レスポールカスタムをモデファイ!① Neil Young "Old Black"風 ②「貴公子」ジョン・サイクス風 後半は愚痴りまくり編

 2014-09-04
さて、今回はレスポールカスタムのモデファイ編です。

ギブソンオフィシャルより販売されているミュージシャンモデルも多く存在しますがユーザーが納得出来る個体を
元に手を加えて作り上げる憧れのモデルってのも良いのではないでしょうか。

①Neil Young "Old Black"風モデファイ編
目指すは御大ニールヤングの愛機、Old Blackです。


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ベースとなるのは近年のヒスコレ56。


まずはリアピックアップ部にメタルエスカッションを取付けすべく、取付けビス用の土台をザグリ内に
埋め木を立てて確保。

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ミニハム専用の冶具を作ってルーティング。なるべく木を掘りたくないのでピックアップ本体部の深さは
クリアランスを考えた上で最小限に。
ピックアップフット部は更に6ミリ掘り下げます。

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トップのメイプルが露出した箇所と埋め木をラッカーで着色。

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ボディー裏面の「謎のスイッチホール」はダミーでトグルスイッチプレートのみ取付けの為、プレート落とし込みザグリ加工。
このザグリ部にも後ほどラッカーで着色。

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今回取り付けたパーツ類は全てお客様の持込みです。
自分でパーツを選び、集めるのはかなり手間が掛かるでしょうが拘りの1本に仕上げる為には必要かと。

ピックアップはフロントのP90、リアのミニハム共にダンカンのアンティクイティー。
P90はそれほどでもありませんがミニハムはリプレイスメントの選択肢が少ないので難しいところではありますね。


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フロントのアンティクイティーP90はクロームのメタルカバーに入れるにはシャーシーをカットしての
サイズ調整が必要。
一度ピックアップを完全分解してシャーシーをグラインダーで削りました。

画像はありませんがリアのミニハムはコイルボビンがシャーシーに固定されていなかったので
クロームカバー内にセンター出しの上挿入、ボビンの固定とコイル保護の為にロウ浸けしました。

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コントロールには「リアダイレクトスイッチ」を増設。
ニール本人がどの様な仕様のスイッチを付けているのかがイマイチはっきりしないのですが
お客様と相談のうえ実用性重視でON時にリアのミニハムがジャックへ直結となるスイッチにしました。

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実は結構苦労したのがビグスビー取付け。
ニール本人のOld Blackは53年製の為ヒスコレとはアーチ形状も違うはずです。(ネックもリセットしてるらしい)
もちろんヒスコレのアーチにビグスビーは合いません…

なのでビグスビーの取付けビスを締め込んでビグスビー前方位置をアーチのトップに合わせるか、
はたまたエンドピンの付く「ベロ」の部分の取付け位置を工夫してアーチのカーブに沿う形で付けるのか…
色々試行錯誤したうえでトレモロバーがボディーに対して自然に、使い易い高さになる様に組み上げました。

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お持込みのエイジングされたアルミピックガードの質感もイィ感じですね!
クロームメッキのパーツとツヤの消えたエイジングパーツ、独特の質感のビグスビー。
全体のまとまりと各パーツのバランスが上手く取れているのではないでしょうか。

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裏面にはセンターラインを入れました。
ニール本人機はメイプルが埋め込まれている様ですが何の為のラインなのかは不明…
パネル類もエイジングされたアルミ製です。

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ペグはシャーラーM6です。

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実は他にも書ききれないぐらいの苦労が有ったのですがお客様にも納得して頂けた仕上がりになって
ホッと一安心でした。

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でもね、

このOld Blackの苦労なんて序章に過ぎなかったのですよ…



②「貴公子」ジョン・サイクス風モデファイ編  (マホネックだけどね)

ベースとなるのは74年のカスタム。
コレがまた非常に可哀想なコンディションなのです…まぁコンディションの良いヴィンテージになるとビックリ価格だけどね。

今回ご依頼頂いたお客様はライブ、レコーディングとアクティブに活躍されているギタリストさんなので
「使えるギター」に仕上げなけりゃならないのですよ。
したがってヴィンテージ的価値が下がる加工も許可を頂きました。


まずはヘッド折れの修復跡があったり、

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フレット際に接着剤(アロン)が流し込まれていたり、(この時点では流し込まれているだけだと思っていた)

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金属パーツはほぼ全滅かな…

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電装系もピックアップは生きているもののほぼ壊滅だな…

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さ、


ヤルか!!


