツが
挟み込まれる構造です。

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ビグスビーのストラップピン部。
このままロックピン付けてもストラップ側が挟み込めるクリアランスがありません。

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この角度の方が分かり易いかな?

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つーかそもそもビグスビーの切り欠き穴にシャーラーが入らないし(笑)

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そしてギブソンではお約束、ビスの太さが異なる。
シャーラーの方が細い。
現在シャーラーセキュリティーロックには長めのビスも付属していますが太さはデフォルトの短いビスと同じ。
そりゃ長いビスでギブソン純正ビスよりも深くネジ込めば取付け出来るケースもあるのかもしれない…
でも今回はセミアコ相手なので無理は出来ない。
と言うか普段よりギブソンのボディーエンド側は要埋め木+空け直しで作業しております。

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埋め木してシャーラーに合うサイズで穴を開け直し完了。

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問題のロックピンはバッチリのサイズのスリーブとフエルトワッシャーを挟めば

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装着完了!!

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これならストラップ側とも干渉しないので無事取付け完了です。

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で、今回はピックアップも交換。
いつも通り全ての電気系アッセンを引き出しての作業です。

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付けたのはBareKnuckle THE MULE フロント&リア。
いやぁ~ミュールはセミアコにも相性良いですなぁ~~

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え?

いつもよりブログが短いって?


すんません。
毎日必死のパッチで作業しております…


年内は28日までの営業、新年は5日より通常営業です。

冒頭にも書きましたが年内納期希望の大掛かりな作業は申し訳ありませんが新年に受付となります。
クイックリペアは日によって受付可能ですがなるべく早めにお問い合わせお願いします。


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