FLOYD ROSE 知らぬ間に劣化しているアームハウジングの交換編
2021-05-29
今回はフロイドローズのアームハウジング=アームバー差し込み口の交換編です。以前にもハウジング交換でブログを書いた事がある様な記憶がありますが、
ちょうどこのブログを書く数日前にも
「フロイドのアームがサムナットを締め込んでもスカスカに動くので何か詰め物した方が良いですか?」
みたいなお問い合わせを頂いたので改めてアームハウジングの交換で更新します。
尚、現在フロイド純正はプッシュインタイプやアーム差し込み部先端が六角レンチになったターボアームが
販売されていますが、オーソドックスな差し込み&サムナット締め込み式でのブログアップです。
ターボは同じ構造ではありますが。
作業するのは数年前にフレット交換させて頂いたN4です。
少しフレットが減ってきたのでフレットのすり合わせ作業をご依頼頂きました。
すり合わせ作業の分解時には「ん?アーム締め込みのサムナットが妙に硬い=動きが渋いな…」
ぐらいの違和感でした。


が、無事にすり合わせも完了し、お客様引き取り前に最終セットアップしてると
ハウジング=アーム差し込み口にクラックが発生しているのを確認。
少し工具でこじればクラックは簡単に傷口を開きました。↓画像。
ハウジング自体も薄らサビているので相応に劣化していたのでしょう。

こうなれば残念ながらハウジングを交換するしかありません。
お客様へご報告のうえハウジング交換を作業します。
ちなみにクラックが発生していなくとも、アームバー根元のサムナットをしっかり締め付けても
アームバーがスカスカ動く場合もハウジングの劣化、摩耗が原因なので、対応策としては
ハウジングの交換になります。何かしらの詰め物等では改善出来ません。
下記の作業でハウジングが簡単に外れる状況ならギター本体からフロイドの脱着は必須ではありませんが
このN4はトレモロスプリングキャビティーからハウジング裏面にアクセス出来ないので外しております。

まずはハウジング頭の六角ビスを取り外し。
ロックナットやストリングロック時に使用する3ミリ六角レンチで緩めます。

スクリューとワッシャーが外れます。

次にワッシャー下の筒状のパーツ、スリーブを抜き取ります。
ここまでは劣化やサビの酷い物でなければスムーズに作業出来るはずです。

ハウジング本体をトレモロのベースプレートから押し出して外しますが、フロイドの時期、
ライセンス生産品等によってはハウジングが簡単に抜けない場合があります。
その場合はトレモロ表面側のハウジング上下に当て木等を当てて、トレモロ裏面側、
ハウジングの底面をプラハンマーで軽く叩いて押し出します。
稀にトレモロベースプレートとハウジングの接合部にミシン油を流し込まなければならないほど
硬く固着していてハウジング抜き出しに苦労する場合もあります。

新しいハウジングを取付ける前に清掃。
入り組んだ形状箇所の多いフロイドの掃除には赤ちゃん綿棒がオススメです。
綿の部分の硬さと柔軟性、芯棒の硬さ、ダイソーのベビー用綿棒が個人的にはベスト。

ご存じの方も多いかとは思いますが、フロイドの純正アームバーを購入すると
ハウジングも付属してきます。
何かしらの事情で新品アームバーを使用する場合はハウジングも交換してね?的な
メーカーメッセージでしょうか。
それだけ定期的?に交換が推奨されているのかもしれません。

もちろんハウジングのみの購入も可能です。

分解時とは逆の手順で組み付け。

ボディーにマウントしてセットアップ。
Dチューナーはお客様がDIYで取付けられています。

アームバーは元からの物ですが、今回の様にハウジングのみ交換でも
アームバーは任意の位置で止まる様になります。
もちろんサムナットを緩めればプランプランの状態にも出来ます。

今回はハウジングのクラックに気付くのが遅れ、お客様にはご迷惑をお掛けしてしまいました。
今後、そこそこ使い込まれたフロイドを扱う際にはハウジングのコンディションチェックを欠かさない様にしようかと。
さて、緊急事態宣言も再延長と同じぐらいに当店的に参ったのが記録的に早い梅雨入りです。
フレット交換(指板修正)など湿度の影響を受けたくない作業は雨続きの1週間は中断とし、
作業段取りも組み直しになりました。
と、同時にネック反り=ロッド調整のご依頼、お問い合わせが急激に増えてきております。
本格的な梅雨、湿度上昇はまだ先でしょうが何もセッティングを変えていないのに弦高が変化したなら
ネック反りのサインです。今一度愛機のネックコンディションのご確認を。
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