って気合い入れてまずはフレット交換。

アロンが流し込まれていたフレットを恐る恐る慎重に抜きにかかる。

フレットタング(フレットの足の部分)にガッツリ!エボニーの破片(チップと呼びます)が付いてくる(涙)

そう。

これを前に作業したどこぞのアホゥはアロンを流し込んだのではなくフレットをアロンで接着していたのだった(怒)

フレットを抜いてはチップをピンセットで元の位置へ戻して接着…その繰り返し(泣)

全てのフレットを抜き終わるまで半日ちょっと。

まだ夏の終わりですが「2014年 フレット抜きに苦労した大賞」が早くも決定しました!


で、ポジションマークの剥がれや指板の酷い割れを修復しつつ指板のクセを取るべく指板修正…

ようやくフレットを打ち終わった時にはヘトヘトでした(疲)

使用したフレットはJESCAR#55090、2.28ミリ幅に1.40ミリの高さ。
当店ではフルウッドコンセプトをはじめ最もよく使うフレットです。

ジョンサイクスなのにジャンボフレットじゃないの?って声が聞こえてきそうですが実用性を考えれば
ミディアムスケールのレスポールにジャンボフレットを打つと当然ハイポジションでのフレット間の幅は狭くなるわけで…
このサイズが一番良いと思いますよ。
高さはミディアムジャンボとほぼ同じだし。

ナットはチューニングキープの為の弦滑りと高域が極端に硬くならない様に無漂白のオイルボーンを選択。


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で、ナットも付けたし弦張って仮組みしたんですよね。

少し前から感じていた嫌な予感と共に。


だったらね、


予感的中!


4~6弦のオクターブピッチが全く合わない。

ゴトー製ABR-1の4~6弦サドルの向きを逆転させて一番前までズラしても合わない。

弦を換えてみようが何をしようがオクターブピッチは合わない。


そりゃそーだよな。


だって測ってみたらブリッジスタッドの位置がオカシイんだもん。。。。


ナッシュビルタイプにブリッジ変えちまうか?って悪魔が囁くが…
ジョンサイクスはABR-1やないとアカン!


はいはい。分かりましたよ。スタッド位置を修正すりゃイィんでしょ。。。。

手持ちのレスポールのスタッド位置データと実際のピッチのズレ具合から判断して6弦側スタッドは3ミリ、
1弦側スタッドは2.9ミリ前方=ネック側へ位置変更しました。

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再び仮組みしてオクターブピッチ合わせたらやっと合ってくれました。

すっかり遅い時間になってたので「ぼちぼち帰るか…」と思いながら何気にヘッドを見る。

ん?


何かバインディングに変な隙間あるんじゃね??


剥がれとるやないか~~~い!    …嫁に「もうちょっと遅くなるメール」打ってから慎重に接着。。。

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ここから先は画像がいきなり完成状態になります。
それほどトランス状態に陥ってたって事です…

まずはミラーピックガード。
元のピックガードが欠品だったので冶具を作って削り出すのですが元型となるものがヒスコレ用だろうが
レギュラー用だろうが国産LP用だろうが全て合わない。

なので灼熱の作業場で上半身ハダカでシコシコ手作業で冶具作りました。

ようやく冶具が出来上がった時に「自分へのご褒美」で近くの自販へ上半身ハダカのままファンタグレープを買いに
行ったら交差点で取り締まりしてた警察官に職質されました…
このギターに潜むトラップだけならず世の中全てが自分の敵に回っている事を確信…


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ジャックプレートはメタル製。
ジャックプレートビスの穴も合計7個空いてたんだけどね(笑) 埋め木しまくりタッチアップ塗装しまくり♪

