Paul Reed Smith ウイング式ロックペグの劣化編

 2018-02-15
今回は近年目にする機会は減ったものの未だ愛用者も多いPRSのウイングペグについて書いてみます。

PRS初期より導入されている通称ウイングペグ。
機能的にはしっかり弦をロック出来るが弦交換にちょっとコツが必要だったりする。
現在主流のギアボックスに締め込みダイヤルのあるロック式ペグに比べれば
時代遅れ感は否めない。

今回はサンタナのチューニングの狂いでお預かりしました。

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PRSのチューニングの狂いの原因の一つにナットの溝の問題がある。
デフォルトでは樹脂製ナットなのだがナット溝が弦を深く抱え込みすぎるので
滑りの良い化学素材ではあるものの弦の滑りがあまり良くない。
なのでナットを一度外し、上部の不要な部分を削って巻弦の頭が少し出るぐらいまで
溝を浅くする=弦とナットの接触を必要最小限にする。
画像は上部カットのうえで溝整形(弦ゲージに合わせた=ゲージより僅かに広い溝へ加工)作業中。
このナットの問題を解決したうえでのチューニングの狂いが今回のテーマである。

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自分としてもウイングペグの作業をお受けするのが久し振りだったのでド忘れしていたが
摩耗・劣化したウイングペグは強烈なチューニングの狂いをもたらすのである。
今回は6弦、3弦のみアーミング時に1音ほどチューニングが上がった。
通常有り得ない狂い具合である。ナットは加工済みなのに…

で、ペグを疑う。

ギターを平置きにしてウイング部を左手指で挟みながら

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または親指で少し強めにウイング部を押しながら右手でアーミングする。

すると問題のある弦でウイング部と言うかペグ自体がアーミングに同期してウニュウニュ動くのである!

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つまりはペグのメインギアとウイングを含めたシャフトの間に摩耗等による劣化でアソビが生じ、
アームダウン=弦テンションが緩んだ時に締め上げ方向へ動き、アーム(弦テンション)復帰時に
元の位置へ戻らない為にチューニングが上がってしまっていた。

ウイングペグは他のロック式ペグとは違い、正しく弦を張ると
(チューニングの合った状態でウイング6個がハの字になる)
すなわちチューニングが合った状態では常に同じ範囲のギアに負担が掛る。
したがって長年使用しているうちに特定の箇所だけギアが摩耗してしまうのだ。
現在ならしっかり焼きの入った鋼材で耐久性の高いギアを作るだろうが当時なら仕方なかったのかもしれない。

残念ながらこうなるとペグを交換するしか方法は無い。
まずはツマミを外し、ウイングを抜く。
ウイング下にはCリングがある。
いずれ売却の際等ペグを再利用するつもりならCリングを傷めない様に外す事が重要。

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今回はPHASE2=第二世代のエボニーチップの純正ペグへ交換。
(輸入代理店にコレしか同色の在庫が無かった。)
ちなみにPRS純正パーツはお値段がひょぇぇ~~です…

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上にも書いたがPRSはナットの溝が深いが為に弦をしっかり伸ばしてもアーミングすると
チューニングは狂い易いかもしれない。
大体の方は「こんなもんかな~」と思いながら使っているかもしれないがウイングペグの場合は
劣化にも注意が必要である。
今回のお客様はカスタム24も使用されているので比較する事でチューニングの狂いが
気になったとの事。まぁ尋常ではない狂い具合ではあったのだけども。

ちなみにペグ交換後は弦が完全には伸びきっていない状態でカスタム24と同じレベル、
普通のアーミングで弦により±10セント以内、激しくアーミングして20セント以内の狂いに落ち着いた。


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さて、報道されている通り、関東の某リペアショップがとんでもない事をやらかしてくれました。
ここ数日、常連さんや業界内の知り合いから「あの人知ってるんですか?」←知らねーよ。
「何考えてんでしょうね?」←こっちが聞きたいわ(怒)

同じ業界で仕事をする身として非常に腹立たしく、悲しく思います。
被害に遭われた方々には楽器が手元に戻る事を自分も願います。











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