意外と時間と手間が掛かり睡魔に襲われる作業シリーズ! 指板染色&エスカッション割れ補修編

 2016-07-26
今回は作業内容からすれば「ん?結構簡単に出来るんじゃね?」と思われつつも実際は時間と手間の掛かる
作業のご紹介。


お預かりしたのはFERNANDES TEJ-DELUXE 2S のほぼ新品。
やはりフェルのTEJは未だに人気があるらしく、現在は品薄状態との事です。
ヒムロックラストライブの影響もあるのでしょうか??

TE1



ご依頼内容は指板の色…このムラを何とか出来ないか?という内容。
確かに指板のローズのムラが気になりますね。
布袋氏使用のZodiac TCの指板は真っ黒のエボニーなので出来るだけ黒に近くしたいのはよく分かる。
なので今回は指板を染めます。
指板染色は今までブログでは紹介しておりませんでしたが、フレット交換時、指板修正作業時にのみ
お客様の希望があれば作業しておりました。

TE2


まずは指板を脱脂。
無水エタノール、シリコンオフ、ワックスリムーバー等で油分を取り除きます。
油分が残っていると染料を弾いてしまうので染めた後にムラが出来てしまいます。
今回はほぼ新品なので染み込んでいる油分も少な目で助かりました。

TE3


次にバインディング等の染色しない部分をマスキング。
マスキングテープはフレット端の段差に対応出来る様に多少伸びる素材の曲線用を使います。

TE4


フレット端は出来るだけ隙間無く…
かなり細かい作業なので集中すればするほど睡魔に襲われます…
そしてとんでもなく時間の掛かる作業です。

TE5


バインディング側面は普通のマスキングテープで大丈夫。

TE6


次にポジションマークをマスキング。
ポジションマークの直径が6.5ミリなのでΦ6.5のポンチでマスキングテープをカットします。

TE7


マスキング完了!
これから染色に入ります。
マスキングでかなりの時間と労力を要しました。。。

TE8


染色時は手袋をはめて塗装ブースで作業するので画像はありません。
染料はポジションマーク、バインディングに影響の少ない染料を使います。

染色後、きっちりマスキングしていたつもりでもフレット際の隙間より染料がバインディングへ流れてしまう。
なので刃物で流れ出た染料を丁寧に削り落とします。
これまた時間と集中力を要する作業で御座います…マスキング作業ほどではありませんが結構大変です…

TE9


次はフレットに残った染料を落とすべくフレットすり合わせ同様に指板をマスキング。
ある程度の染料はシンナーで拭き取ってから全てのフレットを研磨します。
TE10



やっと仕上がりました!

TE11


漆黒のエボニーと同質感とまではいきませんが作業前のムラは跡形もありません。

TE12


指板が黒くなれば黒のギターはキリッと締まった印象になりますね。

TE13


指板の染色ですが下記のギターは作業をお受け出来ませんのでご注意を。

・PRS、Ibanez、Taylorのアコギ等ウッドバインディングの入っている物。
⇒ウッドバインディングに染み込んだ染料は除去できません。

・Ibanezのツリーオブインレイ等ポジションマークの形状が複雑な物。
⇒ツリーオブインレイのマスキング作業なんて考えただけで…眠くなります…

・かなり年季の入った指板。
⇒指板の導管に深く入り込んだ油分は完全に除去する事が難しいので。

まぁ出来るだけフレットの無い状態、フレット交換時に作業させてもらえれば助かります。




さて、お次はエスカッション割れの修復です。
お預かりしたのは国産のアーチドトップ、2ハムのギターです。
ご依頼頂いた作業はフルメンテナンスなのですが…

エスカ1



画像では分かり難いですがリアのエスカッションのブリッジ側、中心部が割れています。
レスポールをはじめアーチドトップのギターに薄いエスカッションが付いている場合には
経年劣化でよく見られる症状ですな。
エスカ2



「そんなんリアだけエスカッション交換したら良いのでは?」
なんて思いますがこのアイボリー色の素材、気付かないうちに日焼けしているのです。
すなわちリアだけ新品のエスカッションにするとフロントとの色合いが合わないのです。

エスカ3


よく見るエスカッションはネック側が薄く、ブリッジ側が厚めで前後で厚みが異なりますが
このエスカッションは前後厚みが均一、このタイプを市販してたのはESPだけだったかな?
エスカ4



割れの補修に取り掛かります。
エスカ5



まず割れている箇所を止めるのはゼリー状の瞬間接着剤。
ゼリー状だと硬化が少し遅いので接着後に僅かながら接着箇所の位置修正をする事が可能です。
エスカ6


ここが重要!
ゼリー状瞬間接着剤はほんの少しの量しか使いません。
この接着でエスカッションの割れを補修するのではなく割れた箇所の「仮止め」程度の接着です。
画像の爪楊枝の先端に付いた量でも少し多いぐらいです。
エスカ7



仮止め完了!

エスカ8


次に厚みが1ミリのアクリル板を切りだします。
刃物で切りだす際はアクリル板に何度も何度も繰り返し刃を入れる感じでカットします。
1ミリ厚のアクリルとは言えど簡単に切り出せる素材ではありません。
これをお読みになった方がご自分で作業される場合はケガには注意して下さい。
エスカ9


割れた箇所を跨いで補強する様に接着します。
接着剤は先の仮止めと同じくゼリー状瞬間接着剤ですが仮止め時よりは少しだけ多めに。
接着剤がはみ出さない様に適量を塗りましょう。
接着後は画像のエスカッション内側=ピックアップが入る側の余剰アクリル板を削ります。
エスカ11



余剰分を削るには小さな立方体にサンドペーパーの#240~#320を貼り付けて削ります。
こんな時はレスポール用の牛骨ナットの部材が便利!

エスカ12


エスカッション本体を削らない様に丁寧に時間を掛けて余剰アクリルを削ります。
これまた時間と神経を費やす作業で御座います…

エスカ13



完成!
割れた箇所を繋ぐ様にアクリル板がバックボーンになっているので普通に接着しただけの補修とは
強度が違います。

エスカ14



今回はいつものブログよりは地味なネタでしたがいかがでしょうか?

エスカッションの割れ補修は接着剤をべっちゃり大盛りで塗ったものの同じ場所で割れてしまっている
物をよく見掛けるので書いてみました。(待てよ…前にもこのネタで書いた事がある様な気がするな…)

ここ最近朝晩は過ごしやすい気温で助かりますがやはり日中は暑いですね。
皆様体調を崩されない様にご注意を。
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