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ピックアップは元からリアがダンカンの59付いてました。
シャーシーのステッカーがスタンプの59bでしたのでいわゆる長足期の59ですね。(59は今でも長足だけどね)
現行の59と比べると音のヌケ、輪郭の出方が全然違います。これぞ本来の59です!
アジャスタブルポールピースは激サビだったのでインチ規格の新品ポールピースへ交換、
フラットポールピースはコンパウンドでネチネチ磨いてサビを取りました。
フロントは現行59の新品。

え?ジョンサイクスなのに59?って思った貴方、
ダーティーフィンガーズ弾いた事ある?結構使い難いぞ~(笑)

エスカッション内でピックアップのガタつきが大きく、このままではハウリングの原因になるのでスポンジ+秘技で
ピックアップを固定!

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エスカッションはクロームメッキの物が大陸製しか手配出来なかったので止むを得ず。
しかしながら当然大陸製のエスカッションは底がフラットなのでボディーのアーチへ合わせて手加工で削りました。
ボディーとドンズバにしてしまうとプラスチック自体が縮んだ時に簡単に割れてしまうので少し隙間が出来る様に。

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つーかね、元のエスカッション外したらビス穴がいっぱい空いてたんですよ。
「あ~ジャックプレートと同じで何回もビス穴空け直したのね~~」って思ってたら…

サビたエスカッションビスが折れて埋まっとるやないかい!!(計5本)


久々に泣きたくなった(疲)

折れたビスの周囲を1ミリのビットで穴を開けまくり、先端を細く削って改造したラジオペンチでビスを摘んでゆっくり
回す…
その作業を繰り返す事数時間、全てのビスを除去してから大き目の埋め木を入れてラッカーで着色。
エスカッション、ボディー共にセンター出ししてビス穴を開け終わった時に作業段取りが丸2日遅れている事に気付いたさ…


トグルスイッチリングもクロームの物は市販されていなかった…
お客様は「無しでも黒でもいいよ!」と言って下さいましたが

ワシが納得出来ん。

なので0.5ミリのアルミ板から渾身で削り出し!

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ノブはオールパーツのリフレクタープレート付き。
このプレートすぐ剥がれるねんけどなぁ…

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ここまで来たら(いや、とっくに前からだが)徹底的にヤル。

コントロールはフロント側でマスターVOL、マスターTONE。ポットは共にスムーズポット。
コンデンサーはデルリトモ(ビタQの後継モデル)とオレンジドロップを差し替えながらサウンドチェックして悩む。
結果オレンジドロップをチョイス。 主にフロントでトーン絞った時の温かさ?丸さ?太さ?を重視。

このお客さんの他のギターの音質、音作りもよく知ってるのでヴォリュームでゲインコントロールする可能性が
高いと判断。密かにハイパスコンデンサーを忍ばせる。

全てのザグリ内に導電塗料塗ってアースラグ+有線で結線。
プレート類裏にもアルミテープ貼ってノイズ対策!

ちなみにプレート類を止めるビスは汗でのサビ対策にステンレスのビスを採用。

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ペグはゴトーの最新ロック式、MG-T!

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エンドピンはシャーラーセキュリティーロック。
一度元穴を埋め木してシャーラーに合わせたビス径で空け直すのですがこの時にも
元穴の奥に折れたビスが…
ビスが折れる前にオレが折れそうになった。

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そんなこんなでやっと組み上がる。
最初から生鳴りや音質まで考えて作業はしてきましたが欲を言えばネックを一回外してネック角変えたかったな~(爆)
ヘッド折れの修理跡も気に入らんからやり直したいなぁ…

んな事してたらいつまでたっても仕上がらんやんけ!!

ってな感じで少しの妥協感を残しつつ完成。
 
お客さん気に入ってくれたらエェねんけどなぁ~

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あ~恐ろしや70年代。


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コメント
> はらださん 有難う御座います。そして今、更なる地獄、怒涛のフレット交換祭りに突乳しております(ー ー;)
【2014/09/04 23:36】 | トンガリガレージ #- | [edit]
ペグはゴトーの最新ロック式、MG-T

は浮いてる気がした。
【2017/02/01 20:19】 | #- | [edit]












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