夏こそ侮るなかれ弦楽器のコンディション管理。弦は緩めよ! アコギのブリッジ剥がれ修理編

 2017-06-17
ほんまに梅雨入りしたんですか?って感じの天気が続いていますね。

さて、今回は梅雨~夏場の楽器コンディション管理についてアコギの
ブリッジ剥がれを直しながら少し書いてみます。

まずは下の画像を見てもらいたい。
完全に剥がれてしまったアコギのブリッジである。
6弦側のブリッジピンが抜けてきているのも分かるだろう。
実はブリッジが剥がれただけではなく、弦に引っ張られて6弦側中心にネック側へ
ブリッジがズレてしまった為にブリッジとボディー(トップ板)の弦通し穴の位置関係が
合わずにピンが抜けてきている=しっかり奥まで入らないのである。

※ちなみにアコギのブリッジが剥がれたからと言ってDIYで何かしらの接着剤を流し込むのは
厳禁です。特にアロンアルファ等を流し込まれると本格的な修理が出来なくなります。

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当店へネック周りのメンテナンスでご来店頂いた方にはお話し、お願いしていますが
なるべく弾く時以外は弦を完全に緩める事をお勧めしています。
大抵のエレキギター、ベースなら弦のテンションによりネックが順反りますが
アコギの場合はネックのみなら画像の様にブリッジ剥がれ、トップ落ちの原因にもなります。

さて、今回はブリッジ位置がズレてしまっているのでブリッジを一度剥がしてから
接着作業を行います。
使うのはごく一般的なアイロン。

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じっくり時間を掛けてブリッジ剥がし完了。
この後、ブリッジ底面、ボディートップブリッジ接着面を徹底的に平面出しします。

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平面出しが終わればボルト&ナットを使って位置出しをしたうえでガッツリ接着します。
接着時の画像は撮り忘れ…

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十分に日数を掛けて接着剤を硬化させて接着完了!
今回接着剤は樹脂系接着剤を使用。

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6弦側ブリッジ前面。
ブリッジの少し前に線状のキズがあるのがお分かり頂けるかと。
お持ち込み時、ここまでブリッジはズレていました。
最大箇所で2ミリ弱。そりゃブリッジピンも奥まで入るわけがない。

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ブリッジ後面。
きっちり平面出ししたので隙間無く接着出来ました。

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弦を張ってある程度の時間弦テンションを掛けてブリッジに問題が無いか確認してから
お客様へお渡し。

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で、表題のお話。

ネックの反り、今回の様なブリッジ剥がれ。
主な原因は弦のテンションの掛かり過ぎ=チューニングしっぱなしではあるのだが
どんな弦楽器でもチューニングした状態ではネック&ブリッジに数Kgの負荷が掛かっています。
そりゃ製造時にきっちりシーズニングしてようがネックにトラスロッドが入っていようが反って当たり前。

皆さんネックの反り等のコンディション変化が気になるのは大体冬場ですよね?

そりゃ冬場は乾燥が進みネックをはじめ木が縮んで色んなトラブルが出易いのは
簡単に分かりますね。
何しろ乾燥する事で人体にも影響、症状が出る為か環境の変化に気付き易いわけですよ。

しかし今の季節、春以降~夏場はどうですか?
暑いのは仕方ないですがあまり楽器のコンディション変化について考えてませんよね?
(事実ネック周りのコンディションチェックの依頼も冬前~春先が圧倒的に多いです。)

実はココに落とし穴があります。

冬場は湿度が30%程度、もしくはそれ以下に下がり、暖房を使う事で更に乾燥が進む。
しかしながら乾燥が続く状況に変化はあまり起きない。

では夏場はどうなのか?

昼間仕事や通学で無人となった楽器を置いている環境は湿度が80~90%と極端に上がり
蒸し風呂状態になる。
帰宅後から就寝前、もしくは翌朝までは冷房を入れる。
エアコン入れると爽やかになりますよね?
そりゃ温度も当然ですが不快の原因だった湿度が40~20%程度までドンッと下がりますから。
弱冷にしても60%ぐらいかな?

すなわち夏場は24時間の間に蒸し風呂状況と冬場の乾燥が交互に訪れるわけです。

湿度の影響を受けやすい木材は忙しい事この上無いでしょう。
何せ24時間内で水分を吸い放題から脱水症状になる事を繰り返すのですから。

上記の影響によりネックの反りは勿論ですが
アコギのブリッジ剥がれも弦テンション以外の原因として
ブリッジ材質とボディー(トップ板)材質の膨張、収縮による接着面の剥離があります。
元々ブリッジ(エボニーやローズ)とトップ板(主にスプルース等)では木材自体の硬さ、
収縮率がかなり異なります。
場合によっては常に弦テンションを抜き湿度管理を徹底してもブリッジ剥がれは起きるかも
しれません。
近年は木材の質、製造段階の接着剤の量や質も疑わしかったりもします。

楽器の保管に適した環境は
気温20~25℃、湿度40%程度と言われてはいますが
残念ながら四季のある日本でその環境を年間通して維持する事は出来ません。

24時間365日、冷暖房を入れて楽器保管に適した環境を維持しろとは言いません。
せめて冬場は加湿器を使い、夏場はケース内に湿度調整剤、乾燥剤を入れるぐらいでしょうか。
環境面でおすすめなのは。

でもですね、出来れば年中弾かない時は弦を緩めて下さい。
弦がベロンべロンになるぐらいまで完全に。
アコギだろうがエレキだろうがベースだろうが関係ありません。
上の方にも書きましたが普段ネック周りの作業を行わせて頂いた方にはだいたい
弦を緩める事をお願いしております。
まぁヴィンテージ等で逆反り傾向が強い楽器は別ですが。

日本に四季、梅雨や夏がある以上、湿度の問題は何とも出来ませんが
弦テンションによる様々な影響を防ぐのはあなた次第です。










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