YAMAHA HR-1 コレクターズコンディションをフルメンテナンス編
2022-01-11
大変遅くなりましたが明けましておめでとうございます。本年も当店を宜しくお願いします。
さて、新年1本目のブログ更新となりますが年末に作業させて頂いた
YAMAHA HR-1のご紹介。
数年前にHR-1を徹底的に作業させて頂きましたが同じお客様にリピート依頼を頂きました。
こんな貴重なギターをまたお預け頂くとは大変有り難い事です。
今回のHR-1なのですが、驚くほどの美品!目立つダメージが一切無い!!
それもそのはずでオーナー様はコレクターからお譲り頂いたそうで。
現存するHR-1の中では一番キレイなんじゃない?と言っても過言では無いかと思います。

塗装面にダメージが無い時点で十分素晴らしいのですが、ゴールドパーツの
コンディションもかなり良いです。

トレモロ周り等は一番手が当たる箇所なので茶サビが発生してメッキごと浮き上がっていたりと
酷い状態のロッキンマジックは良く見るのですが、多少色抜けしているもののサビが無いのは
本当に驚きです。

フロントPU横のコンプレッサー、ピエゾPU起動スイッチも正常に作動。
ブラスエスカッションの下にスイッチ類と一体型のABS樹脂?っぽい素材が
敷かれていますがその一部が縮んで浮き上がってはいます。
無理に修正してパキッ!っと行ったら大変なので薄い強力両面テープで浮き上がりを
何とか沈めようとしましたが糊代幅が1ミリ程度なので無理でした。

ボディー側面のチューナーも問題無し。
チューナーの小さなスイッチにはホコリが詰まりやすいのですがココもキレイ。
大変良い状態で保管されていたのでしょう。

指板サイドのLEDも全点灯。
近年は高輝度LEDが当たり前になり、指板に高輝度LEDが埋め込まれている物も
珍しくはなくなってきましたが高輝度だと抵抗上げて照度を下げても光方が鋭いので
本当に暗い状況下では光がボヤけて正確なポジション確認がしにくいなんて話も聞きました。
サイドポジは高輝度ではないLEDの方が向いているかと思います。
高輝度ではない従来型LEDは電気街でも売っているのをあまり見なくなってきましたが。

さて、巨大なコントロールパネルを明けてみます。
こちらもホコリやゴミの侵入が少なく、大きなトラブルは無い模様。

純正の単3x6本の電池ボックスは既に9V角形仕様に変更されています。
バッテリースナップもクリフなのでバッチリなのですが、電池の固定方法が
ちょっと残念。おそらくメラミンスポンジが詰め込まれております。
電池固定方法は手を入れたいかと。

トレモロのサスティーンブロック角に青白い粉吹きが見られます。
深くまで浸食してなければ良いのですが、これはトレモロ外してクリーニングします。

トレモロスプリングも伸びているので交換します。
毎度の事ながらブリッジアース線のハンダ付けが気に入らないのでハンガーごと
変えてしまおうかと。確かこの頃は現行GOTOHのハンガーと互換性があったはずなので。

トレモロ外してみました。
やはりちょっと酸化して粉吹いてますね。

ピエゾPUの基板を外したら固定ビス穴も少し怪しい。

まずはサスティーンブロックの問題箇所を柔らかめのワイヤーブラシで研磨。
粉吹きを落とします。メッキも落ちているので対策を施します。

剥がれ落ちたメッキを部分的に補修するのは無理なので、現状維持、再度の粉吹き防止対策として
粘度の高いリチウム系グリスを薄塗りして金属表面を保護します。

ピエゾのビス穴周辺も同様に。

ビス穴自体には爪楊枝でグリスを塗布。

トレモロ部のメンテナンス完了。

今度はネック側を着工。
6弦側のローフレット付近が逆反りの少し捻れぎみでhがあるものの、音詰まりが出るほど
酷い訳では無い。お客様に今後の使用頻度を尋ねるとコンディションチェックでたまに弾く
ぐらいとの事なので今回はフレットのすり合わせで様子を見る事に。
ペグ、ロックナット、テンションバーも外して1個づつ清掃。

さあ問題のバッテリー収納部だ。

底面にウレタンが貼られているが既に硬化してカッチカチ。

9V電池用のバッテリーホルダーを使って固定する事にします。

ホルダーはビス止めでしっかりとした固定が可能。

ただ…ボディー厚が45ミリ、ウレタン込みでザグリの深さが32ミリ、ウレタン剥がして
36ミリ。45ー36=9ミリ。長いビスは使えない。

このホルダーを使う時によく使うビスを入れてみると突き出し量は6ミリ。
ちょっと危険なので、

食い切りで先端を2ミリほどカット。

ホルダー取付け完了!!

電池固定もバッチリ!

ジャックはモールドタイプでした。まだ使えると言えば使えますが流石にガリが出ていたので
交換。
プラグイン時のスイッチノイズ対策なのかセラミックコンデンサーの103がホットとアース間に
仕込まれています。

ハイパス用の102なら在庫していますが流石に103は持っていないので流用する事に。
ジャックは安定安心のスイッチクラフト12Bです。

取付けたらこんな感じ。
プラグを差してもどこにも干渉していないので問題ありません。

結局と言うか予定通りと言うかトレモロスプリング、ハンガー、ハンガービス全て交換。
ブリッジアースは画像では見えていませんが、いつも通りスプリングに干渉しない様に
ザグリ側面底をはわせております。

ちなみにロッキンマジック期のヤマハ、トレモロスプリングはポン付け交換では
済みません。
画像上が純正、下がGOTOH。サスティーンブロックに引っ掛ける足を曲げないと
簡単に外れてしまいます。

ようやく最終調整を残すのみとなりましたが、電池収納部の蓋の固定ビスが気に入らない(笑)
バックパネルのビスを全て新調したから余計に気になる。
画像では銀色に見えますが実際は黒のメッキが剥がれてあまりキレイではない。
コインやマイナスドライバーで脱着可能なのは便利かもしれないがサスティナーでもないので
頻繁に電池交換する事は必要ない。

なので同じビス径、ほぼ同じ長さののプラスねじ黒を買ってきました。
もちろん純正ビスはお客様へお返しします。

完成!

前に作業したHR-1をブログアップした時に
こんな綺麗なHR-1はもう見る事ないだろう的な事を書いた記憶がありますが、上書きです。
今回のHR-1以上のコンディションの物を触る機会は無いでしょう! たぶん(笑)

冒頭にも書きましたが本年も当店を宜しくお願いします。
またコロナが拡大しつつあるので、もう少しは我慢の日々が続きそうですが
今年の後半ぐらいには元の暮らしに戻れたら良いかな?なんて思ってます。
今年こそ皆様の音楽活動が再開出来る様になれば良いですね。
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