78年製グレコGO-1000を徹底的にレストア。同時に近代的かつ実用的にアレンジを加える編
2019-11-30
少しバタバタしておりまして中々ブログの更新に手が回りませんでした…今回はグレコのGO-1000です。
お客様はファーストオーナーでコンディションはバツグンです!
本来はPRSを購入しようとお考えでしたが予算の都合でこのGOを生まれ変わらせる事を選択されました。
なのでこのスルーネックでウイング材はセン、音質的にはドンシャリぎみのGOに中域の膨らみを持たせるべく
色々手を尽くしてみます。

ネームプレートは1977…でもヘッドシリアルは78?

ゴム製のローレットリングも千切れずにしっかり残っています!
同時期のアイバニーズもコレを採用していますが何故か千切れて欠品している物が多い。

重い金属製のコントロールパネル。

内部の配線は一見問題無さそうですがポットにガリ等の経年劣化は顕著に見られます。
ですので電気系はPU以外全て入れ替えます。
ちなみにミニスイッチ2個はフロントPUのシリーズ⇔パラレルとリアPUのフェイズですが
今時では使い難いのでスイッチを新品交換のうえフロント・リアの個別コイルタップへ変更します。

それでは本格的に分解に入ります。

PUのマウントベース。
よく見る同時期のGOはマウントベースをボディーへ固定するビスが完全にサビている事が
多いのですがキレイです。

PUに充填されているゴムも縮みやクラッキングが無い。
何度も言いますが本当に良いコンディションです。

さて、それでは…

いつも通りにフレット抜いて指板修正から。
今回は弦高低めのプレイアビリティーも狙うので指板修正はかなり神経質に行いました。

これぞ日本製!なブラスと牛骨の貼り合わせナット。
これはこれでGOのアイデンティティーですが弦と直接作用する部分がブラスでは音が硬すぎるので
無漂白牛骨の1ブロック物へ変更します。
まぁナットの製作なんてまだまだ先の工程ですけど。

元々ネックに面倒なクセは無かったので指板修正も順調に進み、フレット周りが完成。

お次はボディー側へ。
まずはコントロール内のアルミ箔を剥がします。
アルミ箔はしっかり導通が取れるし貼り易いのでこの時期は多用されていましたが
シワの浮き上がりがホットラインに触れるとNGなのでいつも通りの導電塗料塗布にします。

塗り終わり。

もちろんPUホールも。
画像は無いけどトグルスイッチホールも。

PUマウントベースから組み込みますが同時にアーシングの結線も割り込ませます。

と、このまま電気系の作業を進めたいのですが…
フレット周りを作業している頃からずっと気になっていたヘッドの1弦側角の塗装欠けが
どうしても許せなくなったのでタッチアップで補修。(画像は補修後)
こんな寄り道ばっかりしてるから毎回段取り通り進まない(笑)

ちょっと遠回りしましたが電気系組み込み完了!
ポットはCTSですが純正のノブを流用したいのでシャフトはミリサイズの物を使用しました。
もちろんスムーズポット化しております。

純正ノブのローレットリングをクリーニング&シリコンオイルで仕上げ。
右が施工前、左が施工後。
リングの内側までシリコンオイルが流れ込むと操作時に空回りするので綿棒使ってちまちまと
表面だけを作業しました。
プラスチック製のノブ頭面や側面はプラスチック用の極細目コンパウンドで研磨。

さて、話はブッ飛んでペグです。
ペグはPRSリスペクトと言うワケでもないのですが使い勝手を考えてロック式に。
ちなみにこの頃の純正ペグはしっかりとした金属製(軽金属ではない)なので重い…

取り付けるGOTOH MG-Tペグ。
47-31=16グラム。
16x6=96グラム!
ヘッドが約100グラム変わるって大きいですよ!!
謀らずしてヘッド落ち対策にもなったと言う。

ようやく完成です。
画像はありませんがナットの溝切りをいつもより僅かに深めにしたりブリッジサドルの
弦溝を少しだけ加工したりと中域に膨らみを持たせる工夫を施しました。
言葉で表現するのは難しいのですがナットやブリッジサドルで弦に僅かにだけアソビを
持たせてやる事で倍音の広がりを増やす事は可能です。
加工してはサウンドチェック…更に全体のセッティング見直しと手間暇掛かりますが
本当に奥が深くて毎回のめり込んでしまう工程だったりします。
またロック式ペグにした事でペグポストへ弦の巻き込みがなくなりその分ナットからペグポストへの
弦角度が緩くなった事で若干ながら弦テンションも下がる。そしてその分サウンドはふくよかに
なったと感じます。
フロント・リア共にミニスイッチでコイルタップ仕様にして良かったです。
元々シリパラやフェイズの配線レイアウトを念頭に考えられたPU(だったのかもしれない)の
お陰かタップサウンドも十分使用に耐えうる音質でした。

全体のバフ掛けや金属パーツの研磨も徹底的に行ってピッカピカになりました。
お客様のお引き取り時の笑顔を見て徹底的にやって良かったと実感。

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