fc2ブログ

ZODIAC オーダーTLスタイルを徹底的にレストアする編

 2022-08-15
いや、本当に暑いですね…
お盆休み終盤?ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
当店は本日より通常営業です。

さて、今回はオーダー品?と思われるゾディアックのテレキャスター派生モデルを作業させて頂きました。
z1.jpg

まずは今春に急逝されましたゾディアック社、松崎社長のご冥福をお祈り申し上げます。


z2.jpg

後述しますがこのギターは94年製、ゾディアック社としては割と初期の頃の製品だと
思われます。
当時の電装系流行でもありましたがミッドブースト?の様な回路が内蔵されています。
z3.jpg

元々は2V2Tのコントロールレイアウトの様ですがフロントトーンの位置へ
トグルスイッチが移設されています。
z4.jpg

元トグルスイッチの場所は埋め木、そして他所と違和感の少ない部分塗装が施されているので
ゾディアック社で改造作業を行われたのかもしれませんね。
z5.jpg

ブリッジはGOTOHの510FBの旧モデル。
スタッド頭が欠けているので現状でブリッジを正常にマウントする事が出来ません。
またスタッドアンカー周辺に塗装割れが見られます。
ブリッジ、テールピースは現行の510FB、FAに載せ替えます。
z6.jpg

z7.jpg

ピックアップもポールピースのサビ等の劣化が見られ、お客様の今後の演奏内容との
兼ね合いで交換します。
2ハムでは鉄板コンビのダンカン59&JBへ。
z8.jpg

まずはフレット交換。
指板修正をきっちりと。
z9.jpg

シュパーゼルのペグもギアグリスの滲み出しによる油汚れが目立つのでクリーニング。
z10.jpg

フレット周り完成!
フレットはいつものJESCAR#55090。
z11.jpg

そしてボディー側を着工。
z12.jpg

全分解してから最初にブリッジのスタッドアンカー交換から着手。
画像の通り現行510FBのアンカーは太い。そしてスタッドも形状が異なる。
z13.jpg

アンカー周辺のボディーにクラックが入っているので慎重にアンカーを抜く。
z14.jpg

アンカー穴周辺はメイプルのトップ板が膨らんだせいか、表面は割れて起き上がり、
指で押すとパカパカ動く状態。
塗装割れが起きる事を覚悟のうえでアンカー穴から工具を差し込み浮いたメイプルを
少し持ち上げてから隙間にエポキシ樹脂を流し込む。
接着が終わってから周辺部のみ水研ぎとバフ掛け。
やはり塗装クラックが目立ってしまったが放置していずれアンカー周辺ののメイプルが広範囲で
剥がれ、修復困難な状況になるよりは不安要素無しに仕上げる為に必要な作業だったと思う。
z15.jpg

新しいアンカー穴はトリマーで作業。
z16.jpg

トグルスイッチ取り付け部もトリマーで穴開け。
z17.jpg

フロントトーン部は埋め木。
z18.jpg

画像左側が今回取付ける現行の510FB。右が旧型。
似てる様で結構形状は異なる。
z19.jpg

アンカー埋めてボディー側の大きな作業は完了。
z20.jpg

フロントトーンの埋め木はポット穴を開けてからタッチアップで黒に塗る。
z21.jpg

配線完了。
CTSポットの安定供給はいつの日になる事やら…
ミッドブースト?回路のON/OFFスイッチはコイルタップスイッチとして使います。
z22.jpg

コントロールパネル裏には94年の日付と松崎氏のサイン。
牛骨ナットで隠している部分にはオーダー主のお名前が。
z23.jpg

今や入手困難な5Φのネックジョイントスクリュー黒。
取引の有るパーツ業者では取り扱いが無くなったので大先輩ギターエンジニアに
お願いして少量分けて頂きました。
z24.jpg

順序が少し巻き戻しになりますがピックアップ。
純正を外した時には気付きませんでしたが…
z25.jpg

あーエスカッション割れてんね…注文しなきゃ…みたいな感じで眺めてたら
z26.jpg

リアは激レアのトムホームズH453リミテッドでした。
ポールピースにサビが出ていたり線材が短い状態ですが某オークションなどでは
かなりの金額になるのでは?
z27.jpg

ちなみにトグルスイッチも耐久性、信頼性優先でミニトグルスイッチを選択。
z28.jpg

ナットは無漂白牛骨。
元ナットはかなり黄ばんでいるが漂白の牛骨。
この頃は無漂白なんて無かったような記憶が。ブライアンセッツァーのグレッチに
油漬け牛骨ナットが付いてる!なんて機材紹介を見ましたがあれこそが無漂白ナットの
始まりだったのかも。
z29.jpg

ナットが出来たのでブリッジサドルの弦溝切り。
z30.jpg

この510FBブリッジ、ブリッジ自体の固定や精度はかなりしっかりしてますが
それ故に固定ビスが多く、スタッドを回すにも前後のイモネジを緩めなければ
なりません。
z31.jpg

つまりスタッド高を調整すると必然的に全体のオクターブピッチ調整も必要になります。
もちろんサドルで個々のオクターブピッチも調整も可能なので調整範囲はかなり広い。
本音を言えばブリッジの設置位置が怪しいギブソンに付けたいところではある。
z32.jpg

z33.jpg

ようやく作業完了!
図らずとも鳴りがしっかり出ているのは当時の材料クオリティーの表れか、そして
ゾディアックの拘りと作り込みなのか。
末永く弾き込んで頂きたい1本に仕上がりました。
z35.jpg
スポンサーサイト



タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://tonegarage.blog52.fc2.com/tb.php/497-626f3d82

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