'65 FENDER JAGUAR と格闘した暑かった夏が終わろうとしている…編

 2015-09-01
今回はJAGUARを作業させて頂きました。

まぁお預かりして最初に見た時には「あらららぁ~~…」って感じ…

お客様が入手された時点でこの状態だったらしく、ご依頼頂いた作業は

「何とかする」

です…


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ペグも外さずに水色ペンキが塗られちゃっています…
元オーナーはカートコバーン風にでもしたかったのかな?

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パーツ類を外さずに塗ってるって事は…
ネックジョイントも外してないですわな…

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ペンキと元の塗装の化学反応で全体的にベタつきがあります…
何とかペンキだけを剥がす事が出来ないか目立たない箇所で色々手を尽くしてみましたがダメでした。

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ネックを外してみる。


ネックデート


ネックデートは 1MAY65B

65年製。

思いっきりビンテージですがな!!

これまでも色々な「若気の至り系」ギターは見てきましたが今回は「若気の至り過ぎ…」です。。。


ピックガードを外すと元のボディーカラーはブラック。

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ピックガードは作業中に「縮み」が進行しない様に板へビス止めして保管。

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ヘッドの側面にも…

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とりあえず付いていたロトマチックのペグを外す。
元のクルーソンペグサイズの穴をかなりワイルドな方法で穴を拡大されている。
この時点で全ペグ穴を埋め木⇒正確な位置出し⇒穴の空け直しが確定…

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ペグを外した跡に元の塗装が…

元はヘッドもブラック。

そう。

65年のマッチングヘッド!

デジマートやJギターでは価格表記が「ASK」になっているショップもあるねぇ…


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そりゃ裏面のペグ穴も…だよな…

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一応の各部チェックが終わった時点でお客様と作業内容を打ち合わせ。

・ビンテージの「鳴り」を失わない様になるべく薄塗りでリフィニッシュ。
・フレット打ち換え
・断線したリアピックアップのリワインド。
・スライドスイッチ、ポット類、ジャック等電装系交換。
等々…

要はビンテージサウンドを確保しつつ今後しっかり弾ける様に徹底的にやるって事だ!

まずは塗装剥がしだ…

少しづつ塗装を溶かしながら木部にキズを付けない様にスクレーパーで剥がす。
何か重要文化財にやってはいけない作業を施している様で罪悪感さえ感じる…

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数日間の格闘の末ようやく剥がし終えた。
少し黄色がかっているのはオリジナルの下塗り塗装に黄色成分が含まれていたのが木部に深く染み込んでいる為。
この残った黄色や打コン、キズを研磨で落とすとなると完全にボディーの形がいびつになるので研磨はここまで。
よくリフィニッシュ物のストラト等でボディー外周線が妙に丸くなっていたりカッタウェイ部が細くなっていたりするのは
この状態で木部を削り=研磨し過ぎているからだ。

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トレモロ横の貼り合せ部は一部剥がれかかっている。
目痩せにしにくい樹脂を流し込んで処置。
同時に無数に入った打コン、キズも処置。。

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ヘッドは塗装を剥がしてからペグ穴を埋め木。
元々のクルーソンペグの固定ビスの位置を基準に正確な位置出しをしてから空け直す。

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埋め木と空け直したペグ穴の位置関係を見れば分かるがロトマチックの穴はかなりズレていた…
ネックグリップやヘッド側面にハミ出していたペンキは元の塗装へダメージを与えにくい溶剤で
少しづつ溶かしながら除去。

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ようやく塗装に入る。
今回は木部に打コン・キズ等ダメージ箇所が多いが塗装は薄塗り仕上げ予定なので下塗りの
サンディングシーラーを吹いてはダメージ箇所以外を徹底的に研磨してダメージ箇所のみを肉盛りするという…
文章で書くと短いがかぁ~~~~~なり大変で時間の掛かる作業なのだ(疲)
しかも気温が高いので塗料を厚めに塗れば硬化不良を起こす。
なので薄塗りを何度も繰り返す。
せめてもの救いは高い気温のおかげで塗料の硬化が早い(早過ぎる)事ぐらい…


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下塗りが終わった=打コン・キズが十分に肉盛り出来たところでアンダーコートの白を吹く。
上に塗るカラーの発色を良くする為の作業です。
ちなみにオリジナルの黒もアンダーコートは白が塗られていました。

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さて、今回のカラーは…

お客様がジョン フルシアンテが好きだと言う事でフルシアンテの使用機、
64年ジャガーのフェスタレッド風に決定。



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塗装完了!
トップコートはツヤ消し仕上げである。(画像は夜に撮影したので少し明るい色合いになっている。)
これは通常のトップコートだと水砥ぎ&バフ掛けに耐えれるだけの厚みが必要になるがツヤ消しだと
塗膜が圧倒的に薄く仕上げられるから。
また体によく触れる場所等はすぐにツヤが出るだろうし打コンやキズが入ったりベルトバックル痕で
塗装が剥がれればアンダーコートの白が見える。
これによりビンテージっぽい質感、使用感が出易いのも狙いだ。
ちなみに今回は木部のダメージが酷く、一部はペンキが浸透していたので下塗りは塗料の食い付きが良い
ウレタン系塗料を使用。カラーからトップはラッカー。いわゆるトップラッカー仕上げの一種です。


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で、組み上げればこんな感じ。
サウンドもビンテージならではの「生鳴り」や弦振動もしっかりネックへ伝わっている。
何とか狙っていた仕上がりには着地出来たかと。
お客様へ引き渡し後も仕上がりに納得して頂いた旨の連絡があったので一安心である。

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と、〆みたいな事を書いたが他にも苦労、工夫した点が多いのでまだまだ書く事にする(笑)

ペグはGOTOHのクルーソンだが嫌味の無い程度=ツヤを消す程度にエイジング。
ヘッド表面にはやはりロゴが無いと寂しいがネットオークション等で販売されている
違法ロゴを当店が貼る事は出来ないので今後はお客様にお任せと言う事で…

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フレットはJESCAR#55090。
ジャガー・ジャズマスターでよく言われるのが1弦の弦落ち。
弦落ち対策としてフレットエッジの角度を普段より少し立てぎみにし、その代わりポジション
チェンジの際に手に当たっても違和感の無い様に面取りをしっかりと作業して仕上げた。
これにより1弦端のフレット有効幅を稼げたので弦落ち対策は上手く出来たかと思う。

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コントロールノブはフルシアンテと同型の物をチョイス。

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ブリッジは得体の知れない物が付いていたがジャガー純正タイプは欠品だったので
ブリッジプレートはALLPARTSのJG/JM用を他のメタルプレートの質感に合う様にエイジング。
サドルは純正のスパイラルサドルだと弦とサドル溝が斜めに当たり、妙なバズの発生や
弦滑りの悪さからアーム使用時等チューニングの狂いの原因になるのでムスタングタイプで
各弦の弦高調整が可能な物へ変更。
ジャガー・ジャズマス・ムスタングのモデファイ時には欠かせないサドルだが細かいセッティング
が可能になるのでオススメである。
今回セットアップ時は弦をしっかり伸ばしてやればトレモロアームを使用してもチューナー目盛
で10~15セント以内へ狂いを抑える事が出来た。
ジャガー・ジャズマス・ムスタングはどんな作業にしろ弦を張ってからのセッティングが本当の
勝負の始まりなのだ!

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組み込み時に一番苦労したのは3個のスライドスイッチが付いたプレートだ。
他のメタルプレートとは違いピックガードにハメ込みになっているのでピックガードの縮み
によりボディーのザグリと位置が合わない…
最初の分解時にプレートがピックガードから完全に浮いた状態だったので嫌な予感(覚悟)
はしていたのだが…
ピックガードを削って調整しまくるも結局はボディーのザグリを少し拡大して組み上げた。

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ストラップピンも新品のフェンダータイプをエイジング。
ピックガードやメタルプレート類を止めるビス類も純正はサビがあまりに酷かったので
エイジングを施したビスへ交換した。
ビンテージや使い込まれたギターはパーツ交換するにも質感合わせで毎回苦労する…

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いやぁ~今年の夏は暑かった…
汗ダクになりながらこのギターの作業段取りばかり考えていた8月。
2015年の夏の思ひ出ギターはこのジャガーで決定である(笑)

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コメント
VintageのFenderマニアが見たら卒倒しそうですね… いやリペア内容がじゃなくて、元の状態がですよ?笑
【2015/09/02 17:58】 | #- | [edit]
初めて見た時にはマニアより先に私が卒倒しそうになりました…
【2015/09/02 20:31】 | トンガリガレージ #- | [edit]
ちなみにこれだけの作業で工賃はおいくらほどになるんでしょう?
【2015/09/02 21:07】 | #- | [edit]
リペアとしてはかなり高額になります。
【2015/09/02 21:59】 | トンガリガレージ #- | [edit]












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