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EVH Striped ST Dチューナー使用に伴うトレモロアップ止め加工の進化系編

 2018-12-08
今回はトーンガレージっぽい?ネタでの更新です。

ご依頼頂いたのはEVHのストラト。
以前Dチューナー使用時のチューニング狂いをご相談頂き、

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トレモルノを取り付けたのですが…
やはり咄嗟の時に「あれっ?今トレモルノってアップ止めだっけ?フルロックだっけ?」
みたいに戸惑ったり、そもそもアルミ製なのでフルロック&アップ止め状態で
不用意にアームに圧力が掛るとメインシャフトが曲がるので普段から取り扱いに気を付けなくてはいけない。
事実お預かり時チェックしたらメインシャフトは曲がり気味、ロックスクリュー痕で凹みもあり
既にアーミング時にメインシャフトはスムーズに動く状態ではなかった。

で、今回は
「もー完全フリーフローティングで使う事は無いから気を使わなくていい完全なアップ止めにして」
って事だった。

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まぁそうなると常套手段としてはクラプトンのブラッキーでお馴染みの木片挟む作戦か?
自分としては木片だと強度不足に思えるしトレモロのボディーに対する角度を調整し難いので
アルミの部材やブラス板を仕込む事が多い。
(木片だと時間が経てば痩せやブロックの圧力で薄くなりトレモロの対ボディー角度が変わってしまう)

↓ 画像はブラッキーから外した木片の実物です。フェンダーさん加工テキトー(笑)

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ところがだ、
このEVHはトレモロのサスティーンブロックとボディー側壁面が平行ではない。
1弦側の方が狭いのだ。
ボディーの加工が?なのかブリッジ取り付け=スタッドアンカー埋め込みが
ズレたのか?
んな事はオクターブがきっちり取れているので今のところは無視だ(笑)今のところは。
それよりも重大な問題はこの微妙なズレにきっちり合わせた木片や何かしらの
挟み込みアイテムを製作する事が困難だって事だ。

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トレモルノ編のブログでも書いたがスプリングキャビティー底面がブリッジへ向け
斜め=下り坂になっている。
6弦側の木部丸出しはトレモルノ云々以前にトレモロスプリングが壁に擦れて
チューニングが不安定だったのでトレモルノ取り付け時に削り落した。

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なので以前ネタ的にブログアップした簡易ドア錠作戦も使えないのでトレモルノを付けたのだが。
まぁこのアイデアもフリーフローティング時の金具の共振音対策が未だ確立出来ていないのだが。

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悩んだ。
めっちゃ悩んだ。
トレモロを常に机の上に置いて何かの拍子にアイデアが降臨しないか期待する数日だった…

何かを挟み込んで「面」で止める事が出来ないなら「点」で止めるしかない…

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何とな~~~く方向性が見えてはきたものの具体策が決まらないので先にフレットを
打ち換える。
JESCARで言えば57110サイズから55090サイズへ。太さは変われど高さは変わらない。

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その為のネック分解作業中の事。
お客様がDIYでゴトー製レンチホルダーを付けていたのだが…ビス折れてるし…折れて埋まってるし…

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何とか折れたビスを抜く事に成功!

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埋め木完了!!
普段から「下穴空けずにダイレクトにビス入れたら折れちゃった!何とかして~」依頼は
多いのですけどね。
皆さん、メーカー取説に要下穴加工やリペアショップに依頼して作業を~みたいな記述が
あるのはこーいう事なんですよ。

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さて、現実逃避のフレット周り作業も終わりいよいよ本番に着工だ。

サスティーンブロックに磁石を当てたところ付かない。
ブロックは軽金属製だ。
これで方向性と覚悟は決まった!

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作業の為にボディーはフル分解。
こうしている間にも作戦を更に煮詰める。

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まずはサスティーンブロックにΦ5の穴を開ける。
滅多に使う事の無いドリルオイルは大きなボトルでしか売ってないくせに気が付けば
酸化していてポイになる。もう少し少量で売ってはくれまいか?
シャーシーごとバイスで固定しているのはサスティーンブロックの切削精度が悪く、
きっちり垂直に穴を開けるにはシャーシーをバイスで挟む時にスペーサーを入れて
ネチネチ垂直出しをするしか方法が無かったから。
もちろんシャーシーを挟む部分はキズ防止のマスキング済み。

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作業前にボール盤の回転スピードを調整し、慎重に作業して穴空け完了。
やはりブラス製ブロックにメッキを施したブロックだった。
往年のフロイドみたいに鉄製ブロックだとウチの機材では無理だな…

次はM6のタップでネジ切りだ。
これも垂直に行う必要のある作業なので切り始めはタップをボール盤に付け、
手回しで根付けした。

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切り始めの根付けが終わればオイルを差しながら切りこんでいく。

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貫通してタップ作業完了。

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パーツクリーナーで残ったドイルオイルを除去。

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峠?は越えた。
ここからはノリノリ?で作業を進める。
用意したのはM6の六角レンチで回すホーロービス。

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コレをブロックに装着!
ここでトレモロ周りの作業は一旦完了。

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お次は難儀なボディー側。
必要箇所のみ恐ろしいまでのデコボコを研磨して慣らす。

