YAMAHA SGの最高峰!高中ブルー(みたいな)SG-3000 CUSTOM を徹底的に作業する編

 2016-10-07
80年代のヤマハSGは狂信的なコレクターを含め愛用されているお客様が多く、
比較的作業する機会の多いギターです。

今回作業させて頂いたSG-3000 CUSTOMは狂信的なコレクターが見たらブッ飛ぶぐらい良いコンディションです。
打コン程度はあるが目立つ大きなダメージは無し。

高中ブルー?みたいには見えるのですが当時の資料にデフォルトでこのカラーは無かった様なのだが…


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ロッドカバーにもしっかり「CUSTOM」の文字が有る。

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さて、まずは全体チェックなのですがやはりフレットは減っていますね…
元よりワイドローなフレットなので減り易い、減りが目立ちやすいタイプです。
お客様はコレクターではなくプレイヤーなのでフレット交換決定。

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次に電気系。
コイルタップを司るスイッチポットも機能はしていますが各部に接触不良、ガリが見られます。
全交換決定。

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全分解の手始めにピックアップを外してみる。
裏面には昭和61年のデート有り。
1986年製ですね。
ピックアップ外部で各コイルを結線、タップ出力する今では見ない構造。
しっかりロウ浸けされているのでカバー付きですがハウリング(発振)対策はバッチリですな。

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まずはフレット交換。(画像は打ち終わった直後の図)
このSG、何が良いコンディションかってロッド調整1発でネックが真っ直ぐになる!
問題となる様なクセが無かったので指板修正は非常にスムーズに終わりました!
が、
近年では仏壇でしか使ってなさそうなぐらいの鬼硬いエボニー指板…
フレットのタングに抜け防止加工を施して打ち込むとチップが出まくる…
その度に打ったフレット抜いてチップ修正⇒指板研磨⇒再度フレット打ちの繰り返し…
気付けばネックにクセのあるSG以上に時間が掛かってしまいました(疲)

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すり合わせまで終わった時には
「もうこれでチップ出まくり地獄から解放された!」な嬉しさがこみ上げましたわ(笑)

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さて、フレット周りが終わったので電気系へ取り掛かります。

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まずはポット類をCTS化、ジャックをスイッチクラフトにするので穴を拡大加工。
加工後は塗装の切り口を面取り。

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ポット穴、ジャック穴の拡大は面倒ではないが密かに苦労するのが独特な形状の
ポインターワッシャー。
これの穴もCTSに合う様に拡大しなければならない…
真鍮製でグニャグニャするのでリーマーを使って慎重にポットシャフト穴を拡大する。

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導電塗料も塗り終わった所で当時のヤマハの「凄さ」を垣間見てみよう。
コントロール内にピョロッと出ているアース線。(針金)

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不必要と思えるぐらいに長いビスに軽くからげられている。

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実はこのビス穴は貫通している。

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何処と貫通しているかと言えば1弦側のテールピース穴、アンカーである。
つまり先ほどの長いビスはボディー裏側からテールピースアンカーにネジ込まれているのだ!
したがってあのビスには確実にブリッジアースが通電している。
ギブソンさんみたいにコントロール内からアース針金を軽く引っ張っただけで「スポッ」と抜けてしまう様な
事は有り得ない。
ブリッジアースの確実性で言えばこのヤマハ方式を越えるアイデアには出会った事が無い。

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でも針金を軽くからげただけでは不安なので丁度良いサイズの座金ワッシャーに太めの
耐熱電子ワイヤーをハンダ付け。

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しっかり座金ワッシャーを締め込んでこの上なく確実なブリッジアースが完成!

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トグルスイッチザグリ⇒ピックアップザグリ⇒コントロールまでをアースラグ使って有線で
アーシング。

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ピックアップ裏面へ繋がれていた純正ケーブルも被膜を剥けばサビが見られ、
今では見る事の無い銅線ケーブルだったので高域特性のロスを防ぐべく新規のケーブルへ交換。

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エスカッションはブラス=真鍮製だったので経年劣化による変色は研磨すれば取れる。
しかしブリッジ&テールピースの劣化具合に質感を合わせるべくピッカピカにはしない。

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電気系作業完了!!
トーン用コンデンサーは薄型のオレンジドロップ。

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おっとまだノブのCTS化が終わって無かった。
ポットシャフト穴を新調に拡大。

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予めトグルスイッチの端子は導電塗料に触れない様に曲げてはいるがトグルスイッチが
緩んだ時に接触するとマズイな…と風呂(温泉)に浸かりながら思ったので
端子周辺の壁面に絶縁テープを貼った。
ヤマハは他社に比べてトグルスイッチザグリの径が小さいので毎回気を遣う…

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お客様が入手された同年代の美品ペグを付けて完成!!
ナットは純正のプラスチック製は論外なので牛骨削り出しです。

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分解時より気付いていたのだが…
このSG、ピックガード取付けのビス穴を埋めた跡がカラー下にある…

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ボディーサイドのバインディングにも。
って事は元はピックガード有りをリフィニッシュされているのは確実。
ただし経年変化による褪色で色ムラの出易い色合いをムラなく均一に塗られている。
しかも画像は無いがヘッド裏のシリアル№の打刻も消えていない…
ひょっとするとリフィニッシュしたのはヤマハのファクトリー(工場)なのか??
なんて妄想したりもする。

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リフ云々はさて置き、
硬いエボニー指板の貼られたギターの特徴である速い音の立ち上がり、
鋭い倍音の乗った高域が出る良いギターに仕上がりました!!
好みによってはモダンなピックアップへ交換すれば幅広い音楽ジャンルに対応出来るでしょう。
個人的にはアフリカンマホなんざ貼ったヒスコレLP買うぐらいなら間違いなくこのSGを選びます。
最終調整時、結構な音量で弾いていると何故にヤマハSGには狂信的な信者が居るのかが分かった気がします。
ま、このSGは滅多に見ない「アタリ」な1本なんですけどね。

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交換品が無い為に毎度泣かされる「ヤマハ独自規格」のパーツ類ですが
このサドルに付けられた共振防止の意味合いのイモネジ。
これもヤマハの「凄さ」を感じるアイデアだと思います。

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完成後、引き取り時に1ピッキングしただけで笑顔になられたお客様を見て徹底的に作業した
甲斐があったなと自分も満足出来ました。

でももうあんなに硬いエボニーと闘うのはイヤやなぁ…


後はこのSGを操る若きお客様がややこしい高中ファンのオヤジに絡まれない事を祈る(笑)





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