Washburn N4 フルレストアついでに自分好みへモデファイ編
2020-10-10
今回は当ブログでも登場回数の多いN4です。国産アルダーボディーのよく弾き込まれたN4を徹底的に作業させて頂きました。

まぁこの手のギターお約束でフレットの摩耗が激しい。
早速フレットを抜いて打ち換えからスタートです。

これまたお約束?なのですがエボニー指板に浅いクラックが入っています。
指板表面に汚れや埃が付着していると中々気付きにくいのですが。

フレットを抜いた際のチップ修正作業時にエポキシ樹脂を流し込みます。

指板修正中。
さほど酷いクセは無いネックでしたが低めの弦高設定を狙いたいのでネックのストレート出し
はきっちり仕上げます。

フレット打ち完了。
ずっと秋晴れのお天気が続いていたのでココまではスムーズに進行してきましたが
秋雨予報に変わったのでネック周りの作業は中断。
ケースに仕舞って天気の回復待ちにします。

したがってネック側が終わっていませんが先にボディー側を着工。
今回のお客様はヌーノリスペクトではなく弾きやすいギターとしてN4を弾いていらっしゃるので
ピックアップもヌーノルールから離れます。
お客様がチョイスされたのはフロントがダンカンAPH、リアはTBのカスタムカスタムです。
純正フロントの59は今でも十分「アリ」なのですがリアのビルローレンスL500は
正直現代の音作り感覚で言えば扱い難い…

シャーラー製フロイドタイプのトレモロもアームホルダーにクラックが入っているので
ホルダーを交換します。

まずはリアPU。L500は専用エスカッションなので汎用のエスカッションに交換する必要が
あります。

元穴を埋め木して新しいエスカッションに合わせて穴開け。

導電塗料塗って有線でアーシング。

先日DIY派のお客様からアースラグの取り付けが難しい箇所(ザグリ)の結線について
ご質問頂いたのでちょっと書いてみます。

アースラグが取り付け難い場合はその箇所に付けるパーツで工夫します。
今回はミニトグルスイッチを付けるのでその座金ワッシャーにアース線を結線。
純正は一般的なトグルスイッチですが耐久性、操作性ではミニトグルの方がお勧めです。
小指でパシッとPU切り替えするなら断然ミニトグルです。
接点がボックス内封入ですので端子劣化の接触不良もほぼ起きませんし。

で、一段落したのでボディーを眺めながら休憩していると剥き出しのピッチシフトキャビティーが
ムカついてくる(笑)
詳しくは前回アップの長編サスティナーブログを見て下さい。

ウレタンシート貼りました。
もちろんヌーノリスペクトな作業の時は貼りません。本人貼ってないはずなので。

さて、ウレタン貼ってスッキリしたところで(笑)フロイドの作業に入ります。
アームホルダー交換する前に全体のクリーニングをと歯ブラシ(毛は柔らかめ)でゴシゴシ。

ゴシゴシしている内に奥の細かい汚れにイラッときて気付けば全分解(笑)
しかし結果的には全分解して良かった!

何故なら1個のサドルのストリングタイテンブロック底の板が無くなっている事に気付けたから。
この小さくて薄い真鍮板が無くなっていると弦を外す際、ブロックを緩め過ぎるとブロックが
ポロッと奥深くに脱落します。
「あーそうそう!ブロック落ちるわ!」って思ったそこの貴方、底板有るか確認してみて下さい。

更にブロック1個に亀裂が入っている事にも気付けました。
本当に全分解しておいて良かった!

ブロックは交換するとして問題は底板さんです。
この底板だけでパーツ販売しているのは見た事がありません。
よしんば有ったとしてもシャーラー製フロイド系は時期によって微妙に仕上げが変わるので
汎用性は無いでしょう。
なので作っちゃいます。
0.3ミリのアルミ板を適当にカットしてから、

ちまちまヤスリで削って成形していきます。

ドンピシャよりも僅かに大き目のサイズになったら圧入。
純正の真鍮板も圧入されているだけですが(だから簡単に外れる)保険で少しだけ
瞬間接着剤を流し込んでおきます。

アームホルダーも交換してフロイド周りは一件落着!

そうこうしている内に天候が回復したのでフレットの側面成形、すり合わせ等の
残った作業を終わらせる。

指板のクラックも傷跡は残るがきっちり埋める事が出来ました。

で、パーツ組み付けてる時に新たな問題に気付く。
裏止めのロックナット固定スクリューが表面へ少し飛び出している。

キャップを乗せて確認するとやはり少し干渉している。
これではいくらキャップを締めこんでも弦をきっちりロックする事は出来ない。

原因は経年劣化でスクリュー底面部のメイプルが押し潰されて肉厚が少し薄くなってしまった事。
要はビスの表面突き出し量を少し短くすれば良いのだがビスの頭をグラインダーで削ったりすると
切削面からサビが発生してしまう。
通常(フロイド純正状態)なら画像の座金ワッシャーに加えて平ワッシャーも挟まっているはずなのだが
今回のN4は座金ワッシャーのみ。

なので座金ワッシャーを1枚追加してロックナット表面へのビス突き出し量を減らします。

良い感じ。これならクランプに干渉する事は無い。

ついでに気になっていたテンションバーの固定ビス。
頭のプラス穴が崩れている。

GOTOH製ビスへ交換。
残念ながらフロイドローズは時期によってテンションバーの落とし込みにGOTOHのビスが
入らない事が有るので全てのフロイド純正テンションバーに通用する訳ではないのですが。

電機系の組み込みも完了。
余談ながら国産N4はUSAとピックアップからスイッチ、ポットへの配線経路が違う。
USAはピックアップからトグルスイッチザグリ内でスイッチへ結線、スイッチからポット=
コントロールザグリへは出力線のみ。
国産はピックアップ線をコントロールザグリ内で別ケーブルへ結線、別ケーブルが
トグルスイッチザグリへ繋がっている。
国産パターンの方がノイズが少なく感じるのだが…特にリアがL500のままの場合は。
ポットにピックアップのアースを直接落とす方が良いのかもしれない。

完成!
一見キラーのファシストに見えるのは気のせい気のせい…

いやぁーピックアップ良いですよ!
クセの少ないアルダーボディーって事もあるでしょうがカスタムカスタムはカスタム(SH-5)
の中高域の独特の曇りが少ないしそれでいてカスタムの細かくて心地良い歪みはキープ出来ている。
APHは59よりもツヤが有るのでフロントのロングトーンも気持ち良い。
レスポールに付けた時よりもツヤ感と倍音の拡がりを感じる気がする。

一番拘った全体のセッティングも狙った感じに組み上げられました。
N4の最大の特徴である弾き易さを活かし切れたかと。
気負う事無く疲れる事無く長い時間弾いていられる感じ。
お客様から頂いた「いやー弾いてて楽しいっす!」の感想が嬉しかったです。
それこそが狙っていた着地点だったので。
N4使ってて音作りに苦労されている方、ヌーノみたいに!と歪ませまくったら
グシャグシャの歪みになってしまう方、フロント使うソロはもっとシングルコイルの様な
くぐもった感じの音が欲しい方、
ヌーノリスペクトこそ正義!でなければ一度ピックアップを交換してみる事をお勧めします。
【追記】
偉大なるカリスマが旅立たれてしまいました。
エディーが居なければ今日のHR/HMギタースタイルは確立されていなかったでしょう。
R.I.P Edward Van Halen
安らかに。そして有難う。

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