ヴィンテージのCTSポットを再生する編

 2017-11-25
かなり前にヴィンテージのポットのメンテナンスについて書いて以降、割と定期的に
ポットのメンテナンスはご依頼頂いておりますが今回は再生メンテナンスを中心に
ポットやコンデンサー(キャパシター)についても少し書いてみようかと。

ご依頼頂いたのはヴィンテージのレスポールカスタム。
他のショップでメンテナンスを依頼した際に勝手にポット類を交換されてしまったとの事…
ヴィンテージの扱い、理解に慣れていないショップなら仕方無いのかもしれないが
作業前にお客様確認は必要だと思うぞ?普通。

なのでオリジナルのポットを再生してりユニットします。

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普段自分も近年モノのギター・ベースなら
ポット、ジャック、スイッチ類も摩耗による劣化があるので消耗品とお考え下さい。
な説明はする。
電気的にも劣化した物より新しい物の方が当然通電性は良い。
音質で言えば高域の通過特性が変わる。

ただしコレは近年モノや仮にヴィンテージであっても道具として弾きまくる楽器の場合だ。

ヴィンテージは少し解釈が異なる。
何十年もの歳を重ねてきた楽器なら電気系も出来るだけ同じだけ歳を重ねたオリジナル(純正)で
音を出したいと思うオーナーの考え方は正しいだろう。

さて、まずはアース線を外しアース端子もポットキャップから外す。
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この時点でポットの両端の端子の抵抗値を計測。
このポットは0.630kΩ=630kΩ。
500kのポットでこの計測値はCTSならよくある誤差範囲…ま、アメリカなので(笑)
ちなみにカスタムCTSならこの誤差はグッと少なくなる。

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4個全て抵抗値は問題無かったので内部のカーボン抵抗はまだ使えそうだ。
なので分解に入る。
まずはローレット=ノブを取り付けるギザギザの直下にはまっているCリングを外す。
金属疲労、劣化で折れてしまう事もあるので作業は慎重且つ優しくそぉ~~っと。
ちなみにこのCリング、カスタムCTSには無い。
このCリングが後述するカーボン抵抗やセンタープレートに端子を押し付ける力を
強くしているのだ。
近年モノでもギブソン純正CTS等このCリングが付いているポットはトラブルが出るのが
早い気がするのは気のせいなのだろうか…

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Cリングは組み込み時に再利用するので外した際に変形したら優しく修正しておく。

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フル分解完了!

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メインシャフト基部の端子。
これはセンタープレート=ポットの真ん中の足に繋がるプレートに当たる部分。

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こちらは右端、左端に繋がるカーボン抵抗と接触する部分。
共に摩耗で端子の先端が平たくなっている。
端子の接触部を細目のヤスリで研磨して新鮮な金属を表面に出す。
同時に反発力を失ったプレート自体もそっと軽く僅かに引き起こす。


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古くなって固着したグリスや汚れを柔らかめの歯ブラシでクリーニング。
絶対に歯ブラシで端子は擦らない様に!

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今度はカーボン抵抗をクリーニング。(画像はクリーニング後)
上記Cリングで必要圧力以上にメインシャフト基部の端子が押し付けられていた場合は
カーボン抵抗に2本の深い轍が出来ている事がある。
あまりに轍が深い場合はカーボンが断裂してしまうのか冒頭のテスター計測で正常値が出ない。
その場合は残念ながら再生不可能となる。

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さて、今度はポットキャップだ。
キャップ単体になればハンダの熱負荷が多少掛かってもポット本体へダメージが入る事は無い。
ハンダ吸い取り線でガッツリお掃除!

