ヴィンテージのエスクワイヤー リアPUのストリングフォニック・ハウリングを何とかする編

 2018-03-05
さて今回もちょっとマニアックなリペアだ。

お預かりしたのはネックデイトから63年製と思われしエスクワイヤー。
ただしオーナー様によればリアPUは66年製のリワインド品との事。
そのリアPUのストリングフォニックが酷いとの事。
歪ませてチェックするとハウリングも酷い。
PUはしっかり固定されていたのでPUのグラつきが原因ではない。

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まずは弦を外してブリッジプレートをチェックしてみる。
テレキャスター3WAYブリッジの場合、サドル後ろ4本の固定ビスを締め付け過ぎると
ブリッジのネック側が完全に浮き上がってしまい(多少なら問題無い)、
浮いたブリッジプレートが弦振動に共振してハウリングの原因になる事が多い。
今回は指で押さえつけてもハウリングの音階が変わるだけだったので根本的な原因は
リアPU本体と思われる。

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早速ブリッジを外す。
ん?
3本のPU固定ビスのうちネック側のビスがPU底面の銅板に入っていない。
と言うか銅板を押し下げている。
ちなみにPU固定はゴムチューブではなくスプリングでしっかり止められていたので
グラつきは無いが逆にブリッジの振動がダイレクトにPUへ伝わり過ぎて共振を助長させて
いる可能性はある。

es3.jpg


PUを外す。
下側2本は問題無いのだが上は何かが銅板のネジ穴を塞いでいる。
通常ヴィンテージやヴィンテージライクなフェンダーのPUはコイルを巻いてから
ラッカーで染み込ませる。ロウ浸けと同じ目的でコイルの遊びを埋めて定着させる意味合い
ではあるが時としてそのラッカーが経年変化で収縮し、その縮みによりコイルが断線して
しまう事もある。
が、単純にそのラッカーが垂れてビス穴を塞いだとしてもこんなに強固な埋め具合にはならない…

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カッターの刃でこそいでみる。
結構硬い。
何かの接着剤の様である。
何故この穴だけを塞いでいるかは不明。

es5.jpg


穴の塞ぎは何とかなったのだが、
銅板とPUの間に隙間がある。
ストリングフォニックとハウリングはほぼコレが原因であろう。

es6.jpg


後ろ側には隙間が無い。
要は前側のボトムボビンプレートが反りあがっているのである。

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そもそもPUのボビンプレートは経年変化で反る。
トッププレートのみならずボトムプレートも反る。
しかし銅板は反らない。
ここで悩む…
本来銅板はボトムプレートに密着すべきではあるが反っているボトムプレートを無理に
平面である銅板に密着させるとボビンプレートの更なる変形により再断線してしまう可能性がある。
なので銅板とボトムプレートをガッツリ固定する事はやめた。
ではどうこの隙間を埋めて銅板・PU本体の共振=ストリングフォニック&ハウリングを
止めるのか。
ロウで埋めてしまう事に決定!
まずは銅板のビス穴とPU本体のビス穴がズレない様にビスを入れてからロウ浸け。

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いつもより少し低温でロウ=パラフィンに粘度を持たせて含浸して隙間を埋めた。
しかしまぁトッププレートの反り具合が凄い。
ヴィンテージでは当たり前のレベルではあるが。
元々リワインドへ至った断線の原因はこの反りかもしれない。

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ブリッジへはゴムチューブを介してマウントする。
本来自分はこのゴムチューブを使う事が嫌いだ。
ゴムチューブは劣化すると硬化して反発力を失うので。
なので耐久性が低いと分かりながら使いたくはないが今回はブリッジの振動を
なるべくPUへ伝えたくない。
なので敢えてスプリングではなくゴムチューブを使用。

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組み込み。
ビスがしっかりと銅板へ入っている。

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リアPUを配線してまずは音出しチェック。
結構な激歪みでもハウリングは起きなかった。

es12.jpg


弦を張ってチェック。
問題無し。
おおよそこのギターが奏でる事はないであろうデスメタル一歩手前ぐらいの歪みでも
大丈夫だった。

es13.jpg


テレキャスター系の主にリアPUのストリングフォニック&ハウリングには様々な原因が
あります。
ヴィンテージに限らず近年モノでもお悩みの方はご相談下さい。
ただし歪ませ過ぎたらPUやブリッジに問題無くとも当たり前にハウりますよ。
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