ヤマハSX-900Bを徹底的にレストア!JPビンテージ期のレバースイッチ交換は一工夫必要なのよ…編

 2015-07-13
まだ梅雨明けではない?にしろ急激に夏がやって来た感のある蒸し暑さMAXのトーンガレージです…

さて、今回は極短い時期にしか生産されていないレアなヤマハSX-900Bです。
ボディー形状はSGの流れを組むセットネックのダブルカッタウェイですが3シングルに5WAYレバースイッチ、
1VOL2TONEと電装系はまんまストラト。
ギブソン+フェンダー的なコンセプトですな。
ヤマハSGマニアでは探されている方も多いかもしれないSX-900B、しかもサンバーストは非常に珍しいかと。
しかもフレットの摩耗はありますが全体的にはかなりGOODコンディション!

ご依頼頂いた内容は「これからもガンガン弾ける様にフルレストア」です。


901.jpg


往年のヤマハをはじめ国産ギターメーカーは如何にも日本人らしい作り込み。
配線周りの処理、ハンダ付けの仕上がりも現在の各メーカーに見せてやりたいほど丁寧です。
導電塗料が激しくクラッキングしているのもイケてないので後ほど手を打ちます。

902.jpg


さ、

まずはフレット交換です!
よくご依頼頂くSG-2000、3000はネックがかなり凶悪な状態になっていますが
このSXは変なクセもなくトラスロッドの効き余幅も十分。
とは言え若干の波打ちがあるので指板修正をネチっこく作業して徹底的に真っ直ぐなネックにします。

903.jpg


フレット打ち完了。
フレットはいつものJESCAR#55090です。
特に何もしてないけど画像が反転しちゃってます…何でだろ?

904.jpg


フレット打ちが終わったところで電装系の作業へ。

まず電装系はピックアップ以外を総入れ替え、CTSポット、CRLレバースイッチ、スイッチクラフトジャックを使用します。
なのでボディーのポット穴をインチ対応サイズへボール盤で穴径拡大、特徴的なポインターワッシャーは
金属用丸棒ヤスリでシコシコ穴拡大しました。


905.jpg


で、

クラッキングしまくっているザグリ内の導電塗料…
ボディーエンドとネックグリップ面にギタースタンドのゴムと化学反応を起こした跡があるから
このSXの塗装はラッカー系なのか?
当時の販売価格を考えればラッカー塗装はあまり考えにくいのだが…


906.jpg


この手のクラッキングは導電塗料の経年変化による劣化ではなく
元から「塗装の質に合っていない導電塗料を塗った」事によるクラッキングです。
おそらく新品状態で既にこの状態だったでしょう。
ちなみに導電塗料は劣化しても滅多にクラッキングは起こりません。
以前他店でノイズ処理を施されたフェンダーUSAで同様の導電塗料クラッキングの対処を依頼された事がありましたねぇ…
ラッカー塗装にウレタン用の導電塗料塗ってやがったんだけど(笑)
しかもクラッキングについてツッ込んだお客さんに「導電塗料は劣化が早いんですよ…」って無茶な言い訳(笑)
お客さんの「え?塗ってから2週間でこんなに劣化するんですか?」って追いツッ込みにはさぞかし焦ったろうな(爆)

そんな話は置いておいて問題はこのクラッキングをどうするかである。
そりゃルーターでザグリ全体を掘りなおして導電塗料どころか塗装ごと削っちまえば100%問題クリアーなのだが
ボディートップ側の肉厚も薄いのでそんな事は出来ない…


907.jpg


ある程度クラッキングの酷い箇所を研磨して導電塗料を除去してから(いやぁ~この作業がメッチャ大変なのよ…)
「まほうのえきたい」を薄塗りする。
そしてラッカー塗装用の導電塗料を塗った状態がコレ↓

908.jpg


導電塗料の問題が片付いたところで次は難関のレバースイッチである。
↓の画像の通り現行のレバースイッチ(画像右側CRL5WAY)とは取付けビスの穴位置が違う。
ジャパンビンテージ期のトーカイSTやビルローレンスetc…
当時の国産ギター、特に廉価モデルにはこの類のスイッチが多用されていた。

909.jpg


相手がストラトなら最悪ピックガード作り直しちゃえばイィのだが(やらないけどね)
ボディー直でマウントされている今回の様なケースではボディー側のビス穴位置を変更するワケにはいかない。
なのでスイッチ側を改造します!
910.jpg


まずは細めの砥石のグラインダーでビス穴までカットを入れる。
グラインダー切削で出たバリはヤスリでキレイに除去します。

911.jpg


用意するのは「ゆるみ止め」の付いた六角ナット!

912.jpg


以下のパーツでレバースイッチを付けます。
断面で説明するとボディー側より純正取付けビス⇒ボディー⇒スイッチ⇒スベリ止めの内刃ワッシャー⇒ノーマルワッシャー
⇒スベリ止め付き六角ナットです。

913.jpg


実際に取り付けたらこんな感じ↓
また勝手に画像反転しちゃってる…ホンマ何でやろ??
レバースイッチノブは純正ノブの色焼け具合に合わせてアイボリーのインチ規格品を用意しました。


914.jpg


レバースイッチがしっかり取付け出来た後はCTSポット(スムーズポット)やスイッチクラフト製ジャックを付けて
往年の国産ギタークラフトマンへ敬意を払うべく丁寧に配線。

915.jpg


オリジナル形状のノブ類もインチサイズへ対応させるべく「ノブ穴拡げる君」でシャフト穴拡大!
いや…普通のドリルビットにブラスドームノブ付けただけなんだけどね(笑)

916.jpg


そして金属パーツ類を徹底的にキレイにして牛骨でナット作ってセットアップして完成!!
我ながら良いギターに仕上がったと思います。

917.jpg


聞けばこのSX-900Bはお客様がお父さんより譲り受けた物だそうです。
お客様はまだお若い方でしたがある程度の予算を用意したものの手ごろな価格で良いと思えるギター
に出会えなかったとの事。
ならばこのSXをレストアして弾いていこうと思われたそうです。
確かに今回の作業内容は安い工賃ではありません。
でも今話題の日本製フェンダー値上がりの件もしかり今後は手ごろな価格で長く弾けるギターを
買う事はますます難しくなっていくでしょう。
一生懸命溜めたお金で「新しいギター」を買う事は簡単なのかもしれない。
でも「長く弾けるギター」を買う事は難しいのかと思います…

918.jpg


これからも何世代にも渡ってその時代の音を奏でていってほしいですね。
今回はそんな想いで作業させて頂きました。


スポンサーサイト
タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