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こんもり盛られたハンダを除去するとポットデートが現れた。
1376902。1969年の第2週製。

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500kの抵抗値刻印も確認出来る様になった。

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4個全てクリーニング、組み込み完了!
この時点で元ギターと仮結線してポットとしての基本的な機能をチェックする。
さすがに新品ポットの様なスムーズな音量・トーン可変は無理だとしても0⇔10は機能してれば
最低ラインはクリアとする。
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本体へ組み込み完了!
個人的にはバンブルビーよりスプラグの方がルックスは好きだ(笑)

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ちなみに当店ではヴィンテージの配線周りを作業する際に使用するハンダの種類をお客様に
選んで頂いています。
鉛フリーはんだはハンダ付けした箇所にツヤ・照りが出ないので見た目に違和感が少なくなります。
ツヤッツヤのテッカテカ、通電性優先をご希望の場合はケスター&アルミットを使用します。

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最後になってしまったがポットやトーンのコンデンサー(キャパシター)について少し。

劣化具合はひとまず置いておいて上記テスター計測で分かる通りCTSポットの抵抗値は
結構?かなり?いい加減だったりする(笑)
250kなのに320kだったり500Kなのに430kだったり…
上にも下にもかなり誤差がある。
これで良いのかCTS?とは何十年も思ってはきたが
それを遥かに上回る長き時間を活躍してきたCTSだ(笑)
良しとせざるを得ないのか…
ただし耐久性は素晴らしい。

通常シングルコイル類は250KΩ、ハムバッキングは500kΩ、
ギブソンオリジナルCTSは300kΩである。
しかしながらボリューム10=フルボリューム時はこの抵抗値は関係なくなる。
ポット入力端子と出力端子がほぼ直結状態になるからだ。
したがってシングルコイルに500kを付けてもフルボリューム時は250kと違いはほぼ無い。

違いが出るのはポットを絞った時だ。
乱暴な言い方をすれば常時フルボリューム!トーンなんざ使わねぇ!なんて場合は
ポットなんて250k~500k~25k…何でもいいのである。

よく質問されるのはSSHのギターの場合。
フロント&センターはシングルコイル、リアがハムの場合のマスターボリューム抵抗値である。
これはギターメーカーによって解釈は変わるが自分は500kを付ける。
何故なら一番使用頻度が高いのはリアだから。
ちなみにフェンダージャパンのSSHには250kが付いている事が多い。これが間違っているわけでもない。
「だってシングルコイルの方が数多く付いてるじゃん」な考え方もあるだろう。
仮にではあるが常にフロントのシングルコイルでハイフレットでソロばかり弾かれるなら250kでも
構わない。そんなギタリストがフロントのボリュームを微妙に調整するとは思わないが(笑)
もしSSHで微妙なボリュームコントロールを多様するなら理想は250k&500kの2ボリュームだろう。
トーンもシングルとハムで個別化すべきだろう…
使い難いだろうけど。

そもそもヴィンテージテイストなハムバッキングPUは少しパワーのあるシングルコイルと変わらないぐらい
抵抗値の低い物も多い昨今。
シングルコイルだから。ハムだから。ではなくPUの抵抗値によって250kor500kを使い分けるべき
なのかもしれない。

今度はトーンのコンデンサー(キャパシター)のお話だ。
現在様々なコンデンサーが色々なメーカーから販売されている。
ヴィンテージを模した物からモダンなルックスの物まで実に幅広い。
メーカーの謳い文句も実に上手い。
これまたよく質問されるのが
「コンデンサー変えたら良い音になりますか?」である。
何をもって「良い音」なのかは分からないが
その時こちらの返しは「トーンはよく使いますか?」である。

上記ボリュームポットのお話と同じでトーンポット、コンデンサー、
共に絞った時にしか効果・違いは出ない。
微弱な信号はコンデンサーへ流れるので完全に全否定はしないのだが
基本的にトーンは使わない人はコンデンサーを高価な物へ交換しても無意味である。



今回のポット分解メンテナンス作業ですがポットキャップに「へそ」のある
スタックポールと呼ばれるタイプのCTSでは作業出来ません。
ご注意下さい。



さて11月もあと少しだ。今年もあと1カ月ちょいか…
歳食うと早いもんだな1年って(笑)



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