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そしてアルミL字プレート!
何や言うたらすぐアルミ使うなトーンガレージ(笑)
いやいや今回はアルミにせざるを得ない理由があるのですよ。

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トレモロスプリングザグリ底面が下り坂になっているって事は当たり前だが角は90度では
ない。
なのでその角度に沿う様にアルミを曲げなければならない。
まずはバイスでゆっくり慎重に圧力を掛けたがある程度のところで割れた…
折れ角のところで千切れる様に割れた。
更に慎重にやり直したが2枚目も割れた…

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なので3枚目はプラハンマーで叩きながら角度変更を試みるも…
均一な角度変更にならず。まぁ予想はしてたけど。
バイス作戦の様に割れはしなかったが自分の魂が折れた。

なので4枚目はバイスで軽く角度を変更する程度で「妥協」した。
気に入らないが妥協した。
と言うかボディーへしっかりビス止めするから多少密着してなくても強度は保てるとの
結論に逃げた…

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仮組みじゃじゃ~~ん!

 お分かり頂けるだろうか?
弦テンションに対抗する最小のスプリングテンションさえあればトレモロ角度はM6ビスの突き出し量で
調整可能!
つまりチューニングしては微妙にスプリングハンガーを調整してのトレモロをボディーにと平行にする
面倒で手間の掛る作業が不要。
トレモロスプリングの主な役割はアーミング時のテンション調整のみとなる。

M6ビスの当たる箇所のみアルミが有れば良いんじゃない?と思われた貴方、正解です。
お客様は今後トレモロバックパネルを外して使うので「何かしらのカスタム痕」が見えて欲しい
との事でしたのでワザと端から端までアルミを入れた。

強度を考えればステンレスでやりたかったがステンレスは硬過ぎて角度調整が出来ない。
そして後述の打撃音対策によりステンレスの強度は意味が無くなる。
試行錯誤段階で取り付け角度に自由のある小型の蝶番を使う事も考えたが
ジョイント部の出っ張りでM6ビスの当たり具合が見えないので却下。
結果アルミで良かったかなと。

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次なる作業の為に仮組みをバラして一息ついた秋の夜、
やっぱり木部丸出しが気に入らなかった…
腹減ってたし早く家に帰りたかったが…
塗った。筆塗りタッチアップだけど。

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そしてずぅ~~~っと気になってはいたが肝心なところの加工は甘いくせに
トレモロバックパネルの落とし込み加工は塗装後に施工したのかパネル落とし込み部の
角がビシッと垂直エッジ出てて指の腹で撫でると痛いぐらい。
今後パネル無しで使われるお客様の事を考えて角を少し研磨して面取り。

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そして次なる難題へ挑む。
お客様の要望でアームダウンからの復帰時、M6ビスがアルミに当たる「コンッ」ってな
打撃音は何とか対策して欲しいとの事。
普段何かしらを挟み込んで面と面で動きを止める時には厚さ0.5や1.0ミリのゴムシートを
貼る。
だが今回は面vs尖ってはいないが面では無いM6ビスの先端だ。
薄いゴムシートは調整時にM6ビスを回せばあっと言う間に破れてしまうだろう。

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なのでホームセンターをハシゴしてようやく見付けたこのアイテム。
苦労して探して見付けたのに別件で作業机の中を漁ってたら以前別のアイデアで使用した
残りが出てきてちょっと凹んだ…

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このグニャグニャしてホールドし難い物体をある程度短くカットしてからペーパーで慎重に
研磨する事…失敗を繰り返し1時間(笑)
ようやくベストな長さに調整出来た。

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装着するとこんな感じ。

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本体に組み込むとこんな感じ。

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ブリッジ角度調整後のM6レンチ差し込み部の出っ張り量はこんな感じ。

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お客様にお渡し用の六角レンチの長さを調整して

遂に完成!!

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いやぁ~キツかった。
普段の徹底的にやるシリーズなんかも作業は大変なれどゴールの形が見えているから
頭を使うのは作業段取りだけ。
今回はゴールの形が全く見えない所からのスタートだったので大変でした。
今年は絶対に倒れないスタッド等のワンオフ作業が少なくてあまり頭を使ってなかったから
アイデア発想回路が鈍ってたかも。

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ちなみに打撃音吸収キャップの効果は絶大。
しかしキャップ素材の反発力の変化によりアームダウンするとキャップの容積が元に戻り
アルミに当たるとへしゃげる。この量が毎回安定している訳ではないので本来の
がっつりアームアップ方向への動きを止めDチューナー使用時のチューニングを安定させる
目的へはちょっと不満の残る完成度だった。
これは今後キャップ素材が硬化してある程度安定するのか、もしくはお客様が打撃音を
許容しチューニングの安定を優先してキャップを外して再セットアップするか。
常連様なので状況を見ながら更に完成度を高めたいかと思っています。

スプリングキャビティー底面が下り坂になっていなくて均一にフラットならM6ビスの当たる作用点を
もっとトレモロスプリング側へ近付ける事が出来るのでより一層効果は高くなると予測してますが…
上手くいけば弦交換時のトレモロ外れも無くなるのかも??
誰か人柱になるギターを作業させてもらえませんか?(笑)
あ、年が明けてヒマになれば自分の実験用ギターで試してみるか。ヒマになればね…


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