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YAMAHA SG-1000XY PHOENIX を徹底的にレストア。 甦れ!フェニックス編

 2020-02-29
今回はレアなギターを作業させて頂きました。
ヤマハのSG-1000XYです。
頭がVではなくBOWWOW世代としては崇高な存在のモデルなのですが…

お預かりした時の状況はかなり厳しいものでした。
電気系は全て入れ替わっているしトレモロもタケウチ製に素人作業で載せ換えられています。

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トレモロバックパネルは途中でカットされて何やらよく分からない回路用のバッテリースナップが…
そしておそらくストラップピンを移設したと思われる様な痕跡が。

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内臓回路用にミニスイッチが増設されています。
本来マスターボリュームの位置にトグルスイッチが…

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PUのエスカッションもかなり太いビスで止められています。

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ネックのコンディションも良くなかったので大変な作業になる旨をお客様へ説明させて頂きました。
それでも当時憧れていたギターゆえにせめて普通に弾ける様にまではとの事でした。
なので当時憧れていらっしゃった状態=デフォルトの状態へ如何に近付けるのか?が今回の
コンセプトです。
もちろん入手出来ない純正パーツ、元には戻せない改造跡だらけと問題は多いですが
現在入手出来るパーツ類でやれるだけやってみます。
BOWWOW世代のリペアマンとしては最高に誇らしい作業依頼ですしね。

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まずは全てを分解。

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ネックは重症では無いもののネジレ&波打ちのフルコース…
トラスロッドが機能していたのは不幸中の幸いか。
指板修正はかなり時間を掛けて徹底的に行いました。
途中で一度弦を張れる状態にして問題の改善具合を確認しながらなので中々に大変でした。

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フレット打ち完了!
使用したフレットはJESCARの#51108。純正フレットに横幅は近く、高さは現代基準。
日本規格のワイド&ローのフレットも入手は可能ですがこの先長く弾いていける様にと。

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リアPUの耳部分が雑に掘られています。
おそらくお客様はここまで見ていないだろうしピックアップ付けてしまえば見えない場所でも
あります。
でもこの状況のまま作業を進めるのは個人的に許せません。

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普段はめったに使わないウッドパテで埋めます。

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トレモロの要加工部と一緒にルーティング。

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導電塗料塗ったらこの通り!
トレモロ部はラッカーで着色しました。

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ちなみに新たに載せるトレモロはGOTOHのGE1996TなのですがGOTOH純正スタッドアンカーだと
アンカー穴を拡げる必要があります。
が、上の画像を見て頂いても分かる通りリアPUやトレモロザグリまでの距離が近く、
既にアンカーからリアPU側へは塗装のクラックも見られるので現状のアンカーサイズに近く、
ボディーへの負担が増えずに精度は欲しかったのでフロイドローズ純正スタッド&アンカーを
採用しました。
画像左より純正アンカー&タケウチのスタッド、GOTOH純正、フロイド純正です。

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さて、お預かり時よりずっと施工方法を悩んでいた増設ミニスイッチの穴。

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埋め木+タッチアップ塗装も考えましたが肉厚も薄い箇所なので経年変化や仕上げの難しさの
問題があります。
なので以前別のリペアで使ったアイデア、家具用のキャップを使うつもりでしたが…
サイズはミニスイッチ穴に対して大きいしツヤ消しなのが引っ掛かってました。

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施工方法を決めきれないある日、全く別の用件で金物屋へ行った時に使えそうなアイテムを発見!
家具用キャップよりもサイズは小さいし黒のツヤ有りなのでこちらの方が良さげです!

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仮止めして付けてみた。
うん。こっちで行こう!

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で、本当に大変なのはこっちですわ。
トグルスイッチサイズに拡大されてしまっているマスターボリューム穴。
このままでもCTSポットは付けられると言えば付けられますが自分的にこのままなのは
ナシです。

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用意したるはCTSのシャフトにジャストサイズの肉薄アルミパイプ。

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穴の形状を整えてからパイプを入れてみたら狙い通りジャストで入る。

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ボディートップのアーチ形状をマーキング。

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金属ノコでカット。

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ここからは慎重に加工。

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最後は完全に手作業で攻めていきます。

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ちなみにアーチ形状と合わせながらの加工ですが位置は元から空いているポット用のピン穴の
直下部にマーキング入れてるのでいつでも同じ位置に差し込んで形状チェックが出来ます。

