アコギのブリッジアース加工 Taylor ES-2搭載機種編

 2018-05-19
久し振りにアコギのブリッジアースについて書いてみようかと。

歪ませて弾く事の多いエレキと違ってPUやプリアンプ搭載のアコギでも
製造段階でブリッジアースが施されている物は少ない。
「歪ませないからノイズはあまり気にならないでしょ?」な考え方が未だに一般的なのか?
確かにグランドシフト、フェイズシフト等で軽減される事もあるのだが…
根本的な解決にはブリッジアースを施すしかない。

今回はES-2搭載のテイラーで作業を行いました。

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エンドピンジャックやプラグを素手で触れるとそれまで出ていた「ぶぃ~~」や
「じぃ~~」な感じのノイズが嘘みたいに止まりますが
コレをエレキと同じく弦ミュートの状態でピタッと無くします。

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従来ES-1の頃のテイラーはオプションパーツでブリッジアース用プレートの設定がありましたが
ES-2になってからは無くなりました。
「何で??」って思ってはいましたがその謎が明らかに…

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ES-2はコンタクトタイプであったES-1と違い、ブリッジサドル横、弦穴手前に
3本の支柱が貫通する形で取り付けられています。
これが3分割出力調整機能を持ったES-2の大きな特徴でもあります。

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支柱が弦穴に近いので従来型のアースプレートが使えない。
なので弦穴から前面までの距離の短いプレートが必要になります。
その為に新たな金型等の製造工程を見直す労力、コストとブリッジアースに関わるノイズの
クレーム数が合わなかったのかもしれません。
でも実際にノイズは気になるし施工依頼も多いのですが…
(↓ の画像はES-1用の試作品です)

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さて。まずは作業する個体のブレイシングに干渉しない様に元型となる治具をアクリルで
切削。
弦穴の位置ズレは致命的なのでかなり慎重な寸法出し、切削作業が必要です。
特に今回は支柱と弦穴の距離感に精度が求められます。

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元型に合わせて0.5ミリ厚のアルミを削り出し。
以前今回の依頼主とは別のお客様から何故アルミプレートを使うのか?と聞かれましたが
ES-1期の純正オプションはブラス(真鍮)製で厚みは1.5ミリほど。
おそらくはアース線が簡単にハンダ付け出来る事でブラスにしたのだと推測するが
ブラスは柔らかいので厚みがないと加工し難い。
なので1.5ミリ程の厚みにしたのだろうが取り付け用の両面テープの厚みや
取り付け部の木部の荒れを考えれば弦のボールエンドが2ミリ弱深く入る事になる。
それによる弦テンションの変化は僅かだろうが無いとは言えない。
なのでアース線の取り付けには一手間掛るが薄くとも切削加工が行える硬さのアルミを
使う。
ちなみにこのアルミと同じ0.5ミリ厚のブラスは柔らか過ぎて加工中に変形してしまうほど
柔らかい。
ステンレスは逆に硬過ぎて加工し難い。

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アルミはハンダが付かないのでアース線はプレートの端に線材とほぼ同じサイズの穴を開けて
線材に十分にハンダを染み込ませて結線する。
画像では分かり難いですが結線部は収縮チューブでしっかり覆っています。

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取り付け治具を使い、薄いながらも強力な両面テープを貼ってプレートを固定。

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次はジャック部アースへの結線。
まずはバッテリーボックス一体型のジャック部を外す。

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アース経路の端子に結線。
注意すべきはバッテリーのマイナス経路に繋がない様に。

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プラグイン時に確実にアースが取れているかテスターで導通確認。

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ボディー内で遊んでいるアース線をクリップで固定。

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ネック等の調整、ES-2の出力調整を行ってようやく完成!

テイラー純正採用、メーカー推奨弦はエリクサーなのだが御存知の通りエリクサーは
コーティング弦である。
なので弦表面に導通があるのは1&2弦のプレーン弦のみである。
したがって弦ミュート時に巻弦だけに触れているとブリッジアースは落ちない。
これはエレキにエリクサーを張った時も同じである。
エリクサー愛用者は弦ミュート時に少し注意して下さい。

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今回加工時に使ったアクリルの元型。
苦労して作ったのだがアルミ切削時にはご覧の通り弦穴部が削れてしまうので
再利用出来ない。(精度が落ちるから)
まぁ毎回その個体に合わせた元型を作るので手間は覚悟の上なのですが。

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PU、プリアンプ付きのアコギをお使いでノイズが気になる方はご相談下さい。
部屋弾きの音量ではあまり気にならないかもしれませんがスタジオやライブの環境&音量、
周りに強い電磁波を発生する物=蛍光灯、パソコン、大型家電、エレベーター等のモーター、
高圧電線がある場合はおそらくノイズが気になるかと思います。

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