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ネジ山が潰れたピックアップマウントを修復する編

 2023-11-11
今回はビス穴のネジ切りが潰れて高さ調整が出来なくなったピックアップの脚を
復活させます。

ネジ切りが潰れた場合だけではなく、直止め仕様に改造されているピックアップを
エスカッションマウント、ピックガードマウントへ復活させる場合にも有効だと思います。

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今までネジ切りが潰れたりビスの緩い場合、大体は他の作業で分解した際に気付いたりと
「まぁついでに手を打っておくか」的にサービスで作業していたので
六角ナットをハンダ付けしたり、裏面にスピードナットをあてがったり
U型クリップナットを挟み込んだりと応急的な処置をしてきましたが、
いずれも耐久性は無かった。
今回は耐久性も追求し、確実な修理を目指します。

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まずはボビンとシャーシーを分離。
平行四辺形の少し特殊なピックアップです。

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用意したのは2ミリ厚の真鍮板。

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マウントフットに合わせた形状にカット、ざっくり成型します。
切り出した真鍮板をマウントフットにハンダ付けして、新たにビス穴を開ける作戦です。

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ピックアップのシャーシーも真鍮なので、おそらくハンダ付けは問題無いとは
思いますが、しっかり固定したいのでフラックスを使用します。

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真鍮の場合は5倍希釈が必要なので、

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低くカットした紙コップに少量出して水で希釈。

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綿棒で薄くフラックスを塗ってからハンダ付け。
何が難しいってシャーシーと真鍮板の位置合わせをキープしての固定が一番難しい。

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ハンダの盛りが汚いですが、後で成型するので問題なし。

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金属ヤスリで整形。
ハンダは柔らかいので成型はさほど苦労しません。
ただし際を攻め過ぎるとハンダ面が無くなって真鍮板が剥がれてしまうので
元のフットと同じ大きさ、形状には出来ません。少し大きめになります。

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新たなビス穴を開ける。

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工具で真鍮板をこじってみて固定力を確認してみました。
全く取れる気配は無いので問題無さそうです。




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2.6ミリのタップでネジ切りします。
インチサイズの場合でもこの修復には2.6Φ、もしくは3Φとします。
インチのマウントスクリューの太さは約2.4ミリなので耐久性を考えれば
少し太めのビスを使いたいので。

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無事ビス穴復活です!

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逆側の作業に入ります。

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2回目にもなるとコツを得るのでスムーズに作業出来ました。

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しっかりビスが効いてます。

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お次はこれまで施工したピックアップの相方、今度はミニハムです。

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U型クリップナットに合わないビスを無理矢理入れていた為かビスのネジ切りも
完全に潰れてしまっています。

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そもそも薄いステンレスのシャーシーで、ネジ切りは無し。
直止め専用のミニハムなのか?

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今回も真鍮板とフットの固定に苦労します…

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シャーシーがステンレスなのでハンダが乗り難い。
フラックスをしっかり塗ってから位置固定の意味合いで最初は角だけを止める。
しっかり固定出来てから面を止める感じです。

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両側貼り付け完了。

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こちらも2.6Φ仕様で仕上げました。

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さて、先に施工したピックアップの組み上げに入ります。
線材が劣化していたので4芯ケーブルを交換します。

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組み込み完了。

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元の外周アセテートテープが劣化していたので、ボビン=コイル保護の目的で
しっかり巻き直しておきます。

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ミニハムと共にロウ浸け。

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ギターへ組み込んで作業完了!
ギター本体はギブソンのナイトホークでした。

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今回の作業はピックアップを全分解する必要があるので=全分解してシャーシーだけに
しないと真鍮板がしっかり位置合わせ出来ないので中々手間の掛かる作業ですが、
耐久性も確保出来るビス穴修復としては今の所この方法がベストだとは思います。

耐久性を求めてステンレス板でも試してみましたが、同じ加工は1ミリ厚の薄いステンでしか
無理でした。ビス穴を開ける際にステンレス板がたわんでしまう。
また1ミリ厚だとネジ切りの耐久性が無いので却下としました。
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安い物には訳がある…ダダリオの偽物編

 2023-10-21
今回はダダリオの偽物のご紹介です(笑)

事の発端はリペア依頼時にお客様が持ち込まれたこのダダリオ。
リバースヘッド=6弦が一番遠いギターだったのですが、何も疑わずに弦を張ろうとしたら
何と6弦の巻き線がペグまで届かない!
ファイヤーバードにもダダリオ張った事は有るが足りなかった事は無かった。
はぁ??な感じではあったが、同時に「このダダリオ…変かも。」とも思った。

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普段当店ではダダリオ正規代理店であるキョーリツコーポレーションより1箱10セット入り
(↓画像右側)を仕入れて使用している。
なのでこの10セット弦を張ってみると当たり前だが6弦は問題なく張れた。
ここで確実に偽物と断定。
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本物と偽物を比較すべく、新たに1セット用意した。
(画像中央下)
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右が本物、左が偽物。以降同じ並びで進めます。
本ブログの為に先のお客様より未開封偽物を1セットお持ち頂きました!
よく見比べると背景の解像度が違う。
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まずパッケージの厚み、紙質が違う。
偽物はへにゃへにゃした感じで薄く、如何にも安いパッケージな感じ。
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パッケージ裏面比較。
偽物は旧パッケージをコピーしているのかデザインが少し違う。
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開封。
ビニールパッケージのデザインは全く異なる。
偽物にはQRコードが付いているが、自分のスマホでは読み取れなかった。
他のスマホでも読み取れなかったのでQRの誘導先サイト自体が存在していないのか?
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偽物のビニールパッケージは指が透けてしまう。
そしてシャカシャカした手触り。
6弦が短い事に気付くまでは「あーダダリオさんパッケージ変わったのね」ぐらいにしか
違和感は感じていなかった。
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本物は指も透ける事無くしっとりとした手触りで厚みのあるビニール。
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弦自体を比較していく。
最初に偽物を張ったギターはフロイド系トレモロだったのでいきなり全弦ボールエンドを
切ってしまったが、プレーン弦の巻き癖が酷かったのを覚えている。
「これ、ハズレのダダリオ?こんな巻き癖でオクターブちゃんと取れるかな…」みたいな。
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比較すればボールエンドの質感が違ったり、偽物の巻き弦が妙にツルツルしていたりと
明らかに相違点は見付かるが、偽物だけを手に取っていると怪しさを感じないところが
危険である。
現に6弦が足りていれば=普通のギターに張っていれば自分も気付かなかったかも
しれない。まぁチューニングして実音出したりオクターブ取ったら気付いたかも
しれないが。
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偽物に気付いた際にゴミ箱漁って何とか見つけ出した6弦ボールエンドの比較。
偽物の方が色が濃い。
画像では伝わらないがボールエンドの質感も本物の方がきっちり作られている感じ。
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そして大きさ、形状も違う。
偽物はボールエンドがイナシャーブロックにめり込みやすいシンクロトレモロだと
弦交換の際にボールエンドが抜けにくいかもしれない。
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そしてこれが決定的な違い。
画像では分かりにくいかもしれないが、巻き弦の芯線が偽物は銀、本物は真鍮色!
つまり細かい所まで見なくともビニールパッケージ開けて
巻き弦の芯線が銀色だと偽物確定。
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今回の件は発覚当初よりキョーリツコーポレーションの担当者に報告してましたが
キョーリツ側でも偽物が流通している事は把握しており、しかも本国サイトの
真偽判定?が出来るページを教えて頂いた。
https://www.daddario.com/play-real

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パッケージのシリアルナンバーを入するっぽい。
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とりあえず自分で購入した本物(のはず)のシリアルを入力してみる。
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あれっ?
これって偽物って事??
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次に偽物のシリアルを…
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表示変わらず。
さては自分で購入した本物と思われしブツも偽物なのか??
弦自体は明らかに偽物よりしっかりしているぞ??
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最後に紛うこと無き本物、正規代理店経由の10セット弦のシリアルを入力。
表示変わらず。あかんがな(笑)
そもそもこのシリアル入力はダダリオサイトにポイントを貯めるポイ活が目的っぽいので
わざわざアカウントを作って再チャレンジしようとしたが、今度はアカウント登録ページが
まともに機能しない。スマホで試すも結果は同じ。
モヤモヤしてきてこのページも偽物ちゃうか?と疑うほどに(笑)
検索した過去記事でもこのページで真偽判定出来ているみたいなので自分のPC設定等に
問題があるのかもしれないが。
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少し前にエリクサーの偽物は話題にもなりましたが、エリクサーみたいに高額弦なら
偽物作る悪いヤツも出てくるだろう。
まさかダダリオで出てくるとはね…
「ダダリオ 偽物」で検索してみたら被害者続出の様で、やはり相当数が出回っているようだ。
今回のお客様との共通項はネット通販での購入。
メルカリ・ヤフオク・フリマアプリが特にやばい。
まぁそもそも平均価格より明らかに安い物は避けるべきだろう。

やっかいなのは偽物なのに弦としては普通に使えるって事。
今回のお客様も数セットまとめ買いして、こちらから指摘するまで違和感無く使っていたとの事。
ひょっとしたら「普通に使えるなら安くて良いじゃん」と考える方もいるかもしれない。
だが購入者がいる限りは偽物商売は無くならないだろう。
弦も値上がりが激しい昨今、少しでも安い物を探すのは理解出来るし、アパレルなんざ偽物が
身近に有って当然みたいな風潮で、我々も偽物慣れしてきている事が怖い…

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(面倒ですが)たまにはトレモロを分解清掃してみませんか?重要なビスが緩んでますよ編

 2023-06-03
ついに梅雨入りしましたね。しかも初っぱなから台風付きの大雨…
除湿対策のご質問を頂く事も増えてきました。
弾かない時はケースに仕舞い、中に湿度調整剤を入れるぐらいしかアドバイス出来ないのですが。

今回は前回の61STのトレモロメンテナンスのお話です。

大掛かりなメンテナンスの際はトレモロの分解清掃も行っておりますが、
サドルを外してサビや汚れを掃除する以外にも重要なチェック作業が有ります。


まぁ数年前にも同じ様なブログを書いているのですが改めて。

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まずはサドルを外す。
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真っ先に重要チェックポイント!
ベースプレートとサスティーンブロックを留めている3本のビス。
これが緩んでいる事が非常に多いです。
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今回はボディーからトレモロを外す段階で「おいおい!」ってぐらい緩んでました。
緩んでなければ通常ベースプレートとサスティーンブロックはしっかり密着していますが、
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今回はガッコガコに動き、ガッツリ隙間が開くぐらいに緩んでました。
普段アームをよく使われる方は特に注意が必要です。
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しっかり締め付けてから清掃、サビ&汚れ取り研磨を行ったサドルを組み付け。
固定ビスのサビは中々取れない。
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このメンテナンスは四六時中作業する必要はありませんが、1年~数年に一度、
中古ギターを購入したなら最初のセッティング作業に含めて下さい。
言うまでも無くサドルを脱着するのでオクターブピッチ調整が必要になります。
なので面倒な作業にはなりますが。
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今回ほどビスが緩み、ベースプレートとサスティーンブロックにガタが出ている事は珍しいですが、
だいたいの場合は時計で言えば10分~20分ぐらい締め付けられる程度緩んでいます。

ベースプレートは弦に引っ張られ、サスティーンブロックはトレモロスプリングに引っ張られる。
つまり互いに逆方向へ引っ張られ続ける事がビス緩みの原因ではあるのですが。

今回の様に酷く緩んだままでアームを使うとアームバーの根元を痛める事に繋がります。
普段アームをよく使う方は一度チェックしてみて下さい。
シンクロだけではなくフロイド系でも同様です。

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人は何故時間が無い時に限って余計な事をしてしまうのか?Fender C/S '61ST NOS編