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ポット用スペーサー完成!
正直言うと加工中に力を入れ過ぎてパイプがたわんだりサンダーで削っている時に
吹っ飛んでどっか行っちゃったりで都合3個目で完成(笑)

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これにてコントロール周りの問題は解決とします。

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ようやくボディー側の作業が完了しました。

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次なる問題はピックアップです。
純正はヤマハ独特の3点止めエスカッションにフロントは黒のPUカバー、
リアはフェニックスの柄に合わせてエスカッション&PU共にゴールド。
ピックアップはフロントはダンカン59、リアはJBの絶対的定番セットにします。
リアはゴールドカバー付きがあるので何の問題も無いですがフロントがね…
今時黒のメッキの施されたPUカバーは無いんですよ…
なので妥協はするのですが用意したのは黒ツヤ消しABS製の穴無しPUカバー。
コイツにダンカンピッチでポールピースの穴を開けてみようかと。

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薄いABS製なので加工中に「ペキッ」っと割れてしまうかもしれない。
でもカバー2個あるから一度の失敗は許される(笑)

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まずは59のカバーを外す。
さすがダンカンさん。カバーとPU本体はしっかりロウ浸けされてました。⇒外すの大変(笑)
配線時にコイルタップを設けるので59は4コンダクター仕様です。

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ダンカンのカバーをABSカバーに載せて位置決め。

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ボール盤の回転速度を少し下げてから少し小さめの穴を開ける。
更に回転速度を下げてリアルサイズ一歩手前のビットで開ける。
そこからはヤスリ手作業で進めます。

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1個目で無事成功!

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早速59に着せてみる。
ツヤ消しの黒ではあるけども中々良い感じだ!

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ちなみにエスカッションは底面を削って高さを現物に合わせました。

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組み込み完了!
画像は有りませんが大きめの打コンは全てタッチアップで埋めてます。
1本のギターで施工したタッチアップ箇所としては過去最高?ぐらいで何カ所作業したか
思い出せないぐらいです。

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サラッっと書いてますがリアPUも一苦労ありました。
純正と同じブラス(真鍮)製エスカッションは既に入手出来ないので妥協してプラスチックに
ゴールドメッキのエスカッションなのですが…
コイツにTB=トレムバッカー用のPUカバーが入りませんでした。
なのでエスカッションの内径横幅を拡げようとヤスリを入れた瞬間、メッキがペロッと剥がれました。
諦めきれずにエスカッションを再注文して挑むも結果は同じ。
仕方なくリアはトレモロ付きなれどTB-4ではなくSH-4にしました。
言い訳としてはフェニックス発売当時の1985年にダンカンTBシリーズはまだ販売されていなかった
と言う事で。
したがってTB-4のゴールドカバー付きを在庫しております。どなたか買って頂けませんか?(笑)

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コントロールは純正とは少し違います。
純正はマスターボリューム、フロント専用ボリューム、フロントトーンらしいのですが
それでは汎用として使い難いのでマスターボリューム、マスタートーン、
フロント&リアのコイルタップ切り替えスイッチポットとしました。

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トグルスイッチとコントロールのパネルは作り直し。
トレモロバックパネルはザグリが全て隠れるサイズで製作。

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パネル裏にはアーシング用のアルミテープを貼ってます。

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ようやくここまで来た…
ここ数年では一番試行錯誤を繰り返した作業かもしれない。

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リフレクター付きノブの並びは純正と同じボリューム・ボリューム・トーン。

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ペグはメッキの劣化が酷かったのでGOTOH製新品へ交換しています。

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でもロックナットは替えがきかないので流用。レンチが4ミリなのも不便だが流用。
このタイプはジャクソン/シャーベルのケイラー同様にロックを締め込むとチューニングは
かなりシャープします。
ですので締めてからファインチューナーで調整、その調整幅分をロックナットを緩めて
再チューニング、の繰り返しが必要になります。

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最後の調整を終えた時、疲れよりも満足感、達成感の方が遥かに大きかったです。
かなり手は掛かりましたがお客様のフェニックスへの想い、自分の拘りとプライドを
注ぎ込めたと思います。

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近年メディア(ネット)で露出があったフェニックスはリアがゴールドバーポールピースの
オープンタイプPU、トレモロはロッキンマジックⅡの様でした。
近年仕様へ変更とか言われたらどないしよ…(笑)

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1985年に150本限定で販売されたこのSG-1000XY、言うまでも無くかなり貴重です。
自分も長くこの業界に居ますが今回のフェニックスで見た、触れたのは3本目です。


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