近年GIBSON LPレギュラーライン品の電気系基板化のトラブルとCTSロングシャフトポットの弱点編

 2016-07-04
久々のブログ更新になります。

5月の連休前後よりフレット交換、塗装関係、フルメンテナンス、サスティナー取り付け&モデファイ等で忙殺されておりました…
ようやく腰を据えて難易度の高い作業に取り掛かろうとしたら梅雨入り。猛烈な湿度で強制的に作業ペースがダウン…
そんなこんなでブログより遠ざかっておりました。申し訳ありません。
連日の雨空も落ち着き「そろそろ梅雨明け?」なんて思っていた今日の強い日差し。
強烈な日差しは工房の室温を上げ放題、本日工房4階、塗装ブースの温度計は36℃をマークしました…
夕方になり広がる雲。案の定上がり出す湿度…
現在トーンガレージの事務所以外は鼻毛にカビが生えそうなぐらいリッチな湿度に包まれております。
したがってエアコンの効いた事務所より一歩も外へ出る気がしません…
お預かり中のリペア品は快適な事務所内で保管しておりますのでご安心を。

さて、今回は近年モノ、ギブソンのレギュラーラインのレスポールのお話しです。


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2010年頃から生産時のコントロール内配線作業の合理化?の為かポット類をはじめ
全ての配線が基板化されています。
見た目にはカッチョイィ?かもしれませんが実はこの基板化が色んな問題を引き起こしてまして…
今回はこの基板を取っ払って普通にロングシャフトのポットを使って組み上げます。

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この基板…
フロント&リアのピックアップケーブルのコネクター接触不良、ブリッジアースのコネクター接触不良…
ポットの可変不良、ピックアップがコイルタップ状態…言い出せばきりがないぐらい様々な症状がある。
指で軽く引っ張れば簡単に抜ける貧弱なコネクターはひとまず置いておいて
ポット類はギブソン刻印入り=廉価バージョンとは言えCTS製。
カスタムCTSよりは品質は劣るものの可変不具合なんて簡単には起きないはず。
原因は基板です。と、言うか基板の固定方法と言うべきか。

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基板裏面。
当たり前と言えばそれまでですがわざわざ基板化するほど複雑な配線ではない。

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ただこの基板は見ての通りロングシャフトのポットでのみボディーへ固定される。
そう。レスポールはアーチドトップ。
各ポットのボディー取付け部の高さ、角度が異なるので取付け六角ナットの締め込みトルクは
4個のポット全てに平面均等に掛かるわけではない。
分かり易く言えば各ポットが基板上で「たわみ」への力を引き起こしている。
それにより基板全体の「反り・ねじれ」やポット取付け部のハンダ浮き、基板パターンの浮き、剥がれが発生する。
それこそがこの基板化によるトラブルの原因と言っても過言ではないだろう…あくまで持論ですけどね。
ちなみに基板化していないヒストリック、ピックガードマウントのフライングV等は全くこんな事は起きない。

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ちなみに下の画像は2013年製のSG。
ピックアップ交換の為ピックアップ線材先端の軟弱なコネクターは再利用せずにポットへ直接ハンダ付け。
SGはフラットトップなのでレスポールの様に基板へ不均一な圧力が掛かる事は無いので
上記の様なトラブルはほとんど出ない。レスポールでもフラットトップならたぶん大丈夫だろう。
故に基板化を全否定する様には書いてきたけれどフラットトップのギターでは特に問題無いかもしれない。
コネクター多用による音質劣化を除いてはね…

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さて、作業へ戻る。
まずは交換するロングシャフトポット(カスタムCTSのロングシャフト)とオレンジドロップコンデンサー、
各ポット間を繋ぐアース線を組み上げる。

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本体へ取り付けてからピックアップ、トグルスイッチ、ジャック、ブリッジアースへの配線を作業。
フロント&リア共に純正ピックアップなので同じ配線で組み上げると何故かミックスポジションでフェイズアウトに
なるというギブソントラップにハマってしまったもののこれにて一件落着…
で、終わりたいところなのだが。。。

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今回はロングシャフトのポットに付いても書いてみる。
左がロングシャフト、右がノーマルシャフト。共にカスタムCTS。

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シャフトの基部でポットの背面=キャップの足をかしめて組み上げられているのは同じ。

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しかしロングシャフトはシャフト部が別パーツ。

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ノーマルシャフトは基部と一体型。

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これは最近のCTSのお約束でもあるのだがキャップ足の「かしめ」が弱い。
下の画像の様に足と基部に隙間がある場合は要注意。
何が要注意=問題なのかは後述。

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今回タイミング良くロングシャフトのスムーズポット化のご依頼を頂いたので分解する。
基部のプレートとシャフトネジ切り部は「はとめ」状に接合されている⇒強く力を加えるとグラグラする場合もある…

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問題は基部プレートの厚み。
右側のノーマルシャフトのプレートと比べて明らかに薄いのがお分かり頂けるかと。

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でもロング、ノーマル共にポットの背面=キャップの寸法は足の長さを含めて同じである。
すなわち組み上げ時にノーマルシャフトと同じ工程、同じ力で圧着してもロングシャフトの場合は
基部プレートが薄いのでしっかり圧着出来ていない物が有る。
当店でスムーズポット制作時はボール盤を使って垂直方向にしっかりと圧着しますが…

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やはりロングシャフトの圧着面の密着度には不安が有るので4本の足と基部プレート、

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シャフト部と基部プレート前面、

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シャフト部と基部プレート後面に少しだけ接着剤を流し込みます。
本音を言えばハンダでガッツリ止めたいですが基部プレートはハンダが乗らない素材なので。
ヤニ無しハンダ+フラックスってな手もありますがフラックスが流れてしまって抵抗の付いたカーボンプレートへ
影響するのも嫌だし何よりもカーボンプレート直近に高い熱を与えてポット心臓部への影響、耐久性劣化が嫌。

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実はロングシャフトを使用するリペアではスムーズポット化の有無を問わずに上記の一手間を掛けてます。

基板無し、ロングシャフトの付いたレスポールでノブを0か10まで回し切ってからも僅かな「ぐにゅっ」みたいなアソビがある
場合はキャップの「かしめ」が開いているのかもしれません。
確実なチェック方法はコントロールプレートを開けてポットの背面=キャップ部を左右(ポット回転方向)に動かしてみて下さい。
カクカク動く場合は確実に「かしめ」が開いています。

もちろんノーマルシャフトでも「かしめ」が開いている時は圧着し直してますよ~


あ~~梅雨が明けると灼熱の季節到来か……

今年もガバガバ水飲んで頑張ります!

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