 2023-05-13
人は何故時間が無い時に限って余計な事をしてしまうのか?
そんなん俺だけ?
みたいなお話でブログ更新です。

普段よりGW、お盆、年末年始など、大型連休前には出来るだけ多くのリペア品を仕上げ、
連休期間前にお客様へお渡しする事を心がけております。

時は4月後半、まさにGW前に如何に多くのリペアを仕上げるか。毎日作業段取りを
組み直しながら時間との戦いが続いておりました。

そんな中、常連様よりご依頼頂いたカスタムショップのストラトのフレット打ち換えを作業。
おそらくこのストラトが連休前仕上げ品のラストになるかな?なんて考えながら。

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指板修正も大詰め、指板のクセを取り終えたら仕上げ作業の前に指板の角を少し
丸める作業を行います。
これは指板修正で指板表面を削ると、指板角が立ち、このまま仕上げると
グリップした時に指板の角の当たりが痛く感じる為です。
その作業に入る手前で既に30分ほど手を止めて悩んでおりました。

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と言うのも、↓ の画像の通り1弦側8F横に巨大な打コンが有るからです。
お預かり時、常連様からこの打コンの件は何もお聞きしておりません。
言い方が悪いかもしれませんが、今回の常連様は細かい事はあまり気にされない方なので、
後日お引き取りの時にこの打コンの件をお話ししても、「あぁ…そう言えば凹んでましたねぇ~」
ぐらいのニュアンス。

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でもね、自分は気になって仕方ないんですよ。
人差し指の爪ぐらいの幅が有って深さも結構な凹み。
これがグリップした時、ポジションチェンジの際に気にならないわけがない。

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指板の真上から見ても凹みが分かるぐらいです。

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結局悶々としてるうちに日が落ちてしまい、この日の木工作業場での作業は終了。
(基本的に指板修正やフレット打ちなどは日光の差す時間にしか行いません)
作業机の上のネックを眺めながら角丸め作業に入るべきかまだ悩んでいる(笑)

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やはり打コンとしては大きい。
熱と水分を使って凹みを膨らませるにも凹みが大き過ぎる。
やるなら埋めるしかない。
しかしアクリル樹脂やウレタンで埋めるには凹みが大きく深い…

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気が付けば凹み周辺を研磨していた。
凹み部分の汚れを出来るだけ除去して樹脂が導管に入り込みやすくする為に。
あーやるさ、やりますよ。悶々としたまま次の工程に進むのは納得出来ないので。

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凹み周辺をマスキングしてからエポキシ樹脂を充填。
エポキシを選択した時点で24時間の硬化時間をどう使うか段取り組み直し。
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翌日の夕方、しっかり硬化したので研磨開始!
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NOSのストラトなのにレリック?と思える状態なので打コン周辺の塗装への
ダメージはあまり気にせず研磨を進めます。
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研磨完了!
指でなぞっても凹みは分からなくなりました。
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翌朝、心置きなく指板角の丸め作業に入ります。
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フレット打ちも完了。

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当たり前ですが指板上部から見ても凹みは分からなくなりました。
このアングルなら指板の角を丸めたのがお分かり頂けるのではないでしょうか?
ほんの少し丸めるだけですが、プレイ時には効果をお分かり頂けるはずです。
ちなみにこの作業はバインディングの入ったネックでも行っています。


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5月1日、無事完成。
結局常連様へのお渡しは連休明けになってしまいましたが。
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もちろん今回の打コン修復は完全に自分の自己満足の為に勝手に施工したので工賃は請求しません。
つまり連休前の時間が無い時に自己満足の為だけに時間を浪費したというお話でした(笑)




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M.MAN EVH マジックアーム取付け編&従来型Floydrose/Schallerアーム一式を使用した作業受注中止のお知らせ

 2023-03-18
今回は初期型のミュージックマンEVHにマジックアームを取付けます。

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純正のアームはトレモロ裏面よりネジ止めなのでアームバー脱着が不便。

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そして純正スクリューは緩みに気付かなければ簡単に紛失してしまう。
このスクリューも純正ではありません。
ですのでアームバー、アームホルダー一式をマジックアームへ換装します。

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ミュージックマンEVHのトレモロはGOTOH1996TのOEM品なので
使用するマジックアームもゴトー対応品をお客様に手配して頂きました。

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アイバニーズ、ゴトー対応品ですね。
アイバニーズはマジックアームへ交換する必要って有るのかな?

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まずはトレモロ取り外し。

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ホルダー一式を外していきます。

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マジックアームのホルダーを差し入れてみる。
割とクリアランスが広い。

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緩み止めに座金ワッシャーを入れようとするが、

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固定六角ナットのネジ切りに座金ワッシャーが当たる!

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仕方ないので座金ワッシャー挟み込みは諦めて六角ナットをしっかり締め込みます。

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アームバー固定パーツを取付けて、

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完成!

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組み込み完了!

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これでアームバーの脱着が容易になりました。

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ここからは別件なのですが、数年前にブログアップしたヤマハのロッキンマジック
トレモロのアームホルダー部を切削加工して、フロイド/シャーラーのアームホルダー
を移植する作業は今もお問い合わせ、受注が多いリペアメニューです。
今回も同件のご依頼を頂きましたが…

お客様にご用意頂いたシャーラー製アーム一式。もちろん新品。
EMGのステッカーは販売店管理シールを隠す為に置いています。

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何故かアーム根元のサムナットが完全に外れるまで緩めてもホルダーからバーが
抜けない!!
こんな経験は初めてなので「はぁ??」って感じ。

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最近マイナーチェンジで変更になったのか以前は円筒形の固定筒を
別体の六角スクリューで締め込んでホルダーをトレモロベースプレートへ固定していたが、
今は円筒形の筒そのものに六角レンチの差し込み穴が有る。

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フルパワーでアームバーを抜こうとするも全く動く気配が無かった。
抜く方向だけではなく回転方向にも全く動かない。
固着してる? 何故?
途方に暮れてホルダー固定筒に六角レンチ入れて締め込み方向に回してみた。
(緩める方向に回しても当たり前の話、固定筒が緩むだけ)

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ヌヌヌ…と固着が緩んで、
抜けた!!

!? サビ??

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マジか?

マジで目を疑った。

もう一度書くがこのアーム一式は新品開封直後である。

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どうやらバー先端部=ホルダー挿入部のみメッキが施されていないか剥がされている。
そして地金にサビ発生。サビはサムナット内側に当たるピンまでも侵している。
バー先端部、ホルダー内部に油が塗布されてはいるが、その油も濃いラー油状態。

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もちろんホルダーの筒内部もサビサビ。

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新品と言えど当然これは使い物にならない。
おそらくアームバーとホルダーのガタ付き・アソビを改善すべく、ホルダー内径を細めに
マイナーチェンジ、するとバーが入らなかった。なのでバー側も細くした…
みたいな流れだったのかなと推測。

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お客様へ現状を報告させて頂き、お手数をお掛けしましたがマジックアームの
フロイドローズ用を手配して頂きました。

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純正アームホルダー部を切削加工したロッキンマジックに付くには付きましたが、

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固定六角ナットと1弦サドル固定部にほぼ隙間がありません。
薄いメモ紙がかろうじて入る程度。
この隙間が六角ナットをしっかり締め込めるかの要でもあります。

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したがってトレモロ側の個体差によってはホルダーをしっかり締め付けられない
可能性が御座います。

今回はマジックアームで無事に対応出来ましたが、今後ロッキンマジックの
アームホルダー一式交換作業はマジックアームをご用意頂いたとしても
受付中止とさせて頂きます。
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現在フロイド/シャーラーのアーム一式は今回サビていた従来型のマイナーチェンジ版と
新型の「プッシュイン」タイプが有る様です。
プッシュインタイプはまだ施工した事が無いので、どの程度の精度を持っているのか
分かりません。

とりあえず今後は従来型のマイナーチェンジ版=今回サビていたSchaller/Floydrose純正
アーム一式と同型を使用した作業の全てを受付中止とさせて頂きます。
何卒ご了承下さい。
ホルダー固定筒を別体の六角スクリューで締め込むマイチェン前の物をご用意頂ければ
今まで通りの作業は可能です。




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アコギのネック調整ご依頼時のお願い編

 2023-02-18
今回はアコギのネック=トラスロッド調整等編です。

ご依頼頂いたギターはジャパンビンテージ物になります。
フレットのすり合わせとナット交換が必要な状況ですが、まずはトラスロッドが
正常に機能するかが重要な確認事項になります。

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なので早速ロッド調整を。
このギターはヘッドに調整部は無いのでネック下部側での調整になるのですが、
調整ナットが無い。

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通常は下の画像の様に六角のボルトが有るものなのですが。

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サウンドホールから手を入れて探ってみたところ、
指板エンドの裏側に何かしらの手応えが有る。
そこで鏡を入れてみると、真鍮製と思われしナットが見える。

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アコギと言えどわざわざ特殊なサイズのナットを使うとも思えないし、
おそらく汎用のトラスロッドナットだと予想。

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ならば#8のスパナで回せるはずなのですが、
手持ちのスパナが長すぎてサウンドホール内で取り回しが効かず、
六角ナットにスパナを嵌める事さえ出来ない。
つまり#8のサイズが適合するかも分からない。

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メインの工具を加工すると今後困る事になるのでホームセンターで#8のスパナを
買ってきた!しかもナットに差し込み易い様に薄型を。

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グラインダーでカット。

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サイズは的中!ようやくトラスロッド調整が行えました。
ロッドも正常に機能したのでフレットのすり合わせ、ナット交換を着工。
もちろんこのスパナは完成時にお客様へお渡しします。

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無事完成!

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ここで皆様にお願いが御座います。
当店はギター本体の販売を行っていないので昨今のロッド調整工具のアップデートに
付いていけてません。
最近のマーチン等は長めのインチ規格レンチが必要なのですが残念ながら持ち合わせて
おりません。(メーカーと取引が無いので工具のみの手配が出来ません)
ですのでアコギのロッド調整ご依頼時、購入時に付属していた工具が手元に有るなら
お持ち頂けます様にお願いします。


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コレは良い商品だと思います。MAGIK-ARM for Floyd Rose編

 2023-01-21
営業案内ではなく、ちゃんとしたブログの更新は新年1本目になります。
改めまして本年も当店を宜しくお願い致します。

さて、今回はMAGIK-ARM for Floyd Roseのインストールをお受けさせて頂きました。
取付けるギターは昨年末にブログを書かせて頂いたグレコSPFです。
http://tonegarage.blog52.fc2.com/blog-entry-502.html

丁寧で分かり易い説明書が付属しています。
画像に有りませんが専用のスパナも付属しています。

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画像の②と③の間にトレモロのベースプレートが位置します。

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アームとホルダーを外した状態。
アームの先端形状はアイバニーズに似ている。

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作業を開始。
まずはトレモロをギター本体より外します。
トレモロスプリングハンガーを緩めてスプリングを外しますが、ハンガーを緩める前に
ザグリ壁面からハンガーまでの距離を測ります。

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その距離をメモしておく事で組み込み時に再調整の幅が最小限になります。

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トレモロ取り出し完了。

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早速アームホルダーを外しに掛りますが…

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前回の作業でアームホルダーの固定ナットの緩み止めでネジロックを染み込ませて
いた事が仇となり、スパナ2本の逆回しでは簡単に外れない。

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クランプに固定して、

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アームホルダー取り外し完了。

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が、

何だ?この円筒形の突き出しは?

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何かしらのスリーブが圧入されてる?なんて思ったが
残念ながらベースプレートと一体の様である。

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ちなみにこの様な構造は初めて見たかも。
普通のフロイド系には無い。
おそらくホルダーの緩み止めの為?緩みまくってたけど??
右はGOTOHの1996T。

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さて、とりあえずマジックアームのホルダーを入れてみるか…

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やっぱりねー
ホルダー固定ナットのネジ切りが筒の中から出てこない。

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六角の固定ナットは少なくとも2~3周は締め込みたい。

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お客様にご了承を得たうえで、この円筒形の突き出しを削り落とす事に。

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グラインダーで切削加工を行うのでトレモロは全分解します。
分解前にサドルの位置を撮って画像メモしておくと組み込み後の
オクターブピッチ調整がラクになる。

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全分解完了。

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切削加工の為のマスキングに入る際に日本製の刻印発見!
当時は韓国や台湾製のトレモロが多かったのにGフォースは日本製でしたか!
そう言えばアジア諸国製のブラックパーツのメッキは緑がかった色がお約束なのに
このGフォースはしっかりとした黒なのが気にはなっていた。

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マスキング完了。

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早速グラインダーで削る。
正直作業前には「ちゃちゃっと削っちまうか~」みたいなテンションでしたが…
…硬いんですよ(笑)
そりゃそうだよね、ベースプレートと一体って事はナイフエッジに強度を
持たせるだけの硬度がある訳で。しかも日本製だし。

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何とか1ミリ程度を残すところまでグラインダーで削り終え、

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大きな切削痕のキズが残っているとサビが付きやすくなるので手作業で平面出しと
研磨。ベースプレートからの突き出し量を一定にするのは手加工だと中々大変。
時間は掛ったが鏡面までは行かないまでも大きな切削痕は消せた。

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ホルダーを付けて固定ナットを締め付けてみる。
十分な締め付け量だ。

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しかしながら六角の固定ナットを締め付けるだけでは平面対平面なので
簡単に緩む可能性がある。
なので8番の座金ワッシャーを挟み込む。

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この時点で六角の固定ナットや座金ワッシャーがボディーのトレモロザグリと
干渉しないか確認。

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アームバーの固定パーツを取付けて、

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動作チェック。

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フロイド系と同じくローレットの入ったサムナットを締め付ける事で
アームの回転トルクが硬くなるが、フロイド系はユルユル⇒硬めの
ほぼ2択の調整範囲でしたが、マジックアームは微調整が出来る!

