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クルーソンタイプペグのペグボタン交換編

 2018-05-04
今回はペグボタンの交換依頼です。

スロッテッドヘッドのアコギのペグボタンが1個破損して無くなっている状況。
スロッテッドヘッドはペグボタンがヘッド背面に位置するので倒したりすると
第一にペグボタンに力が加わります。
まぁペグボタンが破損してネック折れまで至らなかったのが不幸中の幸いでしょうか。
とは言えこんな装飾の入ったメーカー特注と思われしペグはバラ1個どころか
ペグのみの小売設定は無い。
タイトルではクルーソン~と書いてますがクルーソンタイプについても後述しますので
最後までお付き合い願います。

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とりあえず使えそう?なオールパーツのクルーソンタイプ汎用ペグボタンを
取り寄せてみた。

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外したペグはベースプレート内側に何弦用かをマジックで記入。
フレット交換等の際のペグ取り外し時はボタンにマスキングテープを貼って記入するが
今回はそのボタンを外すので。
マジックで書いても取り付け時にはアセトンで拭き取ってしまうので問題は無い。

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クルーソンタイプペグのプラスチック製ペグボタンの交換と言えば元のボタンを破壊(割る)
して取り外すのが一般的?なのかもしれないが一応工賃を頂いて作業している身なので(笑)
破壊せずに外してみよう。
以前ドライヤーやヒートガンで熱を加えて外す話を聞いた事はあるがペグ内部には樹脂製
ワッシャー等の熱に弱いパーツも使われている事が多いのでお勧めしない。
(と言うかその方法で外れるか試した事は無い。)

まずは下の様にどこにでも有る様な工具を用意する。
木の柄が付いているのはアコギのブリッジピン抜き用の工具。

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ペグシャフト根元にスパナをきっちり当てる。
ロブスタースパナは当てる箇所によって厚みを調整出来るので便利。

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ボタンとの隙間にピン抜き(厚みが合って抜き上げる事が出来る物なら何でも良い)を
入れてボタンの角度を変えながら垂直に少しづつ力を加えていく。

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無理に力を加えずに少しづつ抜き上げるのがコツである。

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ちなみにこの方法は下の画像の様にペグシャフトの根元にせり出しが有り、力を加えても
ギアに影響が及ばないタイプのペグには推奨出来るが
せり出しの無いクルーソンタイプ等はギア破損の可能性がある事を予め忠告しておきます。

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ちなみに一般的なクルーソンタイプ、しかもボタンが金属製で破壊出来ない場合は
ギア破損の可能性がありますがギアボックスカバーとベースプレートの段差を埋める
ゴムシート等を用意して

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同じ手法で作業すれば抜けます。
ただし何度も言いますがギア破損や垂直に力を加えなければシャフト自体が曲がる可能性が
御座います。
コレを見てご自分で作業されて何らかのトラブルが発生しても当店は一切の責任を負いません。
レスポール等のチューリップペグはボタンを再利用する予定が無いなら破壊した方が無難でしょうね。

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と、まぁ皆さんが知りたいであろう普通のクルーソンのサンプルを作業してはみましたが
実はその間、めっちゃ悩んでおりました。
ボタン交換準備は整ったものの元ボタンとオールパーツクルーソン用の穴径が全く違う…
右が純正、左がオールパーツ。
オールパーツの方が穴径が小さい。
空転防止に単なる円柱形状ではなく左右に平面部が有るから単純にボール盤で穴を
拡大すれば済むわけでもなく…

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ボール盤で拡大するにしてもモナカ構造=左右貼り合わせのプラスチック製。
穴拡大の際に熱が加わり過ぎると簡単に真っ二つに割れる=剥がれるかもしれない。

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ではシャフトをグラインダーで薄く削るか?
曲面は勿論、平面部を左右均等に削らなければ簡単に軸がズレてしまう…
そんなん手持ち切削では無理やって。

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悩んだ。めっちゃ悩んだ。タバコをかなりの本数吸いながら色々考えた。
結局ボール盤で穴拡大をチョイス。
グラインダー切削作戦はどう考えてもリスクが大き過ぎるので。

まずは万力にノブを水平垂直に固定する。
これが恐ろしく大変な作業だった。
円形で上下で厚みも違う小さな丸い物体を水平に固定しなければならない。
スコヤ=直角を確認する工具を駆使し、作業場の外で明るい空に向けながら微妙な角度調整
を繰り返す。
長時間、何度何度も空に万力を向けている自分を見て通りがかりのおじさんが
「何か変わったモンが空飛んでますか?」と聞いてきたぐらいだ(笑)
小さな万力(ヤンキーバイス)とて軽い物ではない。終わった頃には腕がプルプルした(笑)

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ペグシャフトの最大横幅は3.75ミリ、深さは7.5ミリ。
なので3.6ミリのビットでボール盤の回転数を下げて=遅くして
ゆっくりプラスチックを溶かしながら拡大していく感じで作業。
キレイな穴を開けるのではなくワザとバリが出て少し窮屈な穴を開けるイメージ。
これを6個分。恐ろしく時間が掛った。
何とか1つも割らずに作業完了。
続いて同じぐらい冷や汗をかきながらペグ本体に圧入作業。
これも水平出しをきっちりやってゆっくり時間を掛けながら作業。
工賃に見合わない膨大な時間が過ぎ去ってゆく(泣)
流した冷や汗で少しでもダイエットになればまだしもなのだが(笑)

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無事に取り付け完了しました。
大きな軸ブレもなく弦テンションに負けて空回りする事もなく実用出来る状態になりました。

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くどいですがご自分で作業される場合は全て自己責任でお願いします。





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