EVH Striped Series TREMOL-NO (トレモルノ)取付け&D-tuna (Dチューナー) 調整編
2014-05-28
今回はEVHのStriped Series! お客様のライブ活動の合間を縫って色々作業させて頂きました。

まずは全体のセットアップでお預かりしたのですが…
「アレレ?」的な問題点が発覚。
このStriped Series、Dチューナーも搭載されているのですが…

フロイドローズがボディートップより浮いている=フローティング状態。
そして当然フロイドローズはアームアップ方向にも動く。
って事はDチューナーを使うと?
フローティング設定のフロイドローズでロックナット締めて6弦のファインチューナーだけ激緩めしたらどうなる?
当然6弦以外のチューニングはババ狂い!
…コレはアカンやろ(-"-;)
ギター本体もDチューナーもEVHやねんからソコはしっかり作ってくれよ!!
ってなワケで、
フロイドローズのアームアップ方向を動かなくする方向でお客様との打ち合わせは進み、
TREMOL-NO (トレモルノ)を取付ける事になりました。
トレモルノは何度も取り付けているのですが今回は取付けから調整(使用方法)を書いてみようと思います。
後半ではDチューナーの調整方法もご紹介。
まずはトレモルノ。
メーカーの適合表によればはフロイドローズの場合、「Small Clamp」タイプ推奨らしいが輸入代理店によれば
ほぼ「Pin」タイプしか国内に入って来ていないらしいので今回もPinタイプで作業します。
Pinタイプで不都合の有る場合の作業は後ほど書きます。

パッケージ内に英文の説明がありますが全く読む気になれません(笑)
輸入代理店のサイトにも取付け方法が掲載されていますがイマイチ分かり難い。
なので当店での取付け方法をご紹介します。
代理店の指示方法とは多少異なる部分もありますがご了承下さい。

この手のパーツにゃお約束。
ますは全分解して外人様ならではの金属加工の甘さを修正。
要はバリ取りしたり可動部がスムーズに動く様に微調整します。
ちなみに最終組み込み時には可動シャフト部にテフロン系グリスを薄塗りします。

トレモロバックパネルを開ける。
EVHなのでスプリングはV字2本掛け。
純正スプリングのテンションが柔らか過ぎたので先の調整時にGOTOH製スプリングへ交換済み。

トレモルノではV字掛けが出来ないので平行2本掛けに変更。

フロイドローズがボディートップ面と平行になる様にトレモロスプリングのテンションを再度調整。

ここでまた問題発生だ!
スプリングが1本ザグリに接触してやがる (-_-#)
アーミングしたらギシギシ言うし(怒)

よく見りゃスプリングハンガーの所もギリギリですやん…
まぁココはトレモルノのハンガーに付け替えれば当たらないので百歩譲って許してやる事にする。
(でも時間が有れば多分削っていただろう…)

一応ね、メーカーもね、、削ろうとはしたみたいだね。。。
ならしっかり削っとけや! つーかしっかり設計しなはれや!!

遠慮無しにガッツリ削りましたゼ!

いきなり完成時の画像になって申し訳ないが削った結果、スプリングはボディーに干渉しなくなりました。

さて、本題へ戻ります。
まずはスプリングのハンガーへの掛け位置をマーキング。
これは代理店サイトに載ってるので気を遣って(笑)やってますがトレモルノを付けるとスプリングハンガーの角度が
微妙に変わり、ハンガー位置も少し変わるのでこの位置マーキングはあまり慎重にやらなくても良し。

一度フロイドを完全に外してから純正スプリングハンガーとトレモルノのハンガー部を入れ替え。
純正ハンガーを外す際にはブリッジアース線も外しておきます。

次にトレモルノのピン部パーツを仮組み。

ピンをサスティーンブロックに挿してみる。
この時点でピンがサスティーンブロックより斜めに浮き上がる様なら …

2種サイズが同封されているスペーサーを使用する。

スペーサーを挟むとこんな感じ↓
今回はスペーサーは不要だったので実際は使用していません。
スペーサーはトレモルノのハンガー~ピンまでが真っ直ぐになる様に調整すべきパーツです。
もちろんサスティーンブロックをしっかり挟み込む目的もあります。

ピン部は多少左右に位置調整出来る様になっていますがサスティーンブロックの挿し穴と大きくズレてしまう場合は
サスティーンブロックにトレモルノのピン専用のピン穴を開ける加工を行う事もあります。
今回もギリギリですが追加の穴加工は不要でした。
ピンが問題無く差し込み出来る状態でクランプのイモネジを締め込みます。
締め付け過ぎはイモネジ破損になりますので要注意!