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サムナット内の樹脂パーツが良い仕事してる様だ。
懸念があるとすればこの樹脂パーツの耐久性か。
メーカーとしてはアーミング時のバーとホルダーのガタ付きを抑えた商品コンセプト
らしいが機能面、精度面、操作性、非常に完成度が高いと思う。

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そしてサムナットは緩めきっても外れない加工が施されているので
サムナットの紛失対策もバッチリである。

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気になったので手持ちのアイバニーズ、ロープロエッジ用のアームを入れてみた。
使えない事は無いがしっかりロックが掛らないので実用には向かないかと。

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組み込み完了。
今回はピックアップの載せ替えも合わせて作業させて頂きました。

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このマジックアーム、フロイド/シャーラーのアーム+ホルダー一式より
お値段は少し高くなるが、間違いなくオススメ出来るリプレイスメントパーツです。
現在はフロイド系、ゴトー系、アイバニーズ系と3種販売されている様です。
メーカー様に掲載許可を頂いていないのでメーカーHPのリンクは貼りませんが
MAGIK-ARM for Floyd Rose で検索してみて下さい。

ただしフロイド用はホルダー固定の六角ナットが結構大きいです。
下の画像右側がフロイド/シャーラーのアームホルダー固定筒になります。
ギター本体側にピッチシフトキャビティーが掘られていればおそらく大丈夫だと
思いますが、トレモロザグリとの干渉には注意が必要かもしれません。

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YAMAHA APX-10S エレアコを弦高低め仕様へモデファイする編

 2022-10-01
最近何故かアコギの作業依頼が増えております。
どうやらエレキ専門のリペア業者と思われている方も多い様なので、大変有り難い事です!
「アコギのリペアも受け付けてますか?」とか「ベースも調整出来ますか?」なんてお問い合わせを
頂きますが、全部やってます。

さて、今回はヤマハのAPX-10Sです。
ピンと来られる方もいらっしゃるでしょうが「とんぼ」の頃の長渕剛の愛用エレアコです。
コードストロークに向いた設計のエレアコですが、今回は弦高低め、アルペジオが楽に弾ける
仕様へモデファイします。

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まずはフレットを打ち換え。
弦高低め狙いなので指板のストレート出しは重要。
きっちりクセを落とします。
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この指板の摩耗具合。
かなり弾き込まれてきた歴史を感じます。
指板修正でも凹みは完全に消えませんが手触りが気にならない程度まで処理します。
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さて、フレット打ちに入りますが…
最終2本のエクストラフレット、このサウンドホール側の処理がかなり大変。
予めグラインダーで斜めにカットしてから打つのですが…
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指板エンド端に合わせた形状整形は手作業です。
かなり時間が掛かります。
普段よりこの類いのエクストラフレットが有っても工賃アップはしておりませんが
ぶっちゃけ毎回後悔しています(笑)
何でこんなに時間と手間掛かるのに工賃アップしなかったんだ?なんて。
で、しばらく同ケースが無ければ苦労を忘れてしまって普段通りのフレット交換見積もりを
答えてしまうと言う…
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フレット打ち完了。
使用フレットはJESCAR #55090。
普段エレキでは多用しているフレットですが、太さは普通であるものの高さがあるので
今回の様な弦高低めを狙うアコギのフレットとしてもお勧めになります。
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エクストラフレットのエッジ処理はこんな感じ。
画像では分かり難いですが、斜めの断面の端もきっちり面取り加工しております。
工場生産時はココはぶった切っただけみたいな処理ですが、きっちり仕上げないと
ギタークロスは引っ掛かるわ手でなぞるとかなり痛いので。
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ここからは組み込み作業です。
ペナペナのバッテリースナップは既に電池差し込み金具の一部が破損しています。
なのでバッテリースナップごと信頼出来る物へ交換します。
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実はこのバッテリースナップ交換が少々大変です。
プリアンプ本体を外さなければ作業出来ません。
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ツマミ類4個の外周ナットを外し、丸ごと引き出します。
ここまでしないとバッテリースナップの根元に到達出来ないのです。
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交換完了!
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収納完了!
この辺りの設計は流石ヤマハって感じ。ちゃんと電池収納スペースが有る。
適当な絶縁袋に電池入れてマジックテープでペタッってな有りがちな電池固定ではない。
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ようやく弦が張れるところまで来ました。
画像はありませんが無漂白牛骨で新規製作しているナットも弦溝は浅めです。
少しでも音の立ち上がりを速く、高域のロスを少なくしたいので。
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ナットも仕上がってから弦高設定に入ります。
ブリッジサドル下にはピエゾPUが有り、その下には弦高調整用にスペーサーが2枚
入っていました。
もちろんスペーサー無しで可能な限り弦高を下げたいのですが…
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このAPX-10Sは1~3弦、4~6弦を独立出力出来るステレオアウト仕様です。
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なのでピエゾPUも1~3弦、4~6弦で別物になっています。
何が言いたいかと言えば3弦と4弦の間に両ピックアップの端が有り、弦のテンションが
掛かるとこの部分が沈み込む=サドル底面に接触する力が弱くなり、スペーサーを
全て除去すると結果として3弦4弦の音量がかなり下がってしまいます。
今回は薄い白のスペーサーのみを挟み込む事にしました。
厚み0.3ミリのアクリル板で薄いスペーサ-も作って試しましたが、0.3ミリでは
やはり3弦4弦の出力が低めだったので。
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仕上がりの状況としては12F上で作業前よりも1弦側で0.5ミリ、6弦側で0.7ミリ
弦高が下がりました。
組み上がり時の弦高は1弦12Fで1.8ミリ、6弦12Fで2.5ミリです。
数値で見ればこの程度で低めなの?と思われるかもしれませんが、実際手に取ると
あ、弦高低くなってる!とオーナー様なら確実に気付ける程の違いです。
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現代ではテイラー等、弦高低め前提で設計されたエレアコ、アコギも増えてはきておりますが
昔ながらのネック角が浅いアコギでは弦高を下げるのは容易ではありません。
フレットの山を高くして弦へ近付け、ブリッジサドル周辺を限界まで下げる設定変更程度しか
出来ませんが演奏性は明らかに変わります。
「昔このギターを買った時は歌いながらコード掻き鳴らす時代だったけど、今はゆっくり
アルペジオを爪弾きたいんだよね…」みたいにお考えの方は是非お問い合わせ下さい。

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YAMAHA MG-Mゼブラ ディマジオPU移植とVLXレバースイッチ5WAY⇒3WAY化改造編

 2022-07-30
久し振りにヤマハMG-Mでブログ更新です。

密かに人気の高いMG-M。今でも年間数本は作業させて頂いております。
松本孝弘ファンだけではなく長時間弾いてても疲れにくいコンパクトなサイズ感が良いのではないでしょうか。
今回はご依頼頂いたMG-Mゼブラを素材にヤマハの3点止めピックアップの移植交換とVLXレバースイッチの
5WAY⇒3WAY化について書いてみます。

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まずはフレット交換。
やはり古いギターなのでフレット交換が必要な個体は多いです。
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まぁ今回の作業の難題はボディー側に集中しているわけですが。
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取付けるピックアップはお客様お持ち込みのディマジオDP256、257。
ジョンペトモデルのイルミネイターです。
まだ付けた事の無いピックアップなので私も非常に楽しみです。
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で、ヤマハで毎回頭を悩ます3点吊り下げ式ピックアップ。
ピックアップ交換の際は普通の2点止めエスカッションへエスカッションごと載せ替える事が
多いのですが今回はなるべくオリジナルのルックスを維持する方向性なのでディマジオを
3点止め化します。
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フロントはボディー直止めなので元穴を埋め木して、新たに穴を開ければ済むのですが。
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とりあえずフロントのビス穴を作業してから導電塗料塗布。
この段取りなら埋め木跡が隠せるので。
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それではリアに取り掛かります。
ディマジオを3点化するのは難しいので純正ピックアップのシャーシーに
ディマジオを移植します。
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幸いこのイルミネイターは裏面アジャスタブルポールピースの突き出し量が少ないので
Fスペースですが何とかなりそうです。
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しかしながらボビンを固定している4本のビスの穴位置はざっくり並べて見ただけでも
合わないのが分かります。
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まずはディマジオ分解。
サスティナー関係などでディマジオを分解する機会がありますが毎回メンディングテープを
剥がす一番最初の作業が一番緊張します。
画像で分かりますかね?右側フラットポールピースのボビン。テープの際にコイルが
見えています。コイル外周の銅箔テープではなくコイルなのです。
つまり雑にテープを剥がすと簡単に断線します。
ドライヤーで熱を与えながら慎重に剥がしていきます。
VAIがピックアップ横に養生テープ貼ってるのはココに弦が潜り込まない様に防護している
わけです。実際エヴォやブリードは出力が極端に下がった場合はコイル巻き終わり外周、
まさにボビンの上側際で断線している事が多いです。
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純正共に分解完了。
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アジャスタブルポールピース側の入る穴は何とかなりそうですが、やはり
ボビン固定ビスの穴位置の距離がヤマハは狭い。
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棒ヤスリで穴を横方向へ拡げます。
ボール盤を使うと柔らかいブラス製シャーシーなのでビットが持って行かれる可能性が
高いので。ここは手作業が無難。
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穴加工が終わったので仮載せ。
良い感じ!
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と、喜んでいたらディマジオの出力線がシャーシーに通らない(笑)
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ここは遠慮無くボール盤で穴拡大して完了。
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組み上げたらロウ浸け。
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これにてディマジオの移植作業完了です。
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さて、今度はもう一つのお題。
レバースイッチです。
個人的には一番信頼している国産VLXレバースイッチですが、残念ながら3WAYが
廃盤となってしまった様です。5WAYは普通に入手可能なのですが。
薄々廃盤の気配を感じてからは各通販サイトの売れ残りや電気街の店頭在庫を買い漁りましたが
すぐに尽きてしまいました。
以降しばらくはエグい値上がりのCRLを使ったりしていましたが今回はスイッチ操作感も
しっかりとした感じに仕上げたいのでVLX一択です。
よって本腰入れて5WAYのVLXを3WAY化します。
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まずは端子側プレートを外します。
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ケースには5WAYと3WAY両方の溝があるので、
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レバー基部の穴に入っているスプリングとボールベアリングを
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3WAY側へ入れ替えれば簡単に3WAY化出来そうですが…
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3WAY側の穴に対して5WAYのスプリングは細い。
そしてベアリングも小さい。
このまま仮組みしてみましたが使い物にはならない感じ。
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なのでスプリングとベアリングを探しました。
スプリングは割と簡単に見付けられましたがベアリングはホームセンターをはじめ
金物屋を何軒も回りましたが中々見付からない。
結局アマゾンで買いました(笑)
画像上が5WAY用、下が今回用意した3WAY用です。
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スプリング穴をグリスアップして、
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玉載せ。
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ケース側の3WAY溝にもグリス塗って
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合体!!


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端子プレートを嵌め込んで完成!
本来の3WAYよりは少し動作が硬めに感じますが十分使えるレベルです。
これで今後3WAYのVLXが必要になっても大丈夫。
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スプリングは数本しか無いがベアリングはしばらく買わなくていいだろう。
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スイッチ完成したらサクッと配線完了。
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コントロールパネルには銅箔テープが貼られているが面取り部の処理が気に入らなかったので、
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アルミで貼り直し。
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電気系は仕上がったので今度はこれまたヤマハで毎回苦労するロッキンマジックの
メンテナンス。
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何が苦労するって、分解したらこのパーツ点数よ。
本当にヤマハやアイバニーズって凄いメーカーだと思う。
この類いのオリジナルパーツはパーツ点数が増えれば増えるほどコストが跳ね上がるので。
余程の拘りと企業力が無ければ出来ない事だ。
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ロッキンマジックで毎回必ず手を入れるのがファインチューナー用の小さなスプリング。
画像の様にサビが出ている事が多い。
本来ならスプリングを取り外してサビを完全に落としたいがスプリングが細くて挿入量が
深いので外すとスプリングがたわんだり曲がる。←経験済み(汗)
しかも外す際に気を付けなければぴよぉぉ~んと飛んで行けば即終了。
(以前外した時はサドルごとビニール袋の中に入れて作業した)
なので柔らかめの歯ブラシと先を潰した赤ちゃん綿棒で表面上のサビを除去するしか
出来ない。
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組み込み調整も完了!
ピックアップ載せ替えやレバースイッチ改造で苦労しましたが、大きな収穫もありました。
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ディマジオIlluminator、めっちゃ良いです!
トーンゾーンのブーミー?マッシー?なグシャッとした歪みがドライになった感じ。
それでいてパワー感も十分有る。
ジョンペトフォロワー以外でも試してみる価値はあると思います。
ただしディマジオあるあるで同モデルのフロント&リアなのにフロントは何故か
中低域がかなり太い。リアからフロントへスイッチするとドン!と来る。
それを緩和すべくフロントの高さを下げると旨味成分も減少する…
とは言え久し振りにディマジオで汎用性の高いピックアップに出会えた気がする。
難点は流通量が少ない事か。
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猛暑、いや酷暑が続きますしオミクロンも厄介ですが皆様ご自愛されますように。

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トレモロアップ止め最新アイテム! FU-TONE Brass Tremolo Stopper 編

 2022-05-02
何の規制も無いゴールデンウィーク。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
当店は明日3日~5日はお休みとさせて頂きます。

さて、久々のトレモロアームアップ方向の動き止めネタです。
ピッチシフトキャビティー有りのギターにDチューナー搭載なら必須、
ルックスだけでフロイド要るけどアーム使わないしチューニング狂うのはイヤ…
そんなギタリストの救世主、遂に現るか?なニューアイテムをご紹介。




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まぁ当店も今まで色々やってきました。
一時はトレモルノ付けまくりでしたがトレモルノもアルミ製ゆえに耐久性が…
で、こんな加工やって
http://tonegarage.blog52.fc2.com/blog-entry-411.htm
l試行錯誤するもやっぱり実績重視の加工に戻って
http://tonegarage.blog52.fc2.com/blog-entry-425.html
と、結局トレモロアップを止めるには太いイモネジに落ち着いていましたが。

今回はトレモルノからニューアイテムへの載せ替え編。

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FU-TONE Brass Tremolo Stopper です!



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まずはトレモルノを除去。

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お客様のご希望でスプリング2本張りを試す…

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が、スプリングハンガーを結構締め付けるもトレモロは水平にならず。

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で、3本張って

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トレモロ水平セッティングを詰める。

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さて、ブラストレモロストッパーの出番です!
その名の通りブラス(真鍮)の金具に太めのイモネジがセットされている。
結局色々考えるもイモネジ作戦に落ち着くのか?
当店の検討と奮闘は上に貼った過去ブログをご覧下さい。

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きっちり水平出しが終わったので真ん中のスプリングを移動させて設置位置を確保。

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仮置きしてみる。
この画像をよく見れば分かるがブラスブロックの中心線とイモネジの中心は真っ直ぐではない。
やはりブラスの切削加工物にきっちり垂直なビス穴を開けるのは難しいか。

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今までもイモネジで色々やってきたので、ここは今まで通り、
イモネジの先端の平面とサスティーンブロックをきっちり面で当てる事を
最重要課題とする。

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ブラスの土台本体をボディーの中心に合わせるとイモネジは「点」でブロックに当たり
「面」では当たらない。
なのでイモネジの先端とブロック接触部の当たり具合で位置決め。

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ビス穴2本開けて固定完了。
少しブロックが斜めってるのが分かりますかね?
最初このFU-TONE取付けのご依頼時にネットで検索してみたんですね。
するとスコットイアンやスラッシュのギターに付いている画像が出て来る。
その画像を見るとブラスのブロックがモロに斜めってるんですね。
あ~いつもの外人アルアル精度か。なんて思ってたのですがね。
斜める原因の全てが製品精度とは言わないが製品精度にも多分に責任は有るかと。

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2本のビスで固定しますがイモネジ下の矢印で示したビスがトレモロアップのパワーを
受け止めています。
つまりこのビスを緩締めの状態でイモネジの先端とにらめっこしながら2本目のビス位置を
決めます。

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イモネジを緩めればトレモロはフリーフローティング状態。

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締め込んでサスティーンブロックに当てればアップ止め。

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そして緩み止めの六角ナットを逆締めして固定。
実際はイモネジに正方向の締め付けトルクを掛けながら六角ナットを逆締めする。

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精度云々を置いておいても当店が行っている様なサスティーンブロックをトレモロから
外して加工するよりは工程がラク。
ただし当店の加工例とデメリットは同じでした。
かなり強くピッキングしたり下の画像の様にブルルン!と弦全体を強く揺らすと…

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ブラァァァン!と強烈な共振音が出ます。
トレモロが強いピッキングでクリケットする。するとイモネジとサスティーンブロックの
間が浮いたり設置したりで共振音が出ます。
また当然のごとくアームダウンからの復帰時もコンッ!と金属音が鳴ってしまいます。
六角ナットで固定が終わればトレモロスプリングを少し締め込む必要があります。
アームダウンのテンション感を確認しながらスプリングテンションを上げます。

まぁ色々書きましたがアームアップを止める確実な方法は今のところこの手法になるのでしょうね。

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どっか金型起こして精度バッチリのこの類いのアイテム作らないかな?
もしくは精度の高い加工技術でステンレスで作るとか。

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例年なら汗ばむ陽気にもなるゴールデンウィークですが今年は少し寒いぐらいですね。
一度気温の上がった時期も有った為か最近ネック反りのお問い合わせが増えております。
ブリッジで弦高の変更を行っていないのに最近弦高が変わったかも?みたいに
感じられておりましたら6日以降にお問い合わせ下さい。
トラスロッド調整はご予約のうえご来店頂ければその場ですぐに作業致します。



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音楽活動再開準備!ヒスコレ3本フルメンテナンス編

 2022-04-16
まずはお知らせです。
来週土曜日23日は臨時休業とさせて頂きます。ご了承下さい。

さて、最近ご依頼の増えているフルメンテナンス。
まん防も明けて音楽活動の再開に向けての準備ですね。
聞くところによればライブハウスのブッキングも混雑しているらしい。
一時はライブハウスが諸悪の根源みたいな扱いだったので嬉しく思います。

今回はバンド活動再開の為のフルメンテナンス。
ヒスコレの56、57、エイジド59の3本フルメンテ作業編です。

当店のフルメンテナンスはお問い合わせの多い人気リペアメニューですが、
どんな作業? どんな道具やケミカル使って何してんの? どこまで作業するの?
のご紹介です。
ジャック交換など一部フルメンテナンス基本工賃外の作業も含まれておりますのでご注意下さい。
基本的に3本同じメンテナンス内容ですが個々の特徴の有る内容のピックアップになります。

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まずは56から。

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お預かり時の弦の劣化が著しく酷くない場合は軽くロッド調整してから
オクターブピッチを確認します。
下の画像の1&2弦の様に明らかにオクターブ合ってないな…みたいな場合は尚更です。
これは最終セットアップ時に張る弦になるべくダメージを与えない為です。
最終張る弦がコーティング弦であれば確実に事前に仮調整しています。

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この56のブリッジはワイヤレス(サドル押さえの針金の無い)ABR-1。
ワイヤレスABR-1の特徴としてサドル脱落防止の為にサドル取り付け部がかなりキツめ。
なのでオクターブ調整ビスを少し回すと…

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サドルをブリッジへ圧入?しているのか
ビスが曲がってしまっているのでサドルごと浮き上がってきます。

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サドル外して

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ビスを抜くとこんな感じ。
しかしこの曲がりを無理に修正するのは御法度です。
簡単に折れてしまいますので。

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ビス位置によってはサドルが浮き上がるのでワイヤレスABR-1のオクターブピッチ調整は
ある程度の妥協も必要だったりします。

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ピッチがきっちり合った2弦ですが残念ながらこの位置ではサドルが浮き上がって
しまっています。
この場合は近い位置でサドルがしっかり嵌まる所で妥協するしかありません。

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割と多いのが
「弦はまだ使える状態なのにオクターブピッチが合わない。ブリッジ・ナットの状態を
みてもらえますか?」なお問い合わせ。
特にコーティング弦を張られている方からのお問い合わせが多い。
サビていなくとも下の画像の様に巻き弦のコーティングが剥がれたり解れたりしていれば
既に弦としての生命は終わっています。
この状態では正常に振幅しないので。
したがってこの弦で行うオクターブピッチ調整はざっくり大まかな仮調整です。

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オクターブピッチの仮調整が終われば指板・フレットの研磨に入ります。
ピックガード外してピックアップ周り、ネック横、トグルスイッチ根元をマスキング。

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細かい番手のスチールウールで上下方向=弦と同じ方向に研磨。

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使用するスチールウールはボンスターの#0000。
ホームセンターなどでは見掛けない番手です。
手垢やホコリ、汚れの付着が酷い場合は#000で研磨してから#0000で仕上げます。

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なんだ。ただスチールウールで擦るだけか。これなら自宅でも出来るよね?
と、お考えになるかもしれません。
しかし細かい鉄粉が飛び散りますので防塵マスク、その鉄粉を除去する為の
シューターが必要です。
そして何よりも鉄粉を撒き散らしても問題の無い環境が必要です。

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研磨が終わると、

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ピックアップには鉄粉が付着します。
ちなみに今回の鉄粉はかなり少ない方です。
この鉄粉を吹き飛ばすにはコンプレッサーを使用したシューターが必要。
パソコン掃除用の缶ダスター等では圧倒的に力不足です。

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スチールウールでの研磨が終われば当て木にあてた銀磨きクロスでフレットを研磨、
そして指板用オイルを塗布します。

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オイルの染み込み待ちの間にP-90を外してみる。
P-90の固定ビスのビス穴周辺が割れていたりビス穴が拡がっていたりが多いので。
レギュラーラインのP-90やP-100の場合はビス受けのアンカーが抜けている事も多いです。

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ちなみにヒスコレP-90のカバーはビスの押さえ付ける圧力に負けているのか
元から成型が悪いのか横から見ると末広がり形状になっている。
ヒスコレはP-90底面とザグリ底面にスプリングを入れたりする様な余白は無いので
ぐいぐいビスを締め付けるとカバーにシワ寄せが来ます。
そしてそのカバー自体もレギュラーライン品に比べると肉厚が薄め。
カバーのビス穴周辺~ポールピース穴へかけて割れてしまっている物も珍しくありません。

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指板の余剰オイルを拭き取ったらボディー全体のクリーニング。
今回は丁寧に扱われているギターなので汚れもほとんど見当たらず。
なので家具用ワックスクリーナーで十分です。
汚れが酷い場合は本気ワックスを使います。

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ペグのギアボックス側面の油滲みが気になったので画像は無いですが
ペグ外してクリーニング。

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別に今回の様なメンテナンスでなくともギアボックス固定ビスに緩みが無いかは
普段からチェックしてみて下さい。

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今回は劣化はさほど酷くないものの、転ばぬ先の杖的に3本全てジャック交換。
プラグを刺して音の出る状態でプラグをグリグリ回転させて少しでもガリや接触不良が出るなら
交換をお勧めします。それほどにジャックのトラブルは多く、厄介な事に突然悪化する事も多いので。

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ノブ外してポットの緩み締め込む。

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あとは弦張って完成!

ではなく

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ナットの溝の中の汚れを掃除します。
デリリンナットなのでナイロンに薄く入ったキズの中に汚れが入り込んでいて簡単には
取れないので溝を切り直す感じのクリーニングです。

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このナット溝の汚れも弦交換の際にでもチェックしてみて下さい。
特に神経質になる必要はありませんが汚れが酷いと弦滑りに影響しますので。




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お客様お持ち込みのエリクサーを張ります。

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改めてロッド調整して

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弦高調整。
12F上から弦までの実測で調整します。
事前にご希望の弦高のニュアンスをお聞きしますし、お引き取り時に試奏して頂いてから
最終調整します。

これにて56の作業は終了です。

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お次は57。

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この57はワイヤード=針金有りのABR-1なのでワイヤレスの様な苦労は不要?と
思いきや、ワイヤードはワイヤレスとは逆にサドルとブリッジにアソビがあるので
ビスとサドルの噛み具合が緩いと特定ポジションを弾いたら共振音が出ます。

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なので噛み具合が緩いサドルは共振防止策を施します。
オクターブピッチを仮調整してサドルの位置が大体決まったらサドル前面、ビスの
根元にマジックで軽くマーキング。

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え?マジックで??
と思われるでしょうが防止策の施工が終わればアセトンで拭き取ってしまうので
問題ありません。

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サドルを外して分解。
ニッパーでサドルと噛み合う位置に僅かにキズを付けます。

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ほんの一部のビスを軽く崩す感じです。

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サドルを元に戻して終了。
この作業で一番難しいのはワイヤーの脱着だったりします。

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今回はペグ本体の汚れ、ヘッド裏面の汚れをワックス使ってクリーニング。

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最後にビス類の緩みチェック。
エンドピンやエスカッションビス、ジャックプレート、全てのビス類をチェックします。

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ポットの緩みは



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コントロールパネル開けてポット本体を押さえながら。

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トグルスイッチナットも同じ様に裏側からトグルスイッチを押さえながら。

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諸々調整して57完成!
一番時間が掛かるのは最終調整だったりしますけど。

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ラストは59エイジドです。

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この59もブリッジはワイヤレスなので
まずはオクターブの仮調整とサドルビスの曲がりチェックから。
特に酷い曲がりも無かったのでこの59はしっかりオクターブピッチ調整出来そうです。



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ちなみにABR-1の高さ調整。
せり上げワッシャーを回して調整しますが硬くて回りにくい物も多いですよね。
ラジオペンチや工具類で挟んで回してワッシャー側面にキズを付けてしまった物も
よく見ます。

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調整時は弦を緩める事も大切ではありますが少ししか回す必要の無い微調整の場合、
厚さ2ミリ程度のゴム板を

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せり上げワッシャーに当てて押し回すと意外に簡単に回せます。
これでも回らない場合は潔く弦をユルユルまで緩めて調整しましょう。
決して何かしらの工具で挟み回さないで下さい。

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さて、例の如くマスキングして指板&フレット研磨ですが、

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エイジドやヴィンテージなどウェザーチェックが入っていて塗装が剥がれる可能性が
ある場合はマスキングテープを貼る前にズボンをペタペタして粘着力を落とします。
そこまでしてもヤバそうな塗面のギターの時はピックアップ外してしまう事も有ります。

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ジャック交換。
2000年代前半以降の薄いジャックプレートはビスの締め付けトルクに要注意です。
強く締め付けるとジャックプレートの角が簡単に割れてしまいますので。
今回はお預かり時に既に1箇所割れてました。
プレイヤー指向が強く、実用性重視でこのジャックプレートが付いている場合は
見た目に拘らなければ金属製ジャックプレートへの交換をお勧めしています。



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ポットも締め付けてボディーもクリーニングして…

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ふと気になったのはピックアップ何かな?みたいな。
BB品番ステッカーが無かったので結局何か分かりませんでしたが

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ピックアップカバーのハンダ付けが雑なのが気に入らない。
過去にピックアップカバーを外した事があるのかもしれませんね。
アプライドステッカーが剥がれているのはその時か?

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なのでハンダ付けやり直しました。



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59完成!
やっぱかっちょいいね!!




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ようやくウィズコロナってこういう生活なのかな?なんて思える様にもなってきましたが
第7波なんて言葉も聞こえて来るのでまだまだ気は抜けませんね。


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狭いスペースにオリジナルジャックプレートを取付け 中華製ストランドバーグコピー品編

 2021-09-04
久し振りの更新になります。
リペアが多少混雑していたので中々ブログまで手が回りませんでした。

今回は以前作業したギターを再びお預かりしました。

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5月にブログアップした中華製ストランドバーグのコピーモデルです。


http://tonegarage.blog52.fc2.com/blog-entry-473.html
その時にダイレクトマウントジャックが固定されずに木工用ボンド?ホットグルー?か
何かで軽く接着されているだけだったのですが…

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お客様が使用しているとプラグを抜く際にジャック本体も一緒に抜けてしまったとの事。
まぁ当然の帰結ではあるのですが。
お客様ご自身でスイッチポットを設置したりと愛着を持たれているので何とかしてみます!
とは言ったものの数日は具体策が浮かびませんでした。



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まぁダイレクトマウントジャックは固定の方法、スペースが無いので諦めるしかない。
と、なるとジャックプレートを作ってマウントするしかない…




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この狭いスペースにジャックプレートを…




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イメージとしてはこんな感じか。



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とりあえずスイッチクラフトモノジャックとほぼ同寸の50円玉を置いてみる。




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その外周をえんぴつでなぞる。
…ジャック穴は何とかなるがジャックプレートの固定ビスのビス穴位置が超ギリギリになる予感。
しかもプレート設置予定場所の左側は平面ではなく湾曲している。

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まずはアクリル板でジャックプレートの治具を作ってみた。




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治具にジャックを付けると掘る深さが分かる。こりゃぁ結構大変だ…

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ボディー形状、ジャック箇所からして治具当ててルーターやトリマーで掘るってのは無理。
なので完全手作業汗ダク祭りの開催が決定!
まずは電ドラに少し手伝ってもらいます。



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ボディー外側は肉厚が薄いのでビットを当てる手に緊張が走る。

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プスプス穴を開けまくって下準備完了。




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ここからは地味な作業。

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ひたすら地味な作業。

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ある程度穴を拡大したら太めの丸棒ヤスリにチェンジ。



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丸棒ヤスリより太いモノが必要になり、適任なサイズは13ミリのソケットかと。
ソケット外周にペーパー貼ってゴシゴシと。




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ようやくジャックが入った時は大きな声で独り言つぶやくぐらい嬉しかったです。




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穴堀り作業終了!

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プラグを差して干渉が無いか確認。



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さ、プレート固定ビスのビス穴開けよ。っと思ったら電ドラがボディーに当たって
真っ直ぐ穴を開けられない…




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なのでピンバイスにビット付けて手作業で穴開け。
結構緊張する地味に大変な作業。



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ビットサイズを徐々に太くしていって

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ようやく完了!



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治具を元にしてアルミでジャックプレートを切削。

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取付けるとこんな感じ。
思いっきり深い安堵の溜め息が出た(笑)



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スイッチポットと干渉していないか確認。

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いやいや大変な作業でしたわ。
でもコレでジャックが抜ける事も無いしジャックの交換も普通に出来る。

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最初のメンテナンス時も含めれば結構難題だらけのギターでしたが
たぶんこれでしばらくは新たな問題は出ない(出て欲しくない)かと。
フレット浮きまくってたのが脳裏をかすめるけど…

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FERNANDES MV-95HT アクティブPUの位相違いはフェイズ合わせ出来ないんです編

 2021-06-12
久し振りに布袋モデルのネタで更新です。

当店はサスティナー関係の流れから布袋モデルの作業をお受けする事が多く、
ゆえに近年の中古品はコンディションの良い物の流通が少なくなってきた事を
実感しております。

今回はTE-95HTとMV-95HTをお預かり、メインの作業はMVです。
画像は完成時ですが、こうやって2本並べると見応えがありますね。

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MVは目立つ大きな打コン等のダメージが無い美品です。
元々生産期間が短く、生産本数もTEに比べると恐ろしく少ない。したがって中古の
流通在庫本数も少ないのでコンディションの良い物に出会うには運頼みでしかないかも
しれません。



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さて、時はお預かり時に戻ります。
お預かり時、ピックアップはフェルナンデス純正のアクティブピックアップ、
FGIテクノロジーが載ってはいましたが、フロントはロゴカラーが白、
リアは金文字でした。
白文字はFGIの最初期モデルになります。MV純正は金文字のはずなので
フロントは何かしらの理由で交換されているかと思われます。



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ところがこの白文字。金文字の組み合わせでは大きな問題があります。
白文字と金文字では同一メーカーの製品にもかかわらず、位相が異なります。
パッシブPUでは位相の異なる2個をミックスで鳴らした時、出力は下がりますが
音は出ます。←フェイズアウトの状態。
そしてどちらか一方のホットとアースを入れ替えて位相を合わせれば解決しますが、
アクティブの場合はコイルの後ろにプリアンプが有るので位相を変更する事が出来ません。
そしてミックスでは音が出なくなります。
したがって今回は白文字か金文字に統一する必要がありますがFGIは中古でしか入手出来ません。
なので今後安心して使用出来る様にEMGへ載せ替える事になりました。
ちなみに金文字以降の青文字、銀文字、サスティナー対応のFGIは金文字と同じ位相なので
同居可能です。




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まずは低いフレットを打ち換えです。
ネックには軽度ですが捻れの症状が見られたので指板修正をきっちり行います。

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時節柄指板修正時もトラスロッドを頻繁に調整するのですが、お預かり時より
ロッド調整ナットの動きが硬いのが気になっていました。
慎重にレンチを回してもクッ…クッ…クッ…ククゥ~~とある時点で突然大きく動くので
微調整が難しかったのです。



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なので先に手を打ちます。
調整用の六角ナットを外し、



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ロッドのネジ切り部に粘度の高いシリコングリスを塗ります。

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塗るのはネジ切りの上部だけ。
下面や六角ナット底面にはナットを締め込めば馴染むので。
ちなみにサビや汚れが酷い場合は除去してからグリスを塗ります。



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六角ナットを締め込みます。



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ウソみたいに軽く動く様になりました!
実は普段からネック調整の際に必要であればロッドのナットが外せる構造の場合は
この作業を行っています。




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ようやく指板修正も完了間近になって記録的に早い梅雨入り。
一週間雨続きになったのでケースに仕舞い、布団圧縮袋に入れて湿度をシャットアウトして
天候(湿度)回復待ちになりました…



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ネックが外れない=ボディー側のみの作業を進める事が出来ないので
先に取付けるスムーズポットを製作します。取付けるEMGのピックアップは新品なので
ポットが付属してきますがスムーズな回転トルクを得るべくCTSを改造します。
MVで使用するのは2個ですが同時にお預かりしているTEも交換するので4個です。



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ようやく雨続きが治まったので指板修正の仕上げを行いフレット打ち。
フレットはJESCAR#55090。

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すり合わせやフレット端の面取りも終わり指板にオイル入れて一段落一安心。

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ボディー側の作業に取り掛かります。
まずはCTS用にポット穴を拡大。



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ピックアップザグリ2箇所、コントロールザグリに導電塗料を塗布。
各ザグリを優先で結線。

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配線作業完了。
電池はスペースが十分に有るのでバッテリークリップを取付けてしっかり固定。




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パネル裏にもアルミテープを貼って完成。



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TEのポット交換も完了。
TE純正のふにゃふにゃバッテリースナップをEMG付属のしっかりした物へ交換。
こちらは電池クリップを付けるスペースが無いので後ほどウレタンシートを敷いて
電池と配線部を絶縁。
ついでにジャックもEMG付属のノイトリック製へ交換。



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EMGはフロントが85、リア81の2ハムでは定番の組み合わせ。
これにてボディー側の作業完了。

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ナットの製作に取り掛かります。
今回使用するのは本カーボンナット。
近年のTEJデラックスに付いていますね。
純正のジュラコン製よりも硬度が高いので高域のヌケが良くなります。
そして何より格好いいです。高級感出ます。



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ナット上面は積層面になります。
上面がカーボン格子柄なら更にカッチョイィのに。

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ナット完成!

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弾く姿勢で構えた時に格子柄見えたらちょっとテンション上がりませんか?



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時間掛けてセッティング出しも終了。
しっかり鳴りの出るギターに仕上がりました!

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そう言えばこの頃のフェルナンデスはフェル社オリジナルのロックピンが採用されている
モデルが多く、このMVは埋め込み式になっています。
同ロックピンはベースでもよく採用されていたと記憶しています。



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中古ではストラップ側が欠品している事が多いのですが、
今回のMVはしっかり付属していました。
ちなみに欠品の場合はジムダンロップのロックピン、ストラップ側がとりあえずは代用可能です。
とりあえずと書いたのは製品誤差でロックの掛かりが甘い組み合わせも見た事があるので。
ダンロップがしっかりロック出来ていない場合はロックピン一式の交換をお勧めします。

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相変わらず人気の高い布袋モデル。
そして布袋、HIDE、SUGIZO、TAK松本…
跡継ぎとなるカリスマ性を持った=爆発的にシグネイチャーモデルの売れる様な
ギターヒーローは未だ現れず。

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FLOYD ROSE 知らぬ間に劣化しているアームハウジングの交換編

 2021-05-29
今回はフロイドローズのアームハウジング=アームバー差し込み口の交換編です。

以前にもハウジング交換でブログを書いた事がある様な記憶がありますが、
ちょうどこのブログを書く数日前にも
「フロイドのアームがサムナットを締め込んでもスカスカに動くので何か詰め物した方が良いですか?」
みたいなお問い合わせを頂いたので改めてアームハウジングの交換で更新します。

尚、現在フロイド純正はプッシュインタイプやアーム差し込み部先端が六角レンチになったターボアームが
販売されていますが、オーソドックスな差し込み&サムナット締め込み式でのブログアップです。
ターボは同じ構造ではありますが。

作業するのは数年前にフレット交換させて頂いたN4です。
少しフレットが減ってきたのでフレットのすり合わせ作業をご依頼頂きました。
すり合わせ作業の分解時には「ん?アーム締め込みのサムナットが妙に硬い=動きが渋いな…」
ぐらいの違和感でした。

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が、無事にすり合わせも完了し、お客様引き取り前に最終セットアップしてると
ハウジング=アーム差し込み口にクラックが発生しているのを確認。
少し工具でこじればクラックは簡単に傷口を開きました。↓画像。
ハウジング自体も薄らサビているので相応に劣化していたのでしょう。
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こうなれば残念ながらハウジングを交換するしかありません。
お客様へご報告のうえハウジング交換を作業します。
ちなみにクラックが発生していなくとも、アームバー根元のサムナットをしっかり締め付けても
アームバーがスカスカ動く場合もハウジングの劣化、摩耗が原因なので、対応策としては
ハウジングの交換になります。何かしらの詰め物等では改善出来ません。
下記の作業でハウジングが簡単に外れる状況ならギター本体からフロイドの脱着は必須ではありませんが
このN4はトレモロスプリングキャビティーからハウジング裏面にアクセス出来ないので外しております。
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まずはハウジング頭の六角ビスを取り外し。
ロックナットやストリングロック時に使用する3ミリ六角レンチで緩めます。
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スクリューとワッシャーが外れます。
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次にワッシャー下の筒状のパーツ、スリーブを抜き取ります。
ここまでは劣化やサビの酷い物でなければスムーズに作業出来るはずです。
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ハウジング本体をトレモロのベースプレートから押し出して外しますが、フロイドの時期、
ライセンス生産品等によってはハウジングが簡単に抜けない場合があります。
その場合はトレモロ表面側のハウジング上下に当て木等を当てて、トレモロ裏面側、
ハウジングの底面をプラハンマーで軽く叩いて押し出します。
稀にトレモロベースプレートとハウジングの接合部にミシン油を流し込まなければならないほど
硬く固着していてハウジング抜き出しに苦労する場合もあります。
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新しいハウジングを取付ける前に清掃。
入り組んだ形状箇所の多いフロイドの掃除には赤ちゃん綿棒がオススメです。
綿の部分の硬さと柔軟性、芯棒の硬さ、ダイソーのベビー用綿棒が個人的にはベスト。
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ご存じの方も多いかとは思いますが、フロイドの純正アームバーを購入すると
ハウジングも付属してきます。
何かしらの事情で新品アームバーを使用する場合はハウジングも交換してね?的な
メーカーメッセージでしょうか。
それだけ定期的?に交換が推奨されているのかもしれません。










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もちろんハウジングのみの購入も可能です。
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分解時とは逆の手順で組み付け。
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ボディーにマウントしてセットアップ。
Dチューナーはお客様がDIYで取付けられています。
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アームバーは元からの物ですが、今回の様にハウジングのみ交換でも
アームバーは任意の位置で止まる様になります。
もちろんサムナットを緩めればプランプランの状態にも出来ます。n13_20210529113136ff8.jpg


今回はハウジングのクラックに気付くのが遅れ、お客様にはご迷惑をお掛けしてしまいました。
今後、そこそこ使い込まれたフロイドを扱う際にはハウジングのコンディションチェックを欠かさない様にしようかと。




さて、緊急事態宣言も再延長と同じぐらいに当店的に参ったのが記録的に早い梅雨入りです。
フレット交換(指板修正)など湿度の影響を受けたくない作業は雨続きの1週間は中断とし、
作業段取りも組み直しになりました。
と、同時にネック反り=ロッド調整のご依頼、お問い合わせが急激に増えてきております。
本格的な梅雨、湿度上昇はまだ先でしょうが何もセッティングを変えていないのに弦高が変化したなら
ネック反りのサインです。今一度愛機のネックコンディションのご確認を。







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AIRCRAFT HSHレイアウトの配線変更で汎用性を拡げる編

 2021-05-11
今回は久々にAIRCRAFTネタで更新です。

最近はリイシュー版のエアクラも出ている様ですが、当店で作業をご依頼頂くのは
ほぼ全て往年のエアクラです。

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画像は作業完了時の物になります。
と言うのも元々のご依頼は他店で作業された電気系の手直し的な内容でしたが、
アース線の種類?に拘ったとされる配線はハンダ付けが甘く、お客様と打ち合わせ中に
軽く指で引っ張ったらプチッとハンダごと取れてしまいました。
おそらく当ブログ内の画像を見ても作業された他店の方は自分の作業だと気付くはずなので
敢えて作業前画像は載せません。

ピックアップがフロント・リア共にリア用=FスペースのDIMARZIOトーンゾーンが
載っていたりと意味不明なスペックでしたのでお客様のプレイスタイル、
演奏ジャンル(=少し古めのフュージョン系)をお聞きし、他店で既に高額?な工賃を出費されているので
なるべく費用を抑えつつ実用性、汎用性の高いピックアップ選択としました。
フロントはダンカン59=SH-1の4芯仕様、センターは無難にSSL-1、リアはド定番TB-4です。
ボディーは既にリフィニッシュされている様です。




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費用を抑えつつとは言えピックアップ3個まで交換するのでしっかり組み上げたい。
なのでトーン兼用のスイッチポット以外の電装系は全て交換しました。

お客様のご希望は5WAYレバースイッチでピックアップセレクト、スイッチポットで
フロントとリアのコイルタップとシンプルな内容でしたが、フュージョン系なら
歪ませるだけではなくクリーントーンでのカッティングサウンドも重要なので
一策を講じさせて頂きました。(まぁ今までも何件かやってる配線なんですけど)

基本はハーフトーン時にフロント・リアが自動的にコイルタップになるVAI配線です。
それにスイッチポットでフロント・リアが単体時でもタップになる仕様です。
DIY派の常連様への説明として(笑)、レバースイッチの1回路はハム出力、センター出力を制御、
そしてマスター端子をボリュームポットへ。←1回路目はごく普通の配線。
2回路目はフロント・リアのタップ結線を各端子へ、センター端子をアースへ短絡。
2回路目のマスター出力をスイッチポットのスイッチマスターへ、スイッチポット
ノブをアップ時導通端子をアースへ短絡です。
つまり2回路目のマスター端子はフロント・リア個別選択時に各タップ線へ繋がっているので
スイッチポットへマスター線を1本送るだけでタップ制御が可能になります。

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これでVAI配線では出来ないフロントタップ、センター、リアタップの擬似3シングル
としても機能します。フュージョン系ならクリーントーンでのストラトライクな
尖った高域も使うと思うので汎用性は上がるかと。
結果としては狙い通りのサウンドバリエーションになりました。

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お客様お持ち込みのオレンジドロップはボディー座繰りと干渉するので少しアクロバティックな
取付けになりました。スイッチポットのハンダ付けは他店作業のハンダを補強して流用です。
少し見難いですがオレンジドロップの足は収縮チューブで他部との接触を絶縁しています。

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ところで話は逸れるのですが、最近のインチ・ミリ共用レバースイッチノブが少し
使い難いのです…

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インチサイズの溝は問題無くCRLに合うのですがミリ側がVLXにはかなりキツめ。
スイッチ壊れんちゃう?ってぐらいグリグリ押し込まないと入りません。
ひょっとしてVLXのシャフトが太く=厚くなった??なんて思ったので
少し古いIbanez純正採用(現在は廃版との事)のVLX91に刺してみましたがやはりキツい。
更に在庫していたノブに問題有り?なんて思ったので最近作業したEMG付属版の
インチ・ミリ共用ノブで試すも結果は同じ。←そりゃそうだ。たぶん同じ物なんだし。
なんだかねぇ…しばらくVLXにはミリ専用ノブを付ける事にしようかと。

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と、まぁ文章多めのブログになってしまいましたが配線レイアウトを工夫する事で
HSH1本で色んなジャンルへ対応出来る便利アイテムにもなりますよ!ってな話でした。



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大阪は緊急事態宣言が延長となりました。(5月末解除も無理じゃね?と思ってる)
当店は通常営業(そもそもご来店は予約制ですし)しております。
ご来店の際はマスク着用でお願いします。(←もはや当たり前なので書くのもバカらしい。)

コロナ禍において当店を含め楽器業界もかなり苦しい状況が続いています。
当店も常連様、リピーター様に助けて頂いております。
今回のお客様は最初に作業依頼した他店へはもう行かないでしょう。
コロナ禍云々は関係無しに我々技術系の仕事は結果が全てです。
スキルが無いなら仕方ないですが、(いや、アカンやろ。)
いい加減な仕事してると命取りになるかと思うのですが…


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ヘッドレスが流行ってる?のは当店だけ?? HOHNER G2T ストランドバーグ…のコピー商品編

 2021-05-01
いよいよGW突入ですね。去年と同じくつまんねぇGWですが…

先に申し上げておきます。今回のブログは長いです。
GWの暇つぶしにでもお読み頂ければ幸いです。

去年の秋頃から何故かヘッドレス系の作業依頼が増えております。
ヘッドレスのメリットと言えば一番は持ち運びに便利なコンパクトさでしょうか。
この状況下で持ち運びのメリットが活かされるのかは謎なのですが…
数人にお聞きしたところでは自粛ストレス⇒ネットショッピングで今までとは違う
ジャンルのギターをポチッてしまったとか。←それなら理解出来ますね!

そんな中で比較的最近作業した2本をご紹介。

まずはHOHNER G2T。
懐かしいです!自身も過去に所有した事が有ったので。

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ご依頼頂いたのはジャンボフレット(JESCAR #57110)への交換、トレモロの完全固定です。
まずは指板修正。

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今回の様にナット代わりの0フレットが有る場合、0Fは1F以降より一回り太い=山が高い
フレットを打ちます。(モズライト、オールドのグレッチ等の同サイズフレットがお約束の場合は除く)
0FにはJESCAR#58118を打ちました。

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フレット周りの作業完了。

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0Fが少し太くて高いのがお分かり頂けますでしょうか?

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さて、ここからが難題です。

トレモロの動作不安定のためトレモロの完全固定。
自分も所有していたのでよく分かるのですがトレモロがそれほど硬い金属で出来てはいないので
使用による摩耗や経年劣化で色んな所にガタが出て来ます。
まずはトレモロスプリングを締め付けるテンション調整ビス。
ビス自体も摩耗でネジ山が削れ、本体側の受けネジもかなりネジ山が崩れています。
ビスはステンレス製のM4で近い長さの物をグラインダーで削って交換、
本体受側はとりあえずM4のタップでネジ山を整えてはみましたが…

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やはりスプリングテンションに負けてテンションビスがきっちり止まりせん。
滑って抜けてきてしまいます。

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なので奥の手です。

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スピードナットを挟み込んで受けネジの補強!
これでテンションビスもきっちり機能する様になりました。

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次にトレモロ完全固定ですが…
当初は元から付いているトレモロのロック機構を何とか補強してみるつもりでしたが
やはり摩耗と劣化できっちり機能しません。

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で、よくやるパターン、ありがちアイデアでアルミの角材を挟み込んでみるも…

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アームアップ方向への動きは止められますがアームダウン方向にはスプリングテンション不足で
固定が効きません。
画像はありませんがトレモロ本体側のスプリング受け部にクラックが入っているのでスプリングの
テンションを上げるわけにはいきません。

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しばし新たな解決策を考えましたが
やはり物理的に強制固定するしか無いと結論。
トレモロ裏面のビスを利用してL字のABS樹脂を固定。

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何故ABS樹脂を使うかと言えばトレモロ面=ボディー表面と後側面が直角ではない
ので固定具をある程度その角度に馴染ませる必要があるので。
本当は金属のL字アングルが確実でしょうけど角度が微調整出来て強度も確保出来る
のはABSしか思いつきませんでした。

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ガッツリ固定完了!
まぁ見た目は少しアレですけどチューニングキープの機能性重視で。

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こうして最大の難点はクリアーしましたが他にも気になるところが。
これはホーナーだけではなく本家スタインバーガーの古い物でもたまに見られる症状ですが
ダブルボールエンドではなく通常弦を使用可能にするストリングアダプターの固定ピン折れ。

今回は片側が折れていたので元ピン位置にボール盤で穴を開けて真鍮棒を埋め込みました。

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受け側のピン穴も整えて完了。

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このG2T、電気系は以前作業させて頂いたのでこれにてコンプリートです。

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さて、お次は難題山積みスペシャル(笑)です。
ストランドバーグ、の 中華製コピーモデル。
日本国内ではあまり見掛けませんが海外通販サイトではメジャーみたいですね。
今回のお客様も海外通販で購入されたそうです。
聞くところによればDIY組み立て用のキットでも販売されているそうで。

作業コンセプトは「とりあえず普通に弾けるように」。
購入されてから「ダメだ…こりゃ…」状態でほぼ使用していない状態でお預かり。

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このブリッジに驚き、そして悩まされる…詳細は後ほど。

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サドルのイモネジで各弦の弦高調整可能。
そしてサドルの回転による弦乗り位置のズレも防止する構造。
中々理にかなった構造だと思う。

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ストランドバーグ同様にかなり細いインチサイズのレンチが付属。
が、レンチも弦高調整イモネジも精度はイマイチだ(笑)

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6弦のイモネジ1個に至ってはレンチ穴さえちゃんと空いていない…
他にも1個レンチ穴が崩れてきっちりレンチが入らない物も有る。

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続いてトレモロスプリングキャビティー。
落とし込みのザグリが雑。
そして右下のネジ穴は土台が無いのでネジが効いていない状態。

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ヘッド先の弦ロック機構。基本的にはストランドバーグと同じシステム。

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ストランドバーグはステンレスの薄い板だったがこちらは厚みのあるアルミ製。
弦とロックスクリューとの関係も異なる。←後述。

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まずはネックから着工。
フレット浮き多数。音詰まりアリ。
そして12F上で2ミリ以上の鬼高弦高も何とかしなければ。

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フレットタング横のスロットが埋め切れていない。

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フレットの側面も浮きが有り、エッジが立っているので手当たりが痛い。

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そして意味不明の打コン(笑)

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けちょんけちょんに書いてはいますが何とか使える様に出来る限り作業します!
まずはフレット下の問題点を全て樹脂で埋めてからすり合わせ作業。

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すり合わせ作業の途中でエッジは1本1本丸めます。

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かなり大変でしたが(いっそ打ち換えた方がラク?)何とかフレット周りの作業完了。

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続いて電気系。
クロスワイヤー使ったりと中々に気遣っている様に見えてアース線は剥き出し。

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タップ線の絶縁はまさかのビニールテープ!
ま、いいや。後で作業しよ…と、思いつつ

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先にトレモロパネルのビス穴に取り掛かる。

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とりあえず埋め木。

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新たな壁になる丸棒を貼り付けて整形、ビス穴を開ける。

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と、なると全て斜めに空いている他のビス穴も気になってくる。
気付けば全て埋め木していた…

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パネルに合わせて正確なビス穴の位置出し。

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ここまでしてると同じくビスが斜めに入っているコントロール部も許せなくなってくる。

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どーせ電気系もやり直すんだろ?
えーい全部外してしまえ!と真っ裸にする。(当初ここまでやるつもりは無かった)

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唯一の救いはジャックの配線が手で引っ張っただけでポロッと外れた事だろうか…
(何の救いでもない)
と言うかこのダイレクトマウントジャック、どうやって止まってんの??

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接着されてました!(驚)
ジャック壊れたらどうしよう…

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せっかくのクロスワイヤーですが…

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ハンダ付けが「天ぷら」になっているのでやり直し。
どうやら芯線が素材的に脆い様で簡単に折れ切れしたので線材も変えちゃいます。

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電気周り完了。
ジャックへのハンダ付けは
「あー…歯医者さんってこんな角度で作業してたよね…」みたいなアクロバティックな
ハンダ付けでした。

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トーンのコンデンサーがアクティブ用の104なのはここだけの話し。
(ちゃんとお客様にご報告しました)
ポットは500kΩだったのはぎりぎりセーフか?←いや、アウトだろ…

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ピックアップの足が曲がっていたのもここだけの話し。
(ちゃんと直してから付けました)

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12F上で2ミリの鬼弦高を解決すべくネックジョイントにシムを挟み込んで
ネック角を変更します。

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さて、ようやく弦が張れるところまできましたがココでストランドバーグと大きな違いが。

本家ストランドバーグはブロックをネックに固定しているビスの頭が弦で押し潰されない様に
円盤が入り、つまりネック側からではビスー円盤ー弦ーロックスクリューの順でしたが
これはビスー弦ー円盤ーロックスクリューの順の様です。
円盤にロックスクリューが当たった跡がありますので。
と、言うかブロック自体がその順で無ければ弦が通せない寸法になっております(笑)

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ようやく弦高のセッティングが完了。
六角穴が空いてなくて調整出来ないイモネジやレンチ穴の形状不良で同じく調整出来ない
イモネジはサドル高がブリッジにベタ付けで構わない1弦へ移植。
汎用サイズのイモネジが適合するなら本音は全部交換したいのだが。

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弦高が決まったところでサドルのイモネジを軽く固定する。

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もちろん直塗りではなく3弦の切れ端を使って慎重に少しだけ。

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で、ようやくこのブリッジの凄いところを紹介出来る!
お預かりして最初にチューニングキーを回した時に「軽っ!」と驚いた。
これまで触った事のある全てのヘッドレスギターのチューニングキーの中で間違いなく一番軽い!
何でだろ?とは思っていたがこの段階で分解して感心した。

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よく見るチューニングキー根元にはナイロン、テフロン系ワッシャーが数枚
挟まれているだけだが何とベアリング付きワッシャーが挟まれていた!!
スゲェよ。他のメーカーも真似しようよ。



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いよいよ本格的なセットアップに入る。
何故か09-42のゲージ、レギュラーチューニング、新品のGOTOHトレモロスプリング、
しかもハの字掛けでスプリングハンガーが壁面に当たるぐらい締め付ける必要がある。

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仕方ないのでパワースプリングを発注。

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パワースプリングだと普通の位置に収まった。

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トレモロパネルに空いた不要な弦通しスリットごときではもはや驚かない。


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コレはオーナー様へのアドバイス的に書きます。
弦交換の際、弦を抜いたら円盤プレートが非常に取りにくい。
なので2.5ミリの六角レンチに両面テープをクリクリ貼って引っ付けて円盤を取り出す。
両面テープを巻いてで丁度良いサイズが2.5ミリだった。

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ところが弦をロックする六角レンチも2.5ミリなので思わず「あっ…」って声が出た(笑)

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ようやく完成!
驚きの連続なギターだった。
極めつけは3弦サドルが一番後端でもオクターブが合わない。
でも今更驚くだけのメンタルは残っていなかった。

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でもベアリングリングの入った構造、他の部分の精度は色々難アリなのにアーミング時
スムーズに動くスタッドとブリッジの兼ね合い精度が異常に高い事。
そして弦を通してから締め付ける弦ロックとサドル内から弦通しスリーブ抜け防止の
2役をこなすイモネジ、本当にアイデアは素晴らしいと思う。
この構造でそれなりの精度を出すメーカーが製造したら最強のヘッドレス用ブリッジだろう。

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いいですか、皆さん。
GWヒマなのは分かります。
何気にネット見ててポチリたくなるのも分かります。
マルチスケールに本家ほどの金額を投資するリスクを悩むのも分かります。
でもこの類いをポチるならそれ相当の覚悟が必要です(笑)
値段相応と割り切れる寛容な心を持ってポチりましょう。


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素のテレキャスターに新たなサウンドバリエーションを追加してみた編

 2021-04-03
今回は所謂王道のテレキャスター、FENDERヴィンテージシリーズ⇒ビンテレを作業させて頂きました。

いつも通りフレット交換から電気系までの徹底的シリーズです。

いつもと違うのはお客様からの発案で色々と工夫を加えております。

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フレット交換はいつも通りの作業なので割愛。

ピックアップは純正のリアが断線していたのでお客様お持ち込みの’51NoCaster フロント&リアへ
載せ替え。
この’51NoCasterセット、中々に面白いピックアップです。
普通のフロント&リアセットではセオリー通り、フロントよりもリアが出力高めで
テレの場合はフロントが小型のシングルコイルなのでリアに比べて音圧がガクッと
下がるのですが、この’51は逆。フロントの方がリアよりも直流抵抗値が少し高い。
つまりフロント時の音圧が下がりません。抵抗値の設定が絶妙なのかフロント⇔リアの
切り替えで出力的な違和感がほとんど無い。
音質的にはヴィンテージ路線ですが高域も味付けが抑え気味で嫌味が無くて良い感じです。


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更にお客様お持ち込みでカラハムのピッチ補正ブラスサドルを搭載。
ピッチの補正はほぼ完璧でした。フレットが打ちたてで摩耗していないってのもありますが。

テレのピッチ補正サドルとしてはGOTOHのIn-Tuneサドルが人気ですが、同じブラス素材として
音質を比較したならカラハムの方がブラスっぽいと言うか…「音のツヤ感」と芯の太さが
ゴトーよりも強く感じました。カラハムの方がゴトーよりも少し重い=カットされた部分が少ない
=質量が大きい、のでブラス色が強いサウンドキャラクターになるのかもしれませんね。
もちろん音質は好みの問題でもあるのでカラハム、ゴトーのどちらが良い悪いって話では
ないのですが。

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画像はありませんがサドル底面にE&A、D&G、B&Eと表示があるので説明書等は
付属していませんが取り付けは簡単です。

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さて、今回はお客様の発案で、トーンポットをスイッチポット化、
フロントPU&リアPUのシリーズ配線スイッチを取り付けました。
(配線考えるの結構大変でした…)
スイッチポットがダウン=通常の状態ではパラレル(並列)=ノーマルテレキャスター。

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アップの状態でフロント&リアがシリーズ=直列配線になります。
シリパラスイッチと言えばハムバッカーPU単体内でコイルの接続をシリパラ切り替えが
一般的なのかもしれませんがフロントとリアほどの距離が開いたシングルコイル同士を、
しかもテレでシリーズ配線したのは個人的に初めてです。
ハムバッカーのシリーズ配線は正直あんまり実用的と感じた事が有りませんでしたが
今回のテレはかなり面白い音色に思います。
表現が難しいのですがノーマル時のハーフトーンとは違い、リアの音色にフロントの
拡がりある低域が足された感じ。フロント&リアではなくフロント+リアな感じ。
「こう言う音作りでこんなプレイ向け」と明確な答えはありませんがテレキャスターの
新たな一面と言えるサウンドが出ます。

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テレキャスターはシングルコイル2個とかなりシンプルな構造ゆえにサウンドバリエーションは
限られていますがルックスを変えずに新たな表情を与えるとなれば今回のシリパラスイッチは
一つのアイデアとしてアリなのかもしれない。
ただしシリパラスイッチが機能するのはレバースイッチがフロントかリアの時で
ハーフトーン時は配線経路が強制的にパラレルになりますのでシリーズスイッチを入れても
アースまで回路が成立しているリアのみの出力となります。
4回路のレバースイッチを使って知恵熱が出るまで回路考えたら解決出来るのかな?(笑)

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ロック式トレモロの指板R追従性向上作業 FENDER JAPAN 春畑道哉モデル編

 2021-03-20

重ね重ねでのお知らせですが、来週土曜日27日は臨時休業とさせて頂きます。

さて、先日シャーラー製トレモロ、ロックマイスターのマイナーチェンジ版についてブログを
書きましたが今回もトレモロネタです。

お預かりしたのはFENDER JAPAN SERIES の春畑道哉モデル。

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メインの作業はペグの交換。
弦交換の手間を軽減すべくGOTOH MG-Tペグへの交換です。
元のFキーペグのビス穴は勿論埋め木。

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ペグ交換が終わり組み込み。
トラスロッド調整も行い演奏性を狙ったセッティング作業に入ります。

ところがトレモロの高さ=弦高設定で問題発生。

ギターの指板のRは250Rですが搭載されているGOTOH GE1996Tトレモロの
サドルのR設定は350R。
つまり指板とトレモロのRが合わず、1弦&6弦をベストな高さに設定すると
2~5弦が低すぎる。言うまでも無く2~5弦を適正な高さにすると1弦6弦が高すぎる。
ソロイスト系ギターとしてはココは非常に重要なのですが。

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なのでフロイドローズ用サドルスペーサーを使ってトレモロのRを指板のRへ近付けます。
ゴトーの純正スペーサーも販売されていますが、厚みが0.2ミリ1種類なのと
ブラス製なので色が金色なので。
使う機会の多いフロイド用は0.3ミリ、0.2ミリを常時在庫しております。

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この通りフロイド用でも使用可能です。
ちなみにサドルとスペーサーは極薄両面テープを一部だけに貼ってで固定しています。
オクターブ調整の度にズレると面倒なので。

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分かり難いけど組み込んだ状態。
今回は2弦&5弦に0.2ミリ、3弦&4弦に0.3ミリを入れました。
2弦は0.2か0.3か悩んだのでスペーサーを付け替えながら何度もテスト。
12フレット上での弦高計測数値なら0.3ミリなのだが弾くと微妙な高さを感じた。
数値よりも演奏性が重要なので0.2ミリで決着。
上記のスペーサー厚はフレットの摩耗具合等で変わりますので絶対数値ではありません。

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トレモロのサドルRほどセッティングへの影響は出ませんがロックナットも何とかしたいところ。
搭載されているGOTOH FGR-1のRは360R。
フロイドローズ(シャーラー含む)のR2なら設定Rは254Rなのでベストマッチかと。

ちなみにカスタムショップ製春畑モデルはフロイドローズが搭載されているので
今回の様な作業は基本的に不要です。指板Rは9.5インチ=240R の様ですが。
何故ならフロイドローズ(シャーラー)の設定Rは305Rなので今回ほどの違和感は出ないかと。
ロックナットも上記のR2が搭載されている様ですし。

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ちなみに普段春畑モデルで一番多いリペア内容はスイッチポットの交換です。
フロントPUを強制ONにする機能がプッシュ/プッシュ=プッシュロックの
スイッチポットで搭載されていますがプッシュ/プッシュは故障が多いので。
今回もプッシュロックが効かない症状が出ていたので交換です。
お客様はフロント強制ONを使わないとの事でしたのでCTS使って普通のトーンにしました。
そう言えば真ん中のセンター専用ボリュームも
「これ何ですかね?フロントトーンでは無さそうなのですが…」と聞かれた事も有ったな。

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やはりソロイスト系ギターは演奏性有りきでセットアップすべきだと思う。
本家カスタムショップの廉価版な位置付け故にGOTOH GE1996Tを選択するのは
納得出来るがそれならそれに見合ったセットアップをして欲しい。面倒だけど(笑)
でもフェンジャパと言っても安くないギターなんですよ。これ。

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今回の春畑モデルはほんの一例で、ゴトー、フロイド問わずにトレモロのサドル高調整依頼は
結構多いです。
先にも書きましたがフロイド純正スペーサーは常備しておりますので何かしらの違和感を感じられている
方はご相談下さい。
尚、地味に時間の掛かる作業ですのでクイックリペアでの作業はご勘弁願います。




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FLOYDROSE Schaller ロックマイスタートレモロのマイナーチェンジ新型編

 2021-03-06
今回は密かにマイナーチェンジしていたフロイド系トレモロについて書いてみます。

まずフロイドローズ正規輸入元であるESPは2月15日の時点で下記のインフォメーションを告知していました。
これを書いている本日=3月6日の時点でシャーラーからは何も発表はありません。
今回のブログを読み進める前に必ず下記リンク先内容を確認して下さい。
https://espguitars.co.jp/information/19310/
リンク先ではマイナーチェンジ後をVer.2と表記していますが、本ブログ内では文字変換が面倒なので
新型と表現します。

価格変更は時代の流れ?なので仕方ないのかもしれませんが、それよりもヤヴァイのが
マイナーチェンジによる仕様変更です。

そんなタイミングでトレモロ載せ替えのご依頼を頂き、フロイドはもちろん、
シャーラーのロックマイスターを探しますが手配にかなり苦労しました。(特にブラックは在庫が無かった)
マイナーチェンジによる製品入れ替えとコロナによる入荷遅延のタイミングが重なってしまっていたのかも。

ようやく手配出来たSchaller ロックマイスターが入荷したら驚いた。
シャーラーは何もインフォしていないのに新型だった!
そりゃそうだよな。製造元なんだから。



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ESPの告知通りサドルのインサートブロック挿入部の角が丸くなっている。

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サドル裏面、従来型はインサートブロック挿入部の裏面にブラス製のフタが圧入されていたが
新型は一体型でフタが無い。これは歓迎すべき変更かな。フタが気付かぬうちに取れて紛失、
インサートブロックがサドル底面より下にスポッと落ちる事が無くなったので。




インサートブロックは従来型から変更は無いのだが…

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インサート挿入部のアップ。
角の丸くなったサドル内面に角が立ったインサートブロックを押し付けて弦をロックする…
案の定、このロックマイスターは09の1弦がしっかりロック出来ませんでした。
なので仕入れ元に連絡し、交換サドルを手配して頂きました。
交換品ではとりあえず09でもロック出来ました。
サドル内部の製造精度、ブロックとの相性でしょうね。
後日判明しましたがSchaller社はこの原因に何かしら心当たりが有る様です…
詳細は不明ですが今後の改善に期待しています。

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と、ここまでの内容は「マイナーチェンジ直後あるある」な内容でしたが
ここからが重要です。

まず、従来型よりもインサートブロックが抜けやすくなってしまった感じです。
つまり弦交換の際にブロック紛失のリスクが高まっています。
弦を外したらロックスクリューを軽く締める事を習慣付けましょう。
ESPの告知先の画像でもそう見えるがサドルのブロック挿入部の横幅は少し広くなっている
様に感じる。従来型が手元に無かったのでサイズ実測での比較は出来ていませんが。

フロイド純正従来型の交換用インサートブロックを入れてみた。
両横に結構隙間が有る。

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今度はKTSのTiブロック従来型フロイド用。
純正よりは隙間が少ない?かも??
でも現物比較でインサートの角がしっかり立っている=精度が高いのはKTS。
つまり1弦09でしっかりロック出来るのか?って不安がよぎる。
よぎった割には実際に弦を入れてテストするのを忘れた(笑)
いや、最近少しバタバタしてたもんで。すみません。

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さて、これから一番重要かもしれない事を書きます。
ESP告知先に分かり易い画像がありますが新型はサドルの高さ(弦の当たるポイント)
変更→低くなっています。
1&6弦用が0.34ミリ、2&5弦用が0.26ミリ、3&4弦用が0.14ミリ
低くなっています。
つまり従来型と混ぜて使うとセッティングに影響が出ます。
「あー手がよく当たる6弦のサドル結構サビちゃったなー。6弦のサドルだけ換えよ-」
ってのが出来なくなりました。お金貯めて6つ全部新型にしてねっ♪って事でしょうか。
安いパーツじゃないですが。しかも今回の値上げ幅結構デカいし。

各セクションごとに低くなる幅が異なるのはネックの指板Rへの追従性の向上が目的でしょうけど…
なら何で3&4弦も低くしたの?って思う。
近年は見る機会が減りましたがフロイド&シャーラーがデフォルト搭載ギターで
ピッチシフトキャビティー無し=ボディー上面ベタ付けの場合は新型サドル6個へ交換すると
弦高が低くなるので注意が必要ですね。

ベースプレート側の2~5弦部には厚さ0.3ミリのステンレス製スペーサーが敷かれて
いました。
載せ替えたギターは指板Rが400Rでしたがこのスペーサーで丁度良い感じでした。
350Rや280Rだと追加のスペーサー=ESP販売のサドル個体用スペーサーが必要ですね。

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今回はフロイドとブランド名が異なるだけでモノは同じSchaller LockMeisterでしたが
同社の普及版である「Floyd Rose」もおそらく同様の変更があるのかもしれません。
告知や情報が無いので分かりませんが。


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今回ロックマイスターの入手に苦労しましたが現在フロイドの従来型は全てディスコン、
新型は入荷遅延。
従来型ユーザーはある程度劣化が進んでいるならサドルだけでも現在流通市場に
残っている在庫品を購入しておいた方がいいかもしれません。





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温故知新 Seymour Duncan SH-1n & SH-1b をレスポールに取付け編

 2021-02-27
久し振りにリペアでの更新になります。
PC入れ替えやらでバタバタしており更新が滞ってしまいました。

さて、今回はジャパンヴィンテージ期のグレコのレスポールを徹底的に作業させて頂きましたが、
ピックアップが片側のみご臨終でした。
お客様とご相談のうえ、リワインドの費用と載せ替えの費用を天秤に掛け、結果載せ替えにはなりました。


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で、何に載せ替えるのか?なのですが…
ここで一番プレッシャーを感じるお言葉(笑)
「お任せします」を頂きました。有難う御座います(笑)
一通りお客様の演奏ジャンルや内容、どの様な音作りなのかをお聞きしましたが、
ピンポイントで「コレや!」的な物は浮かばず、フレットを打ち直す間もずっと悩み続けていました。
古いサンタナやブルースロック的なジャンルでしたので現代的なドンシャリ系ではなく
なるべく無難で汎用性の高い物が良いだろうと。
そして結論として59を2個にしてみようかと。
SH-1nとSH-1bです。

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APH系も考えましたが汎用性において無難な物とすればやはりド定番、59かと。
「今更59?」「フロントはまだしもリアも59?」とご意見が聞こえて来そうですが
実は昨年末にストラトのリアに59Jrを載せるご依頼を受け、「お!結構エェやん!」な
感触だったもので。
結果としては今回のレスポールでも59のリアはアリです!
近年のバーストバッカーやカスタムバッカー等の高域が強めのハムよりも57クラシックの方が
使い易く感じる方にはオススメです。



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アンプ直やブティック系コンパクトエフェクターで音作りするならやはり高域は強めの方が
ラクではありますが最近のデジタルアンプやプリアンプ類は高域を強める事は結構簡単なのに
豊かな中域の丸さ、倍音の膨らみをドンシャリ系PUで作るとなると何処かに「硬さ」を
感じるのは否めませんし。

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セッティング出しで弾いていても「あぁ…この感じな。やっぱ良いよね。」と。
懐かしさを感じつつも数十年に渡る超ロングセラーPUの実力を改めて確認しました。
レスポール弾きの貴方、たまにはお婆ちゃんの家に帰った様なサウンドはいかがですか?





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