ハンガー部もハンガービス貫通部にイモネジで角度調整が出来る仕組みになっています。
ハンガー部からサスティーンブロックに入るピン部まで=トレモルノ可動部が
直線になる様に調整します。
ここに余計な角度が付くとスムーズに作動しなくなるのでご注意を。
正常に組み込み出来ていれば3個のノブ全てを緩めた状態でクリケット奏法が出来るぐらいスムーズな
アーミングが可能なはずです。
引っ掛かりやアーミング後にフロイドが元の位置へ戻らない=チューニングが著しく狂う場合はハンガー角度や
サスティーンブロックのピン挿入部に角度が付いていないか確認して下さい。
一応のセットアップが出来た段階で分解してシャフト部にグリスを薄塗りして再組み込み。

ハンガーにはブリッジアースの線を挟み込む?用のビスが付いていますが挟み込むだけでは信用出来ないので
ラグ板を使ってブリッジアースを配線。(ラグ板はトレモルノには同封されていません)

ファインチューナー風のノブには締め付け過ぎ防止の意味合いでゴムのワッシャーが付いています。
普段よりストリングロッキングスクリューやロックナットをガッツリ締め付ける方は付けたままの方が良いでしょう。
頻繁にトレモルノのセッティングを変更する方はゴム無しの方が瞬時に締め付け出来るのでラクです。
締め付け過ぎるとシャフトの曲がり等で故障しますので基本はゴム有りがオススメです。
今回はゴム有りで組み込みましたがゴム有りだとゴムの滑りが悪く、ノブの締め付け&緩めに結構力が要るので
スムーズに動く様にゴムワッシャーにシリコングリスを塗布しました。

さて、ここからは実際の使用方法を説明します。
画像の様に3個のノブがあります。

<ハードテイル仕様=トレモロは全く動かず>
①②③全てのノブを締め付け。
ルックスでフロイドが付いているギターをお使いの方にはオススメ。不意の弦切れ時にもチューニングの狂いは
最小限に抑えられるが弦交換時等、弦テンションが完全にゼロになる場合はスタッドからフロイドが「ガコンッ!」
と外れるギターもあるのでトレモルノへの過剰な信頼はしないように…
<アームダウンのみ仕様>
①を②③のブロックへ当たる位置で締め付け。②③は緩める。
これぞこのギター本来の仕様。これでこそDチューナーは真価を発揮できるのだ!
<フリーフローティング仕様>
①②③全て緩める。
じゃぁトレモルノ付けるなよってな意見は却下。
普段はアームアップ等は不要だが稀にブラッドギルスやレブビーチにリスペクトされてしまうギタリストには必要な機能だ。
下の画像は①のブロックをハンガー寄りで固定した状態。
ここまでハンガー寄りにする必要は無いのだが①のブロック位置を調整する事で②③のブロックと当たる
位置を任意で調整出来る。
要はアームアップの上限を設定出来るのだ!
ちょっと前のアイバニーズの様にトレモロピッチシフトキャビティーが極端に深く、限界アームアップするとキャビティーの
底面にブリッジが当たる前に弦がピックアップに「ぺちょっ」と当たってしまうギターには有効な調整機能だと思います。
しかしながら誰しもがVAI様になれるワケではないのは言うまでもない…

以上トレモルノ編、いかがでしたでしょうか?
中々文面にするのが難しい内容もありますのでご不明な点など御座いましたらお問い合わせ下さい。
さぁここからはDチューナー編です!
今回のブログは番外編、温泉巡り珍道中に匹敵するぐらい長編ですがもう少しお付き合い下さい。
90年代半ばにプロトタイプ、後にプロダクション製品が発売されてからエディーファン以外でも使っているギタリストは
意外に多いDチューナー。
でも意外にちゃんと調整出来てちゃんと使えてるギタリストが少ないのは実情では?
当店でもDチューナーの調整依頼は意外と多いのです…

まずは全バラシ。
初期の頃は割と精度は良かった様に記憶してますが最近のはアレだねぇ…トレモルノと一緒だねぇ…
Dチューナー本体内側(筒の内部)とストリングロッキングスクリューにテフロングリスを薄く塗ります。
ちなみにDチューナーを単体で購入するとストリングロッキングスクリューは長短2本付いてきます。
純正ブリッジのスクリューの長さに合わせるのは大前提ですがDチューナー切り替え時に
ロックスクリューの頭が引っ掛かり、スムーズに切り替え出来ない場合は
短いスクリューを使いましょう。

ここからが重要!
Dチューナーを引き出した状態=ドロップD状態で大まかなチューニング。
まずは6弦を「D」でチューニング。6弦からD-A-D-G-B-Eでチューニング!
6弦のファインチューナーは一番緩めた状態から約1周程度締めておきます。
Dチューナーが上手く使えていない方は初っぱな6弦Eでチューニングしてませんか?

弦をしっかり伸ばしてからロックナットを締める。
6弦の音程が上がった場合はファインチューナーを緩めて「D」にバッチリ合う様に!

そしてDチューナーを「ガチャコッ」とフロイドに潜り込ませる。
この時点で6弦はEに近くはなりますが正確には合わないはず。

Dチューナー側面のイモネジを1.5ミリの六角レンチで少しずつ回して
6弦がバッチリ「E」になる様に調整。
ファインチューナー同様で時計回りで音程は上がり、時計と逆方向で音程は下がります。
ちょっと回すだけで大きく音程が変わるので慎重に、力を入れずに。

ドロップDとEを繰り返し切り替えてきっちりチューニングが合う様に根気強く調整して下さい。
調整出来ましたら5150を根気強くコピーしましょう